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葉鍵ロワイアル!#8

1 :名無しさんだよもん:2001/06/21(木) 18:25
基本ルール 、設定等は前スレ熟読のこと。

・書き手のマナー
キャラの死を扱う際は最大限の注意をしましょう。
誰にでも納得いくものを目指して下さい。
また過去ログを精読し、NGを出さないように勤めてください。
なお、同人作品からの引用はキャラ、ネタにかかわらず
全面的に禁止します。

・読み手のマナー
自分の贔屓しているキャラが死んだ場合は、
あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。
頻繁にNGを唱えてはいけません。
また苛烈な書き手叩きは控えましょう。

前スレ
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=991580312&ls=50
感想スレ
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=992962217&ls=50
感想、突っ込んだ議論、NG処理、アナザー没ネタ等にお願いします。
そして、絶対にNG議論は本スレで行わないように。

その他のリンクは>>2-5に。

448 :引越し屋:2001/06/29(金) 16:02
http://cheese.2ch.net/leaf/dat/?S=D
993115533.dat  28-Jun-2001 16:49 383k

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449 :夢現作者:2001/06/29(金) 17:27
祐一、手ぶらだったね、すまん。
北川一行の持ち物は元々のアイテムプラス茜+繭のアイテムということで。

450 :DEAD OR ALIVE(前編)(1/7):2001/06/29(金) 19:41
「こんなとこで…いいか?」
森の中。茂る草木は潮風を浴びてしなびているように感じる。
「わりといい物件だなぁ、ここは」
茂みの中、どっかりと腰を下ろす。
おぶっていた祐一を背中から降ろし、地面に横たえる。
森の入り口、視界の向こうには果てしなく広がる大海原。
「ああ、今の俺達の欲している世界が…あの海の向こうにあるぅっ……!!」
「海の男にでもなりたいのですか、ジュン?」
「いや…そうではなくてだな…」
たまにこの金髪の少女は、未だ自分の置かれている立場を理解できていないのでは…などと邪推してしまう。
「ただ、帰りたいな…と、それだけさ」
ただ、平和だったあの日々が、ひどく懐かしく感じる。
(まだ、3日しか経ってないんだよな…)
「Oh!ジューン……Homesickですか?…元気出してくれないと私も悲しいデス…」
「か、母ちゃ〜ん…って、違う」
(本当に分かってんのか、この娘は……)
ハア…大きく溜息をつく。

まあ、ここなら、周りから見つかりにくく、周りの状況を確認しやすい。
少々の話し声など、潮騒の音に消されてしまう…落ち着くには割と適した場所と言えた。
「お、おい…何してんだっ?」

「ん?何って…膝まくらだヨ」
祐一の頭が、レミィの白いとも健康的ともとれるつややかな太腿の上に乗っかっている。
「……だ、駄目だっ…」
「……?何でデスか?枕もなくこんなトコで寝たら頭痛くしちゃうヨ。
 移動中、私楽してたかラ、このぐらいはしないと…適材適所ネ♪」
「いやっ、待て待て…そんなうらやまし…ゴホンゴホン…もとい、婦女子にそんなことはさせられん…
 これが我が北川家の家訓でな…だから…俺がやろう」
「ワオ、ジュンってばフェミニストね。感激しちゃうヨ!」
まさか、うらやましさからくる嫉妬とは口が裂けても言えない。
祐一の頭の上方にまで移動すると、そっと祐一の頭を自分の膝に乗せた。

451 :DEAD OR ALIVE(前編)(2/7):2001/06/29(金) 19:42
(くっ…俺の膝に男が乗ることになろうとは…この北川潤一生の不覚っ……!!)
「なんか、苦虫を噛み潰したような顔してるデス…」
「えっ?いや、そんなことはないよ?ははは、男にも女にも優しい男、ジェントルマン北川潤と呼んでくれ」
(くそ、よくよく考えてみればなんで俺が相沢にここまでしてやらにゃならんのだ…
 人がヒイヒイ言いながら移動中も背中でグゥグゥ寝くさりやがって…)
「おーい、相沢〜、お・き・ろ〜!」
ペシペシ…頭を、平手で叩く。
「う〜ん…あと三寸だけ寝かせて…」
「単位がオカシイデス…」
「三寸経ったぞ〜」
「じゃあ、あと五寸…」
「経つか!このアホッ!!」
ベキッ…北川の拳が祐一の脳天に突き刺さった。

「痛いじゃないか…。……?……北川…か?」
「他の誰に見える」
「謎の不知的生命体X」
「誰が宇宙人だ、誰がっ!しかも『不』ってなんだ!」
「そのまんまだ…」
「くそっ…まあ、いいか…それだけ軽口が叩けるなら安心したよ。
 …結構心配したんだぜ?…これでもな。とりあえず膝から降りてくれ」
「うおおっ、何故俺が北川の膝の中で愛を語らってるんだっ?」
「語り合ってないっ!」

452 :DEAD OR ALIVE(前編)(3/7):2001/06/29(金) 19:43
「で、何故俺はここにいる?」
祐一の言葉。
「ん…まあ…いろいろあってな…っていうかお前どれほどのこと忘れてるんだ!?」
「いや……ここ、海の近くの森の中か?」
「島デス」
「島……?どこのだ?…しかも…この女の人…誰だ?」
(いかん…全部…忘れてるのか…?この島であったこと…)
無意識に、北川の顔が曇る。
「じゃあ…水瀬や、香里のこともか?」
レミィに、黙ってろ…というように目配せしながら、ゆっくりと、そう言った。
祐一の向こうで、軽く首を縦に振るレミィ。
「名雪達も来てるのか?そうだよな、俺とお前の二人で旅行なんて寂しいもんな…」
「旅行って、お前っ……!」
北川の顔が、引きつった。たぶん、いろいろな…複雑な意味で。
「……ふう……まあ、仕方ないか…とりあえず、自己紹介はしよう」
いろいろ、言ってやりたいことはあったが、なんとかこらえる。
「この娘はガルベス宮内。通称ガルベスだ」
「ガルベス…か」
「Oh!私ガルベス…」
「まあ、とりあえずレミィって呼んでやってくれ」
「一文字もあってないじゃないか」
「細かいことは気にするな」
「私、大雑把な名前ネ…」

