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Leaf&Key仮想戦記〜永遠の遁走曲篇〜

1 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 20:46
これまでのあらすじ↓ 〜誰彼の葉鍵編〜
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=974402008

2.14事件の激動に揺れるLeaf。
自らの欲望に燃えkeyに潜入した中尾はやがて真実の自分を見出す。
混乱と危機を乗り越えた麻枝といたる。
しかし、彼らを取り巻く状況は平穏な日々を許してはくれなかった。
Leafの裏に潜む黒い闇。雌伏の時を経て立ち上がりつつある群雄達。
各地で繰り返されるざわめきはやがて大きな流れとなろうとしていた。
そして、彼ら二人の前から姿を消した「あの男」は。

『Leaf&Key仮想戦記』第三部

 〜永遠の遁走曲篇〜 開幕

2 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 20:50
駄スレ

3 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 20:51
お迎え

4 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 20:53
新スレおめでとうー!

5 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 21:18
過去ログへのリンク。

2chリレー小説回収HP
http://nanasei7.tripod.co.jp/
leaf vs key リレー仮想戦記
http://mentai.2ch.net/leaf/kako/964/964619112.html
新 leaf vs key リレー仮想戦記
http://mentai.2ch.net/leaf/kako/967/967742444.html

6 :a little step:2001/05/15(火) 21:21
「たまには、こうやって女だけで飲むのも悪くないと思わない?」
 しのり〜の言葉に、みらくる☆みきぽんが相槌を打つ。
「そうでしゅよ、しのり〜の言うとおりでしゅ。皆働きすぎでしゅ、息抜きも必要でしゅよ」
「でも……どうして私の部屋でなの?」
 まるで自分の家のように上がりこみ、座布団を引っ張り出して腰を下ろしている二人に、
樋上いたるは疑わしげに問いを発した。みきぽんがそれに応える。
「しのり〜が家に来ると、ハムスターが怯えるんでしゅよ。きっと食べられると思ってるんでしゅね」
「そんな訳ないでしょっ。でも、あたしがみきぽんのハムスターに嫌われているのは本当なのよ。
あたしの部屋はちらかっていて、とても三人も座れないし」
「だからって、何も私の部屋でしなくっても……」
 なおも不満げないたるに向かって、からかうようにしのり〜が言う。
「別にいいじゃない。それとも、何かあたし達が来るとまずいことでもあるのかな?」
「そうでしゅよ、いつものいたるちゃんならそんな酷い事はしないでしゅ。きっと隠し事があるんでしゅよ」
「長年の仕事仲間に隠し事とは穏やかじゃないわね。ちょっとみきぽん、家捜ししてみて」
「らじゃ〜」
 そう言って、みきぽんはごそごそと部屋を漁り始めようとする。
「ちょ、ちょっとやめてよ。何にも隠してなんかないよ」
 ベッドの下に手を突っ込んでいるみきぽんを、いたるは慌てて取り押さえた。
「うげごげ」
 いたるに押し倒されて、みきぽんはもがいている。そんな二人を微笑ましげに見ながら、しのり〜
はいたるに言う。
「なら構わないじゃない。ほら二人とも座って、楽しく飲みましょうよ」
 いつのまにか、座布団がもう一枚床に敷かれていた。諦めたようなため息をついて、いたるはそこに
腰を下ろした。いたるから解放されたみきぽんも、跳ねるように残りの座布団に飛び移った。

7 :a little step:2001/05/15(火) 21:22
「それにしても、あんたの部屋っていつ来てもまるで同じね。少しは変わったことはないの?」
 既に空になったビールの缶が数個、床に転がっている。さらに缶ビールのプルタブに指を掛けながら、
しのり〜はいたるに向かってそんなことを言う。缶ビールに口をつけたまま、いたるは応えた。
「変わったことって、何よ」
「例えば、彼氏ができたとか」
 ぶっ!
 いたるの口からビールが逆流し、外に飛び散った。しのり〜は立ち上がって飛び散る飛沫を躱す。
「ちょっと、ビール吹かないでよ。掛かりそうになったじゃない」
「し、しのり〜が変な事言うからでしょ、もう……」
「別に変な事は言ってないじゃない。あんたに浮いた話の一つや二つあっても、全然おかしくないでしょ」
「そうでしゅよ、妙齢の婦人に艶聞の一つもないのは逆に不審でしゅ」
 既に頬に紅が差しているみきぽんがしのり〜に同調する。
「確かにそうかもしれないけど、私には何にもないよ。特に興味もないし」
「ふ〜ん、そうなんだ。興味がないんだ」
 からかうようなしのり〜の口調に、少しむっとしたいたるが言葉を返す。
「それ、どういう意味よ」
「やっぱり彼に比べると他の男の子が馬鹿みたいに見える?」
 どぱぺぶっ!
 再び飲もうとしていたビールを勢いよく吹き出した。しのり〜は飛び上がって襲い掛かる飛沫を躱す。
「だから、ビール吹かないでよ。あたしは掃除しないわよ」
「な、な、なんてこと言うのよっ! 麻枝君は関係ないでしょっ!」
「あら、あたしは『彼』と言っただけで『麻枝君』とは一言も言ってないわよ」
「な、な、な、な」
「どうしたんでしゅか、顔が真っ赤でしゅよ」
 アルコールが回り、酩酊しつつあるみきぽんがいたるを心配する。
「酔っ払ってるからよっ」
 わなわなと拳を震わせ、いたるは荒げた声で応えた。対照的に悠然としたしのり〜がいたるをなだめる。
「まぁまぁ、そう大声出さないで。もう変な質問しないから」
 そう言って、しのり〜は飲み干したビールの缶を床の上にまっすぐに立てて置いた。

8 :a little step:2001/05/15(火) 21:23
 やがて夜も更け、外を走る車の排気音もまばらに聞こえるばかりになった。しのり〜の前には空になった
無数のビール缶が立ち並んでいる。ビールを飲み尽くしたしのり〜は、グラスにどぼどぼと日本酒を注ぎ、
あおるように飲んでいる。ふと目を遣ると、みきぽんが前後不覚に床の上に倒れ伏していた。
「こんな所で寝ると風邪引くわよ。ねぇいたる、あなたのベッドで寝かせてあげてもいい?」
 既に意識の無いみきぽんをひょいと抱き上げながら、いたるに言う。
「うん、構わないけど」
 ぼぉっとした様子で天井を見上げていたいたるは、しのり〜の言葉で我に返り、応えた。
「ありがと」
 しのり〜はそう言って、みきぽんをベッドの上に寝かせ、シーツを肩まで掛けてやった。ベッドの中で
みきぽんが寝息を立てているのを確認すると、座布団に再び腰を下ろし、酒の満たされたグラスを手に取った。
そのまま喉に流し込むように飲み干し、空になったグラス越しに天井の光を眺める。
 グラスの曲面で偏向した蛍光燈の灯りが歪んで見えた。
「みきぽんが潰れるのって、めったに見ないよね」
 ベッドで寝息を立てているみきぽんを見ながら、いたるは言った。しのり〜もベッドを振り返り、応える。
「普段はあんまり飲まないからね。弱いの分かってるし」
「しのり〜と比べたら、皆下戸になっちゃうね」
「人を酒豪みたいに言わないでよ。あたしはそんなに強い方じゃないわよ」
「この状態を見て、しのり〜がお酒に弱い、と思う人はいないよ……」
 しのり〜の目の前には数え切れない程のビールの空き缶と、数本の一升瓶が立ち並んでいた。
しのり〜は中味の残っている瓶を手に取り、グラスになみなみと満たす。グラスの縁のすぐそこまで注がれた
透明な液体の表面が、微かに揺れていた。
「しのり〜」
 グラスを口元に運び、再び酒をあおろうとするしのり〜の名を、いたるは呼んだ。
「ん? 何?」
「ありがとう」
「礼ならみきぽんに言いなさい。三人で飲もう、って提案したのはみきぽんよ」
 グラスを口から離さずに、しのり〜は応えた。下戸のみきぽんが自ら酒宴の提案を行なうことなど、普通
あり得ない。下戸の人間にとって酒宴は苦痛の場だからだ。それを敢えて自ら言い出したみきぽんの気遣い
が心苦しかった。

9 :ナナツさんだよもん。:2001/05/15(火) 21:23
新スレおめでとう。お疲れ様です>>1さん

で、移行早々なんなですがちょっと企画を考えてます。
11月にオマエモナ02という2ちゃんオンリーが開催されるのですが、
それに個人で参加してみようかと。

発行物は葉鍵板的スタッフファンブック、
仮想戦記&葉鍵ロワイアル中心のいわば入門編的同人誌です。
ネタ本です。中身はまだ具体的に詰めてませんが、
許可がいただければスレッド内文章の一部転載などがありえます。
あとは番外編ですとか、年表だとか、そんな感じで。

発行は半年後の話なので、現状が大きく変化する可能性もありますが、
協力者の方が多ければ多いほど濃い中身になると思います。
借りられれば掲示板も借りてきますんで。

なんかやってみるかという強者な方いらっしゃいましたら
nanatsu@24h.co.jpまでご連絡下さい。

新スレ早々告知レスですみません。
今後の作品の方、期待しています。

10 :a little step:2001/05/15(火) 21:24
「やっぱり、分かるのかな」
「当たり前でしょ。毎日顔付き合わせてるんだから。知らぬは本人ばかり、ね」
 しのり〜の口調は呆れてはいるようだったが、嘲りの色は無かった。グラスを床に置き、しのり〜はいたる
に語り掛けた。
「何考えてんのかなんてバレバレなんだから、さっさと吐き出しちゃいなさいよ。あんたが暗いままだと、
皆困るんだから」
 微笑みながら語るしのり〜の視線を外すように、いたるは俯いて自分の膝元に目を落とした。下を向いた
口からぽつぽつと言葉がこぼれ出る。
「結局、戻って来てくれなかったね、久弥君」
 切れ切れな言葉が、しのり〜に沈黙を強いる。俯いたままいたるは言葉を続けた。
「私のせいなんだよ、久弥君が出て行ったのは」
(違う)
 そう、言いたかった。だがそれをしのり〜に言わせない何かが、いたるの言葉にはあった。

 あの日、久弥の見舞いに麻枝といたるが病院に赴いた日のことだった。既に久弥は退院の手続きを済ませ、
東京へ旅立った、と医師は二人に伝えた。すぐに東京へ向かい、久弥を追いかけようとするいたるに、麻枝
はただ、こう言った。
「あいつが決めたんだ」
 その時の彼の辛そうな表情が、今でも忘れられない。そして悟った。彼らをそこまで追い詰めたのは、
自分であることを。自分は安全圏に身を置き、傷つく彼らをただ傍観していたことを。


11 :a little step:2001/05/15(火) 21:25
 彼らは普段は言葉を交わすことも殆んど無かった。仕事上必要でない限り、行動を共にすることもない。
端から見れば冷淡にさえ見える二人の関係だったが、長い付き合いのいたるには事実が反対であることがよく
分かっていた。
 言葉を交わさなければならない友人など、所詮まだ浅い間柄に過ぎないのだ。本当に分かり合えていれば、
言葉になど頼る必要はない。直接に行動を共にする必要もない。冷淡に見える間柄にこそ、真に深い友誼が
成立し得ることをいたるは初めて知った。
 どれほどの人間がそんな友人を得ることができるのだろうか。keyは奇跡的な躍進を遂げ、今や業界屈指
の名声と地位を持っている。しかし、本当のkeyの財産は決して壊れることのない人と人の繋がりにこそ
あることといたるは知っていた。
 麻枝と久弥は互いに絶対の信頼を置き、言葉を交わす必要もない程の強い交誼を結んでいた。いたるは
そんな二人に友人として接されている自分を誇らしく思った。同時に彼らに対して微かにではあるが嫉妬
の思いを抱いている自分に気付き、恥ずかしく思った。

『いたるの所はいいシナリオライターさんがいて、羨ましいね』
 知り合いの原画家に、そう言われたことがある。その言葉にはいたるへの羨望と嘲笑が込められていた。
いたるの原画はそれ自体では到底業界の最前線で戦えない。麻枝と久弥のシナリオがあればこそ、いたる
の原画は受け入れられたのである。
(自分は彼らの枷になっている)
 認めたくはなかった。だが、そんなことはない、と言い切る自信もなかった。
 だからこそ今度は、自分が彼らの助けになりたかった。そうすれば、彼らの友達になれる。一方的に
助けられ、ただ守られるのではない本当の友達になれる。そう思った。


12 :a little step:2001/05/15(火) 21:29
 だが、自分は何もできなかった。
 二人は、本当に仲の良かった二人は追い詰められ、互いを傷つけあった。そして一人は自ら消える
ことを選択した。誰にも語らず、誰にも伝えずに消える道を選んだ。自分がkeyを離れ、独りになることを
想像するだけでいたるは戦慄する。そんなことに耐えられる訳がない。今まで積み重ねてきたものを全て
奪われ、凍てつく荒野に何のすがるものもなく放り出されるのだ。そんな苦しみを友人に与え、平然として
恥じない人間が、どうして自分は血の通った人間だと胸を張って言えるのか。

「麻枝君はずっと苦しんで、久弥君は自分から出て行って、それなのに私は、何もしようとしなかった。
麻枝君と久弥君がどんなに辛い思いをしていたのか、本当は知っていたのに、分かっていたはずなのに。
二人がどれだけ私によくしてくれていたのかも分かっていたはずなのに」
 何度も喉を詰まらせながら、それでも途切れることなく言葉が繋がれていく。
「久弥君は私のことを許してくれないと思う。麻枝君も呆れていると思う。でも、仕方ないよね。
私のせいなんだから。こんな馬鹿で、卑怯で、弱虫で……」
「いい加減にしなさい」
 空気を切り裂くような、凛とした声だった。はっとして、いたるは声の主を見た。毅然としたしのり〜
の視線が自分を貫いていた。
「あんたのやってることはただの自虐よ。『自分はなにもできない、無力な人間だ』って浸っているだけ。
結局は自分の身が一番可愛いのよ、あんたは」
 辛辣な言葉が突き刺さる。拳を握り締め、懸命に堪えた。刃のような言葉が続く。
「あんたは今自分を責めているつもりなんだろうけど、本当は麻枝君と久弥君を侮辱しているのよ。
二人はあんたを友達と思っているのよ。そのあんたが自分で言うような最低の人間だってことは彼らも
最低の人間だってことになる、とは考えないの?」
 怒っていた。しのり〜はいたるに怒っていた。
 申し訳なかった。自分は怒られるに値する人間ではないからだ。

13 :a little step:2001/05/15(火) 21:30
 そしてしのり〜は口を閉ざした。部屋に沈黙が訪れる。いたるは自分の肩に鉛の固まりを乗せられて
いるかのような重圧感に押し潰されるのではないか、と感じた。それほどに重苦しい沈黙だった。
 しのり〜が沈黙を破った。
「大丈夫よ、心配しなくっても」
 打って変わったような、優しい声だった。思わず言葉を返した。
「え?」
「久弥君はあんたのことを嫌ってなんかいないわよ。keyを離れたくらいで壊れるような仲だったら、彼は
初めから友達になろうとはしないよ、きっと。麻枝君もきっとそう思っているのよ。だからあんたが気に
病むことなんて、何も無いのよ」
「そう……かな?」
「まぁあいつらはとんでもなく不器用で、意地っ張りだからあんたからすれば心配でしょうがないんだろう
けど、信じてあげなさい。あんたがそうやっていつまでも湿っぽいままなのが、一番あいつらの嫌がること
なのは分かるでしょう?」
「……うん」
「なら、あんたがしっかりしないと駄目よ。久弥君に『あんたなんかいなくっても、私達は大丈夫』って
言えるくらいじゃないと、彼に馬鹿にされるわよ」
 そう言って、しのり〜は穏やかに微笑んだ。いたるも少しだけ笑った。
「すごいね、しのり〜は」
 ぽつりと呟いた。
「へ? 何がよ?」
 しのり〜は驚いて言葉を返す。
「私なんかよりずっと久弥君のことが分かってる」
 久弥は仕事上の付き合い以外ではkeyのスタッフとも殆んど交流を持とうとはしなかった、
といたるは記憶している。しのり〜とも個人的な付き合いは無かったはずだった。
「遠くから見て、初めて見えてくることもあるのよ。あんたが特に鈍感な訳じゃないわ。それに……」
 そこで言葉を切り、しのり〜はいたるから視線を外した。そして、僅かに自嘲するように呟いた。
「似たもの同士だったからね、彼とは」
 いたるの耳にまでも届かない、殆んど心の中でだけの呟きだった。

14 :a little step:2001/05/15(火) 21:30
「あ〜あ、あたしも眠くなってきちゃったわ。いたる、今日はあんたは床で寝るのよ」
 大きく背伸びをして、しのり〜はいたるに言った。
「それは構わないけど、しのり〜はどこで寝るの?」
 質問するいたるに、いたずらっぽく答える。
「決まってるじゃない、あんたのベッドよ」
「私のベッドにはみきぽんが……」
 いたるのベッドの中で、みきぽんは静かな寝息をたてていた。
「ほらみきぽん、場所空けなさい」
 そう言って、みきぽんを壁際へ蹴飛ばした。
「ごぶるっ」
 奇妙な呻き声を上げ、みきぽんは壁まで転がっていく。頭を壁にぶつけ、暫く頭を抱えていたがやがて
再び健やかな寝息をたて始めた。空いた隙間にしのり〜は素早く入り込んだ。
「今日は楽しかったよ。おやすみ、いたる」
 それだけ言うと、しのり〜は目をつむった。静かに、一言だけを返した。
「うん、おやすみ」

 早朝の開発室にはまだ誰も来ていなかった。下ろされたブラインド越しに朝の光が差し込んでいる。
ブラインドを上げると、東の中空に太陽が強く、でも優しく輝いていた。窓を開け、空気を入れ替える。
春の暖かな風が吹き込み、机の上の書類がかさかさと音を立て、揺れた。吹き飛ばされないように手で
押さえていると、顔に風が直接触れてきた。涼しくて、いい匂いがした。
 不思議と、心が澄み切っていた。
 自分にどれほどのことができるのかは分からないけど、諦めて絶望するのはやめよう。自分にできる
だけのことを、最後までやってみよう。自分には大切な友人達がいるのだから。そんな大切な人達の
ためにも、自分は笑っていよう。
 廊下から足音が聞こえてくる。いつも忙しそうに、早足で歩く彼の足音が。彼が扉を開けたら、私
の方から言おう。朝出会う人が交わす、あのありふれた言葉を。懸命に生きる一日の始まりの言葉を。
 もう一度しっかりと前を向きたいから。その始まりにしたいから。
 足音が近づいて、扉が開く。少し驚いている彼に、私は言う。
「おはよう、麻枝君」
 あなたにとってはそれはいつもの言葉でも、私には初めての言葉だから。

15 :n.n.t.-G:2001/05/15(火) 21:34
新スレおめでとうです。
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=974402008&st=641&to=645
の続きです。本当は前のスレッドに書きたかったのですが、いつのまにか900オーバーしていたので……

ちょっと違うノリで書いてみたかったんですが、やっぱり難しい。

16 :ナナツさんだよもん。:2001/05/15(火) 21:37
>>15
真っ只中に割り込んですいませんでした…(鬱
しのり〜嬢がいい女ですね。秘めた内心がぐっと来ます。
相変わらず好きですわ。良い。


あ、>>9でファンブックの告知やってます。
興味持った方はよければ連絡下さい。

17 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 21:44
うぉ〜。良いっす!>>14の最後の一行がまるで詩みたいで素晴らしい。
いたるちん、みきぽん、しのり〜、の女の友情が伝わってくる良いエピソードでした。

18 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 21:48
>>16
ファンブックの方も期待してますので頑張ってください。
これだけ続いてる名スレッドなら良いネタ出せそうですし。

19 :n.n.t.:2001/05/15(火) 21:51
>>16
責任取って、ちゃんと収録してね(はぁと)
前のスレッドの俺が書いた奴(のんきな父さん・n.n.t.名義)も全権委譲しますので
よかったら収録してやって下さい。

20 :名無しさんだよもん:2001/05/15(火) 21:56
このスレ的設定だとしのり〜ってだーまえに惚れてるんだっけ?
細かい伏線が活かされてると面白くなるよな。感服。

21 :ナナツさんだよもん。:2001/05/15(火) 22:33
http://green.jbbs.net/movie/568/jigen.html

掲示板借りてきました。
HP知識無いんでおっつかっつですが同人誌関連の話はこっちでー

22 :名無しさんだよもん:2001/05/16(水) 14:42
おっつかっつって何??

23 :名無しさんだよもん:2001/05/16(水) 19:32
>>22
おっつかずの間違いじゃないか?

24 :解説君:2001/05/16(水) 19:36
>>22
【おつかつ】

 「おつかつ」あるいは「おっつかっつ」ともいう。
五分五分というか、どっこいどっこいというか、互角というような意味である。

この言葉の語源、「おっつかっつ」が元と考えれば、「さしつさされつ」
「ゆきつもどりつ」「くんづほぐれつ」のように、
動詞連用形に「つ」の付いた並列であろう。

25 :解説君:2001/05/16(水) 19:38
ttp://kuzan.f-edu.fukui-u.ac.jp/menicuita/kotoba_i.htm
からの引用でした。

26 :名無しさんだよもん:2001/05/16(水) 19:54
へぇ〜初めて聞いたよこの言い回し…
ひとつ勉強になったよ、サンクス!>>24

……でも意味通ってないよね…(笑

27 :ナナツさんだよもん。:2001/05/16(水) 20:26
「いっぱいいっぱいですが」みたいな意味で書きました…(笑)
うわ、ダメじゃん。

28 :名無しさんだよもん:2001/05/17(木) 01:31
にっかぽっか

29 :名無しさんだよもん:2001/05/17(木) 10:49
新スレ告知age

30 :名無しさんだよもん:2001/05/17(木) 19:45
ロンガロンガ

31 :名無しさんの初恋:2001/05/18(金) 11:06
age

32 :名無しさんだよもん:2001/05/19(土) 20:47
そろそろ載せるけど・・・
いい?

