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あなたの文章真面目に批評します

1 : :02/04/09 13:51
虎の穴に出すには気が引ける短文・作文。
スレ立てて連載するには気が引ける続き物。
それらに出来るだけ良心的に批評します。
批評の仕方の目標としては、辛口で始め後半褒めてがんばれでシメる。
皆で育てあうスレにしたいと思います。

84 :初めまして:02/04/14 20:45
お願いします。前、影絵人形劇団というところで働いていた時、日記のようなものを
書いているうちに、途中から架空の創作物になってしまったものです。作品として仕
上げる意思が無かったので、中途半端なところから始まっています……という前書き
を加えておきます。

昨日から、他の連中は公演に出かけてしまったので、今日は稽古場には僕一人だった。
あれだけ疎ましく思っていた連中の存在も、いなくなってみると、ちょっぴり寂しい。
僕は、孤立したくてしていたのかもしれない。そうすることでしか、自分の存在を確
認することが出来なかったのだ。彼らの中に身を置いていると、僕という存在が、水
に落とした角砂糖のように跡形もなく、溶けて消えてしまいそうで不安だった。稽古
場に、角砂糖だけが取り残されてしまった。
 孤立した一粒が完全に母体を離れると、孤立から独立へと様変わりする。万有引力
からの解放、宇宙空間を漂う。
 僕は人形操作の基礎稽古に取り掛かった。人形の二本足にそれぞれ一本づつ、アク
リル製の棒が添えられ、それを交差させることで足が前後する。テグスと呼ばれるプ
ラスチックの紐を指で引けば、頭や腕が動く仕組みになっている。人形の操作は、簡
単そうで、なかなか奥が深い。重心を常に中心に保っておかないと、すぐに変な方向
に傾いてしまうし、スクリーンの底辺に人形が立っているように見せるために、人形
遣いは常に、中腰の姿勢を保たなくてはならない。様々な注意を払いながら、スクリー
ン上に映る人形の影に集中力を傾ける。何と言っても、影絵の主役は「影」だ。影の
形、動きが全て。人形遣いは、言わば「影の影」に過ぎない。スクリーン上で影がド
ラマを演じる間、人形の足元に伸び続ける無用の影だ。光源の熱を背中に浴びながら、
僕は影に徹する。光源のライトは、影を生み出す命の灯火である。命の灯火とそれが
描き出す影のドラマの間で、中腰になっている僕という存在は、本当に中途半端で無
意味な存在だ。
「影の影」に個性などというものは存在しない。
影絵人形遣いという極めて特殊な職業は、実は本質的に、限りなく無個性なものなの
である。劇団の稽古場では、団員が寝泊りしている。活字中毒に侵されたねずみ男の
ような先輩の目には、まるでビー玉でできた人形の目のように、どこを見ているんだ
か、命の温かみを感じさせない不気味な印象がある。そこに存在しているが、同時に、
そこに存在していないということを目で物語っている。個性を放棄し、影に徹した男
の目だ。人形の稽古に専念しながら、そんなことを考えて、ふと我に返る。今、僕は
存在していただろうか。不安に襲われかけて、慌てて思い直す。いけない、いけない。
今はそんな下らないことを考えている場合じゃない。ほら、人形の影が傾いちゃった
じゃないか。しっかり重心を保たないと。人形の稽古に集中している間というのは、
ある種の心地良さがある。まぶたを閉じて、そのまま甘い睡魔の誘惑に身を委ねるよ
うな感覚。自分自身の全存在を、人形の影に委ねてしまう無責任な感覚……。




