5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

葉鍵ロワイアル!#10

1 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 13:49
基本ルール 、設定等は前スレ熟読のこと。

・書き手のマナー
キャラの死を扱う際は最大限の注意をしましょう。
誰にでも納得いくものを目指して下さい。
また過去ログを精読し、NGを出さないように勤めてください。
なお、同人作品からの引用はキャラ、ネタにかかわらず
全面的に禁止します。

・読み手のマナー
自分の贔屓しているキャラが死んだ場合は、
あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。
頻繁にNGを唱えてはいけません。
また苛烈な書き手叩きは控えましょう。

前スレ
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=993838953
感想スレ
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=995131452
感想、突っ込んだ議論、NG処理、アナザー没ネタ等にお願いします。
そして、絶対にNG議論は本スレで行わないように。

その他のリンクやキャラの状況は>>2-5にあります

366 :観鈴の決断、北川の迷い【5】:2001/08/11(土) 23:32
ちわーす。目的のためなら仲間も見捨てるニヒルなナイスガイ、北川潤でーす。
皆さんお久しぶり!!ほんと久しぶり!!
はい? こんなところで何してるのかって?施設に行ったんじゃなかったのか?ですか。
ああ、はい、行こうとはしたんだけどね。ほら放送かかったじゃん?
あの蝉丸さんて人の。
いや、直接会った事はないけどさ、一応初音ちゃん達からその名前は聞いていた訳だし、
ま、療養所の事言いに行ってもいいんじゃないかとか思った訳ですよ。
一応はきにしてるんだぜ? 療養所の連中、見捨てた事。
で、ちょっと回り道になるけど顔ぐらい見せに行くか、とか思ってちんたら歩いてたら。
なんか目の前でずっこけられた訳。
思いっきり全速力で頭からズシャーと。
なんかその女の子必死に立ち上がろうとしてたけど、ありゃ痛いでしょ。下コンクリートだし。
で、思わず肩を貸してしまった訳ですよ。
ん?ああ、はいはい。そりゃごもっとも。
銃持ってる知らないやつに手を貸すなんて愚の骨頂。
いきなり撃たれても文句言えないですな。
状況分かってんのかっていわれても仕方がない。
だいたい、こんなことしている場合じゃないだろって?
まあ、そうなんですけどね。俺、なんかCDとかレアアイテム持っているらしいし。
さっさと施設にでも行けって感じだよな。そのために仲間とか見捨てちゃった訳だしさ。
それで、こんなとこで女の子に声かけるなんて、たいしたナンパ君ですよ。
ほんとに全く御説ごもっとも!!
けどさ、まああれですよ。あれって言うかなんて言うか。つまるところまああれで。

…レミィに似てるんだよ、畜生。

367 :観鈴の決断、北川の迷い【6】:2001/08/11(土) 23:34
反則だぜ、おい。
レミィに、数時間前に死に別れた好きな子に似てる子が、
苦しそうな声あげて、立ち上がろうとして。
…畜生。反則だろうが。そんなの。
「 大丈夫かよ!?あんた!?」
だから、俺はそう言って手を貸してしまう。
「えっ…!?」
その子は、やっぱり驚いたみたいだな。それでも、その子はすぐ笑顔をこっちに向ける。
「う、うん、大丈夫。にはは」
その子は結構かわいい子で(レミィに似てるんだから当然だよな)、
そんな子に笑いかけられたら、普通喜ぶ所なんだろうな。
普段だったら俺も小躍りどころかランバダにリンボーダンスをはしごするぞ。
けどさ、やっぱ辛い。
レミィの顔で、レミィとは違う声で笑いかけられるのはやっぱ辛い。
「そうかよ。そりゃよかったな」
そんな訳で俺はついそっけない声を出してしまう。
「うん、平気。観鈴ちん強い子」
…観鈴だと?
その名前には聞き覚えがあった。
たしか、国崎がそういう名前の子を探していたはずだ。
「おい、今あんたなんて…」

ターンッ

だが、そこでそういう音が鳴り響いた。銃声だ。
「…クッ!?」
俺はその子、観鈴を引っ張って身を隠そうとしたが、手を振り払われてしまう。
「行かなくちゃ、私」
「おい、そっちは銃声がした方だぞ!?」
軽くびっこをひいて、観鈴はいこうとする。その膝は擦り剥いて血が流れてきている。
「うん、だから私行かなくちゃ。あそこには友達がいて、管理者の人と戦おうとしていて。私、助けなくちゃいけなくて」
管理者って。さっきの放送に管理者側が何かやらかそうとしたのか?
「…見失ちゃったから、探さないと。ありがと、助けてくれて」
そういっているうちに、もう一発銃声。

368 :観鈴の決断、北川の迷い【7】:2001/08/11(土) 23:38
「待てよ!!おい、ちょっと…!?」

バアアアアアゥゥゥッッッッッッン

今度は爆発かよ!? 何が起きてるんだ!? やばくないか!?
観鈴も驚いたようだが、黒煙が上がった方へ歩いていく。
そこまではまだちょっと距離があるようだが…

どうする? どうしたらいい?
相当あそこはヤバイ事になっているみたいだ。
そんなところにこんな女の子を一人でいかせちまっていいのか?
どう見たってこの子戦いなれてなんていない。銃を持つ手もおぼつかない。
そんな女の子をいかせてしまっていいのか?

じゃあ、何か?俺もあそこまでいけってのか。
ほとんど見ず知らずなこの子のために修羅場に飛び込めってのか?
命はもちろん惜しい、そんなことは恥ずべき事じゃない。
命をかけることがかっこいいだなんてこれっぽっちも思えない。
でも、それだけじゃない。責任の問題もある。
何のために療養所の連中を見捨てた?
おそらく切り札であるCDを危険にさらす事のないように。そのためだ。
そういう理由で小学生の女の子に説得させられた。
確かに、危険な事はさけるべきだ。今俺が持っているアイテム、情報は貴重すぎる。
それなのに危険に飛び込むのか?

369 :観鈴の決断、北川の迷い【8/8】:2001/08/11(土) 23:39
それとも…いっそのこと力づくで引き止めるか?
そんなことができるのか?
こんなに必死に前に行こうとしている子なのに?
それでも、この子の安全のためにはそうするべきなのか?