453 :DEAD OR ALIVE(前編)(4/7):2001/06/29(金) 19:47
「で…だ」
北川の顔が、真剣なものに戻る。
「北川?」
というか、祐一がこれほど真剣な北川を見たのは初めてであるかもしれない。
「お前の記憶を呼び戻す…」
「できるのか?」
「さあ…」
口調は、あまり変わらなかった。

「聞きにくいんだが…昨日の夜…お前と一緒にいたあの聡明で可愛らしい少女は…どうしたんだ?」
椎名繭。まだ、放送では呼ばれていない名前。
言いよどみながら…まずは遠まわしにそう切り出した。
「……誰だ、それ?」
「駄目じゃん」
しょっぱなからつまずいた…レミィを覚えてない以上、繭を覚えていなくてもおかしくないのかもしれないが。
「てことはお前…昨日のこと何にも覚えてないのかっ?」
「……いや、なんていうか…イメージがぼやけて……」
「じゃあ、最近の出来事で覚えていることはっ!?」
「朝〜朝だよ〜、朝御飯食べて学校行くよ〜」
「なんだ…それ?」
「目覚ましだな」
「変な目覚ましだな…」
「ああ、名雪じきじきに録音したお手製の目覚ましだ。すこぶるよく眠くなる」
「………」
北川の、手が震えた。
「まあ、学校行く前の一シーンなら覚えてるが――?どうした、北川」
「……」

454 :DEAD OR ALIVE(前編)(5/7):2001/06/29(金) 19:48
無言で、立ち上がる。
「ジュン……?」
北川の気持ちを察してか、不安そうな顔で北川を見上げる。
それを、大丈夫だ…と、無言で手で制する。
「どうした?北川…」
「お前、本気で言ってるか?」
「……?」
「本気で…それ言ってるのかって聞いてるんだ」
低い、声。
「…ああ、俺が覚えてるってのは…その辺だけど…」
北川のその無言の迫力に、頭を一個分後ろへとずらす。
「本当に本気なのか?」
「くどいな…一体どうしたん――」

バキッ……!!

「――――っ!!」
祐一の体が右へと吹っ飛んだ。
「……ジュン!?」
立ち上がりかけたレミィをもう一度手で制する。
「いきなりなにすんだっ!この野郎っ!!」
一瞬の放心。その刹那、両手で反動をつけ勢いよく立ち上がる。
「このっ……!!」
そのまま北川の胸倉を掴みあげ、眼前にまでたぐり寄せ、睨みつける。
「……このやろうっ!!」
「……」
北川も、目をそらさず祐一を睨み返す。
祐一の口元から、血が一筋垂れた。
「言い訳もなしか、この野郎っ!!」
バキャッ!!
祐一が、北川を殴り返す。

455 :DEAD OR ALIVE(前編)(6/7):2001/06/29(金) 19:49
「ぐぅ…」
「なんとか言えよ、北川っ!」
バキッ…
胸倉を掴みあげた手を離すこともないままに、再度、殴りつける。
それでも、北川が祐一から目を逸らすことはなかった。
「……いいかげん目を覚ませ、相沢」
「なんだと?」
目と鼻の先、一センチの距離でのにらみ合いが続く。
男達のぶつかり合いに、レミィはただ何もすることなくそれを見つめている。
「お前は、逃げてるんだよ!」
「なんだと…」
「都合のいいことだけホイホイホイホイ忘れやがって…
 思い出せっ!思い出せよ相沢!」
「いきなり殴られて…はいそうですか…なんて言えるかっ!!」
ベキ…もう一度、北川の左頬を殴りつける。
「……ペッ!」
口に溜まった血を、北川が横へと吐き出す。その時も目を逸らすことはなかった。
「俺達は…逃げちゃいけないんだよ!香里や、水瀬の為にもっ!!」
「……どういう意味だよ…」
「言葉通りだ。ある意味、お前は…すべてを踏みにじってるんだ」
「……」
「本当に忘れちまったのかよ…おい…なんとか言えよ…」
「……」
「なんとか言えよ、相沢っ!」

「……本当に…忘れちまったのかよっ…!」
「きた…がわ…?」
北川の胸倉を掴んでいた手が、下げられる。
(一体…なんのことだ…名雪…?香里…?この島で…何が…あったんだ…?)

456 :名無しさんだよもん:2001/06/29(金) 19:54
 

457 :DEAD OR ALIVE(前編)(7/7):2001/06/29(金) 19:54
恐い…恐い…
誰もいない…真琴はいない相沢さんもいない…
祐介さんもいない…
私は、…私は……
ワタシハ…
海辺の森を彷徨い歩く。
私の、あったはずの右手が、私の、強く祐介さんと結ばれていたはずの右手が…ない…
「どうしたの…?私」
右腕を胸に抱きながら、歩く。
忌まわしい右腕が、私の視界に入らないように。

――……本当に…忘れちまったのかよっ…!

突如、聞こえてきた声。
なんの声だろう…私は…導かれるようにそこへと向かった。

458 :The Long Goodbye_1:2001/06/29(金) 20:03
 戦闘ロボを何とか撃破した僕たち――いや、今回の僕はほとんどがただ、
見守るばかりで大したことは何一つしていなかったが……――は、
気絶した蝉丸さんの意識を呼び戻し、簡単な自己紹介を済ませた。
 そして、このことで頭を悩ませていた。

『このまま通路の奥に進むべきか、否か』

 管理者側の態勢が整う前に、このまま侵入したいというのが全員の気持ちだった。
 けれども無傷か傷が少ないのは七瀬さん――いや、留美さんか――と巳間晴香さん、
そして初音ちゃんの3人だけだった。しかも初音ちゃんに戦闘は期待できない。
 というか、僕はさせたくなかったし、耕一さんも同意見だ。
 それ以外の者も皆、何かしら傷を負っていた。
 耕一さんも僕にあんなことを言っておきながら、実は随分と体調に不備をきたして
いたし、蝉丸さんの傷も思ったより深かった。本人の談では塞いでいれば数時間で
治ると言うことらしいけど。僕も、今回防弾チョッキ上から受けた弾丸だけとは言え、
累積した披露などが抜けきらない。
 ただ、仮面の女の子は蝉丸さんがもう一度眠らせていた。詳しくは話してくれなかった
けど、仮面が何か良くない働きをしていて、起きていると本人の負担になるのだという。
 とにかく、このまま先に進むのには、どう見たって支障がありそうだった。
 とりあえずこの奇妙な共闘団体に必要なのは、一度退いて態勢を整えることだ
ということになった。
「あのね、市街地の方にね、マナさんて言う、女医さんがいるんだよ」
 という初音ちゃんの言葉により、一行は市街地を目指すことになった。
 道中、それぞれの現状確認などが行われた。