33 :『恩義』という名の暗躍:2001/05/19(土) 20:56
高橋・浦の両氏が旧アボガドパワーズ社屋で腕相撲をしてい頃、旧葉の人間
(水無月・原田・陣内・みゃくさ・松岡)は、現アボパ社内でくつろいでいた。

水無月以外はアボパ応接室で休息をとっていたが、水無月だけは一人携帯電話で
連絡を受けていた。
その人物とは。

「もしもし?」
『水無月か?俺だ。』
「あっ!生波夢さん…」
声の主は生波夢
LEAFの古参のプログラマーであったが、折戸と同じくLeafからKeyへ移った
人間である。
『久しぶり…っていえば久しぶりだな…元気か?』
「ぼちぼちと」
言葉こそ素っ気ないが昔の同胞からの連絡は心なしか嬉しかった。
「それよりも貴方から電話が来るなんて、珍しい事もあるもんですね。」
『まあ、物騒なモノが出てきたからな……』
「ああ、あれですね…」
二人が指すものは言うまでもなく551文書の事である。
『一応、元Leafの人間として多少は心配でな。特に、お前と高橋はな』
「相変わらず、気を使ってくれるんですね。」
『場所は変わっても、俺らは共に苦労を重ねた同志だからな…気にもなるってもんだ』
「そうですか」
『もう、Leafは辞めたんだろ?』
「はい」
きっぱりと言う水無月の返事に生波夢は一呼吸置いて、
『だったら…、どうだ?お前も高橋と一緒にこっちへ来ないか?』
「!!」


34 :『恩義』という名の暗躍:2001/05/19(土) 20:58
それは水無月からすれば意外な申し出でもなんでもなかった。
生波夢は元来、人と争う事を嫌うタイプの人間だからである。
いまでこそKeyの人間であるが、元々はLeafの人間である。

しかしそれでも水無月は言った。
「それはいくら生波夢さんの言うことでも無理ですね。すいません」
『だろうな。お前ならそう言うと思ったよ。』
「……………」
『まあ、お前は俺と違って金銭でも余裕はある。早急にまた仕事先を決める必要性
なんてないからな……羨ましいよ。』
「原画ですから。」
『俺もプログラマーなんかじゃなく脚本家か原画マンにでもなればよかったよ…』
つい愚痴をこぼす生波夢に水無月は
「で、そんな話しをするために電話したんじゃないですよね?」
『ああ。…』
生波夢は一呼吸置くと
『今、何処にいるのだ?それが聞きたかっただけと言えば怒るか?』
水無月は一瞬迷った。アボパにいることをしられるのはまずい。
生波夢とは昔の同胞であったが、今はKeyの人間である。情報がもれるのはまずい…
水無月は曖昧に
「北です。」
声のトーンを落としてそう言った。


35 :『恩義』という名の暗躍:2001/05/19(土) 20:59
『北か……』
生波夢はそう唸ると
『今じゃKeyの人間だからそう深くは俺にもいえないか…ま、それだけでも十分だ
済まんな』
「そうじゃないのですが…」
『ハハハ、気にするな。俺は純粋にどうしているのか気になっただけだから』
「生波夢さん……」
『ま、そう気にするな。元気ならそれでいいんだ。』
「ありがとうございます。」
『と、まあ、さておいてじつはここからが重要な所だ。Key・Leafの戦いなんか
よりもな』
「Keyに俺と高橋を登用することが本題じゃなかったのですか?」
『あれは俺の戯れ言だ。』
「そうですか…」
『本題を言おう』
生波夢は呼吸を整えるとこう言った。


36 :『恩義』という名の暗躍:2001/05/19(土) 21:01
『コナミに不穏な空気があるらしい』
意外な言葉であった。同じエロゲー業界ならともなく何故コナミ……水無月の頭には
[?]マークでいっぱいになった。
『まあ、俺がなんでこんな事しっているかはさておき多分あの文書の混乱に乗じて
コナミが18禁業界を支配するという噂はよく聞くんでな…それをお前に伝えたくて、
電話をしたという訳だ。』
「そうでしたか……思い違いをしていました。俺は生波夢さんがてっきりKeyの手先
として俺達のさぐりの為の電話と勘違いしていました…すいませんでした。」
それを聞くと生波夢は笑って
『ハッハッハ。俺がそんな姑息な人間じゃ無いことはお前が一番知っていると思ったん
だがな……まあ、流浪の状態ならそれも仕方ないか…』
自分のちょっとした疑いに水無月な自己嫌悪し
「すいませんでした、生波夢さん。しかしコナミとはまたどうして?」
『あそこはきな臭い話しは絶えないからな。版権稼ぎといい訴訟といい。ゲーム以外で
の話しには事欠かないからな。』
「ええ。」
『とにかくだ。お前と高橋があそこに狙われる可能性があるかもしれん。高橋は元々
腕っぷしは強いがお前はそうでもないからな。十分に気を付けてくれ。』
「そうします。すいませんね、気にかけてもらって」
『苦労を共にした仲間だからな。例え働く場所を違えど…』
「何かあったらこちらからも連絡しますので、生波夢さんも元気でいて下さい。」
水無月のその言葉に
『そうだな。また、一緒に仕事できるといいな……俺達。』
「………………………………………………………………………」
水無月は生波夢の言葉に即答できなかった。
もう昔の俺とは違う、そしてなによりもLeaf事態が変わりすぎてしまった。
あそこに居場所はもうないのだ…と


37 :『恩義』という名の暗躍:2001/05/19(土) 21:03
『それじゃあな。久しぶりに声が聞けてよかった』
「こっちもです。間違っても生波夢さんはこのきな臭い争いなんかに首を入れないで
下さいよ。」
『俺はプログラマーだ、戦争屋じゃない。プログラム以外の事は知らんからな』
吐き捨てるように言う生波夢
「ずっとそうあってくださいよ。ではまた……」
『ああ…』

Pi
水無月は通話を切ると、しばらく北海道の雪景色を眺める。
「いっそ、何もかもこの景色のように真っ白から始めたいものだ…」
その独り言は本心なのか冗談なのかは知る由もなかった。


38 ::2001/05/19(土) 21:12
あれから修行しましたが、現状では所詮のんきな父さんにもn.n.tにも到底及ばない
Rっす。
とりあえず、今後はメインはいじらずに人知れずにマイナーな人材をいじろうかと思います。
「もう書くなって!お前」って言うご意見がありましたらもう辞めておきますので・・・
現状では推敲してもこんなもんです。

一応、この続きもあるんですけど、それは反応次第と言うことにします・・・

注:生波夢さんは趣味です。

39 :名無しさんだよもん:2001/05/19(土) 21:36
更新されているのでage

生波夢さんってまた、以外な所を・・・

40 :名無しさんだよもん:2001/05/19(土) 21:38
あの人がいるのはkeyじゃなくてRAM。
VA系の別ブランドだよ。

41 :名無しさんだよもん:2001/05/19(土) 23:37
問題のログって「552文書」もしくは
「552.txt(ファイル名がこうだった)」じゃないのか?
手元にあるログを見て確認したが552だった。
551文書は551文書で史実と別の意味を持たせてるなら良いけど。

42 :R:2001/05/20(日) 00:32
40>
すいませんでした。
知識不足です。
やっぱ、葉鍵の歴史には深く詳しくないですね・・・
すいません。(カノンのころのテロップみてハっと思いついただけでしたので・・・)

間違いは訂正したいのですが・・・それは皆さんの意見次第と言う方向でお願いします。
(削除ならそれでも可)
今日はもう消えます。
また、脳内で思い描いたことでもタラタラと文章にしておきます。


43 :名無しさんだよもん:2001/05/20(日) 00:49
>>42
別にあんまり細かい事まで気にしないで言いと思うよ。
こういうのって、やっぱ自分が楽しめてるかってのが重要だと思うし。

44 :永遠の夢:2001/05/20(日) 01:08
「必ず、高橋達を見つけてまいりますぅっ!」
 青紫は下川に気圧され、逃げるようにその場を離れた。

「……くっ」
 一人その場に残った下川は、舌打ちした。
 まったく、どうしてこう、やることなすこと裏目に出るのか。
 誰彼の不評、2/14のログ流出、盗作騒動による講談社への謝罪。
 辞めていくスタッフ、それによる開発の遅れ。
 最近のLeafは、まるで悪霊に取り憑かれたかのようだ。

 今回の事件でも、中尾の情報を得るためにVA社員を観察しろと命令したはずなのに、
 青紫の奴、何をどう間違えたのか、社員を裸にひんむいて拉致してきやがった。
 その後何とか事なきを得たが、彼ら一人一人に払った口止め料は相当な額になる。
 そしてまた今、中尾の消息が掴めないまま、高橋達をも見失ってしまった。

「俺の方針が間違っていたのか?」
 下川は、己に問いかける。
「やはり、経営は親父に任せ、作曲に専念したほうがいいんだろうか。……昔のように」
 下は見ない、と誓ったあの日より、Leafはひたすら頂上を目指して駆け抜けてきた。
 足下がふらついても。地面が崩れようとも。
 しかしそれは、ただ目を背けていただけなのかもしれない。
 夢だけを追い求め、悪い現実から逃げていただけなのかもしれない。

 ――下川のデスクの上で、今も一人佇む写真立て。
 そこには、『雫』発売直前の、当時のスタッフの記念写真が収められている。
 皆、笑顔を浮かべていた。
 力を合わせて一つの作品を作り上げた者達の、喜びの笑顔だ。
 楽しそうだった。
 下川も、楽しかった。
 しかし。
 折戸、鳥の、生波夢、高橋、水無月……。
 そこに写っている笑顔はもう、過去の夢の中にしか存在しない。

45 :永遠の夢:2001/05/20(日) 01:09
「社長! ……さんが、面会を求めています」
 部下の声で、下川は我に返った。
「……誰だって?」
 よく、名前が聞き取れなかった。
 「はい」
 部下の男は、もう一度改めて報告した。
 「高橋さんが社長に面会を求めています。先程、応接室に案内したところです」

 特に驚かなかった。
 高橋は昔から、唐突な行動をする奴だった。
 それは誰よりも、下川がよく知っていた。

 応接室のノブに手をかけ、部屋の中へ入った。
 懐かしい顔が目に飛び込んできた。
 高橋は、確かにそこにいた。
 苦楽をともにしたかつての仲間との、一年ぶりの対面。

 だが、口をついて出た次の言葉は、彼の心の奥底に眠る本心とはほど遠いものであった。
「ふん……。裏切り者が、今更何の用だ」

 ――俺は、救いようの無い馬鹿だな。

46 :名無しさんだよもん:2001/05/20(日) 17:38
しぇんむ〜が萌えキャラになっているのはあのスレの影響ですか?(w

47 :名無しさんだよもん:2001/05/21(月) 19:30
>>42
>R
どうでもいいけど他の作家さんに敬称くらい付けなさい。感じ悪いよ。

48 :名無しさんだよもん:2001/05/21(月) 20:25
>>47
まあまあ。ここ2ちゃんだし。(w

49 :名無しさんだよもん:2001/05/21(月) 21:02
青紫は全てを呪っていた。
----野郎!!講談社様にどう申し訳するつもりだったんだお前は!!
ちっ所詮は青虫は青虫か。どこまでも往生際が悪く役立たず。
高橋にお前の忠誠心さえあれば、お前なんてどこにでも放逐してやったのに!----

専務の言葉…あの時、専務は怒り狂い講談社の社員達が帰った
あと、俺を罵倒した。

----結局、お前は盗作でしか書けない甲斐性なしのろくでなしだよ
高橋の言葉…高橋がやめる時、俺の目を見据えて漏らした言葉----

その時、高橋の目は俺に対する侮蔑と嘲笑の光を放っていた。

----青紫さん。誰彼評判悪いですね。知ってます?誰彼は
粗大ゴミって言われてるんですよ。壊れた商品ってね----

友人だと思っていたはぎやまさかげの言葉。あいつのHP掲示板に書きこした日、
電話が掛かってきて、あいつは誰彼と俺のことを罵倒し、二度と掲示板に
姿を見せるなと言って来た。怒りの余り俺は震える手で携帯を外に投げ捨てた。

そして今はどこをどうさがしても中尾が見つからない。
このまま帰れば待つは専務の叱責だけ。

「クソックソックソッ!!どいつもこいつも、どいつもこいつも俺をコケに
しやがって!俺の、俺の何が悪いってんだ!俺が一体何したっていうんだよ!」

道端のゴミバケツを蹴飛ばした青紫は笑い始めた。

「ひっ。もうこうなったらあれをやるしかないよな。この怒りを納めるには」

50 :名無しさんだよもん:2001/05/21(月) 21:11
夕暮れの大阪、某女子名門校前。
コートにサングラスの見るからに妖しい男が校門前に立っていた。
校門を出入りする女子校生達は男になるべく目を合わせないように通り過ぎる。
出入りする女子校生達の中でも、群を抜いて可愛らしい娘達が校門を出よう
とした時…!
突如娘達の前に飛び出た男が、コートを蝶のように開いた。
生白く薄い胸板。陰嚢の上で揺れる粗末なペニス。男のコートの下は全裸だった。
全裸に濃紺の靴下という組み合わせが異常さに拍車をかけていた。
女子校生達は一瞬固まり、「変態―!」と叫び声を上げると逃げ出した。
男は逃げる女子校生達を満足気に眺めていた。

「ああ、お前何やってるんだ」
呆けた男は後ろに警官が立っているのにも気が付いていなかった…

「しまった!いつもは上手く逃げれるのに!」
警官はぎろりと睨むと、不釣合いな優しい声で言った。
「いつもか。こりゃたっ――ぷりと話しを聞かなきゃならないな、お前」

51 :名無しさんだよもん:2001/05/21(月) 23:19
だれやねん、露出狂のキャらっていたか?

52 :名無しさんだよもん:2001/05/21(月) 23:40
>>51
青紫でしょ? こいつ(w

53 :名無しさんだよもん:2001/05/22(火) 00:13
>>52
コピペだろ

54 :名無しさんだよもん:2001/05/22(火) 12:00
>>49-50
これコピペなのか?
このスレに書くには100年早いな。まずまともな日本語を書ける様に
なってから出直せ。「逃げれる」とか書いてるようじゃ見てるこっちは
失笑してしまうぞ(ワラ

55 :名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 01:34
なーんか、流れ止まってまいましたな。
それとも、作家さんらがみんなハカロワの方に行ってしまったとか。

56 :名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 09:33
>>55
もとからここはこういう流れだよ。
むしろハカロワのようなせわしないスレ進行は熱しやすく冷めやすい典型。
長期的に見ればどちらが勝者かは明白ですが。

我々読者は黙って作家さんの新作を待つのみ。

くだらんレスで場を荒らさないで下さい。

57 :名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 11:16
>>54
それほど悪いように見えなかったぞ
キャラが青紫だからか

58 :名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:28
新作祈願あげ

59 :名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 23:32
>>54
「逃げれる」は青紫の台詞だもん、これでいいんだよ(w

60 :名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:28
あのさー。
いたるちん、せめてここでは独身のままで(・∀・)イイ!よね?
結局相手も事実も不明のままだし、何より未婚の方が萌える…

ネタに踊らされるのも癪だし。ここはパラレルワールドだし。
いいよね?

61 :名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:32
>>60 良いも悪いも無い。作品内の世界が全て。

62 :アホムラサキ:2001/05/24(木) 01:17
逃げれる のなにが問題なんだ(゚д゚)ゴルァ

63 :名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 19:00
age

64 :記憶:2001/05/24(木) 21:25
 応接室のドアが開くと同時に、部屋で待っていた4人の客人は顔を上げた。
 一人は高橋。残りの3人も、下川のよく知った人物だった。
 みゃくさ、松岡、そして、中上。

「中上……、お前いつ、高橋の側に付いた?」
 下川はぎろりと中上を睨みつけた。
「違う! 俺は……」
 中上が慌てて否定する。
「俺もよくわからないんだけどね、どうも彼は誰かに操られていたらしい」
 そう続けたのは、高橋だった。

「数日前、俺達はヴィジュアルアーツ本社の前で張ってたんだ。中尾君を捜すために。
 そしたら彼が現れたんだよ。ふらふらと、夢遊病者みたいにね。
 様子がおかしいんで声をかけてみたら、いきなり襲いかかってきたんだ。
 しょうがないから当て身をあびせて……」
 高橋は、自分の首筋をトン、と叩くようなジェスチャーをした。
「気絶させて、俺達の車に運び込んだというわけ」

「俺にはその時の記憶が無いんですよ。会社を早退したところまでは覚えてるんだけど」
 中上は、まだ少し腫れている首筋を押さえながら言った。

「で、これがその時、中上が持ってた武器だ」
 高橋は机の上に、拳銃と小瓶を置いた。
「調べてみたんだけど、こっちの銃はトカレフ、小瓶の中身は、LSDだった。
 ……なあ下川、心当たりはないか?」
「俺を疑っているのか?」
「いや違う、そういうわけじゃない……」
「知らんよ。だいたい、中上を失って損するのはうちの会社だ」
 それは確かにそうだろう。中上は今となっては貴重な古参幹部だ。
 彼の手がけた曲に対するファンも多い。

「ところで、そっちの2人は」
 下川は、中上の隣に座っている2人――みゃくさと松岡に視線を移した。

65 :記憶:2001/05/24(木) 21:25
「昨日、みんなで話し合ったんだけどね……。
 みゃくさと松岡の2人、また、リーフに戻してやってくれないかな。
 2人は俺達と行動を共にしてたけど、それは成り行き上での事だし。
 彼らの実力はお前だってよく知ってるだろ。これからのリーフには必要な人材だと思うけど」

「……敵に塩を贈る、というのか、高橋よ」
 下川のドスの利いた声は、その場の雰囲気を緊張させた。
「ふざけるな。安っぽい同情などいらん。
 俺は貴様のような裏切り者に助けてもらおうとは思わん」

「……なあ、下川」
 高橋の口調は、対峙している相手とは対照的に、穏やかだった。
「確かに俺はお前を裏切ったかもしれない。でもな、お前を敵だと思ったことは無いよ。
 俺達が新作を発表しないのは、何故だと思う? Leafと対決したくないからだよ。
 他の退職した奴らも、きっと同じだと思う。……みんな、忘れていないから」

 高橋は過去を懐かしむように、目を細めて微笑んだ。
「Leafは、すべての始まりだって事を。忘れてないぜ、みんな。仲間だったことを。
 ただ、素直になれないだけなんだ。……お前と同じさ」

「何だとっ……」
 すべてを見透かしたような、高橋の言葉。
 何か言い返さなければ。そう思った。
 しかし下川の口は、凍りついたように動かない。

「……少し余計なことをしゃべりすぎたかな。そろそろ本題に入ろう」
 長い沈黙を破ったのは、高橋だった。

「北海道で、水無月が気になることを言ってたんだ。ある企業の名とともに。
 その時はたいして気にとめてなかったが」
 高橋は、机の上に一枚のMOディスクを置いた。
「これを手に入れて確信したよ。
 中尾をそそのかし、LeafやKeyを苦しめた奴らが、何者なのか」

66 :名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 05:28
新作あげ

67 :名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 20:47
おおおおおーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
ついに壮大な叙情詩も最終章に突入か!?
全ての黒幕、悪の元凶コナミの野望に立ち向かうエロゲ界の猛者達・・・・っっ!!!!
くうーーーーー!!!!燃える!!!!!
こりゃ葉と鍵のせせこましい抗争どころの騒ぎじゃないですね!
この先目が離せないです!作家さん頑張って!!!!

68 :名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 22:43
新作記念あげ

69 :R:2001/05/26(土) 01:05
47さんへ>
申し訳ありませんでした。
以後気をつけたいと思いますので、お許しください。
これからは注意しますので、よろしくお願いいたします。
最低限の礼儀を弁えなくてすいませんでした。

それでは不肖ながら載せさせていただきます。


70 :R:2001/05/26(土) 01:07
北海道へ亡命してきた旧Leaf陣はアボガドパワーズ社長 浦 和雄の庇護により
しばしの安住の地をていれていた。
近畿という、比較的季節を感じる場所で住んでいた彼らも、北の凍てつくような白い
大地では、苦難を強いられていた。
しかし、数日経過すると人間の体というものはよくできたものですぐに慣れてしまった。

その間
高橋は下川と会談し
水無月は生波夢と話している中………一人だけ違う行動をとった男がいた。

「あー寒ぃな…」
用意された仮眠室で一人寝そべっている男…

松岡 純也…リーフ期待の新人音楽マンであったが、2・14事件にまきこまれ
みゃくさと共にする形でリーフを出奔した。
その流れで彼も今は北海道で暮らす身となる。

だが松岡は内心迷っていた。
確かに、リーフが腐敗の一途を辿っているのは周知の事実ではある。
だからといってまだ入ったばかりであった俺まで抜けても良かったのかと…
正直、自分の関わった仕事『誰彼』は確かに色々な方面で不評の声しか聞かない。
しかしそれは青紫の脚本だけである。
CG・演出・プログラミングに関しては決して悪くはなかった。
否!
むしろ今だ業界随一の技術を見せつけた作品であったともいえよう。
音楽に関してもである。

折戸・下川などの屈強な人間が手がけてないとはいえその中で松岡の躍進ぶりは
将来を任せるに十分な資質を見せていた。
二人には及ばずも、松岡自身はこう考えていた。
「俺も、磨けば光れる逸材だ」と………………


71 :帰還:2001/05/26(土) 01:10
だが2月15日突然、のみゃくさとの昼食で中尾失踪の話しを聞き、
夜にリーフに忍び込みそれからは、現在の状況が物語っている通りである。
しかしアボパに居座って以来、松岡は音楽に携わっていない…
それが彼を不安と焦燥に駆り立てるのであった。
あの時は冷静に考える事もできなかったが今思えば決してリーフ内での待遇は悪いもの
ではなかった。松岡にとっては…
周囲とは会話などのアットホームは空気こそなかれ、逆にそれが仕事に集中できる環境
だったことは自分の能力を向上させるにはうってつけであったことも…
思い出す…『誰彼』制作時での事を…


72 :帰還:2001/05/26(土) 01:11
リーフ音楽制作室での下川の態度を思い出す…
「どうだ松岡?作業は順調か?」
作業中の松岡に下川がポンと右肩を叩く。
「あっ、専務………いや、社長!ええ、いまの所順調です。」
しどろもどろになって答える松岡…
「新人にお前には重荷かもしれんけど、それだけ俺はお前に期待してるんだからな…」
「あ、ありがとうございます。」
ペコリと丁寧に頭を下げる松岡
「今何曲作ったんだ?」
「えっと、現在13曲ちょいです。」
「ほう、結構出来ているじゃないか…どれ、ちょっと聞かせろ」
そういうと近くにあるサンプリングのテープをヘッドホンで試聴する下川…