畜生。
畜生、畜生、畜生。
畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生
畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生
畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生…!!
どうすりゃいいんだよ、俺はぁっ!!

【北川潤 デザートイーグル、ノートパソコン、CD無印、CD2/4、CD1/4所持】
【神尾観鈴 G3A3アサルトライフル、少年の荷物、自分の荷物所持】

370 :道化作者:2001/08/11(土) 23:46
いつも、編集おつかれさまです。
申し訳ないですが、修正をお願いします。

"船長の遺志が通じたのか、やがて飛行船が島の北西に着水したとき、
源之助は朱に染まった羽織を着ていた。"
           ↓
”飛空挺は島の北西に着水に成功する。船長の遺志が通じたのだろうか。
そのとき、床に倒れ伏す源之介が着ていたのは朱に染められた羽織だった。”


”そう呟くと、長瀬源之助は海に飛び込んだ。”

のあとに、

”そして、二度と浮かんでくることはなかった。”

の一文を足してください。

お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします。

371 :観鈴の決断、北川の迷い作者:2001/08/12(日) 03:02
編集のほうお疲れ様です。
いつもお世話になっています。

申し訳ありませんが、訂正のほうお願いします。
【6】の真中らへんの
>その名前には聞き覚えがあった。
>たしか、国崎がそういう名前の子を探していたはずだ。


”その名前には聞き覚えがあった。
たしか、国崎さんがそういう名前の子を探していたはずだ。 ”

に訂正お願いします。
よろしくお願いします。

372 :名無しさんだよもん:2001/08/12(日) 09:58
アゲ荒らしに沈められそうなんでage

373 :名無しさんだよもん:2001/08/12(日) 09:59
全然、上げてなかった…

374 :「まだ癒えぬ傷痕。(Summer.)」:2001/08/13(月) 10:33

「顔を上げろよ。その脳天撃ち抜いて、お前の事も終わりにしてやるから」
そして、その瞬間に僕は鬼畜に落ちるのだろう。僕も終わっていくのだ。
或いは、僕がこいつに殺されるか。どちらにしろ、地獄に行くという意味では一緒だ。

――七瀬彰が、無言で俯いたままの柏木耕一に拳銃を向けて、
その引き金に人差し指をかけた、その瞬間だった。

「あきら」

ゆっくりと顔を上げて、耕一は彰の名前を呼んだ。
刹那、ぞくりと震えたのは、何故だ。相手が自分を殺す事を厭わないよう、あんな言葉を吐いたのに。
殺される事など既に怖くはない筈なのに、何故これほどに恐ろしい。
二十歩ばかりはある距離なのに、この、今もう脳天に拳銃を突き付けられているかのような威圧感は何だ。

その耕一の頬には、一筋の真っ赤な血が、何処からか流れてきていた。
何処か怪我をしたのだろうか。いや、そうではなかった。

それが真っ赤な色をした――涙だと気付くのに、それ程の時間は要さなかった。

――鬼神。それは、とても人の姿には見えなかった。
今の僕の肉体と同じで、いや、自分とは比ぶるまでもなく。
人とは、違うものなのか――?

真っ赤な涙を流しながら自分を見るその目は、怒りというよりはむしろ、悲しみに満ちていた。
護れなかった悲しみ。大切な人をまた一人失った、悲しみ。自分の無力感。
それがきっと、あのような表情にさせているのだろう。
――そうではないのか?
耕一の視線の先にあるのは、もう「死んでしまった」初音なのではないか?

375 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 10:34

「判った」
殆ど聞こえないかのような声で耕一が呟いたのを、彰ははっとして聞く。

「彰、俺がお前を殺してやる」

思わず震える。なんて声だろう。あんなに小さな呟き声なのに、何故これ程に重い。
人の声だとはとても思えない。「あれ」は、人の姿をした――修羅だ。きっと、自分は殺される。
肉片も残らないくらい、ずたずたに引き裂かれて殺される、そんな予感さえする。
それ程の事を自分は言ってしまったのだ。彼にとって、初音はどうしても護らなければならないものだったのだから。

(――望むところだ)
だが一方で、そのどうしようもない恐怖の裏に、不思議な恍惚感を覚えているのも事実だった。
それは死ぬ事への憧れなのか、それとも――戦う事への憧憬、生き残る事への執着なのか。
自分の身体に充足を感じる。貧弱だった自分を思い返す事すら出来ないほど、今の自分の身体は充実していた。
思わず乱れそうになる呼吸を抑えながら、高鳴りそうになる心臓を抑えながら、彰は薄く目を閉じた。

(二度と空を見る事はないだろう。見る事があれば、それはきっと地獄の空だ)

――耕一が鞄から取り出したのは、自分が耕一を刺した、あのナイフだった。
他に武器があるだろうに、何故よりによって最も貧弱な武器を選ぶ?
それを右手に強く握ると、耕一は、あのどうしようもなく胸が透くような声で――こう言った。
「すぐ、終わらせてやる」

その言葉を聞くや否や、彰も肩を竦めて――こう言った。
「始めようぜ」
そして、銃口を耕一に向けた。それが契機となった。

376 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 10:39
ガァンッ!

足元を狙って彰は引き金を引く。殆ど練習のような射撃だった。
自分の腕力が、この拳銃を扱う程あるかどうか確かめるための射撃。手応えは十分だ。

タンッ!

だが、泥が撥ねる音がしたかと思った瞬間には、耕一は銃弾をかわし、中空を舞っていた。
信じられない事に、耕一は1メートル近く飛んでいる。
その勢いのまま、一瞬にして自分との間合いを詰めると、
手に持ったナイフで彰の頚動脈を狙い、力任せにそれを振り下ろしてくる!
その斬撃を、彰は咄嗟に銃の背で受ける。

キィィィンッ!

片腕だというのに、その逞しい一本の腕だけで耕一は自分を殺しきろうとしている――!
先程とはまるで違う。なんという戦闘力だ――
両腕で銃を持ち構え、彰は懸命にその腕力に耐える。
「――……はぁッ!」
圧倒的な腕力で刃を強引に彰の身体にねじ込もうとするが、
「っ……離れろっ――!」
彰は大声をあげてそれを弾き飛ばした。
――大丈夫だ、負けていない!