459 :The Long Goodbye_2:2001/06/29(金) 20:19

 留美さんが教えてくれた、高槻が死に際に言い残したという言葉。
 高槻は『この島の地下ドックに潜水艦がある』と教えてくれたのだという。
 しかも、あの下衆野郎の言葉を、留美さんはなぜか信じたいのだと言う。
 僕には理解できなかったけど、蝉丸さんが地下から響く音を聞いていて、
もしかしたらそれが地下ドックなのかもしれないと言っていた。その施設には
一人の少年が向かっているらしいことも、蝉丸さんの口から語られた。
 蝉丸さんの言葉が高槻の言葉の真実味を増しているけど、ならば何故、
あの高槻がそんな事実を言い残すのか……。僕には本当に分からなかった。
 それから蝉丸さんの持っていたパソコン。これには何か情報が入っているかも
しれないけれど、二人とも使い方が分からなくて満足にいじっていないらしい。
 休息をとるならば是非中を見てみたい。
 しかし、何よりもあれだけ強力なものに守られていた、例の施設。
 中には脱出の鍵になるようなものもあるのかも知れない。

 様々な意見が飛び出し、僕も何度か意見を求められた。
 その度に僕は、当たり障りのない返事を返すだけだった。
 怪我と疲労で頭が回りにくくなっているのも確かだったけど、自分にはその
原因がはっきりと分かっていた。
 状況確認の最初に行われた、生存者と死者、やる気になっているかも知れない
人間を特定したときのことだ。
 直後は皆、それぞれの抱える想いで無口になっていたが、すぐに次の話題へと
進行を見せた。
 しかし僕はまだ、それを引っ張っていたのだった。

460 :The Long Goodbye_3:2001/06/29(金) 20:32

 何回か放送を聞き逃していた僕にとっては、とても重要なことだった。
 初音ちゃんのお姉さん達が生きていると言うことは、とても嬉しいニュースだった。
 だけど、僕が気にしていたのはそれではなくて。
――弥生さんの名前が、あったな……――
 僕が一番の感慨を覚えたのは弥生さんの死亡確認だった。
 ……篠塚弥生。
 緒方プロのスタッフだったヒトだ。
 由綺のマネージャーをしていた。
 そして、叔父さんが経営し僕がバイトをしていた喫茶店『エコーズ』の、
常連客でもあった女性だ。
 美咲さんとは違った、何か別の魅力の持ち主だった。
 感情表現に乏しい印象で、冬弥とも衝突がちだったようだけど、あの人なりに
由綺のことを思っての行動だったんだろうと思う。
 もちろん僕は、弥生さんと特に親しかったわけではない。
 店員と客とのやりとり以上のことは全くなかった。
 ただ、こう見えても僕は他の人のことを見る目は確かだった。
 こんなこと言ったら『自分のことは何も分からないくせに』なんて、冬弥は
言うだろうな……。ふう。つい、歩きながらつま先を見てしまう。
 とにかくその弥生さんの死によって、このゲームに連れてこられた僕の知り合いは、
全て永久に失われたってわけだった。
 かつての自分の、日常を構成していた人、ひと、ヒト。
 全員がもう、この世にいないなんて……。
 仮に叔父と生きて会うことがあったとしても、二人の関係はもう、修復出来そうに
なかった。僕や祐介君に同情し、このゲームを止めて欲しいと願ったかもしれない叔父。
 でも、みんな死んでしまったのだから。
 あの日々は帰ってこないのだから。

461 :The Long Goodbye_4:2001/06/29(金) 20:40

 けれども、僕はここで絶望するわけにはいかなかった。
 祐介君に、初音ちゃんに話した自分の言葉の、その責任はちゃんととらなければ
ならないから。
『失われた日常にすがり嘆くよりも、これからの日常を自分たちの手で作り上げて
いくんだ。自分たちがそれだと思えば、それこそが 日常なんだから』
 とは、ある意味都合のいいことを吹き込んだかも知れない。
 でも、間違ったことは言ってないはずだった。
 それにあれは、彼らに言うのと同時に自分に言い聞かせた言葉でもあったのだから。
 仮にこの島を生きて出られたときには、そんな風に考えて生きていこうと……。


 美咲さん……。
 由綺、冬弥、はるか。
 そして英二さん、理奈さん、、弥生さん……。
 僕はあなた達のことを引きずらないで生きていこうと思う。
 しかし、生涯忘れることもしない。


 その為にもまず、このくそったれの島から脱出しなければならないし、
それも今や終盤にさしかかっていると思う。
 島からの脱出を為すために、仲間が集まりつつある。
 集団で行動する以上、僕の行動は自分だけの責任では済まなくなってきているんだ。
 だから……。

462 :The Long Goodbye_5_Last:2001/06/29(金) 20:48
 
 だから、彼ら、彼女らとの共通の目的を果たすまで、ほんの少しの間だけ
僕はあなた達を忘れることにする。

 目的に向かって、僕の頭脳が最良の判断を下せるように。
 ……その深い悲しみで判断を誤らぬように。

『ごめんね、美咲さん……』

 さよならは言わない。
 本当のお別れはもう遠の昔に済ませてしまっている。
 それに、これは長い別れではない。
 僕が自分の役割さえ果たすことが出来れば、その後にはまた、みんなを思い出すだろう。
 過去の良き日々に、思いを寄せながら……。
                          『残り ○○人』


──『さようならを言うのは、わずかのあいだ死ぬことだ』
   そんな言葉がある。
   しかしだ。ならば、死者に送る別れの言葉はいかなる意味を持つのだろうか。
   単純に永遠のお別れであるというように考えるのだろうか?
   そんな疑問をかつての彰は持っていた。
   しかし、実際に彰が触れた死とは、『永遠の別れ』であり、また、
   『別れではないもの』であった……──

463 :The Long Goodbye作者:2001/06/29(金) 20:53
 実は今まで、彰が由綺と冬弥の死は聞いたという描写がなかったんですが、
まるで二人が死んだことを知ってるかのように振る舞っている描写が今までに
複数あり、かつ、他の人間から聞くことのできる環境が複数回あったため、
既知という設定にしました。

 マナのことは彰が覚えていないか、知らないという設定です。
 (ゲーム内での二人の接点が、マナシナリオの文化祭で会うか会わないか、
  ぐらいしかないので)

 あと、もう少しの間人口集中に歯止めを掛けておこうかという意図もあって、
施設潜入を一旦あきらめました。施設内は千鶴梓あゆの3人で頑張ることになる?