73 :帰還:2001/05/26(土) 01:12
「ふむ………」
(社長っていつも恐い顔してるけど、こうやって音楽に携わる時の顔は真剣だな…)
真剣な表情の下川を見つめる松岡に…
「ん!どうした松岡?俺の顔になんかついてるんか?」
「い、いえ、何も」
「そうか」
再びヘッドホンに耳を当て、目を瞑って拝聴する下川





全ての音を聞き終え、松岡に視線をむける
「……………………………………」
「……………………………………」
無言で松岡を見つめる下川、そしてしばらくして下川が口を開く口は以外であった。
「結構いいじゃないか」
「あ、ありがとうございます。」
再びペコリと頭を下げる松岡
「この出来なら別に文句はない。特に俺は戦闘シーンに使うと思われる、
【FLASHBACK THE BLOOD】は個人的に一番いいと思う」
下川の多少の私見は入っているものの、風雲児としてのその耳に確信はあった。
「ありがとうございます。」
「後は外注の石川(DOZA)とかウチの中上・米村に任せて今日は休んでおけ…」
「で、でも…」
松岡が反論しようとすると下川は…………
「命令だ!」
「わ、わかりました…」
そういうと松岡は
「それじゃ今日はこの辺で」
「ああ、ご苦労。」
松岡が去っていく姿を見て下川はポツリと呟く……
「じゃあな折戸」
「折戸?」
一瞬振り返る松岡、しかし声も小さかったせいか気にも止めずスタスタと帰って行った。


74 :帰還:2001/05/26(土) 01:13
そんなふとちょっと前の事を思い出す松岡…
「別に…俺はあの人自身に嫌な思い出がないんだよな…」
松岡はふと呟く。
薄い毛布を頭までかぶろうとすると………
ブルルルルル
「!?」
マナーモードにしていた携帯が松岡の胸ポケットで震える…
そして画面を見ると……

090―××××―××××
下川
と表記されていた。


75 :帰還:2001/05/26(土) 01:15
松岡は一瞬迷ったが、周囲にだれもいないのを確認すると取る事にした。
カチッ
恐る恐る通話ボタンを押す松岡…
「もしもし…」
『俺だ!言わなくても判るな……』
勿論出たのは下川直哉であった。
「はい。」
『今、何処にいる…まあ察しはついているが』
「すいませんが言えません。」
声が多少震えるもののしっかりとした口調で伝える松岡
『まあいいだろう。』
口調を普通にする下川
「で、用件はなんですか?」
『用件?フッ、知れたこと!裏切り者にはどんな制裁があろうとも覚悟はしているん
だろうなって事前電話よ…』
「…………………………………………」
思わずゴクリと喉をならす松岡
『と、いうのはちょっとした冗談だ…ああ冗談だよ…クックック』
嘲笑する下川
「一体何がいいたいのですか?」
『ならば率直に言おう』
「はい」
『松岡、俺はお前にはまだ抜けて欲しくないのだ。』
「!?」


76 :帰還:2001/05/26(土) 01:15
それは以外な申し出であった。
下川は気に入らない人材はいつでも切り捨てている。その下川が松岡を呼び戻そうとしているのだ。
松岡もこの言葉にはおどろいた。
みゃくさや他のスタッフからは下川は畏敬の存在として聞いていたからである。
しかし実際は違った。
自分が音楽作業しているとき、夜遅くかかっているときも下川は松岡に電話を入れ、あれこれと教えていたからだ。
リーフは新人を丁寧に教えない…それは事実である。
だがそれはプログラマーや背景などだけであって音楽だけは別なのである。
社長という立場もあるが、下川は基本的に音楽以外の能力など持ち合わせていなかった。
教えれるのは音楽のみ…
それだけであった。
だから下川は手塩にかけた松岡には陣内や原田といった人間とは一線を画して好待遇で
迎えたのだ。
しかし松岡はみゃくさや原田達と共にリーフから去っていった。
それが自分の意志とは違う形でも………


77 :帰還:2001/05/26(土) 01:18
松岡に諭すように、下川は言う。
『帰ってこい松岡、お前はまだ巣立つほど出来ちゃーいない』
「過小評価するんですね。」
不機嫌な声をだす松岡
『確かに【誰彼】の音楽はよかった。しかしだ、まだあれでは[次]には繋がらん!』
「…………それはやってみないと解らないですよ。」
『その場所が今のお前にあるとでも思っているのか?』
「ぐっ」
それは事実であった。
確かにアボパにはいるが、けっして雇われたというわけではない。
言うならば期間限定なのだ。いつかはアボパからも離脱しなければならない…
松岡は思った。
(俺は…戻ってもいいのだろうか…みゃくささん達に悪くないだろうか?)
(ならだいっそリーフで再び…)
「………………おっ…俺」
『ん?何だ』
「しばらく、考えさせて下さい。おれ、結構優柔不断ですから…人の意見聞かないと
不安なんです…だから!」
松岡の切実な口調を察し下川は
『…わかった。だが、これだけは覚えて置いて欲しい。』
「ん?」
『音楽だけは、どこにも負けるつもりは無い!だから松岡、俺はお前に期待してい
るんだ。…その心に偽りはない・・・』
「………」
弱弱しいいつもの下川とは違う声のトーンに押し黙る松岡
『まあ、気が向いたら連絡くれや。じゃあな。』
「あっ、ちょっ……」
ツーツー
「あっ、切れてしまった……」
そういうと松岡は電話をしまい…ふと天上を見て呟く…
「どうしよう?戻ってきて欲しいなんて言われて…でも…高橋さん達がどういうか…」
「戻りたければ、戻ればいい。」
「!」
松岡が仮眠室のドアに目線をやると、そこにはみゃくさが腕を組んで立っていた。


78 :帰還:2001/05/26(土) 01:19
みゃくさはゆっくりと松岡に近づき目の前に来るとこう言い放った
「今のは…下川からだろう?」
「盗み聞きしたんですね…」
「いや、正確には声が漏れていたという表現が適切だな。どうも案外壁は薄いらしいな
ここは」
「アボパは金銭面で苦しいらしいですから…」
話しをそらす松岡…しかみゃくさは
「そんなことはいいんだ。それよりも意外な話しをするものだな、下川も」
「ええ」
「で、お前はどうなんだ?下川に戻ってきてくれって言われたんだろ?」
「…そうです。」
「どうしたいんだ?お前は」
「えっ、それは、…あの…ですから…」
うろたえて目が泳ぐ松岡
みゃくさは松岡の両肩に手を乗せて真剣な目つきで言う。
「今回の件に関しては元々俺がお前を誘ったことに原因がある。だから俺達の事は
気にせずにハッキリと言って欲しい。」
「はい。」
そういうと松岡はみゃくさを見つめ大声で言い放った。
「お……その…俺…」
「いいた事があるならはっきりと言え!」
みゃくさが怒鳴ると促されるような松岡は言った。


79 :帰還:2001/05/26(土) 01:23
「俺、リーフに戻りたいです!リーフに戻って音楽に専念したいです!確かにみゃくさ
さんや原田さん・陣内さん達は嫌なこともあったかもしれませんが、まだ俺はリーフに
も、社長にも別に恨みとかないんです。た、確かにあまりアットホームな雰囲気ではなかったですけど、逆に作業に専念できましたし…それに、社長は結構お世話になっていたんです。俺…」
「………」
みゃくさは黙って
「だから、みゃくささんには悪いですが…俺、リーフに帰りたいです。帰ってまた
音楽に専念したいです。」
みゃくさは松岡からが眼光から発する強い意志を感じ取り
「そうだな・・・」
「えっ?」
「わかったよ。お前はまだ帰る場所がある。居場所がある内に戻った方がいいだろう。」
「みゃくささん…………感謝します。」
「オイオイ、元々巻き込んだのは俺だ。礼を言われる筋はないぜ。」
そういうとみゃくさはズボンのポケットから福沢諭吉を5枚ほどとりだして松岡に
握らせると
「これで伊丹空港に戻って、大阪へ帰るといい。」
「で、でもみゃくささんの生活が……」
「なーに、金は無くても、高橋さんと水無月さんがいれば生活はなんとかできるからな
心配するな。次会うときには2倍にでもしてくれればいいさ」
「みゃくささん……………」
松岡は目もとから水分が流れ出す。
「お前はまだ若い。今は何も考えずに仕事して実力をつければいい。俺らみたいな騒動
に巻き込んですまないと思ってるぐらいだ」
「とんでもないです。そんなこと」
みゃくさは…
「さあ行け!元の場所へ、そして出来ることならお前がリーフを変える事を俺は祈って
いるぞ。前の…あの光輝やくリーフを!」
「はい!」
松岡はみゃくさに一礼をすると仮眠室を出て、アボパから出ていった。
みゃくさは松岡を見送ると…
「松岡という純水がリーフの汚れた水を浄化してくれることを祈るだけだな…いまは」
そう呟くとみゃくさの声は後輩の去り行く寂しさと嬉しさがまじった複雑な感じであった。


80 :帰還:2001/05/26(土) 01:24
翌日、下川の携帯に一本のメールが入っていた。

--------------------------------------------------------------------------------
No123(2001・2/22・11:34)
件名:意志決定
Name:松岡
Mail:Matu@HotMail.com

札幌空港に居ます。伊丹空港へ着いたら、すぐ新大阪へ向かいます。
今からリーフへ戻ります。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。
これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

                       松岡 純也
--------------------------------------------------------------------------------
下川はそれを見ると、いつもの強面がほころんだと、近くにいた一一(にのまえはじめ)
は言う。
こうして、松岡純也は再び大阪の大地を踏みしめるのであった。


81 :R:2001/05/26(土) 01:27
どうもです。
矛盾があるかもしれませんが、その辺につきましては平にご容赦願いたいと思います。
雄弁に書くと『執筆者は作品で語れやゴラァ!』って言われるのでこの辺で失礼します。
また、書きこんでもよければ載せます。
では、失礼いたします、お体にはお気をつけてくださいませ(見ている方へ)

82 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 01:48
>>64-65
>>70-80
完全に分岐してるね・・・個人的にはどちらも面白かったので
片方が消えるのは惜しい気がする。

83 :名無し君@下川萌え:2001/05/26(土) 01:56
>>81
OKですよ。

最近はシェンムー萌えな展開でいい感じです。

84 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 02:00
確かにどちらもイイ!!
リレーの基本から行けば先に挙がった方優先なんだろうけど、
松岡だけ後者のルートっていうので、細かい矛盾には目をつぶる、
ってのはどうか?

85 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 02:01
力作が続いて嬉しい限りです。

>>82
まあ、一本にしなくてはならんものでもないので、並立していいんじゃないでしょうか。

86 :うぃっは:2001/05/26(土) 02:08
Rさんて人・・・
生波夢といい、松岡といい
マニアスタッフ思考?

いや、そんな気がしたんで述べただけでさぁ

87 :うぃっは:2001/05/26(土) 02:09
すまん。さげるの忘れてた
鬱だ氏脳

88 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 05:20
おお!なんていうか下川の心情が熱くなっているな。
今後の展開を期待してあげとくわ。


89 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 05:37
多分次に書く人がどちらをとるかで決まると思う

90 :しさんだよもん:2001/05/26(土) 07:41
久しぶりに見た。
違う意味で萌えるね。やっぱり
時系列はちょっとちがうけど、まあどっちかに統制した方がわかりやすいのであって
組み込みでいうなら高橋・下川会談前のみゃくさ・松岡の話って事の方が時系列一応
あっているような気がする。

まあ、あとは展開次第ということで。
批評じゃなく感想なんだが、多少稚拙さを感じるものの
読みごたえがあるからこれからも頑張って欲しい。
ここの作家さんには・・・
生意気いってすまん。
でも期待しているからこそのちょいとして指摘ってことで・・・
だからアゲ

91 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 12:54
90>
同意。
時系列処理としては
みゃくさ・松岡話〜下川・高橋会談の流れがまだ無理はないな
ま、書かない人間にゃ偉そうに言う権利ないけどね。
でも、こうしたほうがいいかなとは思っている。

92 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 13:28
連夜の新作喜ばしい限り。
人である以上作品の出来に差があるのは致し方ないこと。
でも今回のR氏の作品にはその差を埋めるだけの意気込みを感じた。
多少説明過多の傾向があるのでそこを直すといいかも。
他のプロの小説を読み漁ると吉。
今後とも頑張ってほしい。応援するよ。

分岐については、それを言っていたらキリがないので各作家氏は
あまり気にせず進めて良いのでは。

>>87
このスレはむしろage進行だよ。気にしないで。

93 :Rさんへ:2001/05/26(土) 16:00
>>64-65
と、内容は矛盾しないと思います。高橋と下川の会談の後、
下川が電話をかけたとしてもいけますし、
90、91さんのおっしゃるように、会談前だったとしてもいけます。

Rさんの筆致は、みなさんのおっしゃるように、まだ稚拙さが感じられます。
例えば、「…」というのは多用しすぎるとよくありません。
(Leafのサイトにあったような(笑))
まったくの無言をあらわす時と、79の「みゃくささん……」だけでいいでしょう。
残念ながら僕はお話がかけないのですが、今後の活躍を期待しています。



94 :amnesia.:2001/05/26(土) 23:19
仕事が一段落着き、少し休もうと樋上いたるは顔を上げた。
左隣では、みらくる☆みきぽんがディスプレイと睨み合っていた。
この状態のみきぽんに声をかけて、いたるはろくな目にあった記憶がないので右側に向き直る。
右隣では、麻枝准が口を半分開けながらディスプレイをぽけーっと見つめていた。
何を見ているのか、角度が悪く上手く覗けない。
しょうがなく椅子から立ち上がり、麻枝の机の右側に回り込む。

「うぃっす麻枝君。どうしたの? 夢見がちな少女の目してるよ」
「…ん。いや、何でもない」
突然声をかけられた麻枝は、少し慌てた様子でパソコンのディスプレイに表示されていたブラウザを閉じた。
後に残されたのは、原稿用紙に直せば既に十数枚分にもなるであろう書きかけのテキスト。
しかし、これに彼の力が詰まっていない事は数行流し読んだだけで分かる。
いたるは、このテキストが世に出る事は無いだろう。そう思った。
「今日は調子悪いみたいだね」
「そりゃ、俺にもそういう日はあるさ。いたるにもあるだろ? たとえばあの日とかさ」
にひひと、口を歪めて下品に笑う。
「それってセクハラだよ」
つられて、いたるも笑う。
近頃、こうやって笑える時がまた増えてきたな。ふと、そう思ったりした。

少しの間世間話をした後、話を元に...彼の見ていたサイトの事に戻した。
「やっぱり、気になるんだね」
「まぁ、多少は…なぁ」
麻枝はテキストを修正しながら、そう答える。
だけど、目はディスプレイをちゃんと見ていない。

95 :amnesia.:2001/05/26(土) 23:21
多少なんて言ってるけど、実は凄く気にしてる。
それはそうだろう。
自分たちの生み出した作品の続編が、全く別の人達の手で作られようとしているんだから。
気にならない筈がない。
わたしも気になる。みんなも口には出さないけど凄く気にしてるだろう。

「ONE2は…」
あの頃の事を思い浮かべながら、いたるは話を続けた。
「わたしも気になるよ。ONE、わたし達の大切な子供だもんね。会社はもう違うけど…」
「そうだな。みんなで作り上げた作品だった。あの頃は楽しかったよ…」
麻枝は、何処か遠い目で中空を見つめる。
だが、すぐに自分の失言に気付き、
「…っと、違う違う。今も楽しいって。勿論」
目の焦点を戻し、手を振りながら慌てて修正した。
その姿がやけに滑稽で可笑しかった。
「あの頃はあの頃で別の楽しさがな…」
「分かってるよ」
くすくす笑いながら、そう答える。
「何が可笑しいんだよ…」

「気になるけど、これはわたし達がどうこう考える問題じゃないよ。
 わたし達に出来るのは良いものが出来るよう、彼らを応援してあげる事だけ」
「それは分かってる。
…何か勘違いしてそうだから言っておくが、ONE続編の事考えて調子が悪いんじゃないぞ」

96 :amnesia.:2001/05/26(土) 23:21
いたるは想像していた悩みの種をスッパリ否定され、
「えっ? 今何て言った?」
聞こえていたのにも関わらず、ポッカリ口を開け間抜けに聞き返してしまった。
「…やっぱりな。ホント余計な世話掻きたがるよ。いたるは…」
「悪かったわね。どうせわたしは大きなお世話掻きですよ」
「いやいや、誉め言葉のつもりだったんだ」
「嘘ばっかり言うのは…、この口かー!」
いたるは、麻枝の意外に柔らかい頬を思いっ切りつねり上げてみた。
「いだだだだ! やふぇれー!」

「で、何気にしてたの?」
自分の机の椅子をもう一度引き出し、麻枝の方に向き直りつつ尋ねる。
「お前は…。何か聞くまで離れる気は無しってか」
「長いつき合いなんだから、そこまで把握してるでしょ」
口の端をにやっと歪める。
「ああ、よーく分かってるよ」
麻枝も苦笑いを浮かべた。
「まぁ、あれだ。当たらずとも遠からずってな」
「へ? 何のこと?」
「さっき言ってた、続編がどうのこうのってやつだよ。あれについて当たらずとも…だ」
「だからそれじゃわかんな…」
いたるの言葉を遮って、チャイムが昼の休憩を告げた。
「ほら、昼だぞ。みんなで飯食いに行こう」
「うー…」

97 :amnesia.:2001/05/26(土) 23:22
麻枝は書きかけのテキストを保存し、PCの電源を素早く落として立ち上がる。
そして、
「みんな。今日はいたるが飯奢ってくれるらしいぞ!」
『マジですかっ!!』
見事な程に、声がハモった。
「ギャー! 誰もそんな事言っとらんわい!」
いたるは、履いていたスリッパを蹴り上げ手でキャッチした後、体重を乗せ思いっ切り振り抜いた。
スパコーンッ! コーンッ… コーンッ…
リノウムの床に、その音はやけに良く響いた。

「後は好き勝手想像しろ。だけど、Keyの中にはONEに関わってないヤツも居るんだからな」
「いくらわたしだって、それくらいは分かってるよ」
「ならいいよ。じゃ、戸締まりしていくから」
「分かった。早く来てね」

(しかし…)
麻枝は、後頭部を押さえつつ誰も居なくなった開発室に振り返る。
そして、記憶の中で先程ブラウザに映し出されたサイトを映し出していた。
(Megaか。良くある名前だとは思うが。何処かで…)


それは、遠い記憶。

『これでも字書きとか目指してますよ。ペンネームは、Megaでやってます』
『ああ、いまいち縁起悪いんでペンネーム変えてみたッス。新しいネームは……』
『麻枝さんじゃないですか! まさか、ネクストンで出会えるなんて…』
『麻枝さん。ナイスブランド名考えてみたッスよ。BASE SONってどうですか?
 何となく響き良いですよね。後で社長に売りつけてこよう』
『ONE、良かったですよ! 流石俺と肩を並べるだけはあるかなって感じで』
『いつか、僕も仲間に入れて下さい。久弥さんと三人で凄いの作りましょうよ』

『マスターアップ記念旅行行ってきます〜。…帰ってきたら、麻枝さん達居なかったりしてね』

98 :スマソ:2001/05/26(土) 23:24
全然コナミ編じゃなかったり…
他にも色々突っ込む所あると思うけど…

99 :薄れない友情:2001/05/26(土) 23:31
 大阪、Leaf本社。
 そのビルから少し離れた路地裏に、彼らはいた。

「あれ、今血相変えて走ってった奴、青紫じゃないか?」
 運転席に座っているのは、陣内。
「さあ? 興味ないね」
 その隣で、我関せずとうつむいたまま読書に耽っているのは、原田。
 彼らは高橋が戻ってくるまでの間、車の中で待機している手筈だった。

 陣内は、中尾の家からディスクを持ち出した後の、高橋とのやりとりを思い出していた。

「――中尾君は、何故これを君に託したのかな」
「俺にもわかりません。今更俺達がこんなもん見ても、別に面白くも何ともないし」

 目の前のディスプレイに映し出される文章を、
 時折苦笑しながら、懐かしそうに眺めている高橋。
 ふと、彼の表情が険しくなった。
「これは……」
 高橋は、振り向いて陣内に尋ねた。
「なあ、中尾君って、Leafに来る前はコナミに居たんだよね」
「ええ、そうですけど」
「……そういや、水無月のあの話……」
 高橋はなにやら呟き、再びディスプレイの文章に目をやった。

 陣内はその時に、ちらりと横から画面を除いた。
 よく見えなかったが、ToHeart制作時に資金が不足したとか、
 そんな文章が書いてあったような気がする。

「下川と相談してくる」
 高橋がそう言ったのは、その翌日だった。

100 :薄れない友情:2001/05/26(土) 23:32
「中尾……、あいつ、どうしてるんだろうか」
 春の陽気に眠気を覚えながら、陣内は考えた。
 あの時の電話。中尾の声には、何か切羽詰まったような雰囲気が感じられた。
 だが、あいつがそう簡単に死ぬわけがない。今もきっとどこかで……。
 ――陣内の思考は、車の外からの声によって遮られた。

「妙な動きをすれば、撃つ」
 その声は、助手席の向こう側から聞こえた。
 車のドアの隙間からは、銃口が顔を覗かせていた。
「確認する。陣内ちからと原田宇陀児だな?」

「……そうだよ」
 原田は一瞬だけ声のほうへ顔を向けたが、またすぐにうつむいて本を開いた。
「わかったら、どっかいけ」
 車の外から苦笑する声が聞こえた。
「ハハハ……。噂通り、変わり者のようだな。残念だがそうはいかない。
 中尾の家より持ち出した内部資料を、こちらに渡してもらうまではな」

 陣内は驚いた。
 この男、中尾の名だけでなく、俺があのディスクを持ち去った事まで知っている。
 いったい何者だろうか。
「君は、僕の友人と知り合いなのか?」
 原田はうつむいたまま言った。
「何だ、中尾のことか? 俺達はあの裏切り者を追っているだけだ。
 お前らが匿っているかと思ったが、どうもそうではないようだな」
「なるほど。道理で嫌な臭いがプンプンすると思ったよ。早く僕の目の前から消えてくれ」

 銃声が、車内の空気を揺らした。
 原田の持っていた本が打ち抜かれ、足下に弾丸がめりこんでいた。
「余計なことはしゃべるな。ときめき十二人衆が一人、このカタギリは甘くないぞ」

101 :薄れない友情:2001/05/26(土) 23:32
「さあ、内部資料を渡せ。そうすれば命は助けてやる」
 嘘だ、と陣内は思った。
 生かして帰すつもりが無いからこそ、こいつは素顔をさらし、名を名乗ったのだろう。
 もっともその内部資料を渡そうにも、今は高橋さんの手元にあるのだが。
 しかし本当の事を言ったところで、自分達の寿命を縮めるだけだ。
 どうするか。一か八か、車を発進させてみるか。

