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葉鍵ロワイアル!#10

1 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 13:49
基本ルール 、設定等は前スレ熟読のこと。

・書き手のマナー
キャラの死を扱う際は最大限の注意をしましょう。
誰にでも納得いくものを目指して下さい。
また過去ログを精読し、NGを出さないように勤めてください。
なお、同人作品からの引用はキャラ、ネタにかかわらず
全面的に禁止します。

・読み手のマナー
自分の贔屓しているキャラが死んだ場合は、
あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。
頻繁にNGを唱えてはいけません。
また苛烈な書き手叩きは控えましょう。

前スレ
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=993838953
感想スレ
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=995131452
感想、突っ込んだ議論、NG処理、アナザー没ネタ等にお願いします。
そして、絶対にNG議論は本スレで行わないように。

その他のリンクやキャラの状況は>>2-5にあります

2 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 13:49
施設組み
011大庭詠美 017柏木梓  046椎名繭
020柏木千鶴 061月宮あゆ (医務室)
068七瀬彰(突入するかは不明)

診療所
019柏木耕一 088観月マナ 021柏木初音

雨宿り組み
029北川潤 069七瀬留美 092巳間晴香 033国崎往人

反転組み
050スフィー 037来栖川芹香

放送施設探索組み
040坂神蝉丸 083三井寺月代

草原組み
024神尾観鈴 003天沢郁未

誘拐犯
048少年 一緒に気絶したフランクが、長瀬の情報を得るために拷問でもされるか?

単独組み
022鹿沼葉子 023神尾晴子(気絶)

3 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 13:50
●リンク
ストーリー編集 (いつもありがとうございます)
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/1168/index.htm

対戦履歴編集
http://members.tripod.co.jp/hakagitac/

アナザー(外部スレ)
http://green.jbbs.net/movie/bbs/read.cgi?BBS=568&KEY=993054328

現在のアイテムリスト(7/12現在)
http://green.jbbs.net/movie/bbs/read.cgi?BBS=568&KEY=991237851&START=991&END=994&NOFIRST=TRUE

4 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 13:51
御堂と彰の注意点

1 ここは結界内である
   仙命樹の効果が結界内でもそんだけあるなら岩切は今頃不死身のマーダー

2 いくら仙命樹でも血と共に体外に大量に出てしまうと効果が無くなる
   現に本作中で御堂はセミーに首を切られ、大量失血で死亡した(らしい)

3 原則として死者蘇生はNG
   御堂の死の意味が全く分からなくなる。

空黒作者の他の力も強まるか?と言う質問への回答

>えっと不可視の力ONLYです。

>しかも神奈は少年のみに働きかけたので、
>激しく影響を受けたのは側にいた郁未のみ


彰くんは鬼化できません
結界もあるんだし。『鬼』の力も満足にたまってませんから
彰はナイフしか持っていない。

5 :策士(1/2)林檎:2001/07/15(日) 14:12
「この下。どうなってるんだろう?」
 目の前にあるのは隠し階段。ぽっかりとその口を開けて彰を中へと誘っている。
 彰はその好奇心を持って一歩を踏み出した。

 奴は落ち着かない。
 同族の女の香り。これほど喜ばしいものはない。
 しかし奴は忌々しげに床を叩いた。彰の理性の檻。その床を。
 力が足りぬ。
 完全に表に出られるのならそれでよい。人間の理性に働きかける結界など、奴にはほとんど意味は無い。
本能で動く。本能で身体を動かす。本能で犯る。本能で殺る。
 身体を乗っ取る程度でもいい。人間の力に毛が生えた程度のだとしても、奴には狡猾な頭脳がある。
 だが失敗した。依然として檻の中だ。
 犯れぬ。同族の女を見つけてもこれでは犯れぬ。
 なんとか『彰』には堕ちてもらわねばならない。
 そのためにも、まずは犯りやすい。殺りやすい相手の豊富な診療所に戻るのが得策。
 しかし意外だった。同族の女が他にもいたのだ。しかも熟成しているとみた。
 なら未成熟な初音など、『彰』を堕とすために犠牲にしてもかまわぬかもしれん。

 しばらく進むと明らかに人工物とわかる空間に出た。
 清潔感のある白い壁。規則的に天上に張りついている電灯。
スプリンクラーに消火器。非常ベルらしきボタン。
なんともどこぞの大病院か研究施設のようだ。
 冷房まで効いている。この島にあってなんとも豪華な。
 彰が読む推理小説に、秘密の研究所などというチープなものは登場しなかった。
が、子供の時にTVで見た記憶から、ここを見てそう思わずにはいられない。
「つまり、あの施設の裏口ってとこかな…」
 耕一が存在を予測した裏口のひとつ。場所もほぼその通りだった。
 彰も作戦会議の中身をあとから聞いていた。耕一の推理力に少しばかり闘争心を燃やしたのを思い出す。
この場所を耕一に知らせた時の得意げな顔が目に浮かんだ。

6 :策士(2/2)林檎:2001/07/15(日) 14:12
(耕一さんか…)
 初音のお兄さん。実際の兄妹ではなく義兄妹らしい。
――耕一お兄ちゃんが、髪が短くて、すごく逞しい身体の、優しい人
――耕一、という男の名前を出した時、不自然なほど明るい声になった。
――多分、初音ちゃんが好きなのはその耕一という男なのだろう。
 あの時の映像が浮かぶ。
 黒い物が沸いた。
心の中にドロドロとした物が鬱積していくのがはっきりと分かる。
 頭が、考えてはいけない事を勝手に考え出す。
(初音の心は本当に僕のものなのか?)
 彰は自分を見る初音を思い起こす。
(あ…れ?)
 その目はちゃんと自分を見ていた。
 はず。
 気がする。
 気がした…。
 だろう。
 だといいな…。
 いきなり自信が無くなった。
 急激に愛し合った男女。その男など、一時でも離れてしまえばこうなってしまうのかもしれない。
 彰の足が階段に向く。

 人を操るのにたいした『力』など必要無い。
 なにもかも、人の心を流し動かす策士の技なり。

7 :復帰(1):2001/07/15(日) 16:45
ええ、えーと。
は、はじめましてですー(ぺこり)。
マルチと申しますう。

あのですね。
最新のわたしに事故があったみたいで、ここで復帰中なんですよー。
いつもは来栖川の研究室で復帰作業するはずなんですけれど。
どうしたんでしょう?

『はいはいはい!それじゃとりあえず、荷物拾って!
 繭!あんたは飼育係!そう、みゅーでもなんでもいいから!
 こっこら!ネコミミ引っ張るな!』
大きな声が、聞こえますね。
研究員の皆様とは違うような気がするんですが…。

『あー、解った解った!ネコミミはやるから泣くな!
 うわっ!どっから蛇までつれて来たんだよ!?
 は?そいつもみゅー??なのか???』
なんだか動物さんがたくさんいるみたいですう。
楽しそうで羨ましいですー。

『みゅー♪』
『…あー…もう、なんでもいいや…ホラホラ、行くよ!』
はわわっ!?
なんだかこっちへ来るみたいです!
どどどどうしましょう!?
と・とりあえず隠れましょうか!?

(かっくん)

…はうー…ラインが外せないみたいですー(涙。
えーと、まだエネルギー管理ソフトが、ほとんどインストールされていないんですね。
並列思考は、ほとんど完了してるみたいですけれど…ソフト全体の半分も入ってませんね。
どうしてこんなところで、インストール中断しているんでしょうか…?

8 :復帰(2):2001/07/15(日) 16:46

『ちょっと梓!何であたしが荷物もちなのよ!』
『うるさいな!じゃあお前、先頭きって突入するか!?』
…と、突入とか言ってますっ(汗。

『ま…まあ、あんたも、したぼくとして認めてあげるから、せいぜい努力なさい』
『だから、げぼくだって』
『みゅー、げぼくだよー』
『……(があぁぁん)』
あ、なんかすごく落ち込みムードが漂って来ますう。
でも、わたしの辞書登録によると、やっぱり”げぼく”が正しいですねー。

(プシー)

自動扉が開くと同時に、身を低くして凄い速さで文字通り突入してきたのは…
…なんとメイドさんでしたー。
ほ、本物ですよ!
わたし憧れちゃいますうー。
でも、すごく物騒なもの持ってますね…本物のメイドさんって、厳しい仕事なんですね…。

「…誰も、いないね」
「ま、誰か居るなら、わざわざ大将がお出ましになる事もなかったろ」
「みゅ?」
はわわっ!
き、気付かれましたっ!
どどどどうしましょうっ!?

 

9 :名無したちの挽歌:2001/07/15(日) 16:49
【柏木梓 H&K SMGU二丁、防弾メイド服所持、棒は捨てました】
【大庭詠美 ステアーTMP、Cz75-1st(ぽち)、CD無記名、CD4/4、体内爆弾爆破光線銃、
 S&W M10 所持】
【椎名繭 ぴろぽちそら飼育係任命 ステアーTMP、エアーウォーターガン(硫酸入り)、
 機械(実はレーダー)、ネコミミ所持】
※残弾、食料、水については省略。
※千鶴はH&K SMGUを持って行ったものとします。あゆはイングラムM11のままです。

【マルチ未完全体 源五郎がマザーコンピューター操作補助のために個人的に復帰させて
 いたものです】
※結局作業途中で投げ出されたので、記憶も半端で移動もできません(電源有線)。
※マザーコンピューターのオペレーションに助言は出来ますが、CD内容や島の謎、長瀬等
 の情報はもちろん、死亡したオリジナルマルチが島内で得た記憶は、全く知りません。


御堂復活ネタが出たので放棄しようかとも思いましたが…。
マザーコンピューター室の設備の1つと考えてください。
ラインをきれば、電源供給が切れてシステムダウンいたします。

10 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 16:52
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    ∧ ∧∩         ∧_∧∩  ,,,  ̄ ̄ ̄ ̄ ,,,,
    (,,゚Д゚)/      目.(,, ´∀`)/           Λ_Λ  ヘ、ヘェィ・・・
     |  : /       || | <∞>./   ,,,        (*゚ー゚)∩
   〜∪  |        || U  |  |            ⊂    / ,,,,
     U.U.        || .(___)_)         〜O―‐⊃

11 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 16:53
>>10
誤爆スイマセン

12 :画像(1):2001/07/15(日) 16:55
や、梓だよ。
その後どうなったか、気になるだろうから報告しとくよ。
あたしは何とか動物と繭と詠美を纏め上げて、目的地に到達したんだ。
いや、ほんと大変だったよ…一匹増えてるし。
動物は全部名前がみゅーみたいだし。
わけ解んないよ。
怒るとみゅーだし。
悲しくてもみゅーだし。

…あーごめん。
話が逸れた上に愚痴っちゃったね。

そんでさ。マザーコンピューター室だけど。
ほぼ確実に誰もいないだろうとは思ってたけど、それでも緊張して自動扉を抜けたんだよね。
何がいたと思う?
行動不能の、ぽややんとしたHMが一体だけだよ。

こう、何ていうのかな?
HMってのはもっと真面目なもんだと思ってたんだよね。
「はうー、わたし真面目ですようー」
…これだよ?
大体さ、”はうー”って誰が用法登録したんだよ。
あたし社長ならクビだね、こんなの登録したヤツは。


おもいっきり脱力したころ、再び自動扉が開く音が聞こえてね。
振り向くと、さっき追い抜いた二体のHMがスタスタと歩いてくる。
ガラにもなく銃なんか構えてみたけど、彼女たちは無視したまま席についちゃったんだ。

「通常業務及ビ維持作業ヲ再開シマス」
高らかに宣言すると、そのまま黙ってコンピューターとやりとりを始めていた。
やっぱり、あたし達のことは無視。
そうだよ、HMってのは、こういうもんだろ普通。

13 :画像(2):2001/07/15(日) 16:56

「はわわー、やめてくださいー」
視線を流せば、繭に遊ばれて困っているぽややんがいる。
肩の力が抜けて、しばし呆けるあたしを引き戻したのは、詠美だった。

「梓、動かないなら放っといていいよ!先にCDだよCD!」
やけに張り切っている。解らないでもないけれど。
これで何も情報が得られなかったら、おっちゃんも報われないもんな。
…でもあたし、コンピューターなんか解んないぞ?
詠美は大丈夫なのか…?