 文中では詳しく触れてませんが、爆弾のこと(吐いても大丈夫&死亡認識になる)
も伝わっていると思います。
 他にも伝播する情報があれば全部入れたかったけど、それやると文章がもっと長くなる
んで……。カットしました。今までの作品を読み込むなどして脳内整理して下され。
 それでは。
 

464 :悔恨 - 1:2001/06/29(金) 20:54
あれから、少しばかり経った――
祐介は、天野美汐の背後、約15m程離れた位置を、静かに、歩いていた。
怯えた人間は妙に勘が良い。
バレると後が厄介だが、いざという時遠いのも厄介だ。
このくらいが、すぐ駆け寄れるから丁度良いだろうか?
―――。
自分が発見してから1時間程度だろうか。
突然悲鳴をあげて、彼女は目を覚ました。
―――。
それから。
彼女は、寝転んだ場所からふらりと立ち上がり。
歩き始めた。
宛があったのかどうか。
自分を捜す為なのかどうか。
それとも――自分を、殺す為か?
それなら、彼女は自分の武器を握っている筈だろう?
いや、不意打ちということで素早く出して撃つのかも――
――どうでもいいか。
そう。
殺されたとしても、構わない。
その上で、自分は彼女と共に居るのだから。
――出来れば、隣に居たいけど。
それは叶う筈も無く。
ただ、護るのみ。
護るのみ。

465 :悔恨 - 2:2001/06/29(金) 20:55

しばらくすると、潮の香りが漂ってきた。
海が近いのだろう。
――海か。
あの、明け方の海辺を思い出す。
今朝の事だ。
―――。
――ああ、あの頃は、まだ。
時折、思う。
あのまま、あそこに居られたなら、と。
無論、それは逃げだ。
分かっている――否、分からされた。
逃れる事など叶わぬのだと。
自分は。
ただ、ひたすらに。

現実を見ないようにしていたのではないか?

この血生臭いゲームを。
辛く、哀しい戦いを。
何処かで誰かが殺され。
誰かが血を啜り生き残ろうとしている。
そんなゲンジツヲ――
現実を。
見ないようにしていたのではないか。
その代償は、大きかった。
今、持っている「右手」。
それだ。

466 :The Long Goodbye作者:2001/06/29(金) 20:56
 らっちー様、と読者の方へ

 なお、源三郎さんは手近なもので縛って運んできている。

 という表現を1パート目の最後に入れていただけませんか?
 よろしくお願いします。 

467 :悔恨 - 3:2001/06/29(金) 20:56
――嗚呼。
手を失うなら、自分であった筈。
どうして。
彼女は、ただ。
怯えていただけなのに――
―――。
償えるなどとは思わなかった。
だけど。
放っておける筈は無いのだ。
約束した――
「護る」と。
既に護るべきだった人達は失われた。
今は、もう。
彼女だけ。


依然として、彼女はふらふらと歩き続けている。
誰かに出逢ったらどうするつもりなのだろうか。
――ましてや。
それが、マーダーであったなら?
距離は15m――全力で走って何秒だろうか?
―――。
――大丈夫。
護りきれる。
今なら、覚悟があるから。
――そう。
もし、彼女に危害が及ぶなら――

468 :悔恨 - 4:2001/06/29(金) 20:57

――……本当に…忘れちまったのかよっ…!

――聞こえた。
誰かの声。
そして、前を進む彼女もそれを捉えたらしい。
歩く方向を変えた。
進み出す。
そして自分も。
――あの声の主は、誰だ?
心当たりは無い。
少なくとも、彰ではない。
―――。
まぁいい――銃を握る。
汗ばんだ手に、確かな重み。
そうだ。
そうさ。
もし、彼女に危害が及ぶなら――


僕が殺す。



【064長瀬祐介 美汐より15m程後ろにて待機】

469 :名無しさんだよもん:2001/06/29(金) 20:58
>>460
篠塚弥生の死亡放送はまだ流れてないはず。
(前回の放送は>>16

470 :彗夜:2001/06/29(金) 20:59
書きました。
最近祐介達の心理パート書いてばっかだぁー

いつも暗いからウケが悪そうじゃ。

471 :The Long Goodbye作者:2001/06/29(金) 21:15
挟まれてしまった……。申し訳ないです、彗夜氏。

>>469
 おいらも最初放送はマダだと思ってたけど、弥生さんの名前が入ってる……
 あっ! これ生存者の表じゃんか!!  ゲーック!!
 一気に進化しちゃいたいくらいヤッ、ヤヴァ、ッダー!!

 どうしよう……。取りあえず以降の議論は感想審議スレにて。
 

472 :昼日。:2001/06/29(金) 22:58

「――はぁっ」

――勝った。
汗だくになりながら、しかし――何処か、爽やかそうな顔で、にこりと微笑む耕一を見て、
ああ、勝ったのだなあと、そう思った。
この島の、おそらく最大の強敵は、これで潰えた。
「疲れたあ」
ばたりと、僅かに残った芝に倒れ込む耕一を見て、彰も笑った。
そして、彰も横に並ぶ形で寝転ぶ。
「まだ、終わった訳じゃないけど」
自分たちの力で、おそらく、この島最大の脅威を――うち破った。
傷つきながら、それでも、誰も死なないで。
頭がくらくらし、身体の各部が痛むのは事実だが――だが、彰はまだ、生きている。
それは幸運な事だった。
「取り敢えずは――先に進むか、どうするかは考え物ですけどね」
「ああ。皆傷つきすぎているからな。だけど――」