「何をしている。早くしろ……」
 その時、一台のバイクが路地裏に入ってきた。
「ちっ」
 その男は、バイクに乗った人物から銃を隠すように、身体を傾けた。
 しかし次の瞬間。男は急に車から飛び退いた。

 銃声が響いた。
 男が倒れるのが見えた。

「急いで! あいつとっさに急所をかわした。ついてきて!」
 バイクの男が運転席の陣内に声をかける。
 陣内はすぐにハンドブレーキを下げ、車を発進させる。
 サイドミラーに、倒れた男が起きあがるのが見えた。
 バイクの男はすかさず、その男へ向けて引き金を引いた。
 しかしその男はそれより早く物陰へ隠れ、こちらに発砲してきた。
 幸い銃弾はそれたようだが、すごい身のこなしだ、と陣内は思った。
 もう一度後方から銃声が聞こえたが、その時には、車はもう大通りに出ていた。

 バイクの男の後を追うように、しばらく逃げ回っていた陣内達。
 ふと、バイクが速度を落とし、車の横に並ぶ。
「追ってこないみたいだね」
 その男が話しかけた。
「……あんた何者だ? あと、あいつは何なんだ?」
 陣内は、当然の疑問を投げかけた。

102 :薄れない友情:2001/05/26(土) 23:33
「とりあえず車から降りて。もうこのナンバーは奴らに覚えられたから、危険だよ」
「……」
 一瞬躊躇したが、彼は自分達を助けてくれたのだ。
 陣内はその男を信頼することにした。

 陣内と原田は車を降り、そこから少し離れた場所まで歩いた。
 そしてその男もバイクを降り、ヘルメットを脱いだ。
 知らない顔だった。日本人離れしたその風貌と肌の色は、南米のボクサーを連想させた。

「さっきの質問の答えだけど」
 その男が口を開いた。
「ボクはJ。ニトロプラスの広報だ。ある人に頼まれて、君達を影から護衛していた。
 あいつは、おそらくボクの元いた組織の人間だと思う」
「ニトロプラス? ある人? 組織? さっぱりわからないぞ」
「ゴメン。話せるのはそこまでだ。それより、早く大阪から離れたほうがいい。
 空港は危険だ。電車がいい。北海道に帰るんだろう、君達は。あそこなら大丈夫だ」

「……J君だっけ? 君さ、何で僕達が北海道から来たことを知ってるのかな」
 そう質問したのは、原田だった。
「それにニトロプラスと言えば、Leafと同じ業界のメーカーだよね。
 あの、傭兵集団と噂の高い……」
「だから、話せないんだって。これも、あの人に言われたことなんだ。
 知らないほうが、君達のためだって」
 Jは、両腕を顔の前でクロスさせてそう言った。「拒否」の意味のジェスチャーだろう。
 これ以上の質問は無駄な気がした。

「じゃあね。早くここを離れなよ。もう守ってあげないからね。バイバイ!」
 Jはヘルメットを被ると、バイクに乗って去っていった。

103 :薄れない友情:2001/05/26(土) 23:34
「何だったんだ……」
 陣内はその場に突っ立ったまま、放心していた。
「あいつ、ある人に頼まれて俺達を助けた、って言ってたな。誰だそいつは」
「僕は誰だか、すぐわかったけどね」
 隣にいた原田は、ニヤリと笑ってそう言った。

「本当か?」
「僕達のことを心配してくれる人物なんて限られている。
 それに、あのマヌケな脅迫野郎のセリフ、思い出してみなよ、陣内。
 『俺達はあの裏切り者を追っている』確かにそう言ってた」
「中尾か! しかしあいつが何故ニトロプラスに?」
「今度はあの南米ボクサー君のセリフ。『ボクの元いた組織の人間』
 つまり、中尾と彼とは、かつて同じ組織に属していた……」

 Leaf。Key。中尾。内部文書。組織。ニトロプラス。
 少しずつ、バラバラのピースが組合わさっていく。
 業界を震わす悪魔のジグソーパズルは、いよいよその全体像を見せ始めた。

「でも今は」
 原田は空を見上げ、言った。
「中尾が生きていた事がわかっただけで、充分だよ」
「……そうだな」
 陣内も、同じように空を見上げた。

 中尾もこの地上の何処かで、同じ空を見ているのだろうか。

104 :名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:42
大量進行、嬉しい!
のであげ

105 :名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 12:06
新作あげ!

この感動をキミにも!ミンナ読もう!

106 :名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 20:33
……megaって有島ちん?

leafもkeyも進展してます、すげえ、なんていうか、なあ。
ああ、すげえ……なんか、なんだろう、言葉にするのが難しいよ。
すげえ面白い、なんて陳腐な言葉で言っちゃっていいのかな?


107 :名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 23:36
もはや葉鍵板のNo.1スレにふさわしいですね。
常時上げ進行で行きましょう。このスレに下げは似合わない!

108 :名無したちの挽歌:2001/05/28(月) 00:18
…単に荒らし避けのためにsageてると思われ。

109 :名無しさんだよもん:2001/05/28(月) 00:48
>>106
うわ。それだったら泣ける。泣けすぎる。
だけど彼のタク入社時期っていつだっけ?

ついでに、今有島ちんは自分のブランド持ってるし、
ONE2にはわりと複雑っぽいことを言ってた気がする。
そのへんどうなんだろう。

しかしなんつうか、それぞれの信念と夢がなあ、せつねえ。
みんなしあわせになってほしいくらいだよ。
ずっとばかみたいに子供みたいに、本気でゲーム作っててほしいよ。
10年でも20年でも、飽きるまで物語を作って欲しいよ。

そう願ってしまうほどに、この話はやるせない。

110 :名無しさんだよもん:2001/05/28(月) 04:03
良スレage

111 :名無しさんだよもん:2001/05/28(月) 13:34
定期あげ

112 :名無しさんだよもん:2001/05/28(月) 21:16
感知ギア

113 :名無しさんだよもん:2001/05/28(月) 23:03
テレホあげ


114 :名無しさんだよもん:2001/05/28(月) 23:26
照れホモうげ

115 :名無しさんだよもん:2001/05/29(火) 01:58
なんかそれでもいいやage

116 :名無しさんだよもん:2001/05/29(火) 16:02
定期あげ


117 :名無しさんだよもん:2001/05/30(水) 18:02
新作祈願あげ


118 :名無しさんだよもん:2001/05/31(木) 10:50
定期あげ

119 :白銀の電話会談:2001/05/31(木) 16:07
旧Leaf一行がアボガドパワーズを一時的に離れ、浦和雄は次の自社作品に取りか
かろうとしたときであった。
「社長!」
「んぁ?」
思い瞼を大きく見開くとそこに眼鏡を掛けた小池定路がコードレス電話の受話器を
持って立っていた。
「なんだ、定路か」
「『何だ』じゃありませんよ。社長にお電話です。」
「誰?」
「彼」




「あー定路くんよ」
「はぁい、何でしょうか?」
小池はおもいっきり笑顔を見せると
「そんな笑い取らなくていいから、誰なのかって聞いてるんだ」
「あっ、そうでしたね。スタジオ・エゴの山本和枝さんからです。」
「和枝殿か。」
「はい、受話器です。」
小池は浦に受話器を渡すと
「それじゃ私、仕事に戻りますので」
「ご苦労さん」
浦は保留ボタンを解除すると
「どうも、お待たせして申し訳ありませんでした。浦です」
「お久しぶりです。浦社長」
山本の声は少し疲れたように浦には聞こえた



120 :白銀の電話会談:2001/05/31(木) 16:08
山本はそれを気にせずに続けざまに言う
「少し待たされてしまいましたが、何かあったのでしょうか?」
「いやー、ちょっとしたつまらないことです。気になさらないで下さい。」
「そうですか。」
浦は一息入れると
「所で山本さん。」
「はい。」
「今日は一体何のご用で?」
浦が用件を聞くと
「ええ、Leafの事について少々」
「それですか」
浦は「やっぱり」と思った。スタジオ・エゴの社長が自ら電話を掛けてくる用件なんて
のは大概LEAFかKeyの事であるというのは予想だついた。
「高橋さん達をそちらで一時身元を引き受けてもらって…、そのお礼のお電話です。」
「これはこれはご丁寧に…いえいえ。何て事はありませんよ。」
「しかしながら、アボガドさんの方は資金繰りにいつも苦しいとお聞きいたします。
なのに引き受けてもらって…言葉では言い尽くせません。」
山本は丁寧な対応で浦に感謝を述べると
「何を言っているのです。男、浦和雄 『来る者は拒まず、去る者は追わず』よ。
ハッハッハ!」
浦は笑って誤魔化しているが、実際のところ高橋・水無月・松岡・みゃくさ・原田を
抱えての資金繰りは苦しかった。
多少は高橋・水無月が出したとはいえ、光熱費などの使用ですこし自社の経費を圧迫
していたのは事実である。
「本来ならば、我が社でLeafさん所の社員を引き受ける予定だったのですが、
あいにく北海道支社は余剰スペースがなかったものですから…」
「いえいえ、そのような事は気になさらないで下さい。エゴさんはハイペースで作品
を出されるので致し方ないことです。」
「お気遣い、感謝いたします。」
山本の口調があまりにも疲れてる感じがするので浦は


121 :白銀の電話会談:2001/05/31(木) 16:10
「山本さん」
「はい。」
「どうも声を聞いていると体調が優れないご様子なのですが・・・」
「実はですね、今年始めに長女を出産いたしまして。」
「おお!それはおめでたいお話です。」
「まあ、出産はよかったのですが…病院でも、そのぉ」
「ん?」
「早い話、産んだ次の瞬間から原画に取り組んでいましたので、その疲れがまだ抜け
きらないのですよ。」
「そうでしたか」
相づちを打つ浦
「まあ、私の会社は私だけでもっているようなものですから」
山本はスタジオ・エゴが自分の原画だけで持っているのを知っている。
エゴのシナリオに対する評価はLeafの青紫よりも酷評でまとまりがないというのは
この業界のもっぱらの通説である。
が、山本自身の絵にファンが多いため『アレは山本CGを楽しむもの。ゲームはおまけ』
『絵さえ見れればゲームにはあまり文句は無い』などの声を山本自身よく知っているか
らこそ、シナリオを犠牲にしてでもコンスタントに作品を出して企業利益を優先する。
それが山本の企業戦略であった。
浦は山本に
「同じ北海道に会社があるんですから、協力は惜しみませんよ。山本さん」
「お心遣い、感謝致します。」
「それはウチもですが、クラウドさん所も同じ考えですよ。我々とてずっとLeafや
Keyのお膝元でいるつもりは無いのですから。」
「勿論ですわ」
「いつかは北海道がこの業界の天下をとって号令をかけたいとは思いますけどね。」
それは浦にとってはあまり本音ではなかった。
現状での会社の人材力としてはプログラマー・原画・音楽などの面においてはLeaf
にも、Keyにも数段と劣っていた。
浦・小池・大槻の3人ではまだまだこの業界で頂点を成そうと誇大妄想するほど浦は
無能ではなかった。
資金・人材・そしてなによりも北海道と言う地の利が頂点を極めるにはほど遠い事を
知っている。
だが、浦は地の利を逆に利用した。


122 :白銀の電話会談:2001/05/31(木) 16:11
遠い北海道はLeaやKeyのように他社との戦争に巻き込まれずに安穏と、着実に
力を蓄えていくには適した地であった。浦はそれに気づくとすぐさま、クラフトワーク
を離れ、アボパを創設したのである。
そして現状に至るは周知の通りである。
山本も同じであった。
大阪の本社だけではいずれ来るであろうこのエロゲー戦国時代に生き残れないと。
ならば手段としては争いに巻き込まれにくい場所に支社を立て、力をつけていくのが
得策であると感じたからである。
浦も、山本も北海道を言う地での争いは好まなかった。だから二人はやがて
【北海道同盟】を締結。それにクラウドも加わって【北海道三国同盟】となるのである。
アボパ・ego!・クラウドの絆は揺るぎないものとなったのである。
しかし、その北海道に予想もしない者達が現れた。
それが、言わずと知れた高橋龍也以下 旧Leaf陣なのである。


123 :白銀の電話会談:2001/05/31(木) 16:12
この突然の来訪者にego!・クラウド共にいい顔はしなかった。
『今、Leafに属した者達を迎え入れることはトラブルの元ともなり得る…』
その2社の思惑は確かであった。
クラウドが最初に受け入れを拒否し、これに応ずる形でego!も拒否の意向を示した。
これによって三国同盟は決壊かと思われたが、
浦が一言で「俺が面倒を見る!!」の一言で全ては丸く収まり、今に至るのである。
これ以降、エゴにもクラウドにもアボパは『浦の器量なくしてアボパは存在せず』と
いわしめたのである。
だが浦とて多少は躊躇した。
しかし、側近でシナリオライターである大槻の強い要望により受け入れが成立した
のである。
金銭面での多少のリスクこそあったがアボパ全体としての
Leafのプログラム
Leafの音楽
Leafの脚本
などの技術的なものを得た(盗めた)と考えると、その結果は功を奏したと浦は考え
ていた。
(金は俺が給料を削ればいいことだ)
それが浦の会社運営の基本方針である。


124 :白銀の電話会談:2001/05/31(木) 16:19
この件以降は、同盟もより協力なものとなり今に至っている。
山本は浦にこう言った。
「今後も、アボガドパワーズを中心に北海道は動くと思いますので、すみませんが私の
所の支社の面倒もよろしくお願い致します。」
「任せて下さい。それよりも山本さんも早いところ出産疲れを取って元気な姿が拝見
できるのを楽しみしていますので」
「ありがとうございます。最後にですが…」
「はい?」
浦が何かと訪ねると
「旧Leaf社員のお返しといっては何ですが、下川社長の事に関しては私にお任せ
下さいませんでしょうか?」
「別に異存はありませんが、それはまたどのような理由で?」
「………………………」
山本は浦にその理由を問われると無言になり
「申し訳ありません。余計な口を挟みました。」
「い、いえ大した事ではありません。ただ同じ元TGLの仲間だったのでなにかと
こちらで立ち回りしたほうが都合が良いと思いまして」
「そうでしたか、それではお任せいたします。が、無理は禁物ですよ。」
「わかっております。」
山本はそういうと
「それでは、突然のお電話申し訳ありませんでした。」
「いえいえ。また何かありましたらご連絡下さい。」
「はい。では、失礼いたします。」
ガチャ
電話が切れると浦は自分の机に受話器を置いた。


125 :白銀の電話会談:2001/05/31(木) 16:21
「しかし、気になる」
「何がです?」
突然、隣で仕事をしていた小池が浦に声を掛ける
「何だ、定路か…びっくりさせるなよ」
「勝手に驚いたのは社長です。それよりも気になることって何なんです?」
「ああ、Leafの下川さんに関してなのだが…」
「何かあったのですか?」
「いや、ego!側から自ら申し出てなんとかしてくれるなんて言うとは思わなかった
からな」
「元TGL関係の繋がりだって聞いてますよ。」
さらりと小池が言う
「まあ、そうなんだろうけどね。何かな…引っ掛かるんだなぁ〜これが」
浦は頭をボリボリと掻くと
「社長」
「ぁん?」
「女にはね、男の知らない秘密がいっぱいあるのですよっ!」
また思いっきり笑顔を見せると浦は
「そんなもんかね…女心はよぅわからん。」
「ま、そんな機微を知らないところが社長の良いところなんですけどね。」
「そうか。ま、それはいいとして仕事だ仕事!ウチは動かんと金は入ってこんからな。
はやいとこ萌えるゲームつくって版権で稼げるようになるぞ。」
「ハイ。社長!」
そういうと浦も小池も己の作業に戻り、いつものアボパがそこにはあった。


126 :R:2001/05/31(木) 16:29
どうもです。
前にご指摘されました、「・・・」の多用は少しは減らしたと思います。
(多分)
で、今度は稚拙といわれましたが
確かに俺は稚拙ですし、気の利いた文章を表現することができません。
わかっている人はわかっていると思いますが、俺はト書きが苦手なので
極力人物の会話に力を入れるタイプの人間です。

もし、こんな俺の文章でも楽しんでいただけたら幸いですが
「いらん・書き込むな」というのならそのときは潔く身を引く覚悟はできてます。
とりあえずですができるだけ『稚拙文章からの脱却』に取り組みたいと思いますので
長い目でみて下さい。

連続で次の入れようかと思いましたが、またじっくり推敲していみます。
では、これにて失礼いたします。お体にお気をつけて。

127 :n.n.t.:2001/05/31(木) 17:01
>>126
知識が無いので100パーセント楽しめた、とは思えませんがそれでも面白かったです。
俺はRさんとは違ってとにかく会話文が苦手、というか地の文で状況説明をしたがる
論文ライクな文章なので会話文の巧い人は羨ましいです。

俺はネタ切れが深刻なのと、リアルワールドがゴタゴタしているので参加は現在無理ですが
また余力が生まれれば参加したいと思っています。

128 :名無しさんだよもん:2001/06/01(金) 10:21
TGL繋がりで戯画とか、北繋がりでブルゲやメイビーとかも入ると面白いんだが、
これだと葉鍵仮想戦記でなくなりそうだ。

しかし、鍵が「男女七人物語」めいているのに対し、葉はひたすら漢の世界を
走っているような気がする。
やはり葉の面子には女っ気がないからか?
323はいるけど話の本流じゃないし。

・・・と、単なる感想なのでさげておきます。


129 :名無しさんだよもん:2001/06/01(金) 13:20
うーん、どうも前スレ終盤での話し合いが活かされていないような。
「エロゲネギ板へ逝け」という声に、「あくまで主役は葉鍵でいくから葉鍵板で良い」
という流れになったのでは?
他メーカ及び他社の有名社員を続々登場させるのはいいが、それが単に目新しさで耳目を集めたいが為の
手段だったとしたら、少々幻滅だ。

蛇足だが、せっかく心血を注いだ作品をUPするのに何故sageで書き込むのか。
荒らし防止という声もあるが、荒らしに屈服してしまうならそれまでのスレということ。
作品を発表するハレの場なのだから、自信をもって下げずに書き込んで欲しい。
このスレはそれに相応しい珠玉の作品が連なる素晴らしいスレッドの筈だ。
外伝ばかり刊行を重ねて本伝がさっぱりの某小説みたいになるのは避けたいと思うのだがどうか。

130 :129:2001/06/01(金) 13:36
>外伝ばかり刊行を重ねて本伝がさっぱりの某小説みたいになるのは避けたいと思うのだがどうか。

は、「蛇足だが」から始まる文章に続くものではなく、
前パラグラフにかかる文章になる。
間違えてしまい、申し訳ない。



131 :R:2001/06/01(金) 14:19
どうもです。
n.n.t. さんへ>
>知識が無いので100パーセント楽しめた、とは思えませんがそれでも面白かったです
ありがとうございます。
そういってくれる人が一人でもいると書いた甲斐があったというものです。
俺自身もそんなに知識があるって訳でもないです。
(鍵の話書いていないのがその証拠です。)
これからも、頑張って喜んでもらうような話を載せていきたいと思いますので
長い目で見ていただけると、嬉しい限りです
でもやっぱりn.n.t.さんの方が文章回しは上手だと正直感じています。
また、参加してn.n.t. さんの話も見てみたいな〜と思っています。

129さんへ>
>「エロゲネギ板へ逝け」という声に、「あくまで主役は葉鍵でいくから葉鍵板で良い」
>という流れになったのでは?
今回載せたお話には確かに葉は絡んできませんが、こんな事は言っていいのか悪いのか判りませんが
今、書いてる次の話の伏線であると思っていただけると幸いです。
あくまでメイン葉鍵なのでそれは十分承知しています。
>他メーカ及び他社の有名社員を続々登場させるのはいいが、それが単に目新しさで耳目を集めたいが為の
>手段だったとしたら、少々幻滅だ。
決して目新しさではありません。俺の本意としてはこれ以上の会社とキャラ(人物)を出すことは(他社の)
できるだけ避けたいと思いますし、けっして目を引きたいが為の話のフリではありません。
面白がってくれればそれ以上の理由なんて俺には無いわけで・・・

>蛇足だが、せっかく心血を注いだ作品をUPするのに何故sageで書き込むのか。
前もスレッドでもsage進行だったと思いましたので
前例踏襲です。
そう言われるのなら次からageの方向でいきます。

>外伝ばかり刊行を重ねて本伝がさっぱりの某小説みたいになるのは避けたいと思うのだがどうか。
某というのはなんなのか判りませんが、次載せるのは
(次回予告みたいですが・・・)
下川社長の話です。
これで、判断してみてください。
ただ、皆さんのもっている下川像と俺の下川像が一致していないので
非難・中傷覚悟です。
では今日はこの辺で。

132 :名無しさんだよもん:2001/06/01(金) 20:25
>>蛇足だが、せっかく心血を注いだ作品をUPするのに何故sageで書き込むのか。
>前もスレッドでもsage進行だったと思いましたので
>前例踏襲です。
>そう言われるのなら次からageの方向でいきます。

これは,スレ全体の意向では?
ほかの書き手さんの意見も聞いたほうがいいと思いますが.
あたしゃ読み手なので,ageでもsageでも着いていきます.

133 :132:2001/06/01(金) 20:26
と,いいつつageてるし.
住みません,逝ってきます・・・

134 :名無しさんだよもん:2001/06/01(金) 20:54
まぁ、先は長いんだろうから、他社の話が一話や二話出て来た位で色々言わない方が良いだろう。
俺は葉鍵だからといって葉鍵だけにする必要は無いと思う派だけどな。
葉鍵が隔離されている以上、業界全体を含めたシナリオを、
内容によって厳密に住み分けさせるのは無理だろうから。


135 :書き手の一人です:2001/06/01(金) 21:09
>>129
俺の個人的な意見かもしれないけど、
仮想戦記に、主役や本伝ってのはもともと存在しないんじゃないかな。

たくさんの書き手が考えたいろんなネタがいくつも重なり合って、
全体的な流れの中で、ストーリーが作られていく。
それがこのスレの特徴であり、リレー小説の面白さだと思う。

あと、sageで書き込むのは、
話を全部投稿し終わる前にレスがついてしまうのを防ぐためだと思われ。

ただし俺の場合は、読んでくれた人の感想のバロメータとして見てたりする。
上げてくれたらヤッタ!
下がったままならヤバー
みたいな感じで。

136 :名無しの一人です:2001/06/01(金) 23:35
いや、このスレでは完全に読み手ですが。

白銀の電話会談に関しての感想としては、『楽しめましたよ〜』
といった感じです。

ああ、あと、文章上でもう一つ気をつけることがあると思います。
細かいことだけど”〜である”を連発しすぎ。”〜だ”や”だった”等を
混ぜて、もう少しバリエーションをつけましょう。
つか、『であるだ調』は語尾のバリエーションが使い分けしにくいから、
上級者向けの文体だと思うのだがどうか?