一抹の不安を抱きながら、とりあえず近場の椅子に腰掛けた詠美の傍らに立つ。
「とりあえずココにCD入れて…」
「こ、これって!?…ちょっと待ったあ!」
慌てて詠美を引き止める。

「この画面の隅にあるの…あたしじゃないか?」
「ほんとだ。
 あんた…無意味に胸デカイわねー」
「無意味ってゆーな!」
なぜか、画像は水着姿だった(いつ撮ったんだこれ!?)。

「隣は千鶴さんと、あゆちゃんだね」
画面をずらして、画像を前に持ってくる。
麦藁帽子を被り、鶴来屋のはっぴを着て、アイスを売る千鶴姉。
ダッフルコートを着て、たいやきを咥えたまま、全力疾走しているあゆ。
…どうにも納得いかない画像ばかりだが…たしかに、あたし達だった。

14 :画像(2):2001/07/15(日) 16:57

「それは、データベースですねー」
振り向けば、繭にオモチャにされながら、ぽややんが発言していた。
「その番号と、あちらのレーダーの番号が対応してるんですよー」
その言葉に操られるように、あたし達はきょろきょろと首を回していた。

ぽややんの助言に従い、マウスを使って次々にページを変えて行く。
「梓達の画像に×がついてたのは…死亡扱いって事かな?」
「うん、偽装は上手くいってるみたいだね。
 三人並んでたとこ見ると、疑われているんだろうけれど…
 …詠美、あんたも付いてるよ、×印」
そこには、執筆中に寝てしまい、大口開けて涎をたらす詠美の姿があった。

「……なあ」
「なによ」
「無意味にデカイ口だな」
「う、う、うるさいわねっ!
 むかつくむかつくちょおむかつくっ!」
「喧嘩はだめですうー」
「みゅーーーーーー♪」



【梓&詠美&繭? マザーコンピューターと格闘開始】
※マルチ未完全体の助言がありますが、どこまで情報が引き出せるかは不明。
※量産HMはレーダー情報管理と、データベースの編集、データのやり取りなどを行っています。
 また、源之助からの通信には617話「侵入」と同じく居留守を使います(本当にいませんが)。

15 :名無したちの挽歌:2001/07/15(日) 16:59
「復帰」「画像」と連作です。
ようやくこれで、CDネタに入れるわけですね。


そして投稿時に失敗…鬱だ。
>>14の題は「画像(3)」でお願い致します。

16 :embryo (1):2001/07/15(日) 17:10
長瀬源三郎のいた、医務室。
私が殺した、狂った怪物。
今は、私たちがそこにいた。
人ならぬナニカとともに。

「おじさん、血だらけだよう。千鶴さん、早く、早く、助けてあげてよう。」

人間としての御堂は、すでに息絶えていると言っていい。
私が、そしてあゆちゃんがここに来たのは、御堂の中に居る「熱」。
その「ナニカ」がもしかしたら、御堂を助けるための何かだったら。
もうこれ以上、あゆちゃんを苦しめずに住むのなら。助けてあげたかった。
例え助からなかったとしても、納得させてあげたかったから。
自分たちは、最善を尽くしたと。
たぶん、偽善。

その、「何か」…少なくとも、すがる希望はあるのだ ---それが一体何であろうと。
人を救う過程で、あゆの、「ひとを殺した」意識が少しでも和らげば。
私たちは、人を救おうと、こんなにもがんばっているんだ。
偽善。

御堂の体は、確実に冷たくなってきていた。
ふたりで、少ない知識で、あり合わせの道具で、薬を塗り、包帯を巻き、失血を止めてやる。
何のために?
もう、流れるべき血など、わずかも残っていないのに。

17 :embryo (2):2001/07/15(日) 17:11
「おじさん、どんどん冷たくなっていくよう…おじさん、助からないの?」
「あゆちゃん、…正直、御堂さんは、もう助からないかもしれない。でも、今はとにかく最善を尽くしましょう。
お別れを言うのは、もっと後でもいいはずよ」

おわかれ、という言葉にあゆは反応した。
包帯を巻いているあゆにも解ったことだろう。一時は平熱以上の熱を持っていた御堂の体温が、
確実に、屍体の「それ」に近づいていることを。

輸血。
造血剤。
解る範囲で、あらゆる手を打った。
しかし。

御堂の体は、ふたたびあの「熱」を帯びることはなかった。

もう、やめよう。
御堂にお別れを言い、私たちはここを立ち去るべきだ。
あゆはそれを納得できるだろうか?

「おじさん、頑張っ、て、ボクと、一緒に、戻ろう、よ。」
「おじさん、頑張って、ボクが、今度はボクが、助けて、あげる、から。」
あゆは、御堂の体の、幸い傷のなかった胸を、懸命にあたため、こすっていた。
懸命に。
あの熱が戻れば、御堂が生き返ることができると。信じて。
信じようとして。

あゆは涙をぼろぼろ流して、
ひたすら息を切らせて。
それは、自分の命を、分け与えているようにすら見えた。

18 :embryo (3):2001/07/15(日) 17:14
「あゆちゃん、もういいわ。私たちは、出来るだけのことをやったわ。
おじさんにお別れを言って、梓たちのところへ戻ろう。ね。」

正直、梓たちの無事が気になる。詠美も繭も、それなりのショックを受けている筈だ。
特に繭。あの聡明だった娘が、壊れたように喚き叫んでいた。
一体何があったのか。御堂を優先して梓に任せてきたものの、いくらなんでも長居しすぎた気がする。

「いやだよ!千鶴さん、まだまだ足りないよ!今までボクはおじさんたちに助けられてばっかりだったから、
今度はボクがおじさんを助けてあげなくちゃいけないんだよ!
おじさんを助けて、おうちに戻って、商店街も案内してあげたいし、ボクの学校も見せたいのに。
もっともっと、おじさんと話したいことがあったのに。生き残れてよかったねって、
ボクの知ってる人たちはみんな死んじゃったけど、それでも、おじさんや、千鶴さんや、
他のみんなと、よかったねって、もう誰も死ぬのはいやなんだよっ!」

あゆはくしゃくしゃな顔をもっとぐしゃぐしゃにして、流れている涙はぬぐうのに追いつかなかった。
あゆちゃん…
あゆの涙が、かつて熱を持っていた御堂の体に、ぼたぼたと落ちていた。

その時。
あゆの落した涙が、光った。
光ったように、私には見えただけかもしれない。たぶんそれが現実。
あゆの落した涙を受けた部分が、あかく光った。
それは、あのモノが発した熱と同じ。
なんて、風景。

奇跡。
まるで、…天使。

「ガキが、あんまり、世話をやかすんじゃねえぞ…」
「おじさん、やっと会えた…」

私はその時、知らず涙を流していた。
あるはずのない幻聴に。
その奇跡に。

19 :embryo (4):2001/07/15(日) 17:15
「おじさん、助かるんだよね。また一緒にいられるんだよね。」
「バカ、無理言うんじゃねえ。俺ぁもう駄目だ。
全くらしくねえ。この島を出たら、俺は蝉丸を殺すか、俺が殺されるか、そのはずだった。
それがガキを助けるために死んで、今またチビガキに呼び戻されるなんてよ。
まったく、らしくねえぜ…」
「おじさん、もう、駄目、なの?」
「ああ。こうやってまたおめぇと話せるなんざ、…奇跡…みてえなもんだ。
仙命樹の力ももう及ばねえ。最後の悪あがきってもんさ…まったくこの俺が、ガキによ…」
「おじさん…」
「いいか、あゆ。おめえは生き残れ。詠美も、そこの千鶴も、赤毛も、なんとしてもだ。俺にはもうなんの力もねえが、
少なくともおめえらは今の今まで生き残れた。生き残れるさ。そしてなにもかも忘れて達者で暮らせ。」

「おじさん…今までありがとう。ボク、おじさんのこと、絶対、忘れない。」

「さよならだ。…あゆ、もしかしたら、お前は、俺の…」

消失。

何、今の…
まるで…奇跡。

自分の涙に気づき、私は慌てて、それを拭う。

「あゆちゃん、今の…」
「千鶴さん、お待たせしてごめんなさい。ボク、もう行くよ。
おじさんには、ちゃんと、さよなら言えたから。」

奇跡。
幻聴。
もうどうでもいい。
御堂は、安らかに旅立てたのだ。
あゆも、立派に、それを見送ることができた。
それだけだ。

20 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 17:15
これはどうよ? ウキウキしてくるね。

http://www.bbs-express.com/bbs6/pppt.cgi?room=oasis

21 :embryo (5):2001/07/15(日) 17:17
ふと、気づいた。
もの言わぬ御堂の体の上、あゆが奇跡の涙を流したところに。
一粒の、小さな種。
いや、胚とでも言うべきモノ。
あゆちゃんはそれを、大事そうに両手で抱いた。

(おじさん…ボク、おじさんのきもち、受け取ったよ。
帰ったら、皆に自慢するんだ。
この何日か。ボクの近くには優しいおじさんがいて。
顔はこわくて、そっけなかったけど。
ボクを守ってくれていた。
もう逢えないけれど、ボクはおじさんの気持ちを受け取ったから。
それじゃ。さよなら…おじさん。)

【千鶴、あゆ。御堂に別れを告げ、再び最深部へ】
【あゆ 種(?)入手】

------

書きました。

千鶴が見たものは、「奇跡持ち」のあゆが、仙命樹の最後の力の触媒になった、て所です。
あゆの奇跡も、仙命樹も、御堂復活までの力はないという解釈で。
あゆが手に入れた種は、奇跡が生んだ仙命樹のかけらかもしれませんが、実際の力はほとんどありません。
のちのち話の「種」くらいにはなるかもしれませんが、おじさんの思い出を形にしたものという程度です。
では

22 :名無しさんだよもん:2001/07/15(日) 17:18
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北海市場!激安食品販売店です!食費が今の半分になります!
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(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

23 :口は災いの門(その1):2001/07/15(日) 23:08
それにしても腹減ったなぁ。
多分もう昼過ぎだから仕方ないと言えば仕方ないな。

「北海市場!激安食品販売店です!食費が今の半分になります!」

何故かそんなフレーズが頭に浮かんだ。
蟹、イクラ、ホタテ、もずく………食べたいなぁ。
いつもなら「お昼休みはウキウキウォッチング♪」から「何が出るかな、何が出るかな♪」の
ゴールデンコンボを見ている時間だからなぁ。
などと言うことを考えている間も七瀬さんと晴香さんによる国崎往人公開尋問ショーは続いているようだ。
あの二人が刀もって尋問してる様子を一言で表すと、「あれは恐ろしい物だ」って感じだな。
しかしこのままじゃらちがあかないのでそろそろ俺様の出番だな。

24 :口は災いの門(その2):2001/07/15(日) 23:11
「まぁまぁ、七瀬さんも晴香さんも落ち着いて」
ギロッ!という擬音が聞こえてきそうな程の勢いで二人ににらまれてしまいました、母さん。
蛇ににらまれたカエル、どころの騒ぎではありません。
例えるならラオウの前の村人A、もしも「お前はもう死んでいる」と言われたら
僕は「アベシ!」と言いながら死んでしまってもおかしくないほどです。
それでもわずかながらの勇気を振り絞って二人の女王様に提言いたしました。
「あ、あのデスね、ぶ、武器も持っていないようですし、た、多分危険な人では無いと思われますです、ハイ」
「まぁ、そうね。見た目は十分に怪しいけどね」
そう言って二人は刀を納めてくれました。良かった良かった。
「すまない、助かった」
「いえいえ、大したことはしておりませんよ、国崎往人さん」
「そう言えば………何故お前は俺の名前を知っている?会ったことは無いはずだが」
「ああ、そうそう。私達もそれが聞きたかったのよ」
「あ、それはですね。国崎さんの事を捜している女性二人組と少し前に会ったからです」
「何?!それはどんなやつだ?!」
国崎さんが突然俺の言葉に凄い反応をしたので少し驚きながらも答えた。
「え、え〜とですね。長い黒髪のお嬢様風の人とピンクの髪の小さな女の子でした」
「そ、そうか」
そう言った国崎さんの顔には失望の色がはっきりと表れていた。
「その人達国崎さんの知り合いなの?」
「いや、聞いた感じでは全く会ったことも聞いたことも無い」
「じゃあ何でその人達国崎さんの名前知ってたの?」
「その二人が参加者名簿を持ってたからだよ、晴香さん」
「ふ〜ん、そうだったんだ」
晴香さんはあまり興味が無さそうに返事をした。

25 :口は災いの門(その3):2001/07/15(日) 23:13
「あ、そうそう。自己紹介がまだだったわね。私は七瀬留美、でこっちが」
「巳間晴香よ」
「俺は北川潤だ」
「あ、ああ。国崎往人だ、っともう知ってるみたいだがな」
「でもどうして国崎さんあんなところに居たの?」
七瀬さんが木の上を指さしながらそう尋ねた。
「いや、それが俺にもさっぱり分からん。気がついたらあの木の上にいたんだ」
「ふ〜ん、不思議なこともあるもんね」
「それよりもお前達に一つ聞きたいのだが、この辺で女の子と関西弁のおばさんの二人組を見なかったか?」
「さあ?知らないわ。北川は?」
「いや、俺も見たことないな」
「そうか………、邪魔したな」
そう言って国崎さんが立ち上がった。
「俺は人を捜さなければならんのでな、失礼させてもらおうか」
「わ、ちょっと待て!捜すってあてはあるのか?」
「………無い」
「それじゃあ、俺と一緒に行動しないか?あんたを捜してた二人に会わせたいんだ」
「悪いが俺にそんな暇は無い、早く二人を捜してやらないと」
「まぁ、待て。あてもなく捜しても仕方ないだろ。その二人に会ってくれるならこれをやるからさ」
「何だそれは?」
「これ、詳しい理屈は分からないがどうやら対人レーダーみたいでさ、これがあればあんたの捜し人も
 早く見つかるんじゃないのか?」
「何?!本当か!」
「ああ、ほらこの光の点が人を表してるみたいでな、ほら中心に4つあるだろ。で、この端っこにある2つの点が多分
 あんたを捜してたっていう二人組だ。方角的に間違いなさそうだ」
「………」
「どうだ?悪い話じゃないだろう?それに国崎さん武器も持ってないみたいだしさ、俺と行動した方が安全だと思うぜ」
「………いいだろう、だがその二人には会うだけだぞ。その後すぐに観鈴たちを捜しに行かせてもらうからな」
「ああ、それで構わないぜ」

26 :口は災いの門(その4):2001/07/15(日) 23:15
よし、これでスフィー達に国崎さんを会わせることができるな。
会わせる義理は無いけどな。ま、相沢を看取った仲だしな。
それに健太郎さんのこともスフィーに一言伝えておかなきゃならないしな。丁度いいか。
「ちょっと北川」
「ん?何?七瀬さん」
「蝉丸さんたちのところに行くっていう話はどうなったのよ?」
「ああ、それは国崎さんをその二人に会わせてからそっちに向かうよ。そんなに急いでるわけでもないしな」
「そう、まぁあんたがそれでいいんなら構わないけどね」
さて、話もついたことだし一安心だ。
………あ、もう一つあったっけ。
「あの〜、晴香さん、七瀬さん」
「何よ」
俺は恐る恐る切り出した。
「それでですね、国崎さんにも何か武器が必要だろうしこの3つ俺が持っていってもいいよね?」
うぅ、二人の視線が痛い。
「ま、いいわよ。どうせ私達もそんなに持てないし」
「そうね」

27 :口は災いの門(その5):2001/07/15(日) 23:16
ふぅ、生きた心地がしなかった。あの二人に睨まれたらメデューサも真っ青だな。
え?なんか二人の顔が急に険しくなったぞ?
「北川、あんた死にたいらしいわね」
「七瀬、私も手を貸すわ」
って俺また口に出してたのか〜!!!!
「く、国崎さん!助けて!」
「………二人とも死なない程度にしてやってくれないか。いや、待てよ。死んだらレーダーが無条件で手にはいるな」
「え?え?」
「と言うわけで好きにしていいぞ」
「ちょっと………」
「ま、そう言うわけだから」
「覚悟しなさい」
そう言って二人が近づいてきた。
二人とも笑顔だけどなんて言うかこんなに恐ろしい笑顔を見たのは初めてだ。

相沢、案外早くお前に会えるかもな。

【北川 CD1/4、2/4、無印、志保ちゃんレーダー、M19マグナム、クマ爆弾、釘打ち器、大振りのナイフ所持】
【晴香 刀、ワルサーP38所持】
【七瀬 毒刀、手榴弾三個、レーザーポインター、瑞佳のリボン所持】
【国崎往人 北川と共に行動する】
※端っこに映っていた点はスフィー達とは限りません。そこは次の書き手にお任せします。

28 :名無しさんだよもん:2001/07/16(月) 01:04
タイムテーブル的にはセミー達あたりか、葉子達か、他にあの辺にいる2人組はいたっけ?