耕一は弾き飛ばされて、体勢こそ殆ど崩さなかったが、そこには五歩分の距離が開く。
すぐさま銃口を向け、彰は引き金を躊躇うことなく引く。
「くらえ――!」
今度は殺すつもりで、脳天めがけて!

ガァンッ!

377 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 10:39
だが、耕一はほんの一瞬しか隙を見せない、反射的に屈み、脳髄を狙った弾丸をやり過ごす!
なんて運動能力だよ、彰は舌を巻く。
そして低い体勢のまま、再び彰に向けて走りかかる!
彰は後ずさりしながら、耕一との間合いをなんとか取る。ナイフが届く位置に入らせては駄目だっ――

ガァンッ! ガァンッ! ガァンッ!

「くっ――……」
彰は走りかかる耕一に容赦なく銃弾を放つが、そのどれもまともに命中しない。
落ちつけ、クールに!
一番面積の広い腹を狙っても、耕一は刹那のサイドステップでそれをやり過ごす!
「このぉ――っ!」

ガァンッ!

その四発目を放った瞬間、ぱしゅ、と音がして、耕一の頬から血が吹き出した。
漸く当たった――だが。
それは耕一の前進をまるで止めない。怯むことなく、耕一は駆ける!
吹き出た血を無造作に手の甲で拭き取る、赤く染まった頬が禍禍しい力を象徴するかのように、それは耕一を彩る!
「くそっ――」

ガァンッ!

ナイフが届く距離まで近づいているのに、まるで当たらない!
自分の運動能力も相当高まっているはずなのに、何故?
そして、どうしようもない速度で動き回る耕一が、その速度のまま自分の横をすり抜けた!

ザシュゥ……――

378 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 10:40
「うぐっ――」
左腕に走る痛み。すれ違いざまに斬られた!
そして、耕一を刹那見失う。なんて早さだ、と舌を巻く、何処だっ!
(しまったっ)
神経を集中し、気配を感じ取ろうとするが――遅かった。
その太い腕で首根っこを掴まれる。抵抗できない程の圧倒的な腕力で、耕一は自分を持ち上げると、
「終わりだ、彰」
そう言って、そのまま彰の身体を勢い良く大地に圧し伏せた。
軟らかな土に顔面を押し付けられた。下が軟らかな土だったから、それ程のダメージは受けなかったが、
それでも彰は――敗北を感じずにはいられなかった。
この状況は、先程の自分と耕一の、最初の戦いでの状況を、配役を入れ替えて演じているようなものだったから。

――そうして、あっさり勝負は決した。

――これ程までに、力の差があったというのか。拳銃で、ナイフに敗れた。
彰は自嘲気味に笑う。苦しい。喉が圧迫されて、声を出す事も、息をする事もままならない。
真っ赤な頬をした耕一は、その顔を見ても、何も思わないかのように、息を吐くだけだった。
――それは、そうなのだ。
耕一と自分では、今では圧倒的に違う。肉体も、――心も。

自分はここで殺される。耕一の手によって、肉片が残らないほどに。
きっと、その手首だけで、耕一は自分の首をもぎ落とす事さえ出来るのだろう。
首にかかっている圧力が、それを教えてくれている。
ああ、しかし何故だろう、これ程に感慨深いのは?

やっと死ねるのだ、という幸福。

僕は、その時やっと気付いた。
ここに来たのは、耕一を殺すためではなく、耕一に殺してもらうためだったのだと。

379 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 10:45
狂気に落ちていく、それでも良かった、けれど結局、僕は――弱者だった。
そう、死にたかったのだ。耕一を殺して心が死ぬか、耕一に殺されて、身体も心も死ぬか。
そして、僕はある哀しい事実を、或いは救われる事実を、確信する。
僕はずっと、自分の事しか愛していないと思っていた。
けれど、それが偽りなのだと。他人の為に、きっとすべてを投げ出せる人間だったのだ。
きっと、きっと――はじめから。

耕一を、初音を。この島で出会ったすべての人たちを愛していたから。
愛する人を護るために、僕は自分を捨てても良いとさえ、思っているのだから。
狂った僕の衝動が、きっといつか、愛するものを本当に傷つけてしまうのなら、僕の身など必要が無い。
狂っているのだろう。きっと本当に僕は狂っている。
僕の奥深くに潜んでいた、狂気。すべてを滅茶苦茶に壊したいという、その衝動は――
きっと、自分自身を壊したいという衝動から、始まっていたのだ。
誰よりも自分を愛していると錯覚して、本当は誰よりも――自分が嫌いだったのだ。

「さあ、殺せよ」
喉にかかった力が抜ける。右手にナイフを持ちかえるためだ。
声が出せるようになった僕は、そんな言葉を呟いた。
目がかすむ。耕一の表情すら見えないまま、僕は、ただ、早く死にたいと願っていた。
耕一の身体で見えない空。そこには何がある?
(何もないよ。空の果てには何かがあるなんて、そんなのただの大人が吐いた嘘なんだから)

「ああ、殺してやるよ」
耕一の吐息が、頬にかかるまで近い。
さあ、早くその手に持ったナイフを僕の首元で動かしてくれ。

380 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 10:47
――――――――――――――――けれど。


「――どうして、殺さない」
言葉が無くなって、どれほどだったろうか。僕は、未だに死んでいない自分の身を顧みて、息を吐く。
「殺せないのかよ、意気地なしめ」
罵倒の言葉を僕は吐く。
「殺せよ! 憎いだろうが、僕が憎いだろうがっ」

「――俺は、お前が死にたがっているのが判ったから」
そんな言葉を呟いた。そうか。――見透かされていたというわけか。
喉元に刃物がある、ほんの僅かでも動いたならば、僕はきっと死んでいく。
なのに、時が止まったかのようにそれは動かない。

「なあ……殺さないで、どうして護りたいものを護れるというんだ? だから護れないんだよ、大切なものを」
耕一は、たぶん、苦々しい顔をした。
「お前は、俺を殺さなかった」

ぽたり、と、頬に雫が零れる。耕一の汗だろうか?
透明な色をしたそれは、ぽたぽたと、耕一の瞳から零れ落ちていた。
「お前は、俺を殺さなかった」
その細められた哀しい目の先には、紛うことなく、自分だけがあった。


それでは先程のあの血の涙は、僕の為に流していたというのか?