「――長かったよな、彰」
「ええ……きっと、帰れます、――いえ、絶対帰ろう、――耕一」

見合って、二人は微笑った。
二人は拳を高く、天に向けて伸ばした。
そして、その強く握られた互いの拳を合わせ、互いの健闘を称えながら――
微笑った。

空は青い。
どうしようもなく青い。
真っ白に昇る雲、
そして、
さんさんと輝く太陽。
二人の身体を照らす光、それは――人の夢。

473 :昼日。:2001/06/29(金) 22:58
最初に声を発したのは、七瀬の方だった。
膝立ちで見上げる形で、そこに屹然と立つ晴香を見て。
「――久し振り」
少しだけ皮肉を込めて。
「ええ」
晴香も負けてはいない。
腕を組んで、少し不機嫌そうな顔で。
「まだ生き残ってるとは思わなかったわ」
「減らず口を叩くわね、あんたも」
「――あんたに殴られた頬、まだ痛いのよ」
「へえ? あたしはこれでも手加減したつもりだったけど? あたしはもう全然痛くないわっ」
乙女よ、あたし。七瀬は云う。
「あんたの何処が乙女なのよっ!」
「どこからどう見ても乙女じゃないっ!」
七瀬は少し肩を怒らせて、はぁ、と呟く。全然判ってないわ、あんたっ!

少しの間をおいて――
「――冗談よ。互いに生き残っていて、良かった」
晴香は、そう云って笑った。
「――うん。あんたの顔なんて見たくもなかったけど」
七瀬も、笑った。
「それでも、会えて嬉しかったよ」
晴香も頷く。

別れた時に、二人の横には、大切な友達が、それぞれいた。
そして、今はいない。
けれど、二人は――その事を、詮索するつもりはなかった。

そんな言葉は、今は要らないと思ったから。

474 :昼日。:2001/06/29(金) 23:01
「(´Д`)せ、蝉丸〜」
――これは悲しげな表情なのか?
お面をつけたままの――女の子? が、連れの青年――蝉丸と云ったか――の横でおろおろしながら、
悔しげな声を漏らすのを聞きながら――柏木初音も、小さな溜息を吐いた。
「(´Д`)どうしよう、どうしよう、蝉丸ぅ〜」
「――くぁっ」
青年は、腹から多量の血を流しながら、呻き声をあげている。
ナイフで刺された傷は、思った以上に深い。
「(TДT)蝉丸、死ぬな、死ぬなぁ〜」
彼女は、涙を流しながら――って、あれ? お面の形が変わってる? 何で?
と、ともかく、彼の横で狼狽える。
初音は自分と同じくらいの年代の少女を、なんとか宥めようと思い、
「大丈夫だよ、大丈夫! わたし、街からお薬一応持ってきてるし、包帯も持ってきたんだ」
と、鞄の中から、タオルと包帯、傷薬といった、応急用の医療セットを取り出すと、
その真っ白なタオルで、あふれ出る血を拭おうとする――
「ち、近付くな!」
突然、その青年が大声を上げる。
思わず初音は飛び退いて、すぐに疑問の言葉を投げる。
「ど、どうして?」
「と、ともかく――その布を貸してくれ、自分でやれる」
青年は、――心の底から焦ったような顔で、そう呟いた。

血を拭いている内に――意外にも早く血は止まった。
「あ、包帯くらいは巻きます」
と、今度こそ初音は包帯を手に取る。
「(TДT)ありがとぅ〜、あなたすごくいい人〜」
「すまない、少女」
「ううん」
初音は微笑みながら、ガーゼを当て、包帯を巻き付け――

475 :昼日。:2001/06/29(金) 23:02
「よし、これで終わり!」
「(TДT)う、うわああああん、ありがとう〜、ありがとう〜」
泣きわめく――お面? を見ながら、初音はくすり、と笑った。
だが、笑ってばかりもいられない。彰も、七瀬も、皆傷ついている。
自分は戦えなかった、だが、こういう役は、自分の仕事だと思うから。

「(TДT)わたしよりずっと小さい女の子なのにー、わたしよりずっとしっかりしてるー」
「本当だな、すまない、幼い少女」
……初音は、ほんの少しだけ、ムカっとした。
「(TДT)どうしたの?」
どうもしませんっ!

そこへ、耕一の肩を借りて歩いてくる彰と、二人の誇り高い少女が、焼け野が原から現れた。
「初音ちゃん、大丈夫だった?」
――初音は笑って、頷いた。
自分はとても弱くて。
それでも、空はあまりに美しく。

すべては美しく。
それはとても、晴れた日で。

そして――この戦いを生き残った、七人の戦士達は――相談の末、街に戻る事にした。
これからどうなるかなど判らない。
けれど、いずれにせよ、その物語は――強い人間たちの物語。


【七人が街へ向かう直前の、補完として。……長瀬源三郎をどうしたかは、やはり次の人に……】

476 :The Long Goodbye作者:2001/06/29(金) 23:04
らっちー様、と読者の方へ。
 ……修正終了しました。

このスレの『 460 : The Long Goodbye_3 』 を
感想スレの『 598,599 』に入れ替えた上で、
感想スレ『 597 』を反映して下さい。
更に、このスレの『 466 』の要求は取り下げます。
(源三郎は次の書き手様次第ということになります)

 ご迷惑をおかけしました。
(らっちー様、よろしくおねがいします)

477 :DEAD OR ALIVE(後編)1:2001/06/30(土) 00:27
(なんの…ことだ…?)
頭が――痛む。胸が――締めつけられる。
(俺は――どうしてここにいるんだ…?)
北川が、祐一を睨みつけて。
(俺は――)

――7年前、心を閉ざしたあの、冬の日の赤。

――そして、今、俺は何を……?