29 :来訪者の多い場所(1):2001/07/16(月) 01:52
叩きつけるように降り注ぐ、雨。
「随分と唐突に振り出したものねぇ」
呟き、窓の外のグレーの空を見上げる。
この降り方だと、未だ暫くはここに滞在しなければならないようだ。

兎角、時間がない。
こうしている間にも、国崎往人が生命の危機に晒されている可能性もあるのだ。
残りは25人を切った。いままで協力態勢をとっていた者たちでも、
ここまで人数が減れば、もしかしたら全員殺す気になるかもしれない。
――放送の直前か、直後に聞こえた耳を劈くような轟音だってそう。
それは誰かが、まだやる気なのを暗示するものなのかもしれない。

そう考えると、この小屋にも長時間滞在するわけにはいかない。
参加者のひとり、北川潤に場所を知られているからだ。
彼が裏切る気になるとは、そう想像できる事ではないが、可能性は全くのゼロではないし、
本人にその気がなかったとしても、もし他人にこの場所の事を話したりしたときに、
その相手がやる気になっていたとしたら……

30 :来訪者の多い場所(2):2001/07/16(月) 01:53
「……早くやんでくれないかなぁ、この雨」
溜め息混じりに、スフィーが呟く。
そう。雨が降り止まないと、この場所からは動けない。
降り注ぐ雨は視界を奪い、
響き渡る雨音は聴覚を奪うからだ。
迂闊に動き回れば、それだけ狙われやすくもなる。
いまはただ、時間が過ぎるのを待つしか無い。
ひとつだけやり残したことを、除いて。
ひととおり部屋を見渡す。その中で、どうしても目につくものが、みっつ。
「ねえ、スフィー」
願わくば、彼彼女らに……
「結花たち…ちゃんと眠らせてあげよう」
安らかな、眠りを。

3人の遺体を、室温の低い部屋に並べる。
どろりとした、粘着質な血がべったりと手や服に纏わりついたけれど、気にはならなかった。
……それは、3人が存在した証だから。

31 :来訪者の多い場所(3):2001/07/16(月) 01:53
終わって。
3人の顔を見る。
それはまるで……眠る様に、安らかな顔で。
そんな3人の顔を見て、情けなく泣く事なんて許される?
(そんな訳…ないじゃない)
だから……精一杯、笑いかけて、言ってやった。
「安心して。あなたたちの気持ち、願い、心……全部、わたしたちが全部……受け継ぐから」
それは、嘘。
ひとの想いをまるまる抱えきれるほど、強い人間なんていない。
だけど、出来る範囲でなら。
自分が頑張って、頑張って、もう限界って言うところまでは、やってみせるから。
……だから、このぐらいの嘘は、許して欲しい。
「芹香……」
気がつくとスフィーが、わたしを見上げていた。
改めてひとの死を認識した事で、心細さとか、そう言った感情が再び沸きあがってきたのだろう。
不安げに、服の端を掴んでいる。
そんな彼女の頭を優しく撫で、わたしは言った。
「まだまだ……これからなんだから。頑張りましょう、3人のぶんも……ね」
そう。一足先にここを発っていった北川潤の、ように。
わたしたちも……強くあろう。
スフィーもそれに、笑顔で、答えた。
「うん!」と、元気いっぱいに。

32 :来訪者の多い場所(4):2001/07/16(月) 01:54
と。
突然。
ずしん、と言う、微かな重低音と、僅かな揺れ。
「……地震?」
スフィーが、再び顔を曇らせる。
地震。いや、それにしては……揺れが短すぎる。
これは何かが倒れたとか、落ちたとか、そう言う系統の振動だ。
それも……重いものが。
冷や汗がひとすじ、頬を伝う。
参加者同士の戦闘?
それとも何かのアクシデント?
理由は分からない。だが、自然に起こったものとは……そうそう思えない。
そして、それは、この耳で聞こえる位置……そう遠くない位置。
つまり、居るのだ。参加者が、そう遠くない場所に。
……どうする?
ここに留まるのは、危険なのではないか?リスクを負っても、移動すべきではないか?
(全く、この辺りは本当に……来訪者の多い場所ね)
芹香は、皮肉っぽく笑った。

【残り 22人】

33 :雨宿り:2001/07/16(月) 11:17
「で、やっぱり出かけたいわけ?」
セイカクハンテンタケを食べている芹香は平然として言う。
「やっぱり…ここは危険だわ。あの北川とか言う人も信用できないし」
「ま、どっちでも良いけどね…行くんなら雷の一発や二発がきてもしゃがみこんだりするのは
やめてよね。邪魔になるから。それに下手に動いたほうが目立つ可能性だってあるわよ?」
「…そうね」
「で、行くの,行かないの?どっちでも付き合ってあげるわよ」

 そういえば、あの二人組は小屋にいました。この大雨の中二人の乙女を放り出すのは可哀想です。
「…というわけでみなさんで小屋へ参りましょう」
「どういうわけよ」
今まさに二人は刀に手にもっています。これから私は見事な居合切りで真っ二つになるのでしょうか。
「そうなりたいのね?」
何故私は都合の悪い事に限って思っている事を口に出してしまうのでしょう。なんて思ってる暇は無い。
「その二人組に会ったのは小屋なんです、ハイ。ですから乙女の皆様にも雨宿りが必要なのではないかと…
ほら、先ほどから雷様も鳴っております。不肖、北川はおへそを取られるのでは無いかと心底怯えているの
です。さらに地震までもが起こっております。慈悲と思って、私を小屋まで連れて行ってくださいませ。
さすれば皆様の武器を持っていく必要もございません」
「確かに雨が強いわね。歩いて何分くらい? 蝉丸さんのところよりも近いんでしょうね?」

ええ、確かに近うございました。ですから私もちゃんと生きているわけで。


「この雨の中で人を見つけるのも難しそうね、やっぱりここに潜んでいるほうがいいのかも」
「そうするのね。じゃあおとなしくしていましょう」

【北川、晴香、七瀬留美、国崎往人、小屋に向かう事に決定。】
【芹香、スフィー、小屋で待機。ただし傍目には居るように見えない。】

34 :来訪者の多い場所(2)※修正版:2001/07/16(月) 12:30
「……早くやんでくれないかなぁ、この雨」
溜め息混じりに、スフィーが呟く。
そう。雨が降り止まないと、この場所からは動けない。
降り注ぐ雨は視界を奪い、
響き渡る雨音は聴覚を奪うからだ。
迂闊に動き回れば、それだけ狙われやすくもなる。
いまはただ、時間が過ぎるのを待つしか無い。
ふと、窓の外にもう一度目をやる。
窓に叩きつける雨、その水滴によってぼやけた風景の中。
並べられた、3つの十字架。
……木の枝を折って、ロープで結び付けただけの乱雑な十字架。
それを見て……思う。

……彼らは、満足だったろうか?
精一杯生きて、満足な死を迎えられたと言えるだろうか?
それは、否、だろう。
突然こんな所に連れて来られて、殺し合いさせられて……満足なわけが無い。
だけど……それなのに。
どうしてあの3人は、あんなに安らかな顔で……眠りについたのか。
ホントは、死にたくなんて無かった筈なのに。
それでも、あの3人は、笑って、逝った。
『死にたくない』と言う自分の気持ち、恐怖、全部押し殺して、それでも笑った。

35 :来訪者の多い場所(3)※修正版:2001/07/16(月) 12:31
「安心して。あなたたちの気持ち、願い、心……全部、わたしたちが全部……受け継ぐから」
それは、嘘。
ひとの想いをまるまる抱えきれるほど、強い人間なんていない。
だけど、出来る範囲でなら。
自分が頑張って、頑張って、もう限界って言うところまでは、やってみせるから。
……だから、このぐらいの嘘は、許して欲しい。
「芹香……」
気がつくとスフィーが、わたしを見上げていた。
改めてひとの死を認識した事で、心細さとか、そう言った感情が再び沸きあがってきたのだろう。
不安げに、服の端を掴んでいる。
そんな彼女の頭を優しく撫で、わたしは言った。
「まだまだ……これからなんだから。頑張りましょう、3人のぶんも……ね」
そう。一足先にここを発っていった北川潤の、ように。
わたしたちも……強くあろう。
スフィーもそれに、笑顔で、答えた。
「うん!」と、元気いっぱいに。

36 :来訪者の〜作者:2001/07/16(月) 12:33
はい、埋葬していたと言う描写を見落としていました。
らっちーさん、お手数かとは思いますが、来訪者の多い場所(2)(3)を
修正版の方に直しておいてください。すいませんでした。

37 :日常と狂気の交わる場所@:2001/07/16(月) 20:34
目覚めは最悪だった。雨に打たれ泥に塗れ見るも無残な姿になっていた。
眠る前と変わらず周りには人の気配は無かった。
しかし風景は少し変わっていた。動転しながら走ったせいだろう。
このまま雨に打たれるのは危険だった、体温も下がりきっている。
重い体を何とか持ち上げ這うように進んだ、視界に映る建物を目指して。



建物は喫茶店だった。誰の持ち物か分からないが毛布も着替えもあった。
震える指先で服を着替え、毛布に包まりながら置いてあったコーヒーを沸かしなおした。
体を温めながら全てを思い返す。全てを――。
何度考え直しても否定できなかった。観鈴は確かに死んだ。
そしてその事を受け入れた時、心を繋ぐ鎖が完全に壊れた時、彼女は――。

38 :日常と狂気の交わる場所A:2001/07/16(月) 20:34
(3行あけ)かつてこの喫茶店は希望の里であった。
この絶望に包まれた島の中、何とか生きて帰ろうと寄り添ってすごしていた。
しかし何時から歯車が狂いだしたのだろう。

ある者は愛する人に否定され。
ある者は愛する人をその手で殺め。
ある者は愛する人を自分の性で失ったと思い込み。

ココは島で最も日常に包まれた場所。
しかしココを利用した人のほとんどは日常と決別を果していった。
そして新たに――。



「居候……やっぱりアンタの考えは甘すぎたんや。ゲームに乗ってない奴なんてほとんど居ない。」
抑揚の無い声で呟く。その声は染み込むように自分の心に満ちていった。
「観鈴……寂しい思いさせるな。でも待っててな、すぐ友達連れて迎えに行ってやるから。」

愛する者を失った悲しむが己を包む鎧となってまた新たに日常と決別する者が生まれた。
確かにこんな島でも幸せを噛み締めて逝けた人も居た。それは事実だ。
しかし、負の感情を纏い奈落に落ちて逝った人も居る。それも事実だ。

喫茶店――そこは島で最も日常にあふれた場所。
喫茶店――そこは日常があふれるが故に狂気を呼び集める場所。



「ほな……行ってくるわ。」
誰も居ない店内に別れを言うと晴子は進みだした。
その瞳はこの島で最も冷静で最も歪んでいた。


【晴子 ニードルガン、特殊警棒回収】

39 :日常と狂気の交わる場所作者:2001/07/16(月) 20:35
晴子が気絶していた時間と現在の天候は次の書き手任せです。

40 :エンプレス二人:2001/07/17(火) 04:36
「……大丈夫か?」
 見目麗しき二人の戦乙女の活躍によって、程良くボロボロになった北川潤(男子029番)に国崎往人(男子033番)は遠慮がちに声をかけた。
「ふぁい…だいじょうぶ…れす」
 あの後、またまた北川は失言を連発し、彼はボコられて地面と抱き合うハメになったのであった。
 往人からしてみれば北川の様は”身から出た錆””口は災いの元”以上でもそれ以下でも無かったが、さすがにここまで無惨な姿をさらけ出されると少々面食らってしまったのも確かである。
 さて、そんな北川を撃破した張本人である二人といえば、一度は小屋までついていく素振りを見せていたのではあるが、いまや「もう、勝手にしろ」と言わんばかりに北川と往人の側を離れ、彼らから少しはずれた木を庇にして、北川から譲渡された武器をきゃぁきゃぁ言いながらなでくりまわしていた。
 一行に降り止まない雨、立ちこめる湿気、お祭り騒ぎの2匹の蛮族と失意の2人。何とものどかな状況であった。
 うんっ、と大きく伸びをして北川は立ち上がる。そして身体にまとわりついた泥や埃を左手で払い落とすと、やれやれといった面もちで往人の方へ向き直った。

「慣れてますから…と言いたいところだけど、あういうタイプの女性はちょっと特異かもわからんですね」

「まったく同感だな。俺の知己にも何人かはっちゃけたヤツはいないでもないが…あそこまで益荒男な女となるとな」

41 :エンプレス二人:2001/07/17(火) 04:36
「まぁ巳間さんは見た目は勝ち気で負けず嫌い、責任感の強いしっかり者で、曲がったことが大嫌いってな具合の頼れる姉御って感じですけど、そういう人に限ってワルとつるんでヤクを横流ししていたり、幼児虐待癖があったり、ボーガンで鴨をズコバコ撃ってたりするので十分な注意が必要でしょうな」

「手の施しようがないって感じだな。七瀬…だったかあっちのツインテールの方はどうだ?」

 往人は器用に手榴弾をお手玉代わりにして、巳間晴香(女子092番)と遊びに興じている七瀬留美(女子069番)をアゴで指し示した。

「ああ、七瀬は元クラスメートでしたからそこら辺のことはよく知ってますよ。本人曰く『朕は乙女を目指してるモジャー』だそうですけど、実際はトイレの水をガバガバ飲んで、全裸で『コロされるー』って叫びながら校内を駆けずり回ったり、火葬場で大仁田バリに「熱くなってるか!」ってマイクパフォーマンスするような漢でした」