137 :名無したちの挽歌:2001/06/03(日) 10:47
単にsageたほうが荒らされにくいから下げてるんじゃないの?

138 :名無しさんだよもん:2001/06/03(日) 12:40
>>137
確かに。こういうSS系のスレって長文だらけになるから、
ウザイと感じる人多いだろうからね。

139 :名無しさんだよもん:2001/06/03(日) 19:34
>>137
他の板はともかく、葉鍵板でしかもこのスレならウザがられることはないんでない?

140 :名無しさんだよもん:2001/06/03(日) 19:43
>>139
甘いなぁ
荒らしにってのはどんなスレであれつけ込む場所があったらつけ込んでくるんだよ。

141 :名無しさんだよもん:2001/06/03(日) 19:49
確かに無差別に荒らす人ばかりだからねぇ。。。

142 :ゴルァ(゚д゚)イ光を求めて…愚痴スレ#85:2001/06/03(日) 19:49
>>140
おまえみたいなななな・・・・なんだ。チンコ・・・

143 :名無しさんだよもん:2001/06/03(日) 22:30
いや、葉鍵板屈指の優良スレであるこのスレなら荒らしも手を出しづらい筈だ。
このスレがまかり間違って潰れてでもみろ、荒らした荒らしは葉鍵板住民
全員から猛攻撃に合うに決まってるし。
ヘタレ荒らしにそんな度胸はないと思われ。

144 :名無しさんだよもん:2001/06/03(日) 22:55
>>143
そうやって挑発するような発言すると
余計ムキになるのが荒らしの心理ではないだろうか。

あんまり煽らない方がいいよ、たぶん。

145 :名無しさんだよもん:2001/06/03(日) 22:58
そうそう。
ここはひとつ、まったりといきましょうや。

146 :名無し君@下川萌え:2001/06/04(月) 01:18
『―――祇園精舎の鐘の声』
 どこからか聴こえてくる、もの悲しい旋律。
『諸行無常の響きあり』
 茫漠たる芦原である。地平線までも見渡せるほどだ。
『沙羅双樹の花の色』
 唄う人影を探してさまよい歩く。
『盛者必衰の理を表す』
 見つけた。禿頭、墨染めの衣。こちらに背中を向けている。
「おい、ここはどこだ!」
 強圧的に詰問する。男は振り向きもせずに答えた。
「リーフ本社跡地でございます」
 そして、手にした琵琶を再び奏で始める。
「貴様!!」
 激昂し襟首をつかんで無理矢理こっちを向かせた。
 その顔は。
―――自分の顔だった。

『おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし』

 下川は覚醒した。移動中のハイヤーの中で仮眠を取っていたのである。なにやら夢を見たようであるが覚えていない。ただもの悲しい曲だけは耳に残っていた。
「…覚えているうちに」
 古びた手帳に旋律を書き込み始める。
 不意にその指が止まった。
「何をしているんだ。私は」
 自分がもう曲を創ることは無いはずである。それがこの役職の責任と言う奴だ。それなのにこんな手帳に書き込むなんて。
「未練だな」
 首を振り吐き捨てるように呟く。
 音楽は若手に任せ自分は経営に専念すると決心したというはずなのに。
「彼は良い曲を描くからな…」
 松岡の顔が瞼に浮かんだ。そしてもう一人連想される。
 高橋龍也。彼との先日の会談の内容はあまりに衝撃的であった。

147 :名無し君@下川萌え:2001/06/04(月) 01:19
「まさか、 …が業界を」
 忌まわしきその名前を口にするのもはばかられる。
 不意に携帯が振動し着信を告げた。青村からである。
「どうした。また何かしくじりでもしたのか?」
 不機嫌に訊ねた。だが、青村の返答を聞いてあまりの衝撃に意識が空白になる。
「本社ビルが、襲撃を受けた!?」

 これがリーフ本社ビル襲撃事件の一報であった。
 この事件以降リーフの重心は東京に移ることになり、関西にかつての勢いが戻ることはなかったという。

 まさか、…が襲撃を。最初に浮かんだ考えを下川は振り払った。あそこはもう少しいやらしい攻撃を仕掛けてくるはず。こんな直接的で目立つ行動をとるはずがない。アリスか、エルフか、それとも…
「KEYの仕業か」
 心当たりはあった。中尾がらみの陰謀で少々後ろめたい行動はしている。報復を受けたとしてもおかしくはないだろう。だがそんな下川の確信に冷水を浴びせたのが青村の一言だった。
「ち、ちがいますっ! リーフファンクラブです。
 リーフの熱狂的なファンが怒りに燃えて襲撃を駆けてきたのです」
 下川は絶句し、そして有名な一言を発した。

「是非もなし」―――と。

「専務、どうしましょう?」
 青村の悲鳴のような声で現実に引き戻された。使えない奴め。指示がないと何もできないと言うのか。
 これが高橋なら、『下川さん、三つほど策を用意しました。どれにします?』と準備万端整え、ただ自分は決断を下すだけで良かったのだ。今更ながら彼の抜けた穴は大きく思う。だが、ここにいない人間のことを思っても詮無きことだ。
「いいか青村、何もするなよ」
「え? いいんですか?」
「勘違いするな、お前が動くと事態が混乱する」
 一瞬生け贄に差し出そうかと考える。だが暴徒と化した連中がそれだけ沈静化することは難しく、さらなる要求をする可能性もあった。嫌な前例は作りたくない。最後の手段にするべきだろう。
「良いか、私もすぐに行く。それまで状況の把握に努めろ」
 念を押し、そこで通話を打ち切った。
 シートに深々と腰掛け溜息を付く。
「行き先を変更する」
 下川が告げた先は、リーフ本社ではなかった

148 :名無し君@下川萌え:2001/06/04(月) 01:27
どうも、久しぶりに書かせていただきます。
出来の良い物を読んでいると、自分も混ぜて欲しくなり、末席を汚す思いでかき上げました。
お手柔らかによろしくお願いします。

149 :名無しさんだよもん:2001/06/04(月) 02:59
おお! 動きが!! 続きに期待〜!!

150 :名無しさんだよもん:2001/06/04(月) 11:37
新作あげ!


151 :名無し君@下川萌え:2001/06/05(火) 00:54
 時刻は少しさかのぼる。
 同日。大坂の某所。そこでは痕オンリーイベントが開催されていた。
 第三次「痕」ブームと言うこともあり(皮肉なことに盗作騒動で話題となったのが原因である)それなりの盛況であったのだが、やはり、かつての栄光には遠く及ばない。サークル参加者、一般入場者共に過去を思い出し、合わせたように深い溜息をこぼすのである。
 そこに一人の扇動者が居た。名前は伝わっていない。ただ、彼の云った言葉が歴史書には記されている。
「盛夏に於いて葉の勢いとどまることを知らず、天を覆わんばかりであった。しかし、今や季節は過ぎ、落葉はとどめることをできない。我らが育てた大樹をこのまま枯らして良い物であろうか。いや、良かろうはずがない。しかるに、根は朽ち果て、幹は腐り、もはや立て直すことは不可能である。それならば、いっそのこと育てた我らの手で切り倒すべきではないのか。このままむざむざと立ち枯れるのを座視するべきなのか」(原文漢文)
 それはリーフの凋落を忸怩たる思いで見守っていた古参のリーフ信者達の心に届いたようであった。
 彼等はナイト雀鬼の音楽に惚れ、フィルスノーンのキャラに萌え、雫のシナリオに驚喜した古くからのリーフファンである。
 軍隊で例えるのなら精鋭中の精鋭、筋金入りの古参兵なのだ。それだけにリーフに対する忠誠も厚く、痕もトウハトも自分たちで流行らせたとの自負もある。
 彼等にとってリーフこそが輝かしい星でなくてはならなかったのだ。しかし、まじアン、誰彼の出来。552文書の流失。そして、こみパこそリーフの顔とする東京の傲慢。それらの内部原因に加えて外からの脅威、鍵の躍進を目の当たりにしている。
 ビジュアルノベル三部作の栄光にしがみつく彼等の間にある種の滅びの美学が浸透していたとしても不思議ではない。それが今日の扇動者によって方向性を与えられ噴出したのだ。
 従ってその行動は自然発生的であり、組織的運用、代表者などは存在しない。一時の熱情によってイベント会場からリーフ本社ビルに押し掛け、数に明かせて占拠したのである。その激情から醒めたときに最も驚いたのは彼等と言っても良い。
 雁首を付き合わせてどう収拾をつけたらいいのか途方に暮れるしかなかった。

152 :名無し君@下川萌え:2001/06/05(火) 00:57
 茫漠とした空間である。薄暗くどこに何があるのかも見分けることはできない。
 その中央に下川は立っていた。スポットライトが浴びせられ眩惑し何も見ることはできない。
「下川君。この状況をどう説明するのかね」
 一段高い場所から声がした。しかし、シルエットでありどこの誰なのかは判別できない。
「大丈夫です。問題有りません」
 胸を張り答える。
「ソフト倫理委員会議長殿。リーフの起こした問題はリーフにて処理いたします」
「事態は流動的なのだよ。下川君」
 背後から声が響いた。周囲を囲むように壇が設定されているらしい。
「我ら委員会は外敵から業界を守るために存在している」
「従って、外敵を誘うような問題は避けるべきなのだよ」
 複数の声だ。正確に何人居るのかは把握できない。
「最近の君の行動は少々逸脱し過ぎではないのか?」
 お見通しというわけか。唾を吐きたい衝動に駆られるが我慢する。
「業界の利益を損なう様なことになっては困る」
「大丈夫です。問題有りません」
 同じ台詞を繰り返すしかない。かつて熱狂的な剣乃信者がエルフ営業を襲撃する事件があった。エルフはこの事件の対応を誤りソフ倫の強権を招いたのである。結果はエルフの凋落ぶりを見れば判ろう。下川は同じ轍を踏むつもりはなかった。
「まあ、よかろう。下川君、帰りたまえ。委員会は事態の速やかなる終息を願うぞ」
 議長の声と共にスポットライトが消え、舞台は暗転した。

「良いのか。あっさりと帰して」
「あのような男にリーフを任せたのが失敗ではなかったのか」
「何、大丈夫だ。予備はある。東京が取って代わるだけだ」
「リーフ、業界の功績者。今少し役だって貰うか」
「左様、我々ソフ倫と業界の未来のために」
「二度と暗黒と弾圧の時代が訪れないように」
「・・・・・・・」
 そして、静寂が全てを包み込む。

153 :名無しさんだよもん:2001/06/05(火) 01:10
祖不倫って……ゼ・ゼー○?新展開に期待。

154 :名無しさんだよもん:2001/06/05(火) 04:39
パロディはつまらんな。オリジナルで勝負してほしいぞ。

155 :名無しさんだよもん:2001/06/05(火) 18:28
新作あげ

156 :名無し君@下川萌え:2001/06/06(水) 01:43

 青村早紀は考えた。
 この騒動を自分一人の力で治めることができれば、俺を莫迦にする周囲の人間も俺のことを見なおすのではないか。『さすがは青村君だ。やはり高橋よりも君の方が役に立つ』そんな賞賛の声が耳に聞こえるようである。
 無論彼は自分が成功することを微塵も疑っていない。
 自分の能力に過大なほどの自信を持っているのだ。
 彼の中に下村の制止の言葉はもう無い。
 青村はほくそ笑み、立ち上がった。

 リーフ本社ビルを占拠した彼等は、一時の激情から醒め、いかに穏健に退出するかそのことに頭を悩ましていた。暴走が鎮まってみれば彼等とて臆病なオタクである。自分たちのしでかしたことに怖れをなしたのだ。
 外を見ると警備員によって封鎖され外に出ることは難しそうである。
 因みにこのとき、まだ警察は到着していない。国家権力の介入を恐れたソフ倫の判断により通報は控えられているのだ。
 その封鎖ラインから一人の少女がビルに向けて歩み寄ってくる。不思議に思って眺めてみるとこれが眼鏡娘なのだ。気の弱そうな華奢な感じの美少女である。
 彼女はビルの中に向けて語りだした。
「あ、あの… 青村早紀です。
 どうして、どうしてこんな酷いことをするのですか…」
 涙目である。オタクの本能に訴えた説得を開始しようと言うのだ。
 だが、いかんせん名乗ったのが拙かった。
 青紫の名前に彼等は過剰に反応し、精神を激昂させたのである。
 リーフ凋落の原因に青紫の存在があることを彼等は知っており、当の青紫は認識していなかったのだ。無論、理由はそれだけではなく、下村の独裁体制などもあったのだが、彼等は下村の音楽性は高く評価しており、矛先を向けることをためらったのである。
 しかし、青村に対しては遠慮するはずがなかった。
 彼等は青村憎しの一念で団結し、少女には呵責とも言える罵倒が浴びせられる。半泣きで立ち去る少女の姿に溜飲を下げ、さらに要求として業界からの青紫追放を掲げたのであった。

157 :名無し君@下川萌え:2001/06/06(水) 01:47
青村早紀の外見描写はあえて、この形にしてみました。

158 :名無しさんだよもん:2001/06/06(水) 07:29
下村?

159 :名無しさんだよもん:2001/06/06(水) 12:55
下川萌えとか言っといて何故に下村????

ていうか文章が稚拙すぎ。推敲してる?

160 :名無しさんだよもん:2001/06/06(水) 20:38
>いかに穏健に退出するかそのことに

穏便?


161 :名無しさんだよもん:2001/06/06(水) 20:46
>この騒動を自分一人の力で治めることができれば、俺を莫迦にする周囲の人間も俺のことを見なおすのではないか。『

自分・俺・俺と並んでいるのが…
ココもう少しスマートに出来ないか?
お話は面白げなので、頑張ってくだされヽ(´ー`)ノ



162 :名無しさんだよもん:2001/06/06(水) 20:53
>リーフ凋落の原因に青紫の存在があることを彼等は知っており、当の青紫は認識していなかったのだ。

当の青紫は『何を』認識していなかったのか?
『何を』の部分を入れた方が読みやすいかな。

163 :名無しさんだよもん:2001/06/06(水) 21:29
>>161俺俺言ってる方が青紫っぽいのは事実(w

164 :名無し君@下川萌え:2001/06/07(木) 00:52
スマソ。勢い先行で書いてて、ざっとしか読み返していない。
本当なら冷却期間をおいて載せるべきなんだけど。

今日書いた分は明日、読み返してからカキコします。

165 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 00:12
 現場に到着した下川が最初に治めた騒動は、警備員と青紫の間の軋轢である。
 警備員が不用意に漏らした一言、『なんだ、男か』に青村が激怒、『男で悪いか!』と殴りかかったのだ。
 その子供じみた理由に呆れ、下川は警備陣に全面的に謝罪したのである。そして、紛らわしい名前を付けるのが悪いと、青村を叱り後方に下げた。警察に通報できない以上、警備員に協力を要請せねばならない。彼等の体面を守らねばならない必要性があったのだ。
 しかし、それを青村は理解できていないようである。
「糞が! どいつもこいつも俺を陥れやがって! そんなに俺の才能が妬ましいか。貴様等凡人が足を引っ張らなければ俺は今頃…」
 座った目でぶつくさと呟く青村にだれも注意を払う者は居ない。下川が交渉人として先頭に立ったのを注目していたのだ。
 本社ビルを占拠したオタク達は、青紫の業界からの永久追放を要求している。無理もない、と下川は思ったが顔には出せない。相手の言い分をそのまま呑んでいては交渉はできないのだ。人事権は会社にあり、ユーザーの物ではない。それを相手に納得させるようにねばり強く説得していくしか方法はないのだ。
「自意識ばかり肥大させプロ意識に欠けた、自称クリエイターたちにゲームを創らせるよう説得する方が難しい」
 臨む前に下川が漏らした言葉である。
 下川はリーフを一代でここまでにした奸雄なのだ。過去の栄光とはいえ高橋や水無月を擁して業界に覇権を唱えたこともある。並のオタク風情が太刀打ちできる相手ではない。ましてやそのオタク達はそのリーフ栄光の時代を知る人間なのだ。
「君たちの言い分はよく判った。リーフを思う気持ち、感泣に耐えない。将来において必ず経営を改善するから、今日の所は解散しなさい。このまま不法占拠を続けたところで、親御さんを悲しませるだけだぞ。我らリーフとて熱心なファンを犯罪者にするのは忍びない。今なら穏便に済ませるから、投降しなさい」
 下川の言葉を要約するとこうであろう。実際のこれの20倍ほどの語彙を使って切々とオタク達の心情に訴えるのだ。その情理を尽くした説得に彼等も態度を軟化させ、無血開城もほど近い、と一息付いたその瞬間に。
 破局が訪れた。

166 :名無し君@下川萌え:2001/06/08(金) 00:15
これでいかがでしょうか?

167 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 01:27
新作あげ。

168 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 01:39
>実際のこれの20倍ほどの語彙を使って
ここのところは実際に書いて欲しかった。
難しいと思うけど、言葉で説明するのはどうかと思う。

169 :数をこなそう:2001/06/08(金) 03:52
>>165
「軋轢」というのは、人の仲が悪くなることです。
これはちょっと文に合わず、「揉め事」ぐらいで置き換えておくといいかな。
「全面的に謝罪したのである。」ちょっと大げさかな。
「すぐに詫びをいれ、」ぐらいでいいと思います。
「しかし、それを青村は理解できていないようである。 」
→「その間、青村を捨て置いている。」
そして、「 座った目でぶつくさと呟く〜は居ない。」
→「しかし、」を文頭につけ、過去形に。
「リーフを思う気持ち、感涙に耐えない」
→ちょっと大げさ。「こちらとしても感激にたえない」ぐらいでいいのでは。

細かいところばかり意見して申し訳ないですが、僕にはこれぐらいしかできないので。
参考になれば幸いです。


170 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 10:47
ややよくなった感はあるけどまだまだ全体的に「作文」の域を出ていないね。
助詞の使い方がちょっと冗長すぎるかも。単純な助詞の誤植もあるが。
やたらともってまわった言い回しや難しい単語を多用しているけど、
本当にその意味を理解してる?
うまい文章書きというものは誰にでもわかる平易な表現でも読ませる文章を作れるものだよ。
あと、貴方の文章では「〜である。」は使用しない方が良いと思う。

文章にあまり自信がないならSSスレで修行するか、書き込む前に何度も見直し推敲することが必要。
「本当なら冷却期間をおいて載せるべき」と理解しているならそれを実行しましょう。
独りよがりな書込は度を過ぎると迷惑になりますよ。

171 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:09
アボパとego!の電話でのやり取りの後
【Leaf社長室】
下川はいつものように2chをチェックする。
「くそ!どいつもこいつも、俺の心情も知らんくせに。好き勝手に…」
PRRRRRR

独り言のように吐き捨てると…突如机に置いている電話が鳴り出す。
「ん?」
下川が通知番号をみると
そこの電話番号には…

06―×××―××××
山本和枝

と表記されていた。

172 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:12
「あいつか。また懐かしいな」
しかし下川は電話を取る気配がなかった。
だが、電話は鳴りやむ気配を見せない。
「あーくそっ!」
嫌々ながら電話を取る。
「何だ今更!俺は忙しいのだ」
開口一番、下川はそう言うと山本は
「相変わらずね。直哉さん」
山本の口調は優しかった。
「何の用だ?用件があるなら早く言え。俺はお前の会社に関わっているほど暇じゃ無い
んでな」
「あら、作品予定がないのにですか?」
「ちっ!」
皮肉を込めて言う山本に舌打ちする下川
「直哉さん。高橋さん達が北海道から戻ってきたそうですね…」
「何の事だ?」
「とぼけなくてもいいのですよ。直哉さんはいつも口振りで何を言いたいのか私には
解りますから。」
「…………………………………………………………………」
長い無言。
山本は少し呼吸を整えると
「直哉さん」
「ん?」
「私の子供が産まれたの…もう知っているわよね?」
「まあな。お前ん所のHPは毎日チェックしてるからな」
「あら、嬉しいことを言ってくださいますね。」
「勿論情報収集の一貫だがな」
皮肉めいていう下川に
「そうやって心にも無いことを…あなたは」
山本は下川の心を読むかのような口振りで言う
「ねえ、それじゃもう知っているわよね。」
「ああ。ガキの事だろ。」
「そうよ」
「旦那と元気でやっているようじゃねえか。」
「…………………………」
沈黙する山本
「ま、今の俺にゃ関係ないがなぁ!」
下川の吐き捨てた台詞に山本は
「そんな事よく言うわね!」
山本が怒りをあらわにして言う
「??」
山本は怒りが涙声で混じったような口調で…
「あの子は…私達の子なのですよ!!!!!」
「……………………………………………………………………」
下川は頭上に電撃が走ったような感触がした。


173 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:15
下川は思い出す。
もう、いつのことだろうかも解らないTGL時代
山本と下川は同じ会社だった。
そのことから下川は音楽で、山本は原画でよく話しをしていた。
例え違う業種でも同じ会社にいると
やがて、二人は異性として意識しだし、そして付き合うこととなった。
下川が仕事場でパソコンから山本に一曲を聴かせ
「これはお前の為に作ったんだ。もしよかったら俺と付き合わへんか?」
下川らしい多少下品な言い方だったが、バックで流れている曲によってそれは山本に
とって嬉しい事だった。
「返事は明日まで待って下さい」
山本はそう言うと次の日に自分のパソコンにある一枚の原画を下川に見せた。
「これが、私の返事です。」
その絵は男性が女性を抱きしめてキスをするシーンだった。
下川は次の瞬間その絵通りの行為を山本にした。
二人は見つめ合い
「直哉さん………………」
「和枝……………………」
その日二人はいつもより仕事を早く終えると一緒に帰る約束をした。
そして夜。


