5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

あなたの文章真面目に批評します

86 :初めまして:02/04/14 20:47
彼女に目をやってみる。彼女は、全く僕の存在を気にも止めていない様子で、スクリー
ンに意識を集中し続けている。僕はおちょくられているのだろうか。
「黙ってたって、目が訴えてるよ。やりたいんでしょ、あたしと」
こうなったら、ヤケクソだ。
「やりたいよ。やらせてよ、チロリ」
「うふふ、相変わらず、チョー助は正直ね」
なんだか、僕自身が興奮して来た。彼女に目をやる。相変わらず、彼女は影に集中し
ている。スカートはもう、腰までズリ上がり、スカートと呼ぶにはその役目をまるで
果たしていなかった。赤い二本の足が、冬みかんの網袋を連想させる。僕は人形を放
り出して、彼女の肩に手を掛けた……つもりだった。
 彼女の肩には感触がまるで無かった。いやむしろ、僕の手に、触角が無かったのか
もしれない。確かに彼女の肩に僕の手は掛かっているはずなのに、空気に触れている
ように、感触が存在しないのだ。疲れているのかな。彼女は僕の行動に全く関心を示
さず、抵抗する様子も無く、ひたすら影に集中しつづけている。なんだか馬鹿にされ
ているようで、腹が立ってきた。感触の無いまま、どうにか視覚だけを頼りに、彼女
の肩を掴んでその場に押し倒した。馬乗りになって、彼女のブラウスを引きちぎる。
まるで手応えが無い。ブラウスを引きちぎる感触も、オッパイをわしづかみにする感
触も。まるで、一人で空気と格闘しているような虚無感。彼女の目を見て、思わずぞっ
とした。ビー玉でできた人形の目。稽古場に住みつくねずみ男のような先輩の目。個
性を放棄して影に徹する人間の目……。その目で馬乗りになる僕を見上げ、口元に、
うっすらと冷たい微笑を浮かべた。僕は力なく、彼女の上から降りた。彼女は何事も
無かったかのように、オッパイをはだけ、冬みかんの網袋を晒したままの姿でスクリー
ンの前に戻り、再び、中腰になって人形を構えた。
「いいよ、やらせてあげる。あたし、チョー助のこと好きよ」
「……」
僕もスクリーンの前に戻り、チョー助を構えた。
「チロリ、僕もチロリのこと、好きだよ」
「チョー助」
「チロリ」
チョー助とチロリがスクリーンの上で重なった。
 彼女のほうに目をやってみた。彼女がいない。彼女の人形も無い。彼女の人形の影
だけが、スクリーンで淫らな動きを繰り返している。そういえば、僕は今、存在して
いるんだろうか。スクリーンの上では、確かに、チョー助がチロリの上に乗って腰を
上下させている。
僕は?
ま、いっか。
影絵人形劇では、影が主役なんだから。


44 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)