「だから、お前が、本当に初音ちゃんを殺したなんて思わない。絶対に思わない」
「……――殺したよ。――この銃で、初音ちゃんを殺した」
「それが嘘だって事くらい、判る」

「俺も殺せないで、一番大事なものを殺せるわけが無い」

381 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 10:53
僕は否定もせず、耕一の顔を眺めた。意識が朦朧として、その表情は判らないけれど。

「お前は俺を、殺さなかったにせよ、殺そうとした。それは赦さない」
「なら、殺せ」
「殺すなんて死ぬほどつまらない。だから、俺はお前に命令する。絶対に死ぬな。初音ちゃんを護りきれ」

「それか――嘘を吐くな。初音ちゃんに新しい日常を与えると言った、あの言葉を反故にするな」

耕一は立ちあがると、黙ったままの僕の手を取り、無理やりに立たせた。
「帰るぞ、療養所に」
真っ赤に装飾された顔に、先程のような鬼神のような印象はかけらも無い。
なんと優しい男なのだろうと、そう思う。
そして、なんと甘い男なのだと。

「耕一。お願いだから――そんな、酷な事を言うな」

背中を向けた耕一に、僕は持っていた拳銃の先を向けた。
反射的にそれに気付いたのだろう。耕一は振り返るが――
多分、遅かった。その筋肉に護られた腹筋に、僕は弾丸を叩きこんでいた。

「うぁっ――!」

瞬間、腹をうずくめて、耕一は倒れた。
――あそこなら、耕一も死ぬ事はあるまい。防弾装備もしていた筈だから。
だが、防弾装備をしていたと言っても、すぐに立ちあがれるほどの距離からの射撃ではなかった。
「彰っ――」
僕はそれでも無理矢理に立ちあがろうとする耕一を哀しげに見ると、拳銃をその傍らに放った。
もう、必要の無いものだ。

「サヨナラだ、耕一」

382 :まだ癒えぬ傷痕。(Summer.):2001/08/13(月) 11:00

そう言い残して、森に入る。耕一が何か呼ぶ声が聞こえるが、――関係無い。

何処へ向かっているのか、と言えば――それは、判らない。
けれど、少なくとも死の淵の方向へ向かっている事だけは判った。
誰の手も借りず、死ぬ事が出来る場所。そこを捜して、僕は歩き出した。

耕一の言葉があまりに嬉しかったのだろうか?
嬉しすぎて、――哀しかった。
もう、あそこに戻る事は出来ない。喩え本当は狂っていなくても、それでも。
生きているのがつらい。
だが、それ以上に――自分の自虐衝動が、初音を、耕一を、傷つけるのが怖かった。

この島に来て生まれた新たな傷痕は、もう二度と癒える事がない。
この島に着た誰もが、その癒えぬ傷痕を抱きながら生きて、死んでいった。

どうか。ここで出会った優しい人たちよ。僕のように弱い心じゃない、逞しく生きていく人たちよ。
まだ癒えぬ傷痕は、それでもいつかは癒える日がやってくるのだから。

ああ、神様。
もう一度だけ空を見ても良いですか?


【七瀬彰 柏木耕一 戦闘終了。彰は何処かへ歩き出す】

383 :↑の作者:2001/08/13(月) 12:28
ちょいと最後がおかしいので訂正。


この島に来て生まれた新たな傷痕は、もう二度と癒える事がない。

この島に来て生まれた新たな傷痕は、一つ、二つ、心に深く刻まれていく。


に差し替えてください。申し訳無い>らっちー氏

384 :名無しさんだよもん:2001/08/13(月) 13:55
夏は上げ荒らしの為にすぐdat逝きそうになる

385 :霊山:2001/08/13(月) 18:13
夏の象徴たる太陽もほとんど沈みかけている。
先ほどまでの銃声も離れすぎてしまったのか決着がついたのかついに聞こえなくなってしまった。
私は幾度目かの休憩をとりながら翼人についての知識を思い出していた。

『唐天竺では鳳翼と呼びならわし、異名を風司、古き名では空真理ともいう
 肌はびろうど瞳はめのう涙は金剛石
 やんごとなきその姿はまさしくあまつびと』

(よくもまあ美辞麗句を並べ立てたものね。)
息は落ち着いたが足の震えがとれない。山を一気に上っているので当たり前なのだが。
蝉の音に包まれながら重い足を何とか動かしながら私はさらに翼人について考えた。

人に知恵と知識をさずけた、貴ぶべき神。
かつて地上に災厄をもたらし、人により掃討された悪鬼。

翼人がそして神奈備命が何者なのかははっきり分からない。真の神であったのか悪鬼であったのか。
ただ一つ言える事がある、この山の上にいるのは好奇心と欲望にもてあそばれ歪みきっている。


ふいに空気が変わった。重くどんよりした物に。辺りを見回すと幹に麻縄を巻かれた木がある。
そこから等間隔に、白い紙が垂らされていた。
「注連縄……結界が張られてるの?」
この程度の結界私にはほんの少しの足止めにしかならない。さっさと一つ目の結界を越えた。
すると……。


森の様子が変わった。人が入った事の無い、原生林のようだった。
辺りを見回すと湿り気を帯びた靄、麻縄の残骸と捻じ曲がった木、そして死体。
結界は魔法の影響で外側を除いてバラバラに、そしてその中で警備していた人も。

「頑張るのよスフィー、ココからが本番なんだから。」
自分自身に一喝して歩き出す、神奈の封じられた祠は近い。

【祠付近に張られた結界は道を迷わせる物で島全体に張られてる物とは関係ありません】

386 :名無しさんだよもん:2001/08/13(月) 22:05
俺も念のため上げ。
でも、そろそろ容量的に移行の時期なんじゃないの?
まだ?