174 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:16
帰宅途中

「今日はええ日や。正直付き合えるなんて思ってなかったからな」
「えっ!直哉さんはそう思ってたのですか?」
「まあ、俺さ見掛けとかなんかヤクザみたいとか言われるしなぁ、あんま今まで女
とかも近寄よってくるようなタイプじゃないからなー」
「そんな事ないですよ。だって……」
「ん?」
山本は下川の左腕に頬をよせ
「お、おい!恥ずいって、あんま人前とかでそういうの俺苦手やねんから。」
「直哉さんて、顔に似合わず純情なのですね。」
「…………………」
顔を紅潮させて和枝と目線を反らす下川。
そしてそのまま二人は歩き山本の家に着く。
「よし。」
下川はそういうと
「んじゃ、今日は……」
下川が帰ろうと背中を向けると
「だめっ!」
「!!」
背中から抱きしめる和枝
下川の背中には和枝の2つのふくよかな感触があった。



しばしの沈黙が場を支配する。
山本は下川の背中に抱きついたまま離れようとしなければ下川も離そうとしなかった。
そして突如山本が話しを切り出した。
「ねえ直哉さん、今日は一人じゃ居たくない気分なの。今日は泊まって行かない
ですか?」
「え」
下川は思考が一瞬停止した。
それは明らかに下川を誘うサインであった。


175 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:16
下川は振り向き確認を取るように
「いいのか、そんな急に?もっとお互いをよぉ知らんとのー」
「あっ、その点は大丈夫です。」
素っ気なく答える山本
「なんで?」
「だって、同じ会社にいたら直哉さんの事もう知っていますから。」
「そうなんか」
「そうなんです。」
言い切る山本
「んじゃ言うけどなー」
「??」
「男が女の部屋に入るって言うことは、どういうことか解っているんだろうな?」
下川は遠回しに何をいっているのかを、山本は勿論理解していた。
「……………はい。」
その声は小さく、しかし力強かった。
「よっしゃ。そう言うのなら仕方ないな。んじゃ行こうか」
「ええ。」
そういうと下川は山本のマンションに上がった。


176 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:17
山本のマンションはワンルームで10畳程度の部屋だった。
中は無味乾燥としていて、あるのはラックに乗ってるマッッキントッシュと鉄パイプで
構成されたベットと衣類が入った家具一つというモノであった。
「えらくさっぱりした部屋やなぁ」
早速、下川はそういってベットに腰を下ろす
「そうですか?時間的にほとんど会社でいますし、帰ってきても仕事の残りをするか、
寝るだけですから」
「ま、そうやな。俺も似たようなもんやけどな」
「直哉さんもですか?」
「ああ。」
山本はタイミングを見計らって
「…と 隣に座ってもいいですか?」
「お前の家やねんから、どうしようと勝手やん」
素っ気なくいう下川
「じゃあ、お言葉に甘えて」
そういうと山本もベットに座る。下川の隣で
「な、なんか急な展開やな」
「そうですね」
しんみりと返す山本
「……………………………………………………」
「……………………………………………………」
お互い会話が続かず無言となる。
山本は再び下川の左腕に巻き付き
下川はキョロキョロと周囲に目を動かすだけだった。
そんな時間が10分 20分と続くと流石の下川もその部屋の空気に絶えきれず
「眠いな」
「ええ。」
「寝るか?」
「はい」
下川はそのままベットに横になる。
それにつられて山本も横になる。
下川と山本が顔を会わせるような状態になり。
再び無言状態が続く。
お互いずっと顔を見つめ合う。
「和枝」
「はい?」
下川は右手で山本の髪に手を入れ感触を味わう。
「あっ、なんかその手つきいやらしいですね」
「んじゃやめようか?」
「いえ、いいです。」
サワサワと山本のポニーテールに感触を楽しむ。
山本の目元がトロンと下がってくると
「和枝っ!」
「!?」
下川は突如山本の唇を奪う。
「うっん…ぐっ!」
突然の事に驚く山本、しかし下川は唇を離そうとしない。
すると今度は逆に山本が下を割って入れてディープキスに移行する。
流石に下川もすこし引いたが、山本が両手を頭に回している為に逃れられない。
二人は長い長い濃厚なキスを堪能する。
そして…
どちらがともなく
二人は
衣服を外し
抱き合うのであった。

177 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:19
それからというもの、二人はこの事を秘事とし、誰にも知られぬようにひっそり
と付き合っていた。
ゲーム会社ということもあってか、お互い仕事で忙しくなかなか時間調整できないの
が幸いしてか二人の仲は知れることはなかった。
一ヶ月が経過し
二ヶ月が経過し
三ヶ月四ヶ月そして、一年二年と順調に交際は進んでいた。

たまにしか会えないのが幸いしてか、二人には倦怠感というものが無く、一歩町へ
繰り出せば、ごく普通のカップルにすら見えた。
ゲーム会社と言う時間的に不規則な場所も、休みは出来るだけ一緒に有給を取り、
二人が一緒になればお互いの家で出入りする事となった。
両人とも一人暮らしという気軽な生活の為、休みの日は仕事に勤しんでいる時とは違う
ゆっくりとした時間が流れていた。
特に何をするということもなく
ただじゃれ合うだけの日々
そして下川が山本の家で愛し合えば
山本が下川の家で愛し合うこともあった。

178 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:21
そんな二人にあるこんな出来事があった。
それは真夏の日光が照りつける昼の事だった。
下川はいつものように山本のマンションに着く。
インターホンを押すが全く返事がない
(寝てるんかな?)
そしてドアを開けようとすると何故か開かない。
しかし、長い付き合いとなると互いのマスターキーは持ち合わせており、下川は山本の
部屋の合い鍵を取り出しそして開ける。

部屋に上がると、ベッドに寝ている、Tシャツで半ズボンと言う山本の姿があった。
しかし山本は外からの直射日光をもろに浴び、Tシャツが汗でブラジャーの線が
くっきりと見え、そしてうなされながら山本は眠りについていた。
「うぅー。あ〜つ〜いぃぃぃよぉー」
寝言で熱いを連発する山本
(そりゃあそうだろうよ)
下川はそう思った。
部屋には冷房などという気の利いたものはなかった。
扇風機もなければ除湿器もない。
ベットには山本が扇ぎながら寝たのであろう。【関西電力】の団扇(うちわ)があった。
下川は山本を起こすことをせず、まずその辺にあったタオルで汗を拭いてやり、
カーテンを閉めると山本と同じようにベットに寝そべり
「しゃーねーな」
そしてベットにあった団扇を右手に持つとパタパタと山本の顔へ扇ぎだした。


179 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:23
下川は山本の寝顔を見つめながら右腕だけを動かす。
10分・20分とゆっくりと時間をかけて山本の上半身を扇ぐ。
今の下川では想像できない姿であった。
山本が寝苦しい表情から一転して
「すぅ〜…すぅ〜」
(気持ちよさそうに寝てるわ…っていうか何で俺こんな事しているんや?)
と疑問に思ったものの、決して嫌ではなかったのでづっと同じ動作を続ける。



一時間ほどすると流石に下川も眠くなり、瞼が重くなるのを感じる
「うぉ。俺も眠いし…しゃーない。目ぇ瞑って腕だけうごかしとこ」
そうすると下川は瞼を閉じる。



「zzz」
気が付けば下川は左手で頭を支えながら眠りについた。
右手は団扇を動かしたまま…


180 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 21:23
どうでもいいが、急につまんなくなったな(萎え
あの綺羅星のような鮮烈な作家さんはどこに行ってしまわれたのか…

181 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:24
夕方
しばらくすると、十分な睡眠をとった山本が目を覚ます…
「うーーん。あー結構熟睡したわ。」
体を起こす山本。そして隣で寝ている下川を確認する。
「あっ?直哉さんいたんだ…」
そして下川の寝顔を見ると、ふと体に涼しい風を感じた。
「あれ?冷房器具ないのに」
と山本は下川の右手を見ると
「!」
下川は眠りに入りながらもゆっくりと団扇をしっかりと持って同じ場所を右へ左へ
動かしていた。
「直哉さん、私の為に…ずっと扇いでくれていたんだ。」
「………………………………………………………………」
やまもとは恍惚とした表情を浮かべ
(直哉さん。そんな見えないところで支えてくれる貴方が、私は好きです。)
chu!
山本は頬に軽くキスをする。
「!!」
下川の瞼が急に見開き、
寝ぼけた顔で周囲を確認すると山本の家だった事をふと思い出す。
「あっ!……寝てしまった。」
団扇の動作が止まり、そしてぼやけた視線の先には彼女がいた。


182 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:25
「あっ、おはようございます。直哉さん」
夕方なのに『おはようございます』そんないつもの聞き慣れた業界用語を聞くと
「起きたんか。」
「ええ。今さっき」
「そっか。気持ちよく寝れたか?」
「はい。」
「そうかそうか。」
「ねぇ、直哉さん。」
「ん?」
「今日は何時ぐらいに来られましたか?」
「ああ、昼の一時くらいやと思うけど、和枝寝てたからよ」
「ちょっと昼寝してしまいました。」
「まあ、ええけどな。寝苦しそうやったからよ、まあ起こすのもなんやし、この部屋
冷房も扇風機もないからよ。そこにある団扇でちょっと扇いでやったぞ」
「…………………」
目元を潤ます山本に下川は
「どうした、そんな顔して?」
「私、嬉しいです。直哉さんが私のためにずっと…」
「そんな大した事ないし」
「そうですけど……」
「次の給料入ったら、最低でも扇風機ぐらい買っておけ。この部屋暑いからよ…」
素っ気なく合理的な発言をすると
「それじゃあ、買わなかったらまた、今日みたいに扇いでくれますか?」
「嫌!」
即答で答える下川
「うぅ〜」
プクっと頬を膨らます山本
「そんなもん毎日しとったら手ぇが上がらんようになって仕事できんやん。」
「そしたら私が直哉さんの面倒見てあげます。」
「いらん!」
「甘えてもいいのですよ。遠慮なさらないで」
まるで子供に諭す親のような口調で下川に言い聞かせる。
「余計なお世話や」
そういうと赤面し山本から視線反らす。
山本は汗びっしょりのTシャツを見て
「汗かいたから、まだ夜にはなっていないですけど、ちょっと風呂は入りますね。」
「ああ。好きにしな」
下川は普通に言うと
「直哉さんも入ります?一緒に」
一瞬考える下川
しかしその望みはすぐに満たされた。
そんな二人の間でのまったりとしたそんな日常。
いつまでも続くと思ったそんなごく普通の日常。
しかし
『終局』と言う鐘は除々に二人に響いてくるのであった。


183 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:26
それは、下川がTGLを去るときだった。
下川は新会社『Leaf』を設立したときである。
山本との関係はまだ長く続いていたものの、会社が別々となると次第に会う機会も
少なくなり、会わないときはメールなどでやり取りをしていたが
所詮は情報だけのやり取りではお互いが満たされることもなく…
次第にぎくしゃくしていった。

初期の作品の頃はまだよかったのであったが
リーフの柱ともなる【ヴィジュアルノベルシリーズ】の第一弾【雫】から、
毎日会ってはいたもの、次第に体も重ねることも少なくなり、
いつしか仕事の都合で仲がよかった二人は仕事によって引き裂かれていくこととなった。
【痕】【To Heart】と成功を収めると。今までとは違った状況下となり
いつしか山本とは会うことも連絡する事すら困難を極めていた。
そして、もう、大分前になるだろうか。
なんとか休暇をとり山本のマンションに行った時であった。
突然真剣な顔をしてこう切り出した。
「これで最後にしましょう…これ以上ダラダラするとお互いにダメになるわ」
それは事実上の別れであった。
下川も、山本ももはやTGLの頃とは違うのだと言うことに…
「そうやな、俺もお前も…もう昔の頃とは環境か違いすぎる。このまま惰性でいった所
で有害とまではいわんけど、お互いい精神的な負担をかけて仕事に影響することは、
必死やからな。」
下川も理解はした。しかし納得はできなかった。
「ねぇ、直哉さん。最後に、もう一度抱いて。抱いて欲しいの 狂おしいくらいに」
「和枝……」
そして最後に二人は体を重ねた。
二人は思う。
どうしてこうなってしまったのかと?
しかしそれを払拭するかのように二人はお互いを求め、激しく愛し合う。
お互いの体力が限界を迎え
事を終え
二人が再び日常へ戻ろうとしたとき。
下川は山本の合い鍵を返し
山本も下川の鍵を返却すると
以降、部屋を行き来することはなかった。


184 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:27
下川はそんな昔の事を頭に思い出しながら山本の話に耳を傾ける。
「ねえ、直哉さん。」
「何だ?」
不機嫌そうに下川は対応する。
「子供の為に…私達もう一度やり直せないですか?」
母となった山本和枝が下川に問う
「今の旦那にはやっぱり悪いですけど…私、思ったんです。やっぱり私には直哉さんが
いないと…って。直哉さんと別れたとき、私は心に大きな穴があいていました。
今の旦那はそれを埋めるかのように私に尽くしてくれました。
私も彼ならってと思い、直哉さんとの二の舞になるまいと思い、結婚に踏み切りました。
でも、私は結婚して思いました。
私には直哉さんしかいないっって。
そんな事を考えて過ごしていた去年、私は妊娠しました。
時期的に考えても、やっぱり『幸菜』は私と直哉さんの子です。」
「………………」
下川は黙って山本の話を聞く。
「当初は戸惑いました。でも今の旦那には当然嘘をついてなんとか誤魔化しました。
でも、幸菜には…あの子にはお父さんが誰であるか知って欲しいのです。」
「そうか…」
しんみりした声で頷く下川
「直哉さん。もし、もし私にまだ愛があるのでしたら、まだ、好きでいてくれるので
したら…もう一度」
「何勝手な事言うとんじゃ!」
「!?」
激昂する下川、いつもより言葉が荒々しくなる。
「そもそも、お前の方から別れてくれっていうたんやろうが!それをなんや、また昔
にみたいに一緒になりましょうやって!フン、自分勝手にも呆れるわ。」
「そんな…子供の事をと思って…」
弱々しい声で反論する山本に
「俺が子供の事でも出せば「ハイそうですか」で一緒になると思ったんか?お前、頭
わいとんのとちゃうか。そんな訳ないやろ、ボケっ!
子供?俺は違うと言い張るよ。なんならDNA鑑定ににでも出せや。それが俺の子で
あろうとも、それまでに時間は稼げるからなぁ…」
下川が罵声を浴びせるものの山本はやんわりとした口調で
「直哉さん。そんな心にもない嘘は口にしないで下さい。直哉さんの性格は…」
「黙れ!」
下川はありったけの声を振り絞って叫ぶ。


185 :遙かなる青春、そして懐古:2001/06/08(金) 21:28
そしてつい思ってもいない事を山本は下川に浴びせる。
「そんなことだから、折戸さんの彼女が貴方のお金目当てであったのも気が付かない
んです!そんな事だから……貴方は」
「他社のお前に関係ないやろうが!!お前に何が解るんじゃ。エぇ?俺の気持ちも知
らんくせに勝手にほざくな!」
「どうしてそん……………………」
プツッ
ツーツーツー
怒りのあまりに下川は思わず受話器を切っていた。

しかし
PURRRRRR
PURRRRRR
PURRRRRR
「うっとおしい」
ブチ
下川は電話のコードを引き抜く。
「クソが!俺の気持ちなんて最終的にゃだれもわからねんや…だれも…」
そう呟くと…
ガチャ
「社長!」
部屋には青紫が下川も怒声を聞きつけてか入ってくる。
「凄い怒鳴り声をあげていましたけど…何か?」
「ああ、青紫か…なんでもない」
「でも、何か新しい動きでも?」
「何でもないっていうてるやろ!今は機嫌悪いんじゃ!出て行け!」
「はっ、ハイー」
下川に気圧される形で青紫は社長室を退出する。

一人になると下川は
「もう、俺は悪人なんや。悪人は悪人らしくせなあかん。…そんな子供などで…
俺は…俺は…」

そういう下川の両目から水分が大量に溢れていた。
「あまのじゃくは辛いな」
そういうと袖で水分を拭い、再びいつもの通りの毅然とした下川直哉がそこにはいた。
下川は思う。
(俺の人生と言うフラグはどこで間違ったんやろうか)
と…


186 :R:2001/06/08(金) 21:33
どうもです。
頑張りました。次もありますが、また推敲してきます。
だめならそれまでのことです。
ではこれにて失礼いたします。

187 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 21:39
なんか文章批評スレになってるな。
このスレはネタとして雰囲気だけ楽しめればそれでいいと思うが、どうか。

188 :とうとう:2001/06/08(金) 22:34
下川がだいぶ熱いな。
そう思った。
これからもがんばってくれい

189 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 22:36
 

190 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 22:37
 

191 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 22:37
 

192 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 22:40
 

193 :名無しさんだよもん:2001/06/08(金) 22:44
 

194 :名無しさんの初恋:2001/06/09(土) 00:00
>>186

展開がすばらしい(w のでOK。
文章も及第点出していいのではないかと思われ。

これからも頑張ってください。

195 :名無しさんだよもん@そうだ有明行こう:2001/06/09(土) 00:11
いや、下川×山本とは…
思いもつかぬ展開です。続き待ってます。

196 :名無し君@下川萌え:2001/06/09(土) 00:54
>>169
>>170
ありがとうございます。他人様に読んで貰うのは修行の一環とはいえ、自分の周囲には「ふ〜ん」や「べつに良いんじゃないの」とか言う連中しかおらず、適切な助言は大変参考になりました。
広げた風呂敷を畳むのは、週末に練り直してからにしようと思います。

197 :名無しさんだよもん:2001/06/09(土) 02:53
196さんへ>
これからの展開を楽しみにしています。
(できれば下川萌えをもっと強烈に出してほしいです。)
各個人が色々な領域を担当して一つの話を創り出しているというのは非常に
みていて良いです。
これからの196さんの話に期待しています。
アドバイスできる身分じゃないですが、自分の想像した事を言葉にできれば
それが一番だと思いますので、それを切に願うだけです。
他の書き手さんも頑張って

198 :名無しさんの初恋:2001/06/09(土) 03:29
女性でこのスレッド見ている人いる?

199 :名無しさんだよもん:2001/06/09(土) 03:36
記憶が確かならナナツ氏は女だったはず。

200 :初参加・別ルート1:2001/06/09(土) 12:22
重く澱む熱気の底、石川真也は死魚のよう沈んでいる。
一切、光の入り込まぬ部屋。
熱帯魚の水槽の青のみが光源となり、彼の顔を蒼白く曖昧に照らす・・・・・・。

今が昼なのか夜なのか判らない。
しかし、そんなことはどうでも良い事だ。
頭の中で微かに響くあの音が俺にとってすべてなのだ。
右手の指が小刻みにリズムを取り続ける。
架空の鍵盤の上を、指が気だるく這いまわる。

「・・・違うな」

石川の澱んだ眼に一瞬、鈍い光が浮かび又、沈み込んだ。
深い沼。
夜の沼のような濁った闇。

「随分・・・遠くまで・・・来てしまったな」

唇の端が、かすかに歪む。




201 :名無しさんだよもん:2001/06/09(土) 12:31
>>160
 穏健という言葉はあるよ?

>>165
> 警備員が不用意に漏らした一言、『なんだ、男か』に青村が激怒、
>『男で悪いか!』と殴りかかったのだ
 さりげなくZパロ?
 ってのはさておき、今後とも頑張って下さいね。このスレでの突っ込みも
 大抵が善意的だったりしますし、くじけずに。なんだかんだで結局、
 書いてくれる人は神様デスによって。

>>170
 文章書き始めてからしばらくの間だって言うのは『やたらともってまわった
言い回しや難しい単語を多用』したくなるんもんなんだってば。漏れもそうだったし。
難い言葉とかってパッと見それだけでかっこいいし、いろんな言葉を知ってると
それだけ知識があるように見えるし。そこからいかに脱却して、要所要所だけに
とっておきの持って回った言い回しを使うようにしたいと、現在修行中。

>>196
 漏れも今後の展開を期待して待ってるよ〜。

>>199
 そうらしいね。知らずに振る舞ってたら本人に突っ込まれた。

202 :名無しさんだよもん:2001/06/09(土) 12:33
初参加で、末席を汚させていただきます。
おめざわりでしたら、即、消えますので、遠慮なく。


203 :別ルート2:2001/06/09(土) 12:56
狂ったような雨音。
熱。
「リーフ・スタッフ」
あの日、あの場所での俺の名前だ。

同僚の「絵描き」「セリフ屋」の色紙が信じられぬ値段で売買されている。
オタクどもの嬌声。
雨音。
熱気。

誰もいないブースで青ざめ震える「リーフ・スタッフ」・・・。
名前をもたない虫の俺。

こうした感情を何と呼ぼう?
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「憎悪」

かすかに言葉を探り当てた満足感が浮かび消える。
消えて、沼底の泥土に潜む。

響く雨音。
固まる熱。

204 :別ルート3:2001/06/09(土) 12:58
RRRRRR
電話?
何の用だ?

腐乱した水中生物のよう、ゆっくりゆっくり受話器に漂う。

「・・・石川か?」
「・・・専務」

「仕事を頼みたい」
「・・・どんなゲームの音・・・です?」
「ゲーム?・・・そうな、人がいっぱい死ぬゲームや。判るやろ、DOZA」
「外注ですね」
「ああ、外注や」

脳髄に張った薄い膜が、クリアになる。
「とにかく一度、ブリーフィングや。会社やあれやさかい後で場所しらせるわ」

切れた受話器の向こうから、激しい雨音が響いているような気がする。
もちろん気のせいだろう。
机からそれを取り出し、窓を開ける。
重い熱気が夜ととも、部屋に雪崩れ込む。

中天にぼんやり浮かぶ紅く膨れた月。
その光を鈍く反射する銃の重さ。

「あいつもこの月・・・見てるかな?」

確かに人がいっぱい死ぬゲームだ。
このゲームにはどんな音楽が似合うのだろう・・・?
うすくひらいた唇から、押し殺したような笑声がもれる。
しかし、それは鳴咽のようにも聞こえる・・・。


205 :名無しさん:2001/06/09(土) 18:02
最近また、投稿が多くていいね。
みんな頑張れ!
と、言うわけでアゲ

っていうか、もしかしてみんな下川好きなん?