『ゆう…いち…』
――まこ…と…?なんで…倒れて…

名雪と、秋子さんの姿がゆっくりと重なって――赤くなって…

そして、亜麻色の髪のおさげの少女――

「えっ…えっ…?」
胸が、痛む。上手く、息ができない。
「どうしても…駄目なんだっ…なんでだ…北川っ!!」
「相沢……」
「思い出したくてもっ…痛い…教えてくれっ…ここは…どこだっ!」
「……」
「俺は…何を探してるんだっ…あゆ?名雪?真琴?栞?舞?それとも――」
「……」

478 :DEAD OR ALIVE(後編)2:2001/06/30(土) 00:28
「教えてくれっ!北川っ!!」
北川の、肩を強く掴んで。
「……」
北川は、そこで初めて祐一から目を逸らす。
「それだけは、駄目だ。お前が、自分で思い出さなきゃ、駄目だ」
「……俺が?」
「俺にはお前が何をしていたか…何でそうなっちまったのかは分からない。だけど…」
北川が、再度、祐一に向かい合う。今度は、睨みつけるではなく、真っ向から、真剣に見つめる。
「それだけは――お前が自分で思い出さなきゃ駄目なんだ!」
「き…たがわ…?」
祐一の、胸が締め上げられる。
「おれは…」


ガサッ……


「なんだっ?」
ここから割と遠くない茂みが、作為的に揺れた。その音が潮騒の音に紛れて響く。
(誰か来るっ!!)
声をひそめ、祐一を半ば無理矢理的に座らせる。
(レミィ、下がれっ!)
運んでいたバッグから、銃――コルト・ガバメントを取り出しながら北川が囁く。
(ラ、ラジャーです!)
レミィもまた、刀を取り出して、揺れる茂みの逆方向へと移動する。
「な、なんだ…どうした北川っ!?」
(しっ…声を立てるなっ…顔もあげるな…じっと伏せてろ…今は黙って従ってくれ…もし敵なら…)
――敵?敵だって?今、北川は敵…と言ったのか?

479 :DEAD OR ALIVE(後編)3:2001/06/30(土) 00:28
(なんだ…一体…それ…銃…!?)
(もう、四の五の言ってる暇はない…一度しか言わないぞ…これは…殺人ゲームだ…死にたくなかったらお前も隠れてろ!)
(えっ?えっ?)
祐一の手に投げ渡される銃――里村茜の持っていたサイレンサー付きの銃だ。最も、今の祐一はそれを知る由もないが――

この三日間、北川が会った人物は三人。
まだ、殺人ゲームだということを認識できなかった頃に、宮内レミィ。
レミィと立て篭もった小屋に詰問してきた、信頼できる親友、相沢祐一とそのお供椎名繭。
いずれも、北川がなんらかの理由で心を許せる相手だけだった。

浩之から始まって…数多くの死体を見てきた。
それは、北川に殺人ゲームだと認識するに充分な現実。
護をはじめ、数多くの知り合いが死んだと告げられた事実。
そして――もう繭を除けば北川にとって、もう生き残りの中に心を許せるような知り合いは――いない。
(今まで誰にも遭遇しないことのほうがおかしいんだよな…)
結論、今、向かってきている人物は、ゲームに乗った敵である可能性が、高い。
そうでなくても、生きる為に殺す――と結論付けた奴だっていてもおかしくない。
最初から下手にフレンドリーに近付いて、いきなり撃たれて殉職――なんてたまったもんじゃない。
(そうでなくても…レミィと、状況を把握できてない相沢がいるんだ…)
慎重に、相手を探る。

ガサガサ…さらに茂みが揺れた。

480 :DEAD OR ALIVE(後編)4:2001/06/30(土) 00:30
(なんだ…今、北川は敵…といったのか?…それに…北川の持つ銃とこの銃…本物じゃないのか!?)
「動くな…誰だっ!!」
祐一の混乱が覚めやらぬ内に、北川は揺れる茂みと対を成す木の陰に移動し、そう呟く。
「……っ!?」
驚いたような声。
その声が、女だということが認識できる。
「こっちに、攻撃意思はない…分かるかっ?」
チラリ……
意を決して、木の陰から片目を出す。
(って、うちの学校の生徒じゃないか…しかも一年?)
一瞬で見て取れた。見慣れた学校の制服。リボンの色は間違いなく一年生のものだ。
それよりも…胸に抱いた右腕が――脳裏に一瞬で焼きついた。

「あまの…天野じゃないか!」
突如、叫びながら祐一が立ち上がり、天野――と呼ばれた女生徒に駆け寄った。
「お、おい、相沢……!」
北川の隠れる木の横を通り過ぎ、前へと踊り出る。
「……あい…沢さん…?」
女生徒の、少し震えたような声が漏れる。
「相沢の…知り合いか…」
初めての敵との遭遇…と思われる事態に、大げさに神経質になりすぎていたのかもしれない。
(少し、軽率だったかもな…)
北川は、頭を掻いた。
「ふう…」
伏せていたレミィにも、安堵の表情が宿る。

481 :DEAD OR ALIVE(後編)5:2001/06/30(土) 00:30
頭が…ひどく痛む。
頭の中におぼろげに浮かぶ戦慄のイメージ。
血に染まった、赤。いつか見た光景。

――ゆ、祐一、大丈夫?この子が悪いんだよ!祐一を殺そうとしてたから…――
――でね、途中で『みゅ〜』て言ってばっかりの女の子に会うの。
  その子はまだ子供だから、まことはその子のお姉さんになってあげたの。
  木の実をあげたり、変な人に襲われたときは真琴が守ってあげたりしたんだから!――

「天野っ……!!」

張り裂けそうな赤――そしてかすれる声。
「天野……まこと…は…?」
気が付いたら、口に、ついていた。その名を。
「いやっ…!!」
「それに…その右手…おい…天野っ…!!」
女生徒の様子が、おかしい。
「おい、相沢…?天野…さん?」
先程、祐一が口についた名を、北川も口に出す。
その女生徒は、明らかに――何かに怯えていた。

482 :DEAD OR ALIVE(後編)6:2001/06/30(土) 00:32
美汐の足が、一歩、二歩、と後ろへ下がる。
「いや……入ってこないで…」
ガクガクと足を震わせながら、美汐が声をしぼりだす。
「天野…まこと…は…?」

――まこと…いやっ…まことはもう…いないの…
――悲しい…つらい記憶…

「それに…その右手…おい…天野っ…!!」

――わたし…の…みぎて…もう…ない…の…?

――わたしの中に入ってこないでっ…!
――これ以上私を壊さないでっ!!