387 :疑似人格起動:2001/08/14(火) 00:49
ここはどこにでもある島。
ただ普通と違うところはそこで殺人ゲームが行われているということだけ。
そしてその島の中にある施設。
そこはマザーコンピュータが置いてある事から考えてこの島の中でも最重要拠点であろう。
これはそんな場所での出来事。

「ふみゅ〜ん!ひま〜!」
「みゅ〜!みゅ〜!」
「ちょっと〜!ここなんかひまつぶしになるものないの?」
「すみません〜。何もそういうものはおいてないんです〜」
「つまんない。………そういえばあんなさっきからなにしてるの?」
「あ、はい〜。千鶴さんに頼まれたCDの解析の続きと現在のCDの行方を捜索してます〜」
「ふ〜ん。で、それどのくらいかかりそうなの?」
「そうですね〜、まだ結構かかりそうですぅ」
「う〜。やっぱりひま〜」
詠美はふと繭の方を見てみた。

「みゅ〜♪」
「にゃ〜!にゃ、にゃ〜!(しっぽを引っぱるな!お、お前らも見てないで助けろ!)」
「ばっさ、ばっさ(いえいえ、お邪魔は致しませんよ)」
「しゃ〜、しゃ〜。しゃ〜(そうね、その子凄く楽しそうよ。良かったわね)」
「にゃ〜!!(俺は楽しくね〜!!)」

「こどもはきらくでいいわね〜」
詠美はため息をつくと一言そう言った。

388 :疑似人格起動(その2):2001/08/14(火) 00:51
(三行空け)
どれくらいの時間が経っただろうか。
突然マザーコンピュータから電子音が発せられ始めた。
「な、なによ〜!ちょっとあんた!なにしたのよ〜!」
「え、え〜と、私は何もしてないですぅ」
その間もマザーコンピュータから発せられる音はずっと続いていた。

突然音が止んだかと思うとマザーコンピュータの画面に
【疑似人格 G.N.起動開始】
という文字が表れた。

「ふみゅ〜ん、どういうこと?」
「あ、あれはですね」
「ちょっと待った〜!そっから先はワシが説明しとこうか!」
「ふ、ふみゅ〜!コンピュータがしゃべった?!」
「ワシはこのコンピュータ上の疑似人格プログラム『グレート・長瀬』通称G.N.だ。よろしくな!」
「ど、どういうことよ〜」
「全く理解の遅いやつだな!要するにそこのロボットと同じようなもんだ」
「そ、そうなの?」
「はい〜。私の人格プログラムと原理は同じですぅ」
「そういうこと。分かったか?お嬢ちゃん」
「ふ、ふみゅ〜!このくい〜んをばかにしないで!ちゃんとわかったわよ〜!」
「ほう、偉い偉い。ま、ワシの事は気楽にGちゃんとでも呼んでくれ」
コンピュータから発せられた声はそのままのテンション(?)で続けた。

389 :疑似人格起動(その3):2001/08/14(火) 00:52
「あ、そうそう。おい、そこのロボット。何かワシの体使ってたみたいだけど何してたんだ?」
「あ、はい〜。このCDの解析と他のCDの捜索ですぅ。でもまだ終わってないんですぅ」
「そうよ!あんたちょうどいいからてつだいなさいよ!」
「え〜!ワシが何でそんなことしなきゃならないんだ。めんどくさい」
「そんなこと言ってホントはできないんでしょ〜」
「何だと!」
「いいわよ。むりしなくても」
「ワシの力なめんなよ!おい、ロボット!終わったところまでのデータよこせ!」
「は、はい〜」
「まずはCDの捜索からか。こんなもん過去ログあさればすぐに分かるな。待ってな!1分で終わらせてやる」
G.N.がそう言うやいなや部屋中のコンピュータが一斉に動き始めた。

【疑似人格通称G.N. 起動】

390 :名無しさんだよもん:2001/08/14(火) 07:24
細かく上げとこうぜ。

391 :NANASHI!:2001/08/14(火) 07:28
http://www.yuri.sakura.ne.jp/~panache/KBR/

392 :名無しさんだよもん:2001/08/15(水) 06:26
刻むゼ!!

393 :幽夢。:2001/08/15(水) 07:18

鹿沼葉子がその放送を聞いて走り出したのは――
放送が聞こえてきた方向とは真逆の、北に広がる深い森の中へ向けて、だった。
初音やマナ、その他の皆には勝手な行動を取ることを謝らなければならないけれど、今はその時間も惜しい。

あの少年の声が、聞こえた。

その声で葉子が連想したのは、当然――友人である天沢郁未の事、だった。
少年の傍に郁未がいるかもしれないという連想は決して突飛ではない。
島に来る前からの知り合いは減って、片手で数えられるくらいまでになっていた。
ならば――郁未があの少年と一緒に行動しているという可能性は、けして低くはないだろう。

逢いたい、逢いたい。郁未に逢いたい。

――それでも、何も疑わずにそこへ向かう事が出来るほど、葉子の判断能力は衰えていなかった。
あの時、再び出会った時の、少年の顔。
きっと彼は既に、狂っている筈なのだ。あの時の嫌な笑顔が、今でも忘れられない。

――人の多い場所は無いかい?

ぞくり、と震える。あの質問の意義は、今となって考えてみれば――皆殺しの為だったのではないか。
ならば、今の放送もまた、その為の布石なのではないだろうか。
葉子は考える。ほぼ確信と共に、ある考えを持つ。
あの少年には――「多少」なり、不可視の力が戻っている、と。
そう、飽く迄「多少」だ。
もし完全に力が戻っているのだとすれば、瞬きをする間にこの島は消し飛んでいるだろう事は想像がつく。

394 :幽夢。:2001/08/15(水) 07:19

だから、運動能力が常人を遠く超えたものになっているとか、たぶんその程度だろう。
だが、その程度でもこの島の人間を皆殺しに出来るだけの力は――ある。
何故ならば、彼は持っている。自分の命を護った一枚の紙切れ。「偽典」という名の、最強の兵器を。
拳銃も効かない。彼の運動能力にあの兵器は、あまりに危険過ぎる。

郁未は一緒にいるのだろうか? それとも、もう殺されてしまっているのだろうか?
想像はしたくない。だが、殺されている可能性を考えないわけにはいかなかった。
どちらにしろ、葉子はそこに向かわざるを得なかった。
(可能性がある限り、希望を捨てちゃいけないんです)
たとえ、その圧倒的な能力に、無残に殺される事と、なっても。
(諦めたらそこで試合終了ですよ)
バスケがしたいです―― とか、今はそういうくだらない事を考えている場合ではないかな、とも思ったが、
(いえ、違う。大事なのは心の余裕。熱くなり過ぎず冷静になり過ぎず。適度な興奮状態で、ですよ)
そう思って、葉子は少し笑う。考えろ。考えろ、考えろ。