206 :蜜月:2001/06/09(土) 20:29
下川は思い出す。
それはあの折戸伸治がLeafに来た事が下川という歯車を狂わせたことに


当時のLeafは高橋・水無月達で高い評価を得ていたが、折戸・下川達の
音楽も業界やユーザーによって良い評価を得ていた。
折戸はLeaf当初から目を見張るほどの音感も持ち、下川の心に響くほどの音楽を
次々と作り出していた。
それが良い意味で影響したのか下川も折戸に負けじと五感を駆使しLeafに貢献した。
結果として、それはよい作品を生み出す事となった。

下川は折戸に関しては高橋・水無月以上に『寵愛』といっていいほど可愛がっていた。
折戸もそんな下川は決して嫌いではなかった。
着実に実力を上げる折戸…

ある日の晩の事。
「おい、折戸よ」
下川が後ろからポンと手を肩に掛ける。
「あっ、専務!お疲れさまです。お帰りで」
「俺はもうひとしきり終わったからな、そっちはどうや?」
「いや、なんかまだ納得がいかなくて」
「どれ、ちょっと聞かせてみろ」
下川はヘッドホンを耳に装着する。折戸は自分の音を流し始める。




「ふむ」
「どうですか?専務」
自信が無いのか折戸は下川の反応を伺う。
下川の口からでは言葉は次のようなものであった。


207 :蜜月:2001/06/09(土) 20:30
「そうだな、センスに関しては俺がどうこうという部分は別段ないけど」
「けど?」
「技術的な部分にかんしては全体がバラバラだな。もうちょっと音に抑揚をもたせて
いけば、まとまって曲が引き締まるぞ。これじゃこの音が悲しい場所の演出なのか
楽しい場所の演出なのかが聞いたユーザーにもわからんだろ」
下川は折戸に熱心に指導するように話す。
折戸も真摯に耳を傾ける。
「なるほど、これから気を付けます。」
「で、お前はまだ残るのか?」
「はい。もっと練り直すところはあると思いますので」
「いや、今日はもう上がれ。」
「いいんですか?」
折戸は下川に聞くと
「今日はさっさとタイムシート押して帰る支度しろ。その変わり」
「その変わり?」
折戸がオウム返しで聞き返すと
「たまには俺の飲みにも付き合え」
下川は折戸を居酒屋へ連れていこうとした。
折戸は
「有り難いんですけど、まだ仕事が…」
「別にマスターアップ日って訳じゃないからそんなに気にする事はない。それとも、
俺と酒が飲めないっていうのか?」
「い、いえそんなことは」
「んじゃ決まりだ。」
強引に決める下川。
折戸はタイムカードを押すと下川と共に伊丹の居酒屋で飲むこととなった。


208 :蜜月:2001/06/09(土) 20:32

座敷で下川と折戸は向かい合い、お互いの手には中ジョッキのビールがあった。
「んじゃお疲れさん。」
「お疲れさまです。専務」
カ〜ン
グラスの当たる音と共にグイッと飲む二人
「しかし、専務」
「ん?」
「いいんでしょうか、俺達だけ先に上がって…生波夢さんとから〜YOUさんとか
まだ、仕事しているのに…」
「ああ、あっちはプログラマーに原画だからな。俺らは音楽だ、舞台が違うから気にすることなんて別にない。」
下川はそういうとジョッキを一気に空にして…
「お〜い、今度は焼き鳥追加ね」
「あいよ!」
威勢の良い声をよそに折戸はチビチビと飲む
「しかし専務は飲む勢いが早いですね」
「まあな。所で折戸よ」
「はい?」
「お前は女はいるのか?」
「はい?」
「女はいるのかって聞いてるんだ」
「……………………………………………………………………」
無言の折戸。しかし顔は赤い
「何だ?いるのか。そりゃあ良いことだぞ。」
「ん、どうしてですかそれは?」
「音を作り酒を飲みたまに女と寝る。それがゲームに生かされるってものだ。」
「じゃー、専務にも彼女がいらっしゃるのですか?」
「それは秘密だ。」
今後は折戸が
「それは卑怯ですよー。こっちに聞いておいて自分は秘密なんて。」
「専務命令だ。」
きっぱりと言い切る下川に折戸は
「あっ!こんな所で使いますか…まあいいですけどね。」
あっさりと引く折戸
「おい、お前の彼女紹介しろ」と
突然下川は言う
「えっ、紹介するんですか?」
しかし折戸は従順に
「いいですよ。かわいいですから、間違っても手を出さないで下さいね。」
「アホ、んなことするか…」
下川は一蹴する。


209 :蜜月:2001/06/09(土) 20:33
「話し変わるけど…」
「俺の彼女から唐突に変わりますね。」
即座に反応する折戸
「これは重要や、聞け!お前も音楽に携わっている人間なら、そいつが作り出した音
でそこまで理解できれば一流だ。」
「俺、そんなニュータイプな能力ないですよ。それにどうして音楽聞いて判別が
出来るというのですか?」
もっともな質問に下川は持論を展開する
「アホやなぁ、そういうのは聴いててや、「あっ、この作曲者は彼女がいるな〜」とか
脳にこうビビってこん?」
「きません。」
そういうとビールを空にする折戸
「あかんわお前。それじゃ一流になれんよ。この世界じゃ」
「いや、それよりも元々18禁ゲームなんて音は演出の一貫じゃないですか、いえば
サブみたいなもんじゃないですか」
折戸も己の持論を展開する
「俺ら音楽携わっている人間はいかに脚本のセンスと絵にマッチした音を奏で出すか!
そんで自然に耳に入りやすい音を流すことが俺らの仕事だと思ってますけど…」
そういうと下川も納得し
「まあ、それはたしかにそうやけどな。んな事いっていたらお前はずっと高橋の脚本
と水無月の絵に歩調合わせて作るんか?自分のオリジナリティーはそこにあるんか?」
「まあ、それはそこそこに」
「それじゃーあかんよ。」
そういうとテーブルに焼き鳥が出され二人とも一時話しを止める。


210 :蜜月:2001/06/09(土) 20:34
二人とも1串づつ食べる
「すいません、焼きそば一つお願いします。」
折戸が追加注文する。
「こっちはチューハイ1つ」
下川もまた注文する。
「専務、飲み過ぎじゃないですか?」
「オイオイ、まだ3杯目やぞ」
「いや、量なんですけど」
「大したことは無い。高橋とか鳥のと飲むときなんか、こんなもんじゃないしな。
まだまだ行けるよ。っていうか折戸、お前下戸か?」
「いや、普通だと自分では思っているんですけど、そんなガバ飲みはしませんよ。」
「そうか。で、何の話ししてたっけ?」
下川は何の話しをしていたか思い出せずつい折戸に尋ねる
「えっ、音を歩調で合わせるかオリジナリティー出すかって話しでしたけど…」
「あ〜そやそや。忘れてた」
「専務もう酔いが回っているんじゃないですか?」
折戸が訪ねると下川は
「酔っているというな。気分が高揚していると言え」
急にポーズを決めて下川は言う
「はぁ」
また1串摘み、普通に反応する折戸
「まあ、お前の会わせるってのは確かに大事よ。感動の部分でちゃらんぽらんな
ノー天気な曲流された日には気分もシオシオだろうしな。」
「まあ、それは極端ですけどね。」
「でもよ、人にばっかり会わせて自分を失ってたらそれは音楽家として失格やぞ」
「俺が自分を見失っているとでもいうのですか?」
「いや、そうじゃないけど懸念はしてるぞ。」
「でも、俺も高橋さんや水無月さんにかくれて自分を出してますよ。「折戸で〜す」
って。」
「そうなん?」
「まあ、さりげなくですけど。」
「そんなんお前さりげなさ過ぎるわ。わからんし…だから俺みたいにもっと我出して
いかな。そんなんじゃあかんで。」
「でも、独りよがりになりたくないですし」
折戸はあくまで調和の論理を展開すると
「まあ、お前がチームワークというかゲームの調和を重くみてるのは解るけどな〜
あれやって、シナリオ!脚本!音楽!の各個人の天才的な突出がギラギラ戦い合って
いるからこそゲームが光るとは思わんか?俺は高橋・水無月に押されんにって考えて
曲作っているけど…その辺はお前はどない思ってるんや?」
下川は熱く語ると

「俺は専務の意見とはやっぱり違いますね」
今度は折戸が下川に噛みついた。


211 :蜜月:2001/06/09(土) 20:45
「やっぱり、絵風に合わせた曲とか作ってこそ、俺らの仕事だと思っています。こんな
こと言ってはあれだとおもいますけど、やっぱりお金もらって仕事しているんですし、
へたに我を出してゲーム全体に悪影響及ぼした日には売り上げは減るし給料は少なく
なるし、責任追及はされるし…そういう意味ではあんまりですね。」
折戸はそういうと下川はウンウンと頷いて
「まあ、多分これは身分の違いやな。俺は専務やしお前は別に要職の地位についてい
る訳じゃないから…その考えなら理解できるわ」
「納得してくれました?」
「それなりにな全部じゃないけど。そこまで言うんやったらそのままお前のスタイル
貫いたらええわ。二人が同じスタイルでいるよりもバリエーションが増えるやろうか
らな。その方が会社としても広がりがあるしな。」
「そうですね。俺も専務の作曲方法は性格的にあっていると思いますので…」
「ま、自分の事わかってないとな」
そう言っていると焼きそばとチューハイが机の上に置かれる。
下川はチューハイをあおり、折戸は焼きそばを食べる。


212 :蜜月:2001/06/09(土) 20:46
飲食がまた一段落すると今度は下川が
「まあ、折戸よ。」
「はい」
「俺もたまに嫌な奴に見えるかもしれんけどよー」
「十分嫌な奴に見えますけど…」
ボソっと言う折戸
「あん!?」
下川は眉間にしわを寄せて折戸を見る
「冗談ですよ。冗談。そんなわけないじゃないですか。」
「まあ、そういう事にしとこう。でもな折戸、俺が嫌な奴に見えるのはな、それは
お前が磨けば光ると思っているから言うんやと思ってくれ。」
「勿論です。」
「お前はいつか俺を越える。その時を楽しみにしてるねんからな」
「任して下さい。」
折戸はそういうと
「エエ度胸や。」
拳の骨をボキボキとならす下川
「ちょっと待って下さい!自分で言ったじゃないですか?」
「話しの振りに決まってるやろ!関西のノリぐらい、とっととマスターしとけ」
(それ作曲となんの関係が……)
なんだかんだと言われている折戸だが、こういう下川とのやり取りは嬉しかった。
(よし!俺も専務を超える音を奏で出すぞ!)

しかし、折戸の音楽センスは自分の思っている形とは違う形で引き出される事となる。
二人の水魚の交わりはそう長くは続かなかった。


213 :R:2001/06/09(土) 20:50
努力はしました。
下川と折戸がこんな感じだったらな〜と思って書いてみました。
楽しんでくれると嬉しい限りです。
なんとか話に収拾つけたいと思います。
(回想ばっかなんで・・・ここんとこ)
では再びタラタラと書いて来ます。

214 :名無しさんだよもん:2001/06/09(土) 20:59
がんまちん萌え〜

…でなくて。やはし会話文が巧いですね。
話し言葉が「台詞」にならずに自然に読まされるのは流石だなと思いました。
俺も精進しなきゃなあ。

215 :名無しさんだよもん:2001/06/09(土) 21:02
そろそろ鍵ネタが欲しいかもん。職人さんファイト。

216 :名無しさんだよもん:2001/06/10(日) 10:13
nntさん新作期待あげ!
そろそろ本伝が見たい!

217 :名無しさんだよもん:2001/06/10(日) 10:24
>>206-212
うーん、下川と折戸って高校時代からの知り合いで同い年だから
こんな会話にはならないと思うんだけどなあ。
ちょっと会話の内容としゃべり方に違和感を感じたので・・・

218 :名無し君@下川萌え:2001/06/12(火) 00:44
続き書きます。

「この事件は結局の所、道化となった青紫一人に振り回されただけではないのか」
 イギリスの歴史学者E・ギボソは著作『エロゲ帝国衰亡史』にそう記している。しかし、それは後世の冷静な視線による物で、事件の当事者達に全貌を把握できている者はいなかった。

 リーフ本社ビルを占拠するオタク達に根気よく説得を続けた結果、要求に屈することなく投降を納得させることに成功した。下川がそう思った瞬間。
 警備員の集団が強行突入したのである。
 このまま解散するものと信じ、油断していたオタク達はみすみすと占領地帯への侵入を許してしまう。
「う、裏切ったな、下川!?」
 絶望とも言える悲痛な叫び声を残し、オタク達と警備員の間で乱闘が始まった。
 両者の油断を見計らったようなタイミングである。混乱と乱闘は見る見るうちに拡大を続け、収拾の付かない状況に陥っていったのだ。
「これはどういうことだ!?」
 下川は呆然とするも、すぐに警備陣の責任者に詰め寄る。その結果判明したのは、突入を命令したのは彼等ではない、と言うことであった。
 暗躍したのは青紫である。
 彼は制服を着て警備員になりすますと、命令を偽り小隊を率いて自ら突入したのだ。
 罵倒した連中を見つけその顔面に特殊警棒を振り下ろし、悶絶したところに蹴りを浴びせる。自ら振り回す暴力の快感に青紫は酔った。
「どいつもこいつも俺のことを盗作扱いしやがって。ちょっとばかり影響を受けただけじゃないか。これくらいのパクリくらいどこでもやっている。どうして、俺ばかり!」
 自分の才能を認めない俗物を、自分の作品の良さを判らず貶すだけの半可通を、そして「青紫」と言うだけで非難する世間の分からず屋どもを、成敗する。
 肥満したオタクの身体に何度も警棒を打ち据えた。肉を叩く硬質な弾力。波打つ醜い脂肪の塊。
「わはははは。見ろぉ。正義の鉄槌は必ず下るのだ!」
 暴力という行動は直接的なだけに本能を刺激するのだ。そして青紫の狂気が伝染したのか、見事に暴力は渦を巻き、混沌の支配する領域を拡大させていく。

219 :名無し君@下川萌え:2001/06/12(火) 00:45
「ああ、ビルに火が…」
 下川が絶望の呻きを漏らした。誰かが火を付けたのか、それとも自然に燃え上がったのか、ちろちろと赤い炎の舌が本社ビルの壁面を舐めていく。
 悲鳴と怒声と血痕と暴力の混乱が終息するにはもう少しだけ時間が必要であった。

「よく見ておけ。永遠に生き続ける人間が居ないように、永遠に続く会社もない。坂を転がり落ちていくのは、登ってきた速度より速くなるだろう」
 狂騒から離れた一角で囁くように声がする。
「しかし、これでは労せずしてリーフ東京『本社』になれそうですね。わざわざ引導を渡しに来る必要はなかったかな」
「だがな、甘露よ。歴史の因果は廻る歯車のようだ。今後我らとてあの紅蓮の炎に焼かれぬ保証はない。
 まあ良い。帰るぞ。あそこでの我々の仕事はない」
「はい、師匠」
 おどけるように敬礼すると、踵を返した。
「直接手を下さずとも滅ぶか… これが歴史の因果という奴か」
「何か言いました?」
「いや、なんでもない」
 どこからか消防車のサイレンが聞こえる。
 そこを離れる二人に、駆けつける野次馬達で注目する者は居なかった。

220 :名無し君@下川萌え:2001/06/12(火) 00:46
 ビル火災。それは地方新聞の一角を飾るだけの記事であり、世間一般では注目されることもなく忘れ去られた。しかし、ネット上では消し止められることもなくくすぶり続けることになる。
 ソース不明の噂として。
 曰く、リーフイベントで騒動があった。負傷者もいるらしい。
 曰く、下川の裏切りで、リーフ古参信者が粛正されたらしい。
 曰く、青紫の陰謀で批判的な行動をとった古参信者が一カ所に集められ虐殺されたらしい。
 理想的なデマゴーグの見本のように、膨らまされ、尾ひれが付き、ネット上の津々浦々にまで広がっていく。
 リーフはそれを根拠のない噂として黙殺した。しかしそれが結果として噂に信憑性を与えることになる。

「リーフのことを思うなら、即刻青紫を切り捨てるべきであった。それができなかったのは下川の管理職としての能力の限界であろう」
 後世の歴史家は下川に対して辛辣である。そして同時代の人間の評価は、感情が入っているだけに悪意に満ちているとしか表現できなかった。
「貴様等に何が判る!」
 思わずモニターに向かって叫ぶ。
 リーフ本社ビル。下川の自分の部屋である。
 モニターに表示されているのは、先日までリーフ信者サイトとして大きな影響力を持っていたサイトであった。
 そこに書かれていたのは、リーフ本社ビルにガス室が存在するというヨタ話である。しかし、問題なのはそれを事実として管理人が信じ込んでいることなのだ。
 思わず否定のメールを送りたくなってくる。しかしそれはよけいな詮索を産むことに成りかねない。かといって黙殺したままでは、噂は鎮まらないだろう。
 二律背反である。
 この時期の下川はかつての精彩を失っていた。何も対策を出すことができず、部屋に閉じこもり、モニターを見つめることしかできない。
 彼が動くにはまだ時が満ちていなかった。
                      続く


221 :名無し君@下川萌え:2001/06/12(火) 00:49
風呂敷は畳んで置きました。
次回はこの反省を活かしてもう少しまともなものを書こうと思います。
ところで、>>217さんの言うような考証はきっちりとやっておきたいのですが、必須必見の資料など存在するのでしょうか?

222 :名無しさんだよもん:2001/06/12(火) 23:37
>>221
多分に文章、某伝説からパクッてないか?

てゆーか書くのはいいけど、資料云々よりまず文章書きの修行をした方がいい。
まずは
・接尾語の統一
・助詞の用法の正常化
・過剰な形容詞、副詞の重複
を目標にすることを勧める。

#あと、風呂敷は畳んで「置く」とはいわないよ。

223 :名無し君@下川萌え:2001/06/13(水) 01:50
>>222
某伝説は意識しました。
というか、パスティーシュをやりたかったんですけど、修行が足りませんでした。

指摘の方はコピペして目に見えるところに貼っておきます。

224 :名無しさんだよもん:2001/06/13(水) 02:31
>>222
過剰な〜を「減らすこと」を目標ってことか?


225 :222:2001/06/13(水) 09:44
>>224
そうですね。済みません
・過剰な形容詞、副詞の重複を減らす
です。
>>223
上記のように修正します。

で、最初は模倣から入るのは誰もが通る道なのでそれはそれで
いいけど、模倣と剽窃は違うので気を付けよう。
「コピーは所詮コピー」だよ。

226 :名無しさんだよもん:2001/06/14(木) 07:58
R氏・nnt氏カンバーック!!

227 :名無しさんだよもん:2001/06/16(土) 11:15
ネタは…ネタはないのか…

228 :ななし:2001/06/17(日) 01:06
age

229 :名無しさんだよもん:2001/06/17(日) 14:41
寝たから

230 :名無しさんだよもん:2001/06/18(月) 03:37
復活きぼん上げ。

231 :名無しさんだよもん:2001/06/19(火) 18:21
やはりn.n.t.さんのようなプロ級のストーリーテラーがいないと
いまいち盛り上がらないな。
新作期待age!

232 : :2001/06/20(水) 05:30
なぜ減ったのか?

1、職人さんを叩いたので、職人さんに逃げられた
2、ネタ切れ
3、ハカロワスレに行っちゃった

どーれだ?

233 :名無しさんだよもん:2001/06/20(水) 05:36
2…ごめんなさいもう少し待ってください…

234 :名無しさんだよもん:2001/06/20(水) 05:59
2。就職して暇がなくなりましたごめんなさい。

235 : :2001/06/21(木) 12:26


236 :名無しさんだよもん:2001/06/21(木) 13:16
単に飽きた

237 :名無し君@まだ書く気はあるが。:2001/06/22(金) 01:28
ほとぼりが冷めるのをまっています。

238 :尊敬の眼差しから憎しみの炎:2001/06/22(金) 15:39
前回
居酒屋で下川は折戸に言った
「おい、お前の彼女紹介しろ」と
折戸も好意で
「ああ。かわいいから、間違っても手ぇなんか出すなよ。」
「アホ、んなことするか…」
しかし、折戸の彼女に会いたいという言葉が…下川の人生を狂わせるなど誰も予知
出来はしなかった。

その後…
それはリーフ社内でのたわいもないやりとり
下川は折戸の彼女にあった。
「これが俺の彼女の陽子(仮名)や。」
女は言った
「初めまして、陽子です。伸治さんとは仲良くさせてもらっています。」
「どうも、専務でこいつの上司の下川直哉です。なかなか勿体ない方で…」
「そんな…勿体ないって言わないでくださいよ。」
やんわりとした口調で折戸は言う。
「やだぁ、そんな事言っても何もでませんよ…」
しかし言葉とは裏腹に女は下川は専務と聴いた瞬間、下川を色目遣いで見つめる。
折戸はそんな視線を気にすることなく自分の作曲活動を続ける。
下川も折戸も、この時まだ女の下策を感じることはできなかった。

邪魔したらなんだと思って
その間下川は折戸の女、陽子を専務室へ招き入れた。
それが、破滅への序曲であった。

239 :尊敬の眼差しから憎しみの炎へ:2001/06/22(金) 15:41
「へぇ〜専務の部屋ってすごく広いのですね。」
女は甘い声で言う。
「まあ、普通だと思うのですけど……」
「いえいえ、でも羨ましいですわ。若いのにもうそんな地位につかれて、やっぱりお金
も沢山お持ちなんですよねぇ?」
そのけだるいほどの甘い声にも下川は動じず普通に応対する。
「まあ、親父が社長ですから。それよりも陽子さんでしたっけ」
「はい。」
「そろそろ彼氏の元へ行ったほうがいいんじゃないですか…」
「エッ、誰が彼氏って決めたんです?」
「!?」
下川は少し驚く
「確か前に折戸から貴方は彼女だと…」
「そんなの伸治さんが勝手に言っていることですわ」
女はそういうと下川に近づき、体をスリスリとなすりつける
「ねぇ〜ん。私、伸治さんみたいな人よりも、貴方みたいな人の方がイイナ」
「…………………」
下川は黙って女の話を聞く
「私、お金の無い男性になんて興味はないの」
妖艶な口調で下川に言う
「貴方みたいに地位があって若くて、音楽している人が好みなの」
「………………」
女は細い手で下川の顔を撫でる
「ねぇぇん。どうかしら?私の体、今ここで試してもいいのよ…」
下川はガタガタと体を震わせる。
「あら?興奮しているの?」
女が下川にキスしようとした瞬間
ガチャ
「専務、ここに陽子が……」
間悪く折戸がドアを開ける。
下川はそれに気づかず
「失せろ…折戸に寄生する売女が!!!!」
バキィ!
DUUUUUNN
「あぐっ」
折戸の目の前で、下川は女の顔を右ストレートで殴っていた。