「いやっ…!」
「天野っ!」
祐一が、美汐の肩を掴んで、揺さぶる。
こんな、美汐の取り乱した…錯乱した姿に、祐一もまた取り乱していた。
「おいっ、相沢、落ち着けっ!!」
北川の声が、遠くで聞こえる。
「いやっ!!」
「天野っ…」
祐一の手を振り解いて、その勢い余って背中からその場に倒れる。
「天野…一体…」

ガサッ…

一瞬だった。

483 :DEAD OR ALIVE(後編)7:2001/06/30(土) 00:33
今度は、誰も気付かなかった。
バキィッ………!!
ただただ、祐一と美汐のやりとりに目を奪われていただけだったのか…
それともそうでなくても気付かなかったのか。
それほど…唐突に、祐一が派手に吹き飛んだ。
「ガッ……!!」
北川が、祐一を殴りつけた時よりも、数倍あたりに大きく響き渡る音。
「……相沢っ!?」
倒れた祐一と、その逆に位置する男の影。
「……」
(誰だっ!?)
右手で銃を水平に構え直しながら、北川が呻いた。
背中を向けたまま――美汐と正面に向き合ったまま…と言ったほうが正しいのかもしれない――
ちらりとこちらを見やる男。年の差は北川達とそう相違無い。
「いきなり…なにすんだあんたっ!!」
その男の目は、どこか異常な、何かを感じさせる目で。
(なんだ、こいつは…こいつはゲームに乗った奴なのか!?)
男が手に武器を持っていないことを確かめながら、ぐるりと回りこんで祐一の方へと向かう。
銃は構えたままに。
(それに…なんだあの手はっ…!)
武器こそ手にはしていないが…右腕に携えられている袋のそれは…
(人間の…手!?)
それに気をとられた時、きらりと何かが光った。

484 :DEAD OR ALIVE(後編)8:2001/06/30(土) 00:34
「えっ…?」
「ジュン!!」
レミィの叫び。
(なんだっ……?)
本能的な恐怖…北川の、右腕の周りにまとわりつくそれ。
右手から、超高速で伝染する、圧倒的な恐怖。
「うわあああっ!」
レミィの叫びがあったとはいえ、それを感じ取れたのは北川にとって幸運であったのかもしれない。
ゾリッ……!!
勢いよく手前に引き抜いた右手から、鮮血が迸り、その場を赤く照らした。
「ぐぅっ!?」
ただ、熱い…という感覚と共に、北川が後ろに一歩、二歩とよろける。
カラカラッ…
その感覚で取り落としてしまったたコルト・ガバメントが男の足元にまで滑って止まる。
空中に残るその日の光に輝く糸を、男が手前に引き戻す。
赤く垂れる血と共に、何か長い布みたいなものが巻きつくように付着していた。
「痛ぇ…」
それは、北川の右腕の――皮。

485 :DEAD OR ALIVE(後編)9:2001/06/30(土) 00:35
なに…今の…祐介さんが…右腕を…刈ろうと…
祐介さん…?

狂気が、電波が、伝染する。

私の右手…その男の人の右手…あなたが持っている右手…

私も…刈るの……!?

思考の混乱の最中、祐介が薄く笑った気がして……

「いやあああああっ!!」

その場から…逃げた。
そうしないと、信じていた何かが、壊れてしまいそうだったから。

486 :DEAD OR ALIVE(後編)10:2001/06/30(土) 00:37
「……」
男が足元に転がってきたコルト・ガバメントを拾い上げ、構える。
祐一にでなく、北川にでもなく、宮内レミィに。
「…!!」
北川が、横目でレミィを見やる。
「……」
先程まで持っていた刀ではなく、銃――電動釘打ち機――を両手に、狙いを定めている宮内レミィの姿があった。
「や、やめろっ…」
右腕の痛みをこらえながら、北川が叫ぶ。
その時……

「いやあああっ!!」

沈黙を守っていた美汐が、来た道の方向へと駆け出した。
「………!!」
男が、一瞬そちらに気を取られる。
「フリーズッ!!」
ビシュッ…!
五寸釘が、勢いよく発射される――が、男は瞬時に転がってそれをかわす。
確認してから転がったわけじゃない。まさに刹那の出来事だった。
「……!!」
転がったそのままの勢いで起き上がると、ゆっくりと、こちらに銃を構えながら、後退していく。
「フリーーズッ!!」
レミィの再三の叫びにも止まらずに、男は銃を構えたままに奥へと消えていく。

やがて、その姿が木々の間に見えなくなった頃、全速力で駆け出していった。
美汐の、消えた方向へ――と。

487 :DEAD OR ALIVE(後編)11:2001/06/30(土) 00:39
「ジュン!ユーイチ!大丈夫?」
レミィが、心配そうに二人を眺める。
「あ、ああ、大丈夫だ…心配しないでくれ…」
と言いつつも、右腕の肘から先…手首までの部分が真っ赤に染まっていた。
(皮が…ほぼ全部持っていかれてやがる…いちち…)
ビリビリッ…自分のシャツを左腕で勢いよく破ると、それを右腕に巻きつけ、縛る。
「北川…なんだ…今のは…?」
殴られた頭を激しく振りながら――祐一の戸惑いの声。
「分からん…たぶん…ゲームに乗ってしまった奴なんだと思うが…」
きつく、強く縛りながら北川。
傷こそひどいが、出血はさほどでもないらしい。縛り上げたシャツが真紅に染まるまでには到らなかった。
「ゲームって…なんだよ…」
「……」
右手の具合を、強く握ったり開いたりして確かめながら、黙ってその言葉を耳に通す。
「殺人ゲームって…この銃はなんだっ!真琴は…真琴は…死んだ…のか?」
先の祐一の、頭の中に浮かんだイメージは、それだった。
「……」
ただ、何も言わず、祐一を見つめる。
かけるべき言葉は、見つからなかった。
「ふざけるなっ!殺人ゲームなんて…ふざけるなよっ!!馬鹿野郎!!」

488 :DEAD OR ALIVE(後編)12:2001/06/30(土) 00:40
「相沢…」
「うるさい!俺は…俺はみんなを探す!北川、手伝ってくれ!」
「……」
それにも、答えることができなかった。
「ユーイチ……」
「なんでだ…なんで黙ってるんだ?まさか…みんな――なんて言わないよな!?」
「…相沢…」
「くそっ、俺は…俺だけは…みんなを探す…きっと生きてるっ!当たり前じゃないかっ!
 あゆも、名雪も…真琴も、舞も…栞も…佐祐理さんも…みんなみんなっ…!!」
「おい、相沢っ!!」
突如、祐一が駆け出した。森の向こうへ向かって。