その瞬間、葉子に走る閃き。
それは――
「そうだ」
それが、葉子を声とは反対の方向へ向かわせる理由だった。
息が切れる。身体が重い。だが、止まってなるものか。
正確な場所はわからない。けれど、街よりは北のほうだった筈だ。

そう。――すっかり、忘れていた。
森の中に落ちこんでいる筈の、高槻が持っていた――あの装置の事を。


【鹿沼葉子 持ち物……槍 北の森、高槻の死体のところへ向かう】

395 :信頼関係_1:2001/08/15(水) 19:11
「私たちはこれから南東の方角に向かうことにします」
 千鶴姉は唐突に言い放った。
「え? だって、あゆは西の方に行きたいって言ってて、芹香さん達もその途中にいるはずだっただろ?」
「うぐう! そうだよ、千鶴さん。おかしいよう!」
 予想と違いすぎる千鶴姉の指示に、わたしは疑問を投げかけた。
 あゆだってそうだった。
 自分の意志と違う方向に赴くくらいならば、一人で駆け出しかねない勢いで声を上げている。
「それがごめんなさいね。私のせいで状況は変わってしまったみたいなのよ」
 千鶴姉はわたしたち二人に見せるように、参加者の位置を示す装置を差し出した。
「あ、ほんとだ」
 何処をどう移動したのか、芹香ともう一人のペアはさっき千鶴姉の言った方角へと随分移動してしまっている。
 つまり……。
「南東に向かうことで初音達に会うことと、セイカクハンテンダケを手に入れることの、両方が達成できるってわけだ。だけど……」
 わたしは視線を左に流した。千鶴姉もその視線を同じ方に流した。
 当然、そこにはあゆが立っている。
「うぐう……。千鶴さん達がそっちにいくのなら、ボクはあっちに行くよ!? わがままを言ってるんじゃないんだよ。本当に急いでいかないと駄目な気がするんだよっ」
 あゆが西の方角を指さし、千鶴姉に必死の表情で訴えかける。
 さっきの雨のこともあるし、あゆの勘もおいそれと放っておくわけにもいかないかもしれない。
 けれど、一つだけ分からないことがあるんだ。それは……。
「あゆちゃん、もう一度だけ聞くわ。何が間に合わないのか、教えてもらえる?」
 わたしの疑問を代弁するように千鶴姉が問う。
「うぐう。それはボクにもはっきりとは応えられないんだよ。でも、これは確かなことなんだよ。信じてよ、千鶴さん……」
 言いたいことを上手く言葉に表せなくて、あゆは涙目になってしまった。
 わたしは左手をあゆの肩に置き、落ち着かせようとした。

396 :信頼関係_2:2001/08/15(水) 19:12
「わたしも千鶴姉も、あゆの言うことは信じてるよ。だけど、確実に出来ることが目の前にあるのなら、そっちから片付けた方が良いんじゃないかとわたしは思う。千鶴姉も……」
 そう思うだろ? と続けるつもりだった。けれども、千鶴姉は首を横に振ったんだ。
 そして、またしてもわたしの予想外なことを言い放った。
「梓……。初音をお願いね?」
 わたしもあゆも、驚いて目を見張った。
「じゃ、じゃあ千鶴さん!!」
「お、おい、千鶴姉!!」
「私はあゆちゃんと二人の時に、もう一つ不思議な体験をしているのよ、梓。だからこそ、施設を出るときにあゆちゃんの同行を許したの。それに……」
 脳裏に苦い過去をよぎらせたのか千鶴姉はそこで一度、言葉を止めた。そして僅かに表情を歪めながら続けた。
「初音と私がいま会っても、上手くいかないっていうのは梓にだって分かっているはず。だとしたら、考えられる手は一つしかないわ」
「つまり、わたしが一人で例のキノコを手に入れて、施設の繭に食わせてやるってことなのかい、千鶴姉……?」
 千鶴姉の言葉に、あゆは目を輝かせている。
 確かに施設にいるときに確認した限りでは、ここより西には参加者のいる形跡がなかった。
 だから、あゆは千鶴姉がいるかぎりまず安心だろう。
 そしてわたしも、自分一人の身ならばどうとでも出来る自信はあった。
 だけど……。
「西に何があるっていうのさ! あゆには悪いけど、ここで別れるのには賛成できないよ!!」
 わたしが叫んだことで、あゆは再び涙目になってしまった。
 あゆには本当に済まないと思ったけれども、わたしは叫ばずにはいられなかった。
 正直に言えば、わたしは怖かったんだ。
 具体的に何がということがあったわけじゃなかった。
 だけど、ここで別れたらまた会うことが出来ないような気がして。
 何の根拠もないのにわたしは怖くなってしまったんだ。
「しっかりしなさい、梓!!」
 間髪入れず、わたしの左頬が千鶴姉の手ではられた。
 気持ち良いくらいの音が辺りに響きわたる。
「あなたがしっかりしてくれていないと、困る。……頼りにしているのよ、梓」

397 :信頼関係_3:2001/08/15(水) 19:12
「ち、千鶴姉……」
 わたしはそれ以上抗議をすることが出来なかった。
 日頃、憎まれ口をききあってる間柄だけど、お互いの信頼関係あってこそのものだ。
 それをお互い分かった上で、あえてそれは口に出さないようにしている。
 言わないでも分かってるからだし、気恥ずかしいからだ。
 けれど千鶴姉はあえて、改めて口に出してわたしを頼りにしているのだと言ったんだ。
 これ以上抗議するなんて、出来るわけがなかった。
「分かったよ、千鶴姉。わたしも千鶴姉を信じてるから。だから、あゆをよろしく」
「ええ、任せておいて」
 千鶴姉が大きく頷く。
 それを見てわたしは安心した。
 安心することが出来た。
 さすがは千鶴姉だと思った。
 わたしを簡単に落ち着かせてくれる、立派な姉。
 もちろん、口に出して言ってなんかやらないけど。
 あゆの頭を撫でながら、わたしは自分の気を完全に落ち着かせた。
「うん。じゃあ、善は急げだ。もともと短距離の人間だけど、別に長距離だって苦手じゃない。わたしはもう、お暇するよ」
 そう言ってわたしは荷物を担ぎ、駆け出そうとした。
「梓、これをもって行きなさい」
 千鶴姉がわたしに、生体探知機をかざすように見せた。
「これも併用して、出来るだけ危険な行動を避けてね。そして一刻も早く目的の物を手に入れて岩山の施設に戻ること。わたしもあゆちゃんの件が片付き次第戻るわ。それから……」
 千鶴姉は万が一岩山の施設が合流場所に出来なかった場合は、施設内で見た初音たちのいた場所を次の集合場所とすることをわたしに告げた。
 わたしは探知機を預かり、千鶴姉の話をあゆと良く確認した上で今度こそ出発することにした。
「じゃあ、ちょっくらいってくるから。あゆ、千鶴姉をよろしくな!」
「うぐう、任せて置いてよ、梓さん。ボクだって何から何まで二人にやってもらってばかりじゃないんだよ。ボクだって、ちゃんとボクなりに……」
「うん、わかってる。それじゃあ、二人とも。またすぐに会おうね!!」
「ええ。分かってるわ、梓」
「うぐう。梓さんも気を付けて!!」