 はぁ、と軽く北川はため息をついた。

「救いようがないって感じだな」

「転校してちっとは変わったかとは思ったんだけどなぁ。なかなかどうして上手くいかないもんです」

 そういって北川は肩をすくめると、ポリポリと頭をかいた。

「それよりも…ここで足踏みしてて大丈夫なんですか?」
「さすがにやばいな。あまり時間食わすわけにはいかないんだ」

 往人は鬱陶しげに天を仰いだ。鉛色の空からはひっきりなしに雨粒が降り注いでくる。どうもこの雨は一向にやむ気配を見せない。

42 :エンプレス二人:2001/07/17(火) 04:41
「なら、行きますか」
「そう…だな。足元に注意して、ダッシュで行けばずぶぬれちょい前程度で済むだろう。スパッと行ってスパッと用事を片付けてくるか。それまで悪いがよろしく頼んだ」
「オッケー。水先案内人のお役目、請け負わさせて頂きますよ」

 北川はそういうと胸元からレーダーを取り出して画面をチェックした。スフィーを表す光点は依然として先の場所と変わらずに表示されている。

「うっし、動いてないな……。巳間さぁん!! 七瀬ぇ!! ちょっと国崎さんをスフィーの所に連れていくわ! すぐに帰ってくるからそれまで荷物頼む!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! あんた達本気なの!?」
「雨降ってんのよ! すっころんで泥まみれになってもしらないわよ!」

 北川は晴香達に向かって叫ぶやいなや、森の奥へと駆け出していた。そしてそれに続くように往人が後を追う。たちまち晴香と七瀬の視界から二人の姿が小さくなって消えていった。

「こんな雨の中をねぇ…なんとも手の施しようが無いわね」
「どーかん。まったく救いようがないわね」

 二人は顔を見合わせて深くうなづきあった。

 【北川 志保ちゃんレーダー、CD各種、釘打ち器のみ持って小屋に向かう】
【国崎往人 北川と共に小屋へ】

43 :エンプレス書いた人:2001/07/17(火) 08:18
感想スレ挽歌さんからのご指摘で、>>41七瀬の髪の毛の部分を

>「七瀬…だったかあっちのツインテールの方はどうだ?」

>「七瀬…だったかあっちのザンバラ髪の方はどうだ?」

に修正させていただきたいと思います。

44 :反転芹香は輝く魔女?(1/3):2001/07/17(火) 15:48
「あくまでここに留まる事にした芹香だったが、かなりの時間がすぎ、苛立ちを隠せないのであった」
まるでナレーションであるかのように話し出す芹香。
「……まだ数十分しか経ってないわよ、そんなに早く雨が上がるはず…」
「そういえばスフィー、貴方魔法使いでしょう?魔法でとっとと晴れにしなさい」
「そんな事出来るんならすでにしてま…」
「その触角は飾りなの?」
勿論、触角(というか髪の毛)が魔法に関係が有る訳も無い。
「芹香さんだって…」魔法を使えるはずでしょうと言う前に更に畳み掛ける。
「いい訳は聞きたくないわ。どうしても言いたいなら私を倒してからになさい」
(そんな、むちゃくちゃな……)
声に出してもいないのに何故か芹香は聞きつける。
「何、その反抗的な言葉は?いいわ、どうせ雨も上がらないなら貴方に身分の違いを教え込んであげるわ」
といいつつも窓の外に人影らしき物を見付ける。
「あら、人影が向かってきてるわね〜、二人かしら。いい?相手がドアを開けたところを一気に取り押さえるのよ」
「はい……分かりました……(芹香さん、何でセイカクハンテンタケなんて食べるのよ……)」
二人はドアが開くまでの間、完全に息を潜めた…

45 :反転芹香は輝く魔女?(1/3):2001/07/17(火) 15:49
二つの光点は相変わらず動いていない。二人ともあそこで雨宿りをしているのだろう。
「小屋が見えてきたな」
「ああ……」
少しすると、三つの、出る前につくっていた物を見つけた。、
「俺がお前をここに連れていくのは向こうの二人への義理立てだ。もうそれは果たしたから…俺は行くぜ。
あそこに居るのはつらいだろうからな……」
「わかった。元気でな…」
往人に背をむけて歩き出す。
一歩。
二歩。
さん



刀を構える二人の少女を見かけて、立ち止まる。それに気付いた往人が振りかえって見る。
「あの二人…ポーズもバッチリだな。今際の際には人形で送ってやる。安心しろ」
あっさり戻る事にする。
「……さあ、小屋へレッツゴー!」
再び歩いていると、三人の墓を指して往人が言う。
「あそこに知り合いが居るのか?」
「…ああ」
「死者には礼儀正しくしたい。挨拶していっていいか?」
人形を出して往人が言ったとき。
『同じギャグは3回までデス』というレミィの声が聞こえたような気がしたが…まさかな。
「いや、いい。後ろの二人に何を言われるか分からないしな。」
「確かにそうだな」
「そう言えば、小屋の二人のうち、芹香って言う子はかなり大人しいんだが、スフィーは気をつけたほうがいいぞ」
「ああ、参考にしておく」
ドアの前に着く。
「じゃあ、開けるぞ」
確認を取ってドアを開くと、膝蹴りを食らった俺は
「シャイニングウィザード……」
そういう言葉を残して倒れた。

46 :反転芹香は輝く魔女?(3/3):2001/07/17(火) 15:50
芹香が北川をKOした時、スフィーはもう一人が国崎往人であることに気づいた。
「芹香さん…この人、国崎さんよ」
「え…国崎…往人さん? 済みません。てっきりゲームに乗ってる人だと思って。あ、良く見るとこれ北川だわ」
「国崎さん、実は…」
【往人、北川、芹香達と合流。スフィーからの事情説明は有り】
【晴香、七瀬(漢)、気が変わっていない限り次の話開始時点で小屋に合流している】

47 :転機、そして彼は(1/1)By林檎:2001/07/17(火) 19:46
朕深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し、茲に忠良なる爾臣民に告ぐ。
――――。
朕は時運の趨く所、堪へ難きを堪へ、忍ひ難きを忍ひ、以て万世の為に太平を開かむと欲す。
――――。
宜しく挙国
一家子孫相伝へ、確く神州の不滅を信じ、任重くして道遠きを念ひ、総力を将来の建設に傾け、道義を篤くし志操を鞏く
し誓って国体の精華を発揚し、世界の進運に後れざらむことを期すべし。爾臣民其れ克く朕が意を体せよ。

 朗々とした声が部屋に響き渡る。
 源之助の周りを取り囲むように、虹色の光が渦を巻き始めた。

 島に巻き起こる、常人には見えない不可視の嵐。
 魔法の力。魂の力。気持ちの力。それらの流れ。

「――――――――――――!!」
 源之助の口から、呪文以外の言葉が発せられる。
 これから消し去らんとする神奈へ、どんな言葉を投げかけたのか。
 不可視の風が集い、一つの大きな流れになった。
 暗雲に、島と青空をつなぐ穴が開く。
『神奈ぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!!』

カッッッッッ!!

 空で光が爆ぜ、島全体を閃光が包み込む。
 全ての雲が吹き飛び、その後にはなにも無い青空が広がっているのみ……。


「まさかこんなことを考えていたとはね……」
 担いでいた男を投げ捨て、彼はしばらくその場で考えをめぐらせる。
これからの自分の役割について。

【源之助の魔法の成否やいかに】
【暗雲は全て消え、雲一つない青空に】
【最後に爆ぜた光のみ、一般人にも見えます。他は魔法使いにしか見えません。力の流れを感じる奴はいるかもしれませんが】

48 :産声。:2001/07/17(火) 22:21
そこに立ちのぼっていた土と雨が混ざった匂いが不快だったので、七瀬彰は思わず眉を顰め、
その果てなく立ちこめた暗雲と降り注ぐ雨に耐えながら、何処かの道を歩き出す。
道とも云えぬ道、森の中を最短距離で抜けようとするその行動には果たして冷静な思考があるのかどうかすら判らぬ。
だが、彼の身体を支配しているのは多分まだ彼自身であったし、
ある種の意志が確かにある事にかわりはない。
自分が愛しいと思っていた人、果たしてその愛しいという感情が正しいものだったのかどうか。
そもそも自分はすぐにその愛しい人の元に帰ると約束したのだ。
あそこを旅立ってからどれ程の時間が流れたか、正直見当も付かない。
長瀬祐介と天野美汐、二人に結局会う事が出来なかったのだ。彼らは本当に素晴らしい二人だと思ったのに。
やはり一緒に行動するべきだったのだろうか。後悔しか残らない。ひどく悲しい事実だった。
なのに、彼らの死を告げる放送を聞いても、まるで涙が流れたなかったのはどうしてだろうか。
それが彰にとってひどく不可思議に思えた。

森の雨は傷ついた脳髄にはひどく重い。冷たく濡らされていく世界が不愉快過ぎた。
ずきりと痛む頭を抱えながら、彰は小さく息を吐く。防弾チョッキも拳銃も持っていない、
なんとなく手に取ってきたこの小さなナイフを右手に、それでも不思議と「安全」を何処かに感じていたのは、
ただもう殆ど敵もなく襲撃もない、そんな直感だけが由縁なのであろうか。
今は考えていても埒があかない。歩みを止めていても診療所への距離が近くなるわけではないのだから。
彰はその曇天の下、また歩き出す。

それを、鬼、と便宜的に名付ける事にしよう。
今、七瀬彰の脳髄を侵蝕している鬼が希っている事は、今彼が巣食っている彼をどうにかして堕落させる事だった。
人間という生き物は、割と簡単に堕落するものだ。そう、鬼にとって、まるで理解出来ないような出来事で堕ちる。
それにとって大切なものを傷つけるか、或いは人間の法意識の元、罪意識を負わせるような事を行うだけで、
簡単に堕ちてしまうのだから、人間とはつくづくおかしなものである。

49 :産声。:2001/07/17(火) 22:23
今は潜むだけで構わない。その鬼はまだ産声を上げたばかりの赤子のようなものだ。
彼の本能を多少なり刺激するだけで事は成し得る。ならばそれが必要以上に出張る必要はないのだ。
だから、鬼は彰の本能の底に語りかけ、そして、またも眠りにつく。
赤子には睡眠が必須なのだ。それは人も鬼も同じ事だった。

ふと彰が歩みを止めたのは、その雨足が多少強くなってきていたからだった。
雨宿りも良いかも知れない、と思い、何処か適当な木陰を捜し、彰はへたり込む。
泥の色をした水溜まりの前に座り、そこから起点する小さな流れを見つめながら、彰は小さな息を吐く。
考えてみれば、診療所を飛び出してからの自分は、どうもおかしかったような気がする。
ここに至って漸く、思考が多少なり落ち着いてきたような感じがあった。
森の深くからその曇天の空を見て彰が思い出した事は、三年前――自分が未だ高校生だった頃の事だった。
あの頃から貧弱で読書家だった自分にとって、雨というものがひどく喜ばしいものだった事を思い出す。
というのは、雨が降っていれば、無理に外出する必要はなかったからである。
冬弥という活発な友人の事は心底好きだったし、彼に連れられて町中で遊んだりする事が嫌だったわけではない。
彼が連れて行くところで楽しんでいる自分を確かに知っている。
だが、雨が降ると確かに心が穏やかになる自分もまた、彰は知っていた。
晴れた日に図書館に行って借りてきておいた本を、雨を横目に感じながら読む事が好きだった。
そんな日には冬弥やその他の友達も声を掛けてこない、という事に、多少なりの安穏を覚えたのは、
やはり自分は、本当は外出が嫌いだったから、なのかも知れない。

あの日も雨が降っていた。美咲先輩と出会った日の、あの休みの日の事だ。
何故あの日自分が朝っぱらから雨の中図書館に行こうと思ったのか、今でも理解し得ていない。
そんな事の理由を考えても仕方ない、と思えるようになったのは最近だった。
様々な現象の理由について考える事はあの頃の自分にとって日常茶飯事だったが、
結局考えから導き出される答えに一貫性などなく、そして明確な定義もなかった。

50 :産声。:2001/07/17(火) 22:25

今になって思えば、文学少年の定義とは、何も定義出来ないくせに何かを定義したがる頭でっかちの、
それでいて何も知らない無知な人間、と云えるかも知れないと思う。
その定義の元で、自分は間違いなく文学少年の範疇にあった。
ともかく自分はあの日、雨の中で、図書館の前で一人佇む澤倉美咲の姿を見たのだった。
黄色の傘と真面目に着こなした制服、そして澤倉美咲という人間が雨の中に同時に存在している、
その情景はあまりに美しく、彰にはそれが一つの芸術作品のように見えた。
美咲先輩はあの当時から有名人だったが、対して自分は、下手をしたらクラスメイトにも
名前を覚えられていないかも知れないそんな学生で、自分と彼女はまるで正反対の性質の持ち主だった。
彼女も明るい方ではないとは聞いていた。性質の点で言えば、自分と彼女は似通っていたと云えるかも知れない。
だが、色々な面で、彼女はスターで、自分は惨めな乞食だった。
彼女が書いた文を読んだ事がある。――なんて、綺麗な、優しい文章だろうと思った。
自分とは、まるで別世界にすむ人間だと思っていた。
だから、その日立っている彼女を見た時、彰は少なからず動揺したのである。

市立のその図書館は雨の中閑散としている。――というか、誰もいなかった。
流石にこんな雨の日にわざわざやってくるような人間は少ない、と言う事だろうか?
まあそれは仕方ないにしろ、では澤倉美咲はここで一体何をしているのだろう?
自分の姿に気付いたのだろう。傘を少し揺らせて美咲先輩は振り向いた。
考えてみれば、それが彼女が最初に自分にだけに微笑みかけた瞬間で、そして自分が彼女に惚れた瞬間だったのだと思う。
「あなたも、時間間違えたの?」
少し笑って言う美咲先輩の声を聞いて、彰は漸くにして自分が時間を間違った事を悟ったのである。

それが縁で、自分と美咲先輩、ひいては冬弥、由綺、はるか。その仲間達の円が出来た。今はもうない円が。
縁とは不思議なもので、些細な事から始まる場合が殆どだ。
いや、些細な関係からでなければ、そもそも縁など生まれるはずがない。

51 :産声。:2001/07/17(火) 22:26

いや、些細な関係からでなければ、そもそも縁など生まれるはずがない。
あの雨の中、自分が外に出ようと思わなければ、この縁は生まれなかった。
美咲先輩と過ごした日々がなければ今の自分はなかっただろう。それを思えば、あの日の自分の行動には、
やはり何かしらの意味が存在していたのかも知れない、と、今更になって思う。

――何故そんな事を今更思い出しているのだ、何故。日常は変わりゆくものだと認識したはずではなかったか?
日常とは変わりゆくものであるから日常なのだ。あの日と同じ日常など存在するわけがないのだ。
吹っ切れたはずなのに、何故、何故?
その理由も判らない。そうさ。理由がない理由を求める事など不可能に近いではないか。
雨。
僕の日常には、常に何処かしら雨の匂いがあったような気がする。
雨が僕の日常の象徴だったのだと、今になって僕は悟る。

激しい雨と雷の音。まるで雨足は緩まる様子がない。
木陰にいるとはいえ、雨は今も容赦なく自分の身体を濡らしているし、
ならば出来る限り早く出発した方が良いのではないか。建物の中で休みたい。初音にも会いたい。
そう、今、自分が守らなければいけない人。早く帰らないと――そう思った、その瞬間。
彰が雨の影の奥に見たのは初音と同じような色をした髪の、少女だった。
多少なり足を引きずりながら歩いている、あの彼女は――
「鹿沼、葉子」
こんなところで何をしているんだ、彼女は?
彰は立ち上がると、その影が向かった方に足を向け、泥水を跳ねとばしながら走り出す。
その行動に、彰の意志はまるでなかった。

彼女は手負いの獣だ。
今はきっと初音よりもずっと弱い。
ならば、護衛がいて戦うのに有利とも思えない初音を襲わせる事もない。
人を堕落させるのには二つの手段がある。一つは大切なものを奪う事、
もう一つは、罪悪感に貶める事だ。

彰が走り出したと殆ど同時に、「象徴の」――雨は止んだ。

【七瀬彰 診療所に戻る前に手負いの鹿沼葉子に向け、走り出す。以下どうなるかは不明】

52 :破損 - 1:2001/07/17(火) 22:37
目を覚ますと、草の匂いがした。冷たい土の感触。身体が重い。
身体を揺らす。ぐちゃり、と嫌な感触。服が濡れている。今の格好を考えるのは止そう。
ともあれ、観鈴は目を覚ました。空に広がる、灰色の雲。雷鳴が聞こえてきた。
「起きたのね」
と、そんな声。
驚いて、振り向く。包帯だらけの女の人。天沢郁未だ。観鈴の横に座り込んでいる。
目は虚ろ。死んだ魚のような目が、ふと、観鈴を見て、そしてまた前を見る。前には何も無い。
「んと……」
何を言うべきか。声を掛けづらい。話し掛けて、反応するだろうか?
恐らくはしないだろう。何となく、そんな気がした。全身から漂わせる雰囲気。それは拒絶とも取れる。
とは言え、何もしないわけにもいくまい。
「う、うぃっす」
とりあえず挨拶。しかし、無反応。失敗。
いや、反応した。観鈴を見た。そのまま、前を見る事は無い。綺麗な顔だった。
しかし。
その目は、観鈴を見ていない。反射的に振り向いたようなもの、か。暗い。光を灯さない目。
それでも、観鈴は続けた。見ていないからこそ、彼女は続けた。
「びしょびしょ、だね」
「―――」
「こんな所にいたら、風邪引かない?」
「―――」
懸命に語りかける。それでも、彼女は返さない。
続けた。
「あそこの木陰に行こ?ここにいると、寒いよ」
「ねぇ、ここにいると危ないよ。誰がいるか分からないし」
「恐い人が来ちゃうよ。あの、男の人とか――」

そこで、言葉が止まる。

53 :破損 - 2:2001/07/17(火) 22:38
郁未が、観鈴を"見ていた"。光の消えた瞳に、再び、光が戻る。
だが、それは。何かが違った。普通ではない、何か。思わず、身震いする。
にやり、と笑った。おぞましい笑み。そうだ。あれは、狂気の光。
「あの男」。それが、彼女の"スイッチ"を入れたのか?
「望むところよ」
雷光が、彼女を照らした。


郁美が、ゆらりと立ち上がる。
少女の言葉に、頭が醒めた。そうだ。ここで呆けている場合ではない。
「奴」を追うのだ。自分の元を去った、あいつを。あの人を。
助けねばならない。もし、出来ぬのなら、殺す。そう決めた。そう、約束した。
首を巡らせば、いくつか荷物が落ちているのが見えた。鞄が三つ。アサルトライフル。ショットガン。
とりあえず、鞄を手に取った。誰の荷物だかは分からない。だが、背負えるのは一つだけだ。これでいい。
少年が行った方へ、歩き出す。足が痛い。それでも、歩く。痛い。
「ま、待って――」
声。引き留める声。無視して、歩く。痛い。
「待って。その怪我じゃ危ないよ!」
うるさい。勝手だ。
「ねぇ、落ち着いて――一人じゃ危ないよ?」
掛ける音。ぐしゃぐしゃと、水を踏む音。
腕を掴まれる。振り向けば、神尾美鈴がすぐ後ろにいた。怯えたような顔。それでも、使命感を帯びた顔。
にぱ、と笑う。苦笑じみた笑み。白々しく見えた。
「一緒に行こ。ね?」
「―――」
「わたし、足手まといだったけど――でも、きっと、役に立つから」
「―――」
そう言って、最後に、もう一度だけ笑った。今度は、寂しげな笑顔だった。

54 :破損 - 3:2001/07/17(火) 22:39
ふと、よく分からない感覚がした。ぞわり、と。何かが蠢くような。
右腕が伸びる。掴む。首を。ぐっ、という呻き声。観鈴のものだ。愕然とした顔。
「――うるさいわね」
意図せず、そんな声が出た。一瞬、誰の声かと疑った。紛れもない、自分の声なのに。
持ち上げる。少女は、軽かった。何となく、自分が笑っているのを感じる。感じる?
少女が、右腕を掴んでいた。抵抗のような、そうでないような。随分と非力だ。
そんな事に、笑っているのか?狂ってる……!
「随分とへちょい考えなのね。一緒に?そんな事言って、私が貴女を殺さない保証があるの?」
どくん、どくん、どくん、どくん――
熱い。全身が昂揚している。血が巡る。不可視の力。それが、私を、狂わせている?
冷静な心。狂った心。冷静な自分が、狂った自分を見ている。不可思議な感覚。もう一人の、自分。
右腕を振るう。放り投げる。背中から少女は落ちた。叩き付けられた。
「笑わせないで」
抑揚の無い声で、そう言った。踵を返すと、森の中へ足を進めていく。
心なしか、痛みが引いている気がした。
いや、違うか。痛みを認識しなくなっているのだ。どうも完全に狂ってきているらしい。
狂っているのが分かっているのに、どうでもいい気がした。目の前の光景を、ガラス越しに見るような感覚。
全てが歪みつつあった。少年を。「奴」を切っ掛けに。そんなに脆かったのか。私は。
彼女の顔も、歪んでいた。ぎらぎらと、狂気を宿した目。裂けたように開かれた口。
それは、まるで、鬼女の様。
"――脆いものよの。"
そんな声が、聞こえた、気がした。

少女が、まだ叫んでいる。名前を。イクミサン、と。
聞かない。聞く必要などなかったから。

それでも、彼女は言っていた。叫んでいた。
戻ってきて、と。



【残り22人】

55 :彗夜:2001/07/17(火) 22:43
書きました。

郁未の持っている鞄が誰の物かは決めていません。
次の書き手に任せます。

56 :元・武道板:2001/07/17(火) 22:48
     ______
    /_      |
    /. \ ̄ ̄ ̄ ̄|
  /  /  ― ― |
  |  /    -  - |
  ||| (6      > |
 | | |     ┏━┓|   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | |     ┃─┃|  < 正直、俺よりもなっちにの力を貸してくれ
|| | | |  \ ┃  ┃/    \________
| || | |    ̄  ̄|

http://www.sh.rim.or.jp/~pumpkin/choice/

一人の( ● ´ ー ` ● )が( `.∀´)に立ち向かっています
みなさん( ● ´ ー ` ● )に投票してくれませんか

おねがいします    ( ● ´ ー ` ● )板<元・武道板>一同

57 :名無しさんだよもん:2001/07/17(火) 23:45
荒らし視ね

58 :名無しさんだよもん:2001/07/17(火) 23:49
一つだけじゃん

59 :嵐、そして太陽 (1/5):2001/07/18(水) 00:28
「もう一度、落ち着いてゆっくり言ってくれ」
「何度でも言ったげるわ。鹿沼さんが、あれだけひどいケガして寝込んでた鹿沼葉子さんが、いないの」
 マナが息せき切って飛び込んできてそう告げると、耕一の眉がピクリと動き、初音の表情がみるみる不安そうなそれに変わった。
 が、今にも外に走り出してしまいそうな勢いのマナに、耕一は比較的のんきな口調で言った。
「手洗いとかじゃないのか?」
「ん……そ、そうかもね。ちょっと確かめてくるわ」
 パタパタとマナの姿が廊下に消えると、耕一は初音にちょっと待っててね、と言い残して同じくドアから出て行った。
 ――程なくマナが帰ってきた時、耕一は既に居間に戻っていた。それこそ苦虫を噛み潰したような顔をして。
「ダメ、全部の部屋探してみたけどいなかった」
「出てったよ、葉子さんは」
「……はぁ?」
「彼女の部屋の窓からだ」
 耕一はマナが一階を探し回っている間に二階の葉子の部屋を調べに行ったのだった。
 マナは葉子の姿がないことに動転して気がつかなかったのだろうが、少し注意して見れば部屋にもともとあったカーテンがないのがわかっただろう。
 そして、そのカーテンが細く裂かれ、それぞれ固く結ばれて、固定された窓の縁から外に向けて垂れ下がっていたことにも。
「そんな……なんだってそんなことする必要があるの!?」
「気づかれたくなかったんだろ、俺たちに」
「どうして!?」
「そんなこと俺に聞かれたって困るよ。……取りあえずちょっと落ち着け」
 耕一にたしなめられ、マナは予想外の出来事に自分の頭が完全にヒートアップしてしまっていることをようやく認識した。
(この島でいろんなことがあって……ちょっとは成長したと思ってたんだけど、いざとなるとからっきしダメね)
 こんな時だからこそ、いつでも冷静な思考を失わないことが大切なのだ。自分が苦手なことだけに、強くそう思う。
 そして、見た目によらず――と言っては失礼にあたるが――耕一を少しだけ頼もしく思った。もちろん死んでも口には出さないが。

60 :嵐、そして太陽 (2/5):2001/07/18(水) 00:29
「でも……鹿沼さんケガひどいんだし、わざわざそんな無茶してまで……」
「実際キツかったんだろうな、窓の下に人が倒れたような跡があった。……伝って降りる途中で落ちたんだろ」
「鹿沼さんっ……!」
 そんなことを上でやっていたのなら――あまつさえ、ある程度の高さから落ちたりもしていたのだ、相応の物音もしていただろう――どうして自分は気づけなかったのか?
 気づけていたら、あの状態の葉子をそのまま外に出すようなことはせず、何らかの相談はできたのではないか。そう、私たちは仲間、なのだから。
 だが、その時、今もだが、外では凄まじい雷雨が降り続いており、その音で聞こえなかったとしても何の不思議もない。――忌々しい雨!
「……探しに行くわ」
 マナはすっくと立ち上がった。
「こんな雨の中で鹿沼さんを一人で歩かせておけないもの。どんな事情があるにせよ、すぐにぶっ倒れちまうわ」
「一人で行くつもりだってんなら――」
「ストップ。私は一人で行く」
 ピッと手で制して言いかけた言葉を遮ると、耕一は渋い表情で言った。
「意地張ってカッコつけてるとマナちゃんから死んじまうよ? せめて俺が……」
「あの娘はどうするのよ」
 マナはチラリと一瞬、初音に視線を向けた。

61 :嵐、そして太陽 (2/5):2001/07/18(水) 00:29
「どうしたって今のところ外よりはここの方が安全よ。あなたもわざわざ初音ちゃんを危険に晒したいわけじゃないんでしょ?」
「そりゃ、そうだ、けど……」
「で、あの娘がここにいるのなら当然あなたもここにいるわよね。一人にしとくわけにもいかないでしょうから」
「な、なら、俺が葉子さんを……」
「あなたが戻ってきた時、私と――私はこの際どうでもいいわ、初音ちゃんが誰かに襲われて殺されてたとしたら、どう?
 どう考えても、あの娘が一番安全なのは私が一人で行くことだと思うんだけど」
「……優しいんだよな、マナちゃんは」
 耕一は歯噛みして、ほとんど泣きそうな表情で吐き捨てるように言った。
「だけど、凄ぇヤな奴だ……」
 耕一の目の前に立つこの小柄な少女は、耕一にとって――例えば二人が崖から今にも落ちそうになっていた時、咄嗟にどちらに手を伸ばすか、というような意味で――自分よりも初音の方が大切な存在だということを知っている。
 その上で、自分の身を敢えて危険に晒すような提案を耕一に呑ませようとしている。耕一が答えにくいのを、そして受け容れざるを得ないのを知って。
「ありがと。全然誉められてる気しないけど、せっかくだからお礼言っとく」
 そうして部屋の隅の、小さくまとめてあった自分の荷物を取ると、顔のあたりでひらひらと手を振った。
「そんな葬式みたいな顔しないでよ。葉子さん連れて、さっさと戻ってくるからそれまで二人とも無事でいるのよ。……じゃ、ね」
 そう言い残して、居間を横切り、窓の側を抜けて玄関に出て行こうとした時だった。
 それまでずっと黙りこくっていた初音が、マナの服の袖を掴んだ。
「……伸びるから離して欲しいんだけど」
「私も一緒に行く」

62 :嵐、そして太陽 (4/5):2001/07/18(水) 00:29
 マナは初音に向き直ると、その目をキッと見据えて言った。
「あのね、私に気を遣って言ってるんなら止めてちょうだい。……困るわ」
「ううん、そうじゃないの、あのね……」
 初音は小さく首を横に振ると、ややためらいがちに言葉を続いた。
「……彰お兄ちゃんが」
「七瀬さん?」
「うん。……なんだか胸騒ぎがするの。彰お兄ちゃんが、呼んでる……ううん、ちょっと違う。なんて言えばいいのかな……」
 ――そう、泣いてる。泣いてるの。そんな感じがしたの。
 本当はそう繋げたかったのだが、やめた。なんとなく、彰みたいないい大人に泣いてる、なんて言葉を使うのが失礼に思えたからだ。
「……それは鬼の血がそう言ってる……みたいな感じなのかな」
 耕一が、腕を組んでぼそっと呟いた。
「そう……かも、しれない。でも、違う気もする……単に、何の根拠もないんだけど、ただ胸騒ぎがする、みたいな……」
「胸騒ぎ、ね」
 初音はマナの両手を取ると、自分の胸の前あたりまで持ってきた。今度は初音が見つめる番だった。
「だから、多分私は彰お兄ちゃんのところに行かなきゃいけないの。葉子さんを見つけるついででもいい。
 ただ……もしかしたら逢えるかもしれない、って、それだけでいいから……お願い、連れてって」
 マナは量りあぐねていた。初音の言っていることが本当なのか。
 それとも、自分一人危険な目に遭わせないための方便なのか。
 これまで接した短い時間の中でも、初音が優しい子だということは充分マナにもわかっていた。
 だからこそ、初音の言葉の真意が掴めないでいるのだった。
 ――しかし。

63 :嵐、そして太陽 (5/5):2001/07/18(水) 00:29
「わかった。俺も初音ちゃんも一緒に行く。決まりだ」
「ちょ、そんな、いきなりなんで……」
 初音との付き合いの長さで言えば、耕一はマナの比ではない。
 だから、耕一には初音の優しさがどの程度のものであるかがマナよりも遥かによくわかっていた。
 少なくとも耕一の知る限り、初音はこの状況で気休めのウソをつくような子ではなかった。
「鬼の血ってんならちょっと怪しいんだ。この島ではなんか妙な結界が張られてて、鬼の力とかも薄れてるらしいからな。
 ただ、どんな結界にだって阻めない能力ってもんがある。それが――女の子のカン、特に恋する乙女ならなおさらだ」
 初音の顔がポッと見る間に赤くなる。耕一がニヤッと笑った。
「だから、初音ちゃんの言葉は信用に足る。つまり、初音ちゃんには外に出かける理由がある。
 となれば――頼りにならないこともなさそうなナイト気取りの犬ころが一匹、ついて行っても悪いこたないだろ」
「まったく……」
 肩を震わせて、必死に笑いを抑え込んでいたマナだったが、とうとう堪え切れなくなり、アハハと笑い出した。
「イヤんなっちゃうくらい……いい人たちなんだから」
「見りゃわかるだろ、初音ちゃんのこの天使のような顔に、俺のポルトガル人宣教師のような顔。慈愛に満ちてて、いかにも善人って感じだろ?」
「ぷっ……バカ言ってないの。それじゃ……本当に一緒に行くの?」
「おう!」
 耕一が高々と右手を突き上げた時、サッと窓から一筋の陽光が刺し込んできた。
 その筋はみるみるうちに太くなり、やがて眩しく輝く太陽と青空が覗いた。雨が止んだのだ。
 幸先いいな、とマナは思った。そして――
 雨に錆び付いていた物語の歯車は、ゆっくりと回り始めた。

64 :観月:2001/07/18(水) 00:32
【マナ・耕一・初音、晴天の島を探索】
【三人が出発したのと彰と葉子がエンカウントしたのがほぼ同時】

誤字とかないといいなぁ。

65 :fluff (1):2001/07/18(水) 19:15
七瀬彰は獣のような慎重さで、葉子の死角に回り込んだ。
そしてことさらに、慎重に、慎重に、近付く。

そうだ。いいぞ。
一瞬で決めろ。

自分以外の、他者の、意識か。それとも、自らの渇望か。
無力な牝を、襲い、屈伏させ、侵略する。

僕は、何を。
ようこさん。と言っていた。
葉脈の葉だったか、太陽の陽だったか。そんなどうでもいいことに意識がふと向いた。
僕は……僕は……戻らなくてはいけなかった筈。
何処だっけ。
そこには、僕の――
誰だっけ。
まあ、いいさ。

そう。今は集中すればいい。もう少しだ。もう少し近付いたら、僕は一気にキめる。
そうとも。今は、目前のエモノにだけ集中しろ。
まずは一人。お前の力でもぎとってしまえ。
その牝の、体を奪え。心を犯せ。
次々と蹂躙を繰り返せ。そしていずれ。
俺と。
僕は。

一つの、鬼になるために。

66 :fluff (2):2001/07/18(水) 19:16
じわり、じわりと、彰は葉子に近付く。
そして、一気に躍り出る。

今までの追跡で、葉子の体の状態も大体分かっていた。
この女は、消耗している。
もう、この牝は、俺から逃げられぬ。
俺の、
僕の、
勝ちだ。

葉子は突然現れた人影に驚き、とっさに身構える。
ななせ、あきら。
たしかそう呼ばれていた。あの診療所で、たしか見た顔。
彰だか、明だか……でもそんなことは、もう関係ないようだ。

「あなた、誰」

目の前に居る若者。
多分あの時、あきらと呼ばれていた男。
しかしその雰囲気も、なによりも眼光が。
とても、人間とは思えなかった。

だから葉子は訊いた。
「あなた、何者」

67 :fluff (3):2001/07/18(水) 19:17
あなた、誰、だって?
まあ、知らなくても無理はないか。
だってそこでは、僕は、――と。
――出てこない。もう一度考える。
たしか、僕は、――ちゃん、と。
いかん。まずい。目の前に集中しろ。惑わされては駄目だ。
そうだ。まずはお前の目の前にある牝を。
僕の目の前にいる彼女を。
お前の手で奪え。侵し、服従させろ。

そうだ。僕にはもう、なにもないから。
美咲も。祐介も。
だから、奪っても、誰がそれを非難する。

彰は獣のような素早さで、葉子の手を凪ぎ払う。葉子の最後の、縋るべき武器が弾かれる。
葉子はそのはずみで、腰から地面に叩きつけられる。
彰はその上に、容赦なく乗りかかってきた。
まずは両手を抑えつけ。
そうだ。
腰の上に体重を乗せる。
そうだ。それでいい。
葉子の左手を抑えたままの手を、葉子の顔に持っていき、顎を無理矢理こじ開ける。
そして、まずは唇を犯す。
彰の舌が、葉子の口腔を犯す。
初めてにしては、上出来だ。そのまま、そのまま、慎重にいけ。
手負いの獣は、一瞬の隙をついて逃げ出すものだ。

……暖かい。
ひとの、体温だ。
――とは、少し違う暖かさ。
そう。僕と、――も、確かこうして、お互いの体温を確かめあった。
僕と、初――

葉子を征服しようとした、彰の力が、一瞬、緩んだ。
無論、葉子はそれを逃さなかった。

68 :fluff (4):2001/07/18(水) 19:20
がりっ。

「!!!!」

声にならない叫びをあげ、彰は跳びのいた。
野郎、舌を噛んだ。
幸い、たいした傷ではない。
しかし、驚きのあまり、葉子への戒めを解いてしまった。
まずい。

(僕は……何を……僕は……初――)

いかん。
今はまずい。落ち着け。まだ間に合う。急いで奴に飛びつけ。奴の武器に、手が届く前に。
しかし、彰は、葉子をどんと突き飛ばし、そのまま森の奥へと駆け出して行った。

遠くへと。少しでも遠くへと。

69 :fluff (5):2001/07/18(水) 19:21
――ちっ。失敗したか。臆病者め。
まあいいさ。じっくり、決めてやる。
「初音」の存在が、こいつの枷になっている。ならば、どうしたらいい?
忘れさせればいい。
あまり、力を、使わせる、なよ。

彰はいつしか、駆け出すことをやめた。
歩みがのろくなると同時に、彰の頭脳も急速に鈍くなっていった。

自分が。
なんのために。
ダレノタメニ。
ドコヘ。
そんなことも、考えるのが億劫になっていった。
彰の中にいる、鬼の干渉。彰の意識はぼやけたものになっていった。
視界の全てが、モノクロームで構成されていった。

あまり、消耗させるなよ。
早いとこ、誰かをモノにしないと。
こいつを早いとこ、ケダモノに堕とさないと。
こいつは、俺に、勝ってしまう。
俺は、こいつに、負けてしまう。

70 :fluff (6):2001/07/18(水) 19:22
葉子は、どうやら、難を逃れた。
とりあえず銃を拾い、身構える。
周りに他人の気配がないことを確認すると、とりあえず近くにあった大きめの木の下に移動する。
多少周りの見通しがよくなったし、一応背中を守れる。

今の青年。診療所では、あきらと呼ばれていた青年。
普通じゃなかった。あの目はまるで、獲物を襲う獣。
ただ、葉子の一瞬の反撃の後、「正気が戻った」ように見えた。
何らかの力の影響をうけて、彼はおかしくなっていた?
もしかしたら、不可視の力。
いえ、それはたぶん違う。私を蝕むこの疲労と倦怠感がなによりの証拠だ。
不可視の力が万全なら、あのような遅れを取ることもなかったはず。
人の能力が制限されるこの島で、発現しえる力とは――。

今更ながら、自分の危険を再確認し、葉子は身震いした。
幸い、たいした危険といえるものではなかったが……
ともかく、危険は去ったようだった。

さて、これから、どうする。
そんなことを考えるのすら、今の葉子には、気の重い仕事だった。

71 :Children of the grave (1):2001/07/18(水) 19:24
神尾晴子は喫茶店を離れ、野道を進んでいた。
観鈴。すぐ友達連れて、迎えに行ったるからな。
そして。
たぶん、自分もすぐ。

暖かいコーヒーの薫りに包まれても、端切れと化した衣服を着替えても、晴子の心は空洞のままだった

観鈴。
「人を信じなきゃ、ダメだよ」
観鈴。
「みんなで帰ろうよ、あの街に。ね?」
観鈴。もう帰れへんのや。
みんなで帰れへんのや。
ごめんな、観鈴。
うちには、もう、これしか思いつかん。
うちはもう帰れんでも、かまわへん。
ただ、なんで観鈴、あんたが死なんといかんの。
観鈴ひとり逝かせるわけにはいかへん。
居候。観鈴。待っててな。すぐ賑やかにしたる。
そして、うちもすぐに――。また一緒にやろ。な?

その目は既に、この世のものを見ようとしていなかった。
見ようことなど、できるはずがなかった。

72 :Children of the grave (2):2001/07/18(水) 19:25
歩く中、晴子はまだ誰とも逢わなかった。
屍体とは遭遇したが晴子の目には留まらず。ただ通り過ぎるだけのものにすぎなかった。
幸せそうに寄り添う屍体。
かつて人間だったものが、屍体になってしまっている。
あとは腐るだけの、ただの肉のかたまり。
屍体に、それ以上何の意味がある?
……観鈴も。

いつしか森を抜け、隣接する墓地にたどり着いた。

生存者も、残り四分の一を切った。
この島は、屍臭が支配する、一つの大きな墓場のようなものだった。
殺人の衝動が鎮静しつつあるこの島。
それを象徴するような、鬱蒼とした、陰鬱な場所。

なのに。
なんだか、晴子には、
そのことがおかしかった。

73 :Children of the grave (3):2001/07/18(水) 19:26
手持ちの武器を確認してみる。
手に入れたニードルガンは、右手からずっと放していない。
いつものズボンは棄てて、置いてあったスカートに履き替えたが、ベルトはそのまま締めて警棒を引っ
掛けてある。いざという時、すぐに抜けるように。
正直、心もとない装備だ。せっかく、やる気になったのに。
この装備で事を運ぶには、一発一発を大事に、狙って当てていくしかない。
弾丸数がどれくらいあるのか、正直気になったが、どうもよくわからなかった。
銃のことなんてよく知らない。吹き飛ばされる前に持っていた銃とはだいぶ違うようだが、
なに、銃なんて狙って引き金を引けば当たるように出来ているものだ。
たとえ返り討ちに遭っても、それはそれだけのこと。

それにしても、これだけ探しても、人っ子ひとり見つかりやしない。
だが遮蔽物の多いこの墓場は、不意撃ちには持ってこいだ。
銃弾を凌ぐこともできよう。

無暗に探すのにも疲れた。
誰か。誰か来ないか。

(来よったで……)

晴子は急ぎ身を隠す。

痩身の青年が、のこのこやって来た。
およそ顔に精気というものは見えず、足の甲は半分持っていかれたように抉られていた。
武器も持っていないようだ。
ただ眼光だけが、獣のような妙な気を放っていた。

(なんやこいつ。よう、今まで生きてこれたな……)

74 :Children of the grave (4):2001/07/18(水) 19:27
慎重に、近づく。
幸い、青年の歩みが非常にのろのろとしたものだったので、晴子といえども造作はなかった。
それにしても。
この青年、よく今まで生きてこれたものだ。
しかし晴子も知っていた。
何者かの庇護にある限り、または信用の出来る何人かで互いの安全を守ることができれば、
ここまで生き残れないことはない。
ゲームに乗り損ねたものにとって一番恐ろしいものは、疑心暗鬼。
恐怖に導かれ、混乱した人間たちは、あっと言う間に狂ってしまう。

うちにもおったんや。
居候。
観鈴。

青年は一人歩んでいる。
もし、この人がうちと同じで、大切な人を失っていたら。
失意のうちに「壊れてしまった」のだったら。
そう考えそうなって、やめた。
知ったこっちゃない。
うちは、ゲームに乗ってしもたんや。
うちは、殺る。

ぱしゅっ。

晴子のニードルガンが、とうとう放たれた。

75 :Children of the grave (5):2001/07/18(水) 19:29
やったのか。
やってしもたんか。

しかし、現実は、晴子にとってもっともっと以外な結果だった。

避けた。
まるで忍びよる晴子に気づいていたかのように。
青年は、造作もなく躱した。

「えっ」
思わず声を上げてしまう。
青年は――七瀬彰は、音も立てず晴子の懐に近づき、晴子の腕に手刀を放ち、ニードルガンを落とす。
そして反す手で、特殊警棒を抜き取り、肩に一撃を喰らわす。

ぐっ。
骨が、折れたかもしれない。

反撃はそれだけに留まらなかった。正確に晴子のみぞおちを狙って、拳が放たれる。
晴子の意識は、飛んだ。

人間の動きには思えない。
まるで、理性の箍が外れたような。そんな危険な動きだった。

晴子はすべての武器を失い、痛みで体を動かすことなどできなかった。

あかん。もう終わりか。
もう終わりか。ほんま、情けないな……
好きにしたらええ。銃はすぐそこにある。
殺せ。
殺してくれ。
今までずっと、苦しかった。
体の痛みよりも、心が空虚になるような苦しみ。
後生やから、さっさと楽にしてや。

76 :Children of the grave (6):2001/07/18(水) 19:30
殺されるより、残酷。
晴子の最後の願いさえ、彰には届かなかった。
かつて七瀬彰と呼ばれた人間には。

「え?ちょっと、何するん!」

彰は、晴子の体を四つんばいにさせた。
晴子のスカートは簡単にめくれ、尻があらわになった。

何や。何をする気なんや。この子は。
そう考えようとしたが、晴子にもわかっていた。
彰は一気に下着を膝下まで下ろし、晴子の肉をわしづかみにし、臀部をこじ開ける。
そして、啜りはじめる。

「やめ、やめて。あかん。堪忍やぁ……」

もう、最後の力も出なかった。
力が抜けると、彰は晴子の胸に手を向かわせ、もみしだきはじめた。

自分が蹂躙されていく、その暫くぶりの感覚。
晴子は、自分の意思にはかかわらず、その感覚に捕らわれていった。
痛み、よりも。
悲しみ、よりも。

77 :Children of the grave (7):2001/07/18(水) 19:30
彰は、目の前の光景をぼうっと見ていた。
ぼんやりとしか見えなかった。
なんだろう。これは。
柔らかい。
あたたかい。
そしてなんだか、心地いい。

鬼の木偶となっていた彰の心が、目覚めはじめる。
気づいたか。
おまえは?
俺だ。
ここは?
どこでもいい。
僕は?
おまえには、やるべきことがある。
それは?
この女は、おまえを殺そうとした。
僕を?
そうだ。だが安心しろ。おまえは、この女を、倒した。
僕が?
そうだ。おまえは強くなった。そしてもっともっと強くなれる。
僕が?
生贄が必要だ。――お前に、そして俺に捧げるための。
生贄?
女だ。まずは目の前の女を征服しろ。犯せ。壊せ。自分のモノにしろ。
鬼に堕ちてしまえ。そうすればおまえは、もっと強くなれる。
自分の――モノに?
そうだ。おまえの前にそれは、もう捧げられている。
そうか。それなら。

それならば。

78 :Children of the grave (8):2001/07/18(水) 19:33
彰の無意識の愛撫は、執拗に続いていた。

気持ちわるい。気持ちわるい。気持ちわるい。
うちは、母親だから。
本当の親子じゃなくても、でも、観鈴のおかあさんだから。
おかあさんと呼んでくれたから。
堕ちてたまるか。
あんたみたいな若造に、こまされるわけにはいかへんのや。
汚されるわけにはいかへんのや。

しかし、荒々しい鬼の攻撃は、晴子の感じる部分をとろとろに溶かしきっていた。

あかん。堕ちてまう。
今逃げないと。堕ちてまう。
でも、逃げられない。
こないな貧弱なガキに勝てへんなんて。
女って、損だ。

ずぶ。

彰のモノが、春子の中に沈みはじめる。

「ああああああああああああ!」

叫んでしまった自分に恥じ入る。
こんな所で、こんな奴と、こんな声を上げて息を切らしてる。
もうすべてがいやになっていた。
この島も。
ゲームに乗った自分も。
自分を犯しているこの男も。
そして、感じている自分自身も。

……早く、終らないのかな。

79 :Children of the grave (9):2001/07/18(水) 19:35
どくん。
彰は、晴子の中に精を解き放った。
しかし意せず、そのまま中を攻め続ける。
二人の液が混ざり、かすかに泡立つ。
晴子の目は、もう何処も向いていなかった。

このまま終れば。
終ってくれれば。
だけどな。
神さん。あんたはなんて殺生なんや。

観鈴が、いた。
木陰から愕然とした表情でうちらを見ている。
うちの、観鈴。

「おかあ……さん……」

途端にうちは、母親に戻る。
「あかん、観鈴、見たらあかん!あんたもやられる!はよ逃げ!」

「うああ……おかあさんを」
あかん。

「おかあさんを、おかあさんを」
あかん。観鈴。来るな。
せっかく、生きとったのや。

80 :Children of the grave (10):2001/07/18(水) 19:36
「おかあさんを、放して!」
観鈴は、うちの観鈴は、そのへんにあった棒きれを振り回してこっちに向かって来る。
「観鈴!来るな!うちはどうなってもええ。
あんたに、勝てるわけがない。はよ逃げえ!」

「いやだ。いやだよ。お母さんを、助けるの!」
目暗滅法に突っ込んで来る観鈴。

男は、悠然とうちから自分を抜き去ると、うちにしたように、簡単に観鈴の抵抗も止めてしまった。
そしてまるでそうなることが必然のように、観鈴の体の自由を奪っていく。

「観鈴!観鈴!観鈴!」
うちはもう、観鈴の名前を呼ぶことしかできなかった。
すっかり腰が抜けていた。うちにはもう何の力もない。悔しいなあ。悔しいやろなあ。観鈴。

「おかあさん、いいよ。早く逃げて。
わたしは、どうなってもいいから。
観鈴ちん、我慢するよ。だって、おかあさんが苦しんでるの、いやだもの。
だから、逃げて。」

ああ。
そういう奴やった。この娘は。
うちの、可愛い観鈴は。

81 :Children of the grave (11):2001/07/18(水) 19:37
彰は、観鈴の体をまさぐる。
感触を楽しむように、観鈴の胴のてっぺんから一番下まで、手を往復させていた。

この感触。
そうだ。それが、お前を強くする生贄。
この亜麻色の髪も。そう。お前のモノだ。
初音とは、似ているようで、全然違う。
だけど、似ている。
この目は。諦めではない。
自分を投げ出すことのできる、強い目。
初音も、そんな目をしていた。
「おかあさん」そう聞こえた気がした。
そうだ。これは母の目だ。
「おかあさん」彼女が呼ぶおかあさんとは。
ふと気になって見てみる。
それは。
無残な女の姿。

これは。
ぼくが、やった。
ぼくが、壊した。

82 :Children of the grave (12):2001/07/18(水) 19:38
「うあああああああああああああああああああああああああ」
突然叫び出す彰。
僕は、僕は。
取り返しのつかないことをしてしまった。
あまりにも酷い、無残な――この娘の母親。

どうした彰。犯せ。殺してもいい。それはお前の生贄だ。
お前のモノだ。
うるさい。黙れ。モノじゃない。この娘の母親だ。
――初音に少し似た、この娘の。
お前は。オマエハ――
やめろ彰。俺は、お前の中の、血。
そして俺をおまえに授けたのは、外ならぬ――
黙れ、消えろ。僕の中から消えろ。消えてしまえ。消えろ。
消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。
消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。
消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。消えろ。キエロ。
やめろ。彰。俺は。初――

目の前の不快なものが消え去った。
彰の視界が、急にひらけた。
そこに映るものは、鮮明さを増した無残な光景。
世界はもう、白と黒で構成されていなかった。
でも。
何も変わらない。

喋ろうにも、何も口に出てこない。
この状況で、一体、何ができる?
ただ、声にならない叫びを洩らすのみ。

「ごめん…なさい…許して……」

観鈴には、たしかにそう聞こえたような気がした。
しかし、確かめる間もなく彰は逃げ出していった。
陰鬱な墓地を越えて。どこまでも。どこまでも。

83 :Children of the grave (13):2001/07/18(水) 19:40
「おかあさん。行っちゃったよ。助かったみたい。もう大丈夫だからね」
どあほ。
大丈夫な、訳ない。
見られた。
犯されている自分を。
観鈴に。
「どあほっ!観鈴、なんで近づいてくんねん。ほんとなら、万に一つの勝ち目もあらへんかった――
なんでのこのこ出てくんねん。うちは、うちは――どうなってもよかったんや!」
だって。自分が、殺そうとしたのだから。
「うちなんかより、まず自分の安全を考えや!」
そう。もう、悲しませないで。
「この、どあほっ!」

「……おかあさん」
観鈴がうちの目を見つめる。涙を溢れさせて。
「おかあさん、どうしてそんなこと言うの?
おかあさんが悲しいと、わたしも悲しいんだよ。
おかあさんが苦しんでるの見ると、わたしも苦しくなってくるの。
だから、そんなこと言わないで。おかあさん」
観鈴は、うちを抱いた。
抱き締めてくれた。
涙を我慢して。
そう。いつもあんたは、我慢してたっけ。
友達もおらんで。いつも一人で遊んで。気がづけば、いつも。

84 :Children of the grave (14):2001/07/18(水) 19:41
「みすず…」
うちは泣いた。
「みすずっ!みすずっ!あんたって娘は。
生きていてくれて、本当よかった。うちの観鈴。観鈴。」
子供のように泣いた。泣くのがこんなに気持ちのいいことだなんて、すっかり忘れていた。
子供に抱き抱えられて、ボロボロの格好で、泣き続ける。

「おかあさん、子供みたい。にははっ」

ほんとそうや。うちは。観鈴が死んだと思って。一人自棄になって。
ゲームに乗りかけた。ほんと子供や。

観鈴、気付かんうちに、大きくなったなあ。
体も大きくなった。こころも強くなった。
まるで、子供がおかんに泣き崩れてる用に見えるんかもな。
自分の子供に。

この涙か枯れるとき。
こんどこそうちは、強くなろう。
本当の、母親になろう。
でもそれまでは。
このまま、子供みたいに泣かせておいて。
もう少しだけ。そうしたら強くなれるから。

85 :Wheels of confusion (1):2001/07/18(水) 19:42
僕は、犯してしまった。
おそらく、もっとも卑劣な罪を、
僕は、犯してしまった。

僕は、何をしていたのだろうか。
診療所で、きみと結ばれて。
そうだ。祐介を探しに行ったんだ。
この島で再会した僕の従兄弟。
傍らには、少女がいた。天野美汐――そんな名前だった。
二人とも、とても強い目をしていた。

僕にはふたりが、この血塗れの島の、たったひとつの奇跡みたいに見えた。
祐介。美汐。二人にはせめてこれから、幸せな人生を送ってほしい。そう望んでいた。
だって僕には。

――美咲。それが僕の好きだったひと。
巡り会う前に、彼女は永遠に失われていた。

だから、せめて、他人の礎になろうと。
ここまで死ななかったのが不思議なほど。
混乱の中を切り抜けてきた。

だけど。
僕には、好きなひとができた。
守ってあげたい大事なひとができた。
柏木初音。それが彼女の名前。
見た目は小学生みたいなかわいい娘なんだけど。――祐介、笑うなよ。
いろいろあったけど、僕らは再会し、結ばれることができた。
そんなときだ。おまえに会いたい、そう思ったのは。
祐介には美汐さん。
僕には、初音ちゃん。
それに、懐かしい日常へ回帰する手がかりも見つかった。
だから、祐介にもそれを教えたくて。
だけど。

86 :Wheels of confusion (2):2001/07/18(水) 19:44
だけど、おまえは見つからなかった。
一体どこに行っちゃったんだよ。

そのうち、頭がぼうっとしてきた。
体はあんなに調子よかったのに。
時々、記憶が飛んでいた。

おまえがみつからなかった気もした。
洞窟にいたような気もした。
ようこさん、に会った気もした。
自分以外の誰かが、ずっと語りかけているような気がしていた。

そして。
あれは、「気がした」なんてものじゃない。
あれをやったのは、僕だ。

僕は、渇望していた。
――牝の臭いと、肉の欲望に。
だから、犯した。
彼女を犯し、その娘も手にかけようとした。
そして気づいた。

これをやっているのは、僕じゃないか。

そして――。

87 :Wheels of confusion (3):2001/07/18(水) 19:46
足が痛い。
こんなに歩けたのが不思議なくらいだ。
どうみても、まともに歩ける足じゃない。僕の足は。
足が痛い。
初音。
初音ちゃん。
会いたいよ。

でも。
ぼくは、どんな顔で君に逢うことができるんだ?
そんなことを考えるうち。
見つけた。
祐介。
でも、それは。

もう、死んでいた。

美汐と二人。まるで夢見るように。
とても幸せそうに。

祐介。
死んでもなおきみは。
まるで、僕の希望であるかのように。
僕は、泣いていた。

希望。
それは遙か遠くにあるように思えた。
あの時、確かに感じた幸せ。そして希望。
しかし今の僕は、
相変わらずの、混沌の中。

88 :Wheels of confusion (4):2001/07/18(水) 19:47
疲れ果てていた。
体が重くてしかたない。

ここで、眠ろう。
もうどうなってもいい。
目が醒めたらそこは、あいかわらずの混沌の中。
混乱の歯車。

でも。
次に目が醒めた時。
はたして、
僕は、
僕のままで
いてくれるだろうか。

----
書きました。

目茶苦茶長いですね。
感想スレの、今後のまとめ'sには引っかからないように書いたつもりです。

彰は、己の鬼に打ち勝つことができたものと解釈しています。
そのかわりに、罪を背負ってしまったけれど、
彼らはそれにも負けないでいてくれると信じて。
では

89 :死者からの贈り物(1):2001/07/18(水) 22:57
『ウィーン』
 自動ドアの開く音がし、柏木梓は身構えた。
 その音がしたほうを確かめるとその構えを解いた。
 だが、何も言えなかった…
 二人の顔を見ればあのおっちゃんがどうなったかは聞かなくてもわかることだった。
 二人とも涙を流した痕があった。
 しかし、そのことを乗り越えた意思のある目をしていた。
 そして月宮あゆは言った。
「おじさんの分までがんばろうね!」
「おう!」

「で、あなたたちはなにやってるの?」
「ん〜、今詠美がコンピューターに向かって四苦八苦中」
「どうしてそんなことしてるの?」
「詠美と繭がなんか変なCDを持ってたの。それにあの白衣着たおじさんもCDを持ってたの。
 だから、ここのコンピューターで中身を確かめたいんだって」
 柏木千鶴は一息ついた。ここにきてこれまでの疲れが出たのだろう。
「じゃあ、そのCDの解析が終わるまで休んでていいかしら?」
「いいんじゃない。そんなにすぐに終わるとは思わないし、
 これからまたすぐに動き出すだろうからね。
 それにしても千鶴姉、もうばてるなんて歳なんじゃない」
 そう言って手を口に当てぷぷぷと笑う。
「え、千鶴さんっていったいいくつなの?」
 あゆが無邪気にそう尋ねると同時にあたりになんともいえない殺気が満ちた。
 奥のほうから動物の騒ぐ声が聞こえた。
「企業秘密よ」
 と、にっこり微笑みながらそう答える千鶴であったが目は笑っていなかった。

90 :死者からの贈り物(2):2001/07/18(水) 22:58
「じゃあ、あたしは詠美のとこに行くから、あゆも休んでおくんだよ」
 と言って、奥のほうに立ち去ろうとした。
「あ、そうだ。お腹空いたから何か食べ物探してみるよ」
「お、気がきくね。それじゃ、よろしくな」
 そして、詠美のところまで戻ってきた。
「どう、進んでる?」
「ふみゅーん。ちょっとわかんないかもー
 で、千鶴さん達戻ってきたの?」
 と、詠美は梓のほうを向かずに聞く。
「う、うん。で、詠美に言わなくちゃならないことがあるんだけど…」
「…したぼくの事でしょ。わかってるわよ。
 あの状態から生き返るほうが不気味なんだから…」
 それ以上梓は何も言うことができなかった。
「だから、あいつの分まで絶対生き残ってやるんだから!」
 それを聞いて梓は詠美を抱きしめた。
「うん」
 ついでになぜか繭も遊んでると勘違いしたのか、抱きついてきた。
「みゅ〜♪」

「ご飯ご飯〜鯛焼き鯛焼き〜」
 あゆは先ほど宣言したとおり食べ物を探していた。
 そして、それはあっけないほど簡単に見つかった。
 隣りの部屋が簡単なキッチンになっていて食事が取れる場所になっていた。
「あ、冷蔵庫がある。食べ物が入ってる!これで何か作っちゃおう!」
 そう言って、食材を冷蔵庫から取り出す。
「秋子さん直伝の腕を披露しようかな」
 しかし、肝心の調理器具は見当たらなかった。
 それもそのはず、ここのキッチンはHMX以外は使っておらず、
 調理器具は彼女らの体に内蔵されていたからである。
「うぐぅ、どうしよう…」
 そこで彼女は思い出した。
「あ、そうだ!ぼくナイフ拾ったんだった」
 そして、彼女は自分のかばんからナイフを取り出した。
 しかし、そのナイフには毒が塗られているということを彼女が知る由もなかった。

【残り22人】

91 :らっちーさんへ:2001/07/19(木) 01:34
いまさらながら修正
(1)の方の
>「いいんじゃない。そんなにすぐに終わるとは思わないし、
> これからまたすぐに動き出すだろうからね。

この部分を

>「いいんじゃない。そんなにすぐに終わるとは思わないし、
> 解析が終わったらどうせまた動き出すだろうからね。

に修正お願いします。

92 :それぞれの勇み足(1/2)By林檎:2001/07/19(木) 04:32
 くくく……。
 こんなチャンスはもう二度とないかもしれぬ。
 たった一人の雌。
 彰の心に力を送る。刺激するのは性欲。
 「象徴の」――雨は止んだ。代わりに彰の心には『無』が広がる。
決して雨が止んだからといって、晴れるとは限らないのだ。
 記憶改竄なんぞでちまちまやっている必要は無い。ここが力の使い時だ……。
 残りの力のほとんどを使った。
 一度目の失敗の反省を糧としない、本能剥き出しの鬼がここにいる。
 そして眠りについた。起きたときには状況が好転していることを信じて。
――これは心の鬼の勇み足――


 意志無き表情の彰が一歩を踏み出した。
 その時。
 カッッッッッ!!!!!!
 天空で光が爆ぜた。
 ほんの一瞬。他のことに気を取られていれば気づかないほどの一瞬。
「うわっっ!!」
 だが確かな閃光が島を包んだ。
「なんだ!?」
 彰は空に視線を移す。
 同時に『意志ある声』を発した。
 雲が吹き飛び、空が一面青に塗り変わっていた。
 一体何が起きたというのか。
 しばし呆然とそれを見つめ。再び地上に視線を戻した。
 やはり空を見上げて呆然とする鹿沼葉子。
「葉子さん!!」
――これは彰の勇み足。ではない――

 

93 :それぞれの勇み足(2/2)By林檎:2001/07/19(木) 04:33
 閃光。
 その前の力の流れ。
 一体なにが起きているというのだろう。
 しばしその場に立ち尽くす。
「葉子さん!!」
 ハッとしたように彰の方へと向き直る。
 彼は……。
 そう、小さな女の子と一緒にいた男だ。と彼女は気づく。
「こんな所で一人でなにやってるのさ。怪我は?
 えっと、そう言えば僕と初音ちゃんを助けてくれたお礼がまだだったね。
 ありがとう」
「手当てなり、なんなりをしてくれた人の仲間なんでしょ?
 こっちもお礼を言うわ。ありがとう」
 お礼を兼ねた自己紹介。
 言葉が少なくても伝えたいことは伝わる。
「なんで一人でいるんだい? なにしてるのさ。それに武器は?」
 なにをしようとしていたんだっけ?
 なんで武器も持たずに駆け出したんだろう?
 葉子は少年のことを思い出した。あの時彼がやる気だったら……。
 ずいぶん軽はずみな行動をとっていたものだ。今の自分に一体なにができるというのだ。
――これは葉子の勇み足――


「なるほど、それで居ても立ってもいられなくなって、黙って飛び出してきたわけだ」
 彰は渋い表情。
 考えてみれば、彼も軽はずみに外に飛び出した口なのだ。
「さて、ここで愚図っていても始まらない。一旦皆のところに戻るとしようか」
「はい」
 彰は自分の心に住まう鬼を覚えていない。
 記憶や映像の改竄も気づいていない。
 そう。『皆のところに戻る』
 これこそが。
――これは彰の勇み足―― 

94 :新たなるボケ役?@:2001/07/19(木) 19:17
雨の中ずぶ濡れになって死体漁り、今のうちにやってないと雨が上がってからが恐いからだ。
ナニかが漂いそうで。

「そっちの死体は何か持ってた?」
「変な携帯電話みたいなやつだけよ、メモみたいなものは無いみたいね。」

北川達が出発してからすぐ本来の目的である高槻の死体を調べだした。
もっとも確かな成果があったわけでは無いが。

「とりあえず北川が言ってた小屋に向いましょう。これ以上は何もなさそうだし。」

全く北川もいい度胸である、この乙女たる私に死体漁りをさせるなんて。
晴香の方の同じ意見のようである、次の行動は決まった雨宿りついでに北川を――。
などと話しているとすぐに小屋は見えてきた。往人と女の子二人の姿も見える。
何故か入り口で北川が股間を押さえて痙攣しているが。

「あの馬鹿まさかセクハラでもやった――。」

私の言葉は閃光によってかき消された。

95 :新たなるボケ役?A:2001/07/19(木) 19:18
(3行あけ)
北川が痙攣している、他の3人は険しい顔をしている。
その上晴香まで険しい顔をしだした、おまけに今の閃光。
気まずい沈黙、小屋に響くのはただ北川の呻き声のみ。

「ここで顔色変えてる人はみんな今の力の奔流を感じ取ったらしいわね。」
「参加者の中にあんな強力な奴のことなんて載ってなかったわよ。」
「参加者じゃないもの。長瀬源之助、管理側の人間よ。」
「あなた、何か知っているの?」
「……。」

先ほどの閃光の後皆さんは必死に討論していて、私と北川は置いてきぼりを食らっています。
しかも何故か国崎さんは私をじっと見詰めてきます。
やはり私は罪作りな乙女、また新しい男を虜にしたようです。
でもタイプじゃないので却下、北川の看病でもしておこうかと思います。

目の前では不可視がどうとか結界がどうとか禁呪がどうとか色々と話し合っています。
でも私には理解できない話なので北川に膝枕してあげてます。
看病するために膝枕してあげる、やっぱり私って乙女ね。
横の変な視線が痛いけど、やはり私を狙ってるのでしょうか?
とりあえず晴香が見つけた携帯電話でも調べてみますか、図鑑で見た気がするし。
こんなことなら診療所の本棚に図鑑置いて来るんじゃなかったな。
とか何とか考えてると国崎さんが私の方に近づいてきた。
もしかしてこれは乙女のピンチ?

「その探知機を譲ってもらえないか?」
「へ?」
「その手に持ってるやつだ。北川から譲ってもらう事になってる探知機と交換してくれ。」

私は何か勘違いしてたのでしょうか?ボケは北川の仕事だったはずなのに。

96 :それぞれの目的へ:2001/07/19(木) 19:18
「本当に別々に行動するの?」

あの後スフィーちゃんと芹香さんは別々に行動すると言い出しました。

「私の方はこの人にどうしても用があるからね。」
「何の用かは知らないが、とりあえず歩きながら話してくれ。俺は今すぐ出発したいんだ。」
「それは私も同感、じっとしてるなんて性に会わないわ。まずはどっちを探す気?」
「最初は観鈴、その後に晴子だ。」
「じゃあね。二人見つけたら合流するから。」
そう言うとさっさと二人は出発していった。

「俺は今から診療所に向うよ。その後はCDによるな。」
「私はお墓参りして、CDの中身見たら往人さんが見た夢が気になるから西に行くと思う。」
「何でCDに興味持ってるんだ?信じてなかったのに。」
「機会があれば話すわ、さっさと出発しましょう。 また合いましょうね。」
「ちょっと待てって、じゃあまた診療所で会おう。」
こっちもやけにあっさり出発していった。腰を引き気味の北川が少し情けない。

そしてまた晴香と二人っきりになってしまった。
「じゃあ私達も出発しますか。」
「今度こそ寄り道せずに潜水艦を見つけましょうね。」

彼らはそれぞれ目的のため分かれた。
大切な人を捜すため、脱出の鍵をCDにかけ、自分の勘を確めるため、亡き人の言葉を信じて。
彼らがまた再会することができるかどうかは分からない。
ただこの島の象徴たる雨は止み、雲は晴れたことだけは確かであった。

【往人 人物探知機入手】
【七瀬 志保ちゃんレーダー入手】
【往人・芹香   観鈴を探しに出発】
【北川・スフィー 墓参りをした後診療所へ】
【七瀬・晴香   潜水艦探索続行】

97 :名無しさんだよもん:2001/07/19(木) 22:16
【芹香 スフィーより参加者名簿を譲ってもらう。】
【芹香の武器は次の書き手次第です】

追加です

98 :名無したちの挽歌:2001/07/20(金) 08:15
書き手チャットで判明した不具合の修正です。

680話「復帰」梓の二個目の台詞
-----------------------------------------------------
『あー、解った解った!ネコミミはやるから泣くな!
 うわっ!どっから蛇までつれて来たんだよ!?
 は?そいつもみゅー??なのか???』
-----------------------------------------------------
これを以下に修正してくださいまし
-----------------------------------------------------
『あー、解った解った!ネコミミはやるから泣くな!
 …名前はみゅー? じゃそっちの烏は?
 は?そいつもみゅー??なのか???』
-----------------------------------------------------

ぽちの施設侵入は放送と同時だったので、この時点での
合流はあり得ませんでした。
ドモッスンマセン(´Д`)

99 :碁石(1):2001/07/20(金) 08:26
「新規データーを受信いたしました」
「参加者データーを更新いたします」

HMの無機質な声を聞いて、ぱちりと目を開ける。
人は起きた瞬間から、はじめて自分が寝ていたことを理解できる。
そう、私は、まさに寝てしまっていた…ようだ。
楓ほどではないけれど、血圧が高くないせいか、起きがけは少々頭の回転が鈍る。
しょぼつく眼をしばたいて、コンピューターにに囲まれた円形の一室を見回してみた。

 すぐに違和感を覚える。
 -----人の気配が、しない。
 あの口うるさい梓や、負けないくらい騒がしい詠美ちゃん、ときおり奇声をあげるあゆちゃん、
 負けないくらい奇声をあげる繭ちゃん、その誰の声もしなかった。
 それは奇跡と言ってもいい。
 -----静かだった。
 すべての機械が有している、冷却機の運転音だけが不快なコーラスを奏でている。

おかしい。
全員がここに揃っていたはずなのに、私を置いてどこへ行ってしまったというのか。
鈍った思考では付いて行けないほどの急展開に、焦りを感じて頭を振る。

立ち上がり、深呼吸を一回した時。
端末の画面に向き合うように座ったまま、だらりと手を垂らして伏している誰かが見えた。
(-----詠美ちゃん?!)
駆け寄り、姿を確認すると、やはり彼女だった。
あとは探すまでもなく、他の面々が視界に入ってくる。

 詠美ちゃんの使用する端末の、座席にもたれかかるよう倒れている梓。
 そのまた後から、折り重なって倒れた繭ちゃん。加えて烏。さらに猫。
 少し離れて、あゆちゃん。
 辺りには、黒い何かが散らばっている。
 -----碁石?
 銀色のトレイがひっくり返っており、そこを中心に黒い固まりが拡散していた。

100 :碁石(2):2001/07/20(金) 08:27

一つ拾ってみる。
匂いをかぐと、炭のような臭いに混じってアーモンドのこおばしさが、かすかに感じられる。
この碁石状の何かは、食べ物のようだ。
直径2センチ程度の、円盤状の何かを齧ってみる。

「ち…千鶴姉っ!それを食べたら駄目だっ!」
ごっくん。
苦しげな梓の声を聞くと同時に。
わたしは、碁石を飲み込んでしまっていた。



 …怒っている。
 あれは、かなり怒っている。
 わずかだが、千鶴姉の白い額に青く血管が浮いてるのが見て取れた。
 これは間違いなく、危険な兆候だ。

あたしたちは、この椅子だらけの部屋で、なぜか冷たい床の上に正座をして、小さくなっていた。
正確に言うと、繭と動物は倒れたまんまだけど。
「…つまり、こういうことなのね?」
千鶴姉が、勤めて怒りを抑えながら状況を確認しはじめる。


 『じゃーん!クッキーだよっ!』
 4枚あるはずのCDのうち2枚は手元にあったので、解析はそこから始めた。
 ほぼ可能な限りの調査が終わったと考えた頃、あゆがクッキーと主張する何かを持ってきていた。
 『…なんだこれ』
 『……碁石?』
 詠美と二人で呆れ果てる。

 『うぐぅ、ひどいよっ!ちゃんと甘いしアーモンドも入ってるんだよっ!』
 確かに、そのような臭いがするような気もしないでもない。
 …だが本質的に、これは炭と分類するべきだ。

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