85 :初めまして:02/04/14 20:47
 ふと、スクリーンに人影が映った。僕の影じゃない。劇団の先輩が、こっそり僕の
稽古の様子を見に来たのかな。一人で稽古するのも好い加減、飽きてきたし、ちょっ
と話でも聞こうか。スクリーンの裏側に廻ってみるが、誰もいない。気のせいかな。
待てよ。光源は僕の背後にあったわけだから、スクリーンの裏に人がいたとしても、
影が映るはずが無い。スクリーンは白い布が天井から吊るしてあるだけの、稽古用の
薄汚いものだ。そこかしこに破れたあとがあり、影が出ないように透明のテープで修
復してある。スクリーンの汚れ染みが、ちょうど人の形に見えたのかもしれない。布
のたるみで出来た凹凸によるものかもしれない。僕も、稽古に集中しすぎて、気付か
ないうちに疲れが溜まっていたのかな。そんなことを考えつつ、スクリーンを振り返
ってみた。確かに、そこには人影が映っていた。スラッとしたロングヘアの女性。ス
クリーンの下から伸びる、赤い網目のストッキング。光源のある側、僕のいた側に、
人がいる。スクリーンの下から覗き込んでみた。冷たそうな目をした綺麗な女性が、
僕を見下ろして微笑みかけてきた。思わず、笑顔で会釈しながら彼女を見上げた。こ
こからだと、スカートの中が見えそうだ。慌てて目を伏せ、彼女のいる側に廻り込ん
だ。彼女は、女型の人形を手に持ち、そこに立っていた。
「いつからいた?」
冷たく微笑むばかりで、何も答えようとしない。
「……どこから入ってきたんですか?」
無言。
「きみ、誰?」
突然、彼女はスクリーンの前で中腰になり、人形を器用に動かしながら話し始めた。
短めのスカートが太ももまでズリ上がる。
「久しぶりじゃん!同窓会以来だね」
同窓会?僕は頭の記憶回路をショートするほどフル回転させ、様々な顔写真を彼女と
照らし合わせてみる。僕の記憶に彼女のような同窓生はいなかった。
「……ええと、ゴメン、誰だっけ」
彼女は答えようとせず、中腰のまま、人形を構えている。意識はスクリーンに映る人
形の影に集中しているようだ。僕が人形で答えるのを待っているらしい。なんだか、
一人だけ恥ずかしい思いをさせているようで、申し訳なくなってきたので、僕も人形
を構えて中腰になった。人形の影で、彼女の人形の影に話し掛けてみる。
「ゴメン、誰だっけ」
「チロリだよー、忘れちゃったの!?」
彼女の人形の影が答えてくる。
チロリ。彼女自身の名前であるはずが無い。僕の記憶の中に、そんな名前があるはず
も無い。人をおちょくっているのかな。とりあえず、話を合わせてみる。
「チロリかぁ、久しぶり!同窓会以来だっけ」
「嬉しい!覚えていてくれたんだぁ。チュッ」
彼女の人形の影が、僕の人形の影に重なった。彼女に目をやってみる。彼女は、依然、
人形の影に集中している。スカートの裾が更にずり上がっていることにもお構い無し
だ。
「相変わらず大胆だなぁ。人が見ていたらどうするんだよ」
「誰も人なんかいるわけ無いじゃん。チロリとチョー助二人っきりだもん」
彼女の人形の影が、周りを見渡すしぐさをする。こいつ、なかなか人形の操作が熟練
しているな。それにしても、チョー助というのは、僕の人形のことかな。
「そっかぁ、二人っきりかぁ」
「あ、今、チョー助、Hなこと考えたでしょう」
「……」


86 :初めまして:02/04/14 20:47
彼女に目をやってみる。彼女は、全く僕の存在を気にも止めていない様子で、スクリー
ンに意識を集中し続けている。僕はおちょくられているのだろうか。
「黙ってたって、目が訴えてるよ。やりたいんでしょ、あたしと」
こうなったら、ヤケクソだ。
「やりたいよ。やらせてよ、チロリ」
「うふふ、相変わらず、チョー助は正直ね」
なんだか、僕自身が興奮して来た。彼女に目をやる。相変わらず、彼女は影に集中し
ている。スカートはもう、腰までズリ上がり、スカートと呼ぶにはその役目をまるで
果たしていなかった。赤い二本の足が、冬みかんの網袋を連想させる。僕は人形を放
り出して、彼女の肩に手を掛けた……つもりだった。
 彼女の肩には感触がまるで無かった。いやむしろ、僕の手に、触角が無かったのか
もしれない。確かに彼女の肩に僕の手は掛かっているはずなのに、空気に触れている
ように、感触が存在しないのだ。疲れているのかな。彼女は僕の行動に全く関心を示
さず、抵抗する様子も無く、ひたすら影に集中しつづけている。なんだか馬鹿にされ
ているようで、腹が立ってきた。感触の無いまま、どうにか視覚だけを頼りに、彼女
の肩を掴んでその場に押し倒した。馬乗りになって、彼女のブラウスを引きちぎる。
まるで手応えが無い。ブラウスを引きちぎる感触も、オッパイをわしづかみにする感
触も。まるで、一人で空気と格闘しているような虚無感。彼女の目を見て、思わずぞっ
とした。ビー玉でできた人形の目。稽古場に住みつくねずみ男のような先輩の目。個
性を放棄して影に徹する人間の目……。その目で馬乗りになる僕を見上げ、口元に、
うっすらと冷たい微笑を浮かべた。僕は力なく、彼女の上から降りた。彼女は何事も
無かったかのように、オッパイをはだけ、冬みかんの網袋を晒したままの姿でスクリー
ンの前に戻り、再び、中腰になって人形を構えた。
「いいよ、やらせてあげる。あたし、チョー助のこと好きよ」
「……」
僕もスクリーンの前に戻り、チョー助を構えた。
「チロリ、僕もチロリのこと、好きだよ」
「チョー助」
「チロリ」
チョー助とチロリがスクリーンの上で重なった。
 彼女のほうに目をやってみた。彼女がいない。彼女の人形も無い。彼女の人形の影
だけが、スクリーンで淫らな動きを繰り返している。そういえば、僕は今、存在して
いるんだろうか。スクリーンの上では、確かに、チョー助がチロリの上に乗って腰を
上下させている。
僕は?
ま、いっか。
影絵人形劇では、影が主役なんだから。


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