398 :信頼関係_4_End :2001/08/15(水) 19:13
わたしたちはこうして二手に分かれた。
 正直に言えば、その時もまだわたしは二手に分かれるのが最善の策だとは思っていなかった。
 けれども、千鶴姉の言うことと、あゆの要求をはねのけてまで一緒にいるべきだとも思わなかった。
 だったら、わたしに出来ることは一つだ。
 二人を、千鶴姉を信じて、自分は自分の最善を尽くすこと。
 わたしはさっさと自分の役目を果たして仕舞うべく、小走りに駆けだしていった。
 太陽はさっきよりも傾き、幾分か過ごしやすくなっていた。
 けれども、夕暮れにはまだ少し遠い時間帯だ。
 わたしの足ならば、完全に暮れるまでには目標の人物に出会えるだろう。
 セイカクハンテンダケを持つ、来栖川芹香に。

【残り20人】
 
 
【時制が最も遅れているグループです。まだ蝉丸の放送さえ終えてません。
 当然のことながら、飛空挺の落下もまだです】

399 :セルゲイ@D:2001/08/15(水) 19:14
多忙のため週末まで書かないつもりだったんですが、あまりの放置っぷりが
気になって梓組を書きました。
微妙なところは出来るだけフォローしながら書き上げたつもりですが、
いかがなもんでしょう?

400 :セルゲイ@D:2001/08/15(水) 19:21
書き忘れです。

【千鶴  鉄の爪(左) 防弾チョッキスクールタイプ Cz75初期型 人物探知機 所持】
【あゆ  ポイズンナイフ×2 イングラムM11 種 所持】
【梓  防弾チョッキメイドタイプ H&K SMG2二丁 所持】

401 :らっちーさん江:2001/08/15(水) 22:55
修正です。お願いします。

●生体探知機は表記ミスです。以下のものに変えて下さい。
>爆弾感知型の人物探知機

●アイテム表記もミスしました。
 千鶴さんと梓のアイテムに間違いが。二人のアイテムを以下のものに修正して下さい。
>【梓  防弾チョッキメイドタイプ H&K SMG2二丁 爆弾感知型の人物探知機 所持】
>【千鶴 防弾チョッキスクールタイプ Cz75初期型 鉄の爪(左) 所持】

402 :灯台地下にて:2001/08/16(木) 17:41
 二人は薄暗い通路を歩く。
 得物を構え、足音を忍ばせながら、点々と続く誘導灯のわずかな明かりだけを頼りに。
 備え付けの懐中電灯は手に入れていたが点けてはいなかった。
 足元が心許ないが、発見される危険を考えればまだましだ。
「それにしても、全然人がいないわね」
「油断は禁物よ」
「わかってる。ただ、おかしいなって」
 今までいくつかの部屋を巡ってみたが、人がいる形跡は見当たらなかった。
「……そうね。警備の一人もいないなんて。たいして重要な施設じゃなかったのかしら」

 やがて二人は『管制室』と記された部屋の前についた。
「ここなら何かありそうね」
「そうね。ちょっと待ってて。様子を見てくるから」
 晴香は部屋の前まで忍び寄ると、静かに聞き耳を立てた。
 人の声は無い。
 建物全体を包むわずかな機械の駆動音を除けば、あとは静かなものだ。
(ここも無人? 鍵は……開いてる。とりあえず、大丈夫みたいね)
 振り返って七瀬を呼ぼうと――その途端、部屋の中から声がした。
「っ!?」
 とっさにドアの前から離れ、その横の壁に張り付く。
(まさか人がいたなんて。気付かれた? にしては変化が無いけど……)
 相変わらず声は聞こえてきているが、その内容までは聞き取れない。
(どこかで聞いたような声……)
「どうしたの?」
「〜〜〜ッ!!」
 部屋のほうに全感覚を集中していた晴香は、後ろからいきなり声をかけられて思わず総毛だった。
 そのまま声をひそめて怒鳴る。
「ちょ、ちょっと七瀬! おどかさないでよ!」

403 :灯台地下にて:2001/08/16(木) 17:42
 二人は薄暗い通路を歩く。
 得物を構え、足音を忍ばせながら、点々と続く誘導灯のわずかな明かりだけを頼りに。
 備え付けの懐中電灯は手に入れていたが点けてはいなかった。
 足元が心許ないが、発見される危険を考えればまだましだ。
「それにしても、全然人がいないわね」
「油断は禁物よ」
「わかってる。ただ、おかしいなって」
 今までいくつかの部屋を巡ってみたが、人がいる形跡は見当たらなかった。
「……そうね。警備の一人もいないなんて。たいして重要な施設じゃなかったのかしら」

 やがて二人は『管制室』と記された部屋の前についた。
「ここなら何かありそうね」
「そうね。ちょっと待ってて。様子を見てくるから」
 晴香は部屋の前まで忍び寄ると、静かに聞き耳を立てた。
 人の声は無い。
 建物全体を包むわずかな機械の駆動音を除けば、あとは静かなものだ。
(ここも無人? 鍵は……開いてる。とりあえず、大丈夫みたいね)
 振り返って七瀬を呼ぼうと――その途端、部屋の中から声がした。
「っ!?」
 とっさにドアの前から離れ、その横の壁に張り付く。
(まさか人がいたなんて。気付かれた? にしては変化が無いけど……)
 相変わらず声は聞こえてきているが、その内容までは聞き取れない。
(どこかで聞いたような声……)
「どうしたの?」
「〜〜〜ッ!!」
 部屋のほうに全感覚を集中していた晴香は、後ろからいきなり声をかけられて思わず総毛だった。
 そのまま声をひそめて怒鳴る。