「そして――もっ!!」
降り続く雨の中、空き地で待つあの寂しい瞳の少女も…
だけど、その彼女の名前と、その姿だけは、もやがかかったように思い出せなかった。


「ジュン!」
レミィが、手荷物を片手に叫ぶ。
「分かってる…今のあいつを一人にはできないだろ!」
左手でバッグを下げ…傷ついた右腕で大口径マグナムを構えながら。
北川達もまた祐一の消えた方向へ向かって走り出した。

489 :DEAD OR ALIVE(後編)13(ラスト):2001/06/30(土) 00:41
――僕もまた狂っているのだろうか――

天野さんを守るために…
ためらいもなく他の参加者に手をあげる…

いや、ここに来た頃は最初から手をあげていたじゃないか…
それは、狂っていたとは言えないのか?

あの時は、叔父に会うため、そして生きるため…大切な…漠然とした何かを守るために…

そして、今は、もう近づく資格などない僕が、それでも天野さんを守るために。
大切な、形あるものを守るために。


いいじゃないか。昔から狂っていたとしても。
いいじゃないか、たった今、狂ってしまったとしても。

僕が狂うことで大切な、本当に大切だと言える人を守れるなら、それでいい。
守りきれるなら、狂ってしまってもいい。
僕の、選んだ道だから。

――ああ、電波が心地いい。



【相沢祐一 サイレンサー付きの銃入手】
【長瀬祐介 コルト・ガバメント入手】

※美汐は祐介が追ってます。祐一は北川が追ってます。
※祐一、美汐共にかなり混乱してます。
※お互いに追いつくかどうかはまかせます。

490 :名無しさんだよもん:2001/06/30(土) 00:45
祐介がいきなり手を挙げたのは意外だったけど、いい感じだと思うるれ。

491 :逃亡者:2001/06/30(土) 02:04
嘘だ!嘘だ!嘘だ!
みんな生きてる!そうに決まってる!

俺はただひたすら走った。
後ろから聞こえてくる北川の声が遠くなっていく。

周りの景色が無くなっていく
聞こえるのは自分の息と足音
感じるのは手に持った銃の重み
頭の中はぐちゃぐちゃで
まともなことは何一つ考えられない
浮かび上がってくるイメージ
−−口から血を流す真琴−−
−−血に塗れたナイフを持った名雪−−

違う!違う!違う!
認められない!認めるわけにはいかない!認められるわけがない!

だから俺は走る。
余計なことを考えないために。

不意に視界が戻った。
気がつけば地面に倒れ込んでいた。
体を動かそうとしても指一本動かない。
俺はゆっくりと目を閉じた。
次に目を覚ましたときにいつもの目覚ましの声が聞こえてくることを願って。


「結花〜、この人まだ生きてるよ!」

【相沢祐一 気絶】
【江藤結花 来栖川芹香 スフィー 相沢祐一を発見】
※祐一は銃を持ったまま気絶してます
※祐一を3人がどうするかはお任せします。

492 :名無しさんだよもん:2001/06/30(土) 02:08
そろそろ移行です。このスレの容量限界を超えない内に。

493 :愛の消毒大作戦(1):2001/06/30(土) 02:50
 世界がぐらりと歪んだ。
 足が、パタリと止まった。
 視界からは、相沢祐一の姿が消えていた。
 目の前には、黄色い髪の、女の子。
 心配そうに、俺のほうを覗き込んでいた。

「ダイジョウブ?」

 彼女、宮内レミィはそう言ってるような気がした。

「あぁ、俺は大丈夫だ」

 なんて強がって答えようと思ったけれど……ダメだ。
 息が、苦しい。
 手が痛い。
 腕は、真っ赤、だ。
 握っていた、マグナムが、地面に落ちた。
 どさり、と音がした。
 大丈夫じゃないな、俺。
 心の中でそう呟いた瞬間、北川潤の意識は落ちた――。

494 :愛の消毒大作戦(2):2001/06/30(土) 02:51
 目がさめると、柔らかいものの上に、俺ははいた。
「ジュン!」
 レミィの顔が目の前いっぱいにあった。
「おわっ!」
 少し驚いた。
「ジュンが目を覚ました! ワタシとってもウレシイ! ジュン! もう起きないかとおもったよー!」
 どうやら、俺はレミィの膝枕で眠っていたらしい。
 流石にこのままだと、恥ずかしいので立ちあがろうとした。
「ジュン、ダメだよ! もうちょっと寝ていなきゃ!」
 眉をつりあげ、レミィは言った。
 とりあえず、今は言うコトを聞いていたほうがよさそうだ。
 というか、ホントは動けなかった。
 ケガをしていた右腕を見た。
 腕には葉っぱが茎でまきつけられていた。
 レミィがやってくれたんだろう。
「レミィ、これありがとな」
 腕を指差して、北川は言った。
「エヘヘ……これが限界だった」
 レミィは、少し照れて、笑った。
「十分だ。レミィがやってくれたんだからな」
「一応、化膿しちゃダメだから、消毒しといたヨ……」
 レミィは顔を赤くして、言った。
 と、消毒?
 ここにはオキシドールもヨードチンキも、赤チンもない。
 ってことは……。
 頭の中で考えると同時に、北川の顔も赤くなった。
 「それじゃぁ、ちょっと水くんでくるヨ!」
 そう言ってレミィがさっと立ちあがった。
 ゴスッ
 頭が地面に落ちた。
 物凄く、痛かった。
 腰から上だけ、上体を起こして、俺はレミィが帰ってくるのを待つことにした。

495 :名無しさんだよもん:2001/06/30(土) 03:16
容量の都合により、新スレを立てます。
移行準備に入るため、新たな話はお控え下さい。

496 :名無しさんだよもん:2001/06/30(土) 03:28
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=993838953
移行お願いします。

497 :名無しさんだよもん:2001/07/02(月) 00:24
あああああああああ^〜〜〜〜〜っ!!
マンセーマンセー〜〜〜〜〜!!

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