240 :尊敬の眼差しから憎しみの炎へ:2001/06/22(金) 15:47
「陽子!!」
折戸はすぐに女の元へ駆け寄る。
頬の痛みをこらえて女は折戸に上目遣いで
「し、伸治さん、あの人が………「俺のものになれ」って。私が嫌っていったら急に…」
「専務!!」
折戸は思いっきり声を荒げて下川に言う。
「どうして、どうしてこんな事を…」
折戸は信じられないと言う目で下川を見る
下川は折戸に
「折戸!そいつは危険な女だ!お前を利用しようとしてただ金を貪るだけの売女だ。
その女はお前に近づいたのはお前の金目当てだ!」
下川も声を張り上げていう。
しかし折戸は先ほどのやり取りを知らないために
「陽子はそんな女じゃない。」
「お前はそいつに騙されているだけだ!そんな奴とは手を切れ…」
「どうして、どうしてそんな事を言う?専務、俺は今まで貴方を尊敬していた。
例え音楽のあり方が違えど目指す場所は一緒だと…だから俺は頑張った。
必死にリーフの一員になろうと頑張ったのがこの有様か?俺が何をしたというんだ?」
下川も感情的になり
「だから言うてるやろ!その女はお前を利用してるだけやって。お前は上司を信じれ
ないと言うのか?」
自分の思いが通じない焦りからか下川は少しずつ冷静さを失う
「今の光景を見る限りは………」
「ぐっ!!」
下川は拳を握りしめたまま鋭い眼光で女を見る

241 :尊敬の眼差しから憎しみの炎へ:2001/06/22(金) 15:50
「大丈夫か…陽子」
折戸は優しく女を介抱する。
「ええ、別に。伸治さん。もうこんな所いたくない!早く帰りましょ…」
「ああ。」
そういうと女は一瞬だけ下川にざまあみろといわんばかりの顔を見せ…
「まて、折戸!」
「専務…いや下川!俺は失望した。俺は、あんたがいたから、あんたみたいな人と一緒
に仕事がしたかったからリーフに来たんだ。それが…こんな事をする人だと解って
いれば…」
「だからそれはその女が…」
「もういい!!」
下川の言葉を封じるように折戸はぴしゃりと言う
歯をギリギリとさせる睨む下川
そして
その怒りは下川にではなく女に矛先を向ける。

242 :尊敬の眼差しから憎しみの炎へ:2001/06/22(金) 15:52
「このクソ女がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
下川は女に殴りかからんとする勢いで突進する。
「下川ぁぁぁぁ!!」
ガコッ
「うっ」
折戸のアッパーが下川の巨体を宙に浮かす。
下川はじゅうたんに倒れ込み折戸をそれを見下げる
「もう、俺はあんたとは一緒にいれん。今日限りでリーフは辞める」
「行こう、陽子…」
折戸はそういうと女と共に部屋を出ていこうとする。
「クソが!!何でや、何で俺の言葉を信じてれんねや、折戸!!」
「……………………………」
その問いに折戸は無言のまま立ち去って行った。
「おりとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
下川は拳を叩きつける事以外に何も出来なかった。

「直哉……」
それを影で見つめる一人の男
一一(にのまえはじめ)だけがこの真実を握っていた。

これが、下川が折戸の女に手を出したと言われる真実であるということは下川と
一以外に知られることはなかったのである。

243 :R:2001/06/22(金) 16:00
どうも、覚えていてくれている方は久しぶりです。
スランプだったので(今も)そんなにうまくないですが
それでも楽しんでくれれば幸いです。

また、これからネタが浮かび次第タラタラと載せると思いますので
よろしくお願いいたします。

217さんへ>
もし、なにか参考文献みたいなのがございましたら教えていただきたいと思います。
なにぶん、そんなにこの世界に詳しいわけじゃない身分なもので・・・
まだROMっていたらお願いいたします。

では、今日はこの辺で失礼いたします。
見てる人、風邪などひかないようにお気をつけ下さい。

244 :六月の海:2001/06/22(金) 19:35
 所々に錆を浮かべた線路をきしませて、古びた電車が走っていた。天井に備え付けられた扇風機
が首を回転させ、閉じ込められた車内の空気をかき混ぜている。車内は閑散としており、乗客は
片手の指で数えられるほどしかいなかった。
 窓越しに外を眺めれば、そこは一面の海だった。陽光を浴び、透き通るように輝く海原は遮るもの
もなく水平線まで続く。定規で引いたような水平線が、海と空を分けていた。

 電車が急に速度を緩めた。慣性力に体が前につんのめる。海と砂浜しかなかった外の景色に、
まばらな人家が混じってきていた。なおも電車はブレーキを掛け続け、やがて静かな音を立てて
駅のプラット・ホームに停車した。扉を自分の手で開け、ホームに降り立った。

 駅を出るとそこは寂れた商店街の目の前だった。うだるような暑気が体を包み込み、空高く昇った
太陽から降り注ぐ陽光が顔を焼く。凶暴なまでに己の存在を主張する六月の太陽は、充分に夏の太陽
だった。手をかざして見上げた青空の中、風にたなびく雲が白い尾を残して流れている。
 雲の尾を掴むように一羽の鳥が翼をはばたかせ、空を舞っていた。

「……ったく。本当にこんなところにいるのか? あのアホは」
 まるで目の前に罵る相手が存在するかのように、折戸伸治は毒づいた。この商店街は町の中心だろうに、
人の影も殆んど見えない。道路を走る車の姿などどこにもなく、舗装されたコンクリートの上を空気が
ゆらめいていた。

「ねぇ、あの人ちょっと格好良くない?」
「本当だ、向こう側から来た人かな、やっぱ?」
 高校生らしき制服を着た二人の娘が折戸の姿を遠巻きに眺めながら騒いでいた。自分に向けられている
視線に気付いた折戸は彼女達の方に顔を向け、まっすぐに歩み寄っていった。
「わぁっ、こっちに来るよっ」
「どうしよ、どうしよっ」
 どこまでも彼女達は騒がしい。
「ねぇ君達。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
 彼女達の側に近づくと、折戸はそう語り掛けた。

245 :六月の海:2001/06/22(金) 19:35
「は、はいっ。何ですか?」
 髪を短く切り揃えた少女が少し上ずった声で応えた。折戸は穏やかな口調でその少女に問う。
「最近ね、この町に若い男がやってこなかった? 丁度俺くらいの年の奴なんだけど」
「え? すいません、ちょっと……」
 予習していなかった数学の問題を当てられた時のように、少女は口ごもった。
「ほら、一月前くらいに来た人がいるじゃない。あの家に今居候している男の人が」
 もう一人の少女が助け舟を出す。折戸の質問を受けた少女とは対照的な長い髪が後ろで束ねられ、
風に揺れていた。
「それ、ちょっと詳しい話を聞かせてくれないか?」
 少しだけ語気を強め、折戸は長髪の少女に質問をした。少女は自信なさげな様子だったが、それでも
はっきりと答えを返してきた。
「はい……一月くらい前のことなんですけど、向こう側から男の人がやってきたんです。あなたと
同じように電車に乗って、この駅で降りて。この町に来る人なんて年に一人いるかいないかだから、
どうしても目立つんです」
「そうそう、本当に目立ってたよね。あんな人、ここには絶対いないもん」
 会話に割り込んできたショートカットの少女をむっとした様子で睨むと、長髪の少女は再び折戸
に話し掛けた。
「それで今はここの漁業組合に雇ってもらって、漁師の見習いをやっているみたいです。普段は絶対に
見習いなんて取らないんですけど」
 その言葉に折戸は違和感を覚えた。折戸の知る彼のイメージと、体一つで生業を立てる海の男のイメージ
とが滑らかに接続しない。彼にはとても向いていないように思うと同時に、実に彼らしい職業であるように
も思える。
 視線を地面に落し、折戸はしばらく頭の中を整理していた。視線の先にあるコンクリートの舗装路を
ほこりが風に吹かれて舞っていた。空高くから照りつける陽光が直接に首筋を焼くのが感じられた。
「ねぇ、それで今そいつにはどこに行けば会えるのかな?」
 折戸は顔を上げ、少女達に再び語り掛けた。折戸に見蕩れていた少女達は突然の質問に我に返り、
慌てて答える。
「は、はい。多分夕方に港に行けば会えると思います。この時期は漁も日帰りですから」
「ありがとう」
 細い腕を陽光に晒した夏服の少女達に、折戸は笑顔で礼を言った。

246 :六月の海:2001/06/22(金) 19:39
 初夏の太陽はいつまでも水平線に張り付き、滲んだ光を放ち続けている。遮る雲もなく空は赤く染まり、
明日の空も晴天の青空であることを予言していた。さざなみに揺れる海面が金色に輝き、折戸は眩しく
て目を開けていられなかった。細めた目が海の向こうに浮かぶ小さな影を捉えた。
影は次第に大きさを増している。やがて小さな影はそれが漁船であることが確認できる程の大きさになり、
規則正しいエンジンの鼓動音が折戸の耳に届いた。
 夕陽に照らされた漁船は港口をゆっくりと通過し、岸壁に停泊した。エンジンの鼓動が止み、船べり
から男達が荷を下ろし始めている。折戸は停泊している漁船に駆け寄り、作業をしている男達の中に
探している男がいるかどうかを調べた。日に焼け、赤銅色の肌をした男達は愉快そうに談笑しながら
今日の漁獲を岸壁に降ろしている。よく響く声で笑い合う男達の会話は、折戸にもはっきりと聞こえた。

247 :六月の海:2001/06/22(金) 19:39
「今日も大漁だったな。俺も長い間この仕事やってるが、こんなに大漁が続くのは初めてだな」
「あ、そうなんですか?」
「おうよ、直さんはまだ日が浅いから分からねぇだろうが、こんなにいつも上手くいくもんじゃねぇ。
つぅか、直さんが来てからはずっと大漁だな。きっとあんたは海に好かれてるんだよ」
「海に好かれているかどうかなんて分かるもんですかね……」
「いやいや、あんたは海に向いているよ。仕事覚えも早いし、体も頑丈だ。すぐに一人前になれるさ」
「違いねぇ、向こう側で何やってたかは知らないが、たいしたもんだ」
 楽しげに喋り合っている男達の中に、折戸のよく知っている顔があった。はるばる遠路を越え、この
地まで探しに来たその男の姿を見つけると折戸は走りより、船に飛び乗った。
「おいてめぇ! 何のつもりだ!」
 船乗りでもない者を許可無く船に乗せる訳にはいかない。船員の中でも特に気性の荒そうな若い男
が折戸の前に立ちはだかった。
「お前になんか用はない、どけ」
 折戸は若者を無視し、押しのけようとした。若者は額に血管を浮かび上がらせ、今にも殴りかかり
そうな形相を呈している。一触即発の雰囲気が、船べりを包んだ。
「やっと見つけたぞ、久弥!」
 折戸の大きな声が緊張を破った。船員達の間に動揺が見られる。突然の闖入者の叫びに、気を
呑まれていた。漁船の長とおぼしき初老の男が折戸に近づいてきた。長年太陽と潮風に晒され続けた
黒い顔は皺だらけで、実年齢より老けて見える。だが体中から発散される威圧感に、折戸は自然とたじろいだ。

248 :六月の海:2001/06/22(金) 19:43
「あんた、向こう側から来たんだろう。誰を探しに来たのかは知らないが、ここにはあんたの探して
いる人はいないよ。向こう側の名前はここでは通用しない」
 明るい口調で初老の男が言う。
「何を訳の分からないことを言ってるんだ。そこに久弥はいるじゃないか。おい! 急に連絡取れなく
なったと思ったらこんな所で何やってるんだ!」
 勢い込んで言い返す折戸を初老の男は睨みつけた。
「あんた、ここにくる人間はここにくるなりの事情があるんだよ。それを考えてやりもせずに一方的
に向こう側のルールを振りかざすのは感心できんな」
「何だと?」
 剣呑な雰囲気が二人の間に生じる。初老の男の体は服の上からも鋼のような筋肉が盛り上がっている
のが分かる。長年海の上で生き抜いてきたことをその体が何よりも雄弁に語っていた。
「折戸さん、こんな所で妙なことはしないで下さい」
 船員の中から、一人の若い男が姿を現した。男は二人の間に入ると、まず初老の男に謝罪した。
「すいません、僕の知り合いなんです。この人はわざわざここまで探しに来てくれたんです」
「そうか……あんたの知り合いなのか。あんたはまだここに来て日が浅いからな。連れ戻しにくる
者もいるだろう」
 目の前の男の姿を折戸はまじまじと見詰めていた。かなり日に焼け、精悍な容貌をしてはいたが
よく知った久弥本人そのものだった。久弥は折戸の方へ体を向け、言った。
「折戸さん、今は話はできません。夜まで待ってください」
「……あぁ、分かったよ」
 素直に応じると、折戸は船べりを離れ、港に飛び移った。

249 :六月の海:2001/06/22(金) 19:43
 素足で立っていることもできないほどに昼間は太陽に焼かれる砂浜も、夜になれば僅かに
熱の残滓を感じるばかりだった。砂浜に波が打ち寄せる。寄せては返し、返しては寄せる波の声だけ
が繰り返し砂浜に響いていた。
 排気ガスに遮られることもなく、地上の明かりにかき消されることもない海辺の小さな港町の
夜空は、宝石箱をひっくり返したようにきらめいていた。
(空をこうして見ることなんて、最近あったかな?)
 折戸は漠然とそんなことを考えていた。砂浜に独り待つ折戸の体に潮風が吹き付ける。海の匂い
が鼻をくすぐった。
「すいません、お待たせしました」
 背中から聞こえる声の主に、折戸は振り向いた。
「随分と上手くやっているみたいじゃないか。お前に漁師の適性があったなんてはじめて知ったぞ」
「仕事もせずにブラブラしているのが嫌だっただけなんですけどね。皆いい人ですし、結構楽しく
やっていますよ」
「まぁ、エロゲー作るよりはよっぽど堅気の仕事だ。再就職先としては悪くないかもな」
「そうかも知れませんね」
 淡々と答える久弥に、折戸は苛立ちを隠せなかった。久弥が忘れ去られた過去の人として姿を消し、
この辺境の地で生涯を終えることは、折戸には認めがたい不遇に思えた。
「なぁ……keyに戻って来いとは言わない。でも、もう一度だけでいい。ゲームを作ってみないか?
まだ終わりじゃないだろう?」
 切々とした折戸の言葉が久弥に伝えられた。
「別に構わないんです、いつ終わりが来ても。夢を見ていたようなものでしたから、初めから」 
 久弥はどこまでも静かに言葉を返す。
「どうしてだ? やりたい事がまだあるんだったらやればいいじゃないか。他の連中に何言われた
って構うものか。人手が足りないんだったら集めればいい。俺だっていくらでも力を貸す。
麻枝達がどうこう言うようだったらkeyを出て、お前と一緒に新しくチームを組んだっていい」
 きっぱりとそう言い切った。

250 :六月の海:2001/06/22(金) 19:44
「冗談でもそんな事は言わないで下さい。折戸さんはkeyに必要な人です。あなたがいないとkeyは
絶対に潰れます」
 久弥は慌てて折戸の暴言を諌めた。だが吐き捨てるように、折戸は答えた。
「潰れちまえばいいんだよ」
「折戸さん!」
「お前こそ分かってるのか? 俺達がお前にしたことを」
 叫ぶような折戸の口調に、久弥は思わず後退した。
「俺達のしたことは、ただの使い捨てだ。利用できる間は利用して、名前が売れたらもう用済み
扱いだ。そんなにkeyが大事だったのか? そんなことをしなければ守れないようなkeyだったら、
いっそ潰れたほうがいい。シナリオが揃っているからお前は不要だ、というんだったら俺も同じだ。
麻枝と戸越がいるんだから、音楽も俺無しで充分いけるはずだ」
 折戸は自分の言葉にかえって激していた。叩き付けるように、憤りの言葉を重ねた。
「麻枝といたるは今じゃまるで元鞘だ。お前のことなんか話題にも登りやしない。初めから
お前なんかいなかったみたいにな」
 まるで胃の奥に溜まった苦い汁を嘔吐するかのようだった。だが、それを聞いた久弥は笑顔さえ
浮かべて折戸に向かって答えた。
「それで、いいじゃないですか」
 その言葉に折戸は愕然とせざるを得なかった。力が抜け、張り合いをなくしてしまいそう
だった。その言葉が正に久弥の真情であることが瞬時に伝わってきたからである。
 事実、折戸の話は久弥を安堵させていた。
 麻枝といたるはもう大丈夫だ、と信じてはいる。だが、自分の目で直接その様子を確認する
ことができない以上、やはりどこか心に残る不安を完全には払拭できなかった。今、折戸に
よって自分の判断が間違ってはいなかったことを知らされ、久弥は満足だった。
 久弥のことを忘れ去ったような二人の振る舞いがまた良かった。覚悟の上での行動だったが、
自分が消えたことが二人の関係に影を落としては本末転倒である。自分がkeyにとって
不要なだけではなく、却って害を及ぼしているようなことがあれば、それこそ自分を許せない。
 忘れられ、初めから存在しなかった者とされることは正に久弥の願いだった。
 それを叶えてくれている麻枝達の優しさが心に沁みた。涙が出るほどに嬉しかった。

251 :六月の海:2001/06/22(金) 19:47
 だが、折戸にはそんな久弥の心情は理解できないだろう。理解していれば今ここにいるはずが
なかった。
「何だよ、それ。何でお前がそこまでしなきゃいけないんだ。そこまでする理由が一体どこ
にあるんだよ?」
 声を荒げ、久弥に詰め寄った。一瞬久弥は考え込むような表情を見せたが、すぐに笑顔に戻り
穏やかに答えた。
「理由なんて無いです。僕がそうしたかったからそうする、それだけのことです」
 反論したかったが、できなかった。久弥が何を求め、何にすがっていたかが分かるからだ。
「馬鹿だよ、お前は」
 辛うじて、それだけが言えた。月が空高く浮かび、夜の天球を回転していた。重力に引き寄せられ、
きしみ声を上げながら回る月の音が聞こえてくるようで、やけに耳障りだった。

252 :n.n.t.-B:2001/06/22(金) 19:51
生きてます、一応。
前後編のつもりですが、リアルワールドの動きによって話が変わると
思います。つまりリアルワールドが動かないと、多分後編が書けません。

253 :新作あげ!:2001/06/22(金) 22:11
やっぱりn.n.t.さんはレベルが段違いだ…最高です。
いや、段違いどころの騒ぎじゃないかも。マジでファンです。
同人とかやってらっしゃらないのですか?もしかしてプロの作家さんなのでは…
n.n.t.さん、外野の声には頓着せずに、
無理なさらずにマイペースで執筆して下さいね。
いつまででもお待ちしていますから〜!!

254 :名無しさんだよもん:2001/06/22(金) 22:21
誉め殺しってやつか?>>253

255 :にこちゅう@楽しい一時ありがとうございました:2001/06/22(金) 23:18
簡単なフロートチャートなんかあると嬉しいな♪

256 :名無しさんだよもん:2001/06/22(金) 23:51
今回のネタは涼元氏スレの秋葉で目撃報告→出張? からっすか?

そういや、麻枝は自称「折戸伸治生涯唯一の弟子」だったなあ。
ばいかのうぉより。かなり慕ってると思われ。

…以上、ネタになれば。

257 :217:2001/06/23(土) 11:20
>>243
ちょっと当たってみたのですが、これといった参考文献は無いですね。
見たところRさんは葉っぱ関係、特に下川氏を中心に書いているようですが、
もちろん552.txtは読んでいると思いますし、自分もあまり葉っぱの人間関係は詳しくありません。
答えにはなってないと思いますが、雑誌のインタビュー記事を読んだり、2ちゃんの他スレから
情報を収集してネタにするしかないと思います。

あとはこんなとこかな。
ttp://homepage2.nifty.com/rhino40/th-jiten/jiten-top/aqua.htm#

258 ::2001/06/24(日) 01:19
久しぶりの盛況あげとういことで

259 :始まりの部屋:2001/06/24(日) 02:06
 ――今を遡ること3年前。
 タクティクスのある一室で、拳を震わせて佇む人物がいた。

「何で、何でだよ……。私、尊敬してたのに。
 いつか2人と肩を並べて、一緒に仕事したいって。そう思ってたのに」

 かつてこの部屋は資料や機材で埋め尽くされ、人の喧噪が途切れることは無かった。
 しかし今は、主の居なくなった机達が寂しそうに、その存在を主張しているだけだった。

「2人に憧れて、この世界に入って。
 2人に教わって、やっと、満足にシナリオが書けるようになったのに」

260 :始まりの部屋:2001/06/24(日) 02:07
 昔、この部屋に居たスタッフ達の手により、一つのゲームが産声をあげた。
 それは、最初はとても小さくて、誰からも見向きもされなかった。
 ”ToHeartのパクリ” その一言で済まされてしまう、一見、そんなゲームだった。

 初めに声を上げた者は誰だったろうか。
 その声は、口コミ、インターネット、あらゆるメディアを駆けめぐり、
 瞬く間にユーザーの間へ広がっていった。
 魅力あふれるキャラクター。心を震わせる音楽。そして、誰もが驚いたシナリオ展開。
 ”永遠の世界” プレイした者は皆、魂が引き込まれるのを感じていた。

 やがてその賞賛の声は、雷光の如く業界を震撼させ、
 当時、もはやどのメーカーも敵わないであろうとされた業界のトップ、
 Leafの牙城の一角を突き崩すまでに至ったのである。

 今や伝説となったそのゲームの名は、”ONE”といった。

261 :始まりの部屋:2001/06/24(日) 02:07
「どうして、辞めちゃったんだよ、麻枝さん、久弥さんっ……」

 ONEをプレイして、そのスタッフに憧れた者は数多い。この人物もその一人だった。
 しかし憧憬の対象であった者達は、言葉を交わせるようになってから半年も経たないうちに、
 突然、会社を去ってしまったのだった。


「また、ここに来てたのか」
 背中からの声に、彼女は振り返った。
 そこに居たのは彼女の同期であり、友人であり、ライバルでもある男。
「有島くん……」
「もう麻枝さん達はいないんだ。諦めようぜ、Megaさん」

「あなたは悔しくないの?」
 Megaはやりきれない思いを振り払うかのように、有島に突っかかった。
「私達はあの人達に憧れて、ここに入社したんでしょ。
 あの凄い数の志願者の中から私達2人が選ばれたときは、本当に嬉しかった。
 麻枝さんや、久弥さんや、折戸さん、いたるさん、みきぽんさん、しのり〜さん……、
 みんな、面白くて、優しくて、いい人達だった。
 これからずっと、一緒