404 :灯台地下にて:2001/08/16(木) 17:44
「ちょ、ちょっと七瀬! おどかさないでよ!」
「……あ……あんたこそ……なんのマネよこれはっ……!」
 驚いた拍子に刀を振ってしまっていたようだ。
 七瀬は目前に迫った刀の切っ先を、両手で必死に防いでいる。いわゆる真剣白刃取りである。
「あ、ごめんごめん。……えーと」
 晴香は刀を下ろし、コホンと咳払いを(もちろん小声で)すると表情を引き締めた。
「中から声が聞こえるわ。どうする?」
「何事もなかったようにいうか、あんたは。……で、踏み込むかどうかってこと? 数が多いなら危険よね」
 飛び道具を持った集団相手では勝ち目が無い。こちらの得物は刀2本に拳銃1丁だ。
「手榴弾は……ここが最深部みたいだから、音で他の連中が寄ってくることはないと思うけど。
 でも、爆発で施設に影響がでたら困るわね」
「……そうね。でも他に方法も手掛かりもないわ。制圧しましょう。いい?」
 七瀬が頷いたのを見て、先を続ける。
「幸いドアは内開き、鍵も開いてるから、まずドアを蹴りあける。次に敵を確認したら手榴弾を放り込む。
 爆発したら私が突っ込んで残りを片付ける。これでどうかしら」
「それって晴香が危険すぎない?」
「私にはこれがあるから」
 そういってワルサーP38を見せる。
「それに、どちらかといえばあんたの仕事のほうが重要なのよ」
「そうだけど……」
「あんまり長話もしてられないわ。……準備はいいわね? いくわよッ……!」

 七瀬が手榴弾の安全ピンを抜く。
 チン、と音がした。
 即座に晴香はドアを蹴り開け、すぐに飛び退いて突入の体勢を整える。が――
「……だれもいない……?」
 拍子抜けしたように、呟く。

405 :灯台地下にて:2001/08/16(木) 17:49
 部屋の中に動くものの影はない。
 あるのは薄ぼんやりと光を放つたくさんのモニター、そしてわけの解らない機械類。
 そのうちのひとつから声が聞こえていたようだ。
「大丈夫だったみたい。やれやれね」
 そういって立ち上がると、七瀬の方を向き、そして――硬直した。
 七瀬も気が抜けたように肩の力を抜いていた。……ピンの抜けた手榴弾を持ったまま。
「七瀬! ちょっと、危ないって! ピン! ピンもどして!」
「……えっ?」
 動揺した留美はうっかり安全レバーを離しそうになる。
(間に合わないっ……!?)
 晴香はとっさに手を伸ばした。


 しかし、それは届かなかった。
 七瀬は手を滑らせ、安全レバーは弾けとび、死のカウントダウンが始まる。
 あまりの事態に思わず立ち尽くしてしまう晴香と、現状が把握できない七瀬。
 無情にも3秒の時は過ぎ――そして死神の鎌が振り下ろされた。
 爆発と共に辺りに撒き散らされた破片は七瀬と晴香の体を所構わず射抜きその命を奪う。

 施設は再び無人となり、そこにあるのはただ二人の乙女の亡骸のみであった。

【069七瀬留美 死亡】
【092巳間晴香 死亡】
【残り18人】

406 :灯台地下にて:2001/08/16(木) 17:50


「……なんてことにならなくてよかったわね」
「あ、危ないところだったわ……」
 晴香は間一髪、七瀬の手ごと手榴弾を握り締め、爆発を防いだ。
 そしてゆっくりとピンを戻す。
「知らなかった。手榴弾って、どこかに投げつけなくても爆発するんだ……」
「今の手榴弾はみんな時限式よ。レバーを離して3秒で爆発……あんた、知らずに使おうとしてたの?」
「乙女の辞書に手榴弾の扱い方なんて文字は無いわよ、いくらなんでも」
「……そもそも、アイテムリストに説明乗ってなかった?」
「そんなの覚えてないって」
「はあ……ま、いいわ。確認しなかった私も悪いし。ただ、今度からは私に断ってからにしてね」
「うん、解ってる……」
 七瀬は思う。
 ここまで来て自爆で死ぬなんて情けなさすぎる。
 そんな理由で浩平に再会したら、あいつは腹を抱えて笑い転げるに違いない。
 それは避けたかった。
「それより、声ってなんだったの?」
 言われて晴香は思い出す。まだ声は聞こえ続けている。
 近づくと、はっきり内容まで聞きとれるようになった。

『ザザッ……り返す! 俺は全ての者を歓迎する! ……』

「……蝉丸さんだわ、この声」
「どういうこと?」
 手元を見ると、<38番マイク受信中>と書かれた文字が点灯している。
「どうやら蝉丸さんが何処かで喋っているのを、この施設の耳が聞きつけたみたいね」

 そして二人は、放送の内容に耳を傾けた。

【灯台地下管制室へ到着、蝉丸の放送を聞く】
【069七瀬留美 毒刀、手榴弾三個、志保ちゃんレーダー、レーザーポインター、瑞佳のリボン、ナイフ所持】
【092巳間晴香 日本刀、ワルサーP38所持】
【残り20人】

407 :灯台地下にて作者:2001/08/16(木) 17:51
二重カキコ申し訳ありません。
一番最初のレスを削除して下さい。

408 :名無しさんだよもん:2001/08/16(木) 17:51
作者さん。
感想スレに来てくださいな。

409 :名無しさんだよもん:2001/08/16(木) 20:01
その必要は無いと思われ

410 :名無しさんだよもん:2001/08/18(土) 01:50
メンテ。
http://hakagi.net/check.html

問題は山積み。

411 :名無しさんだよもん:2001/08/18(土) 02:14
容量の関係で新スレに移行しました。

http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=998068289

412 :名無しさんだよもん:2001/08/20(月) 09:58
sage

413 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 07:23
メンテ

414 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 14:08
もいっちょ。

415 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 18:57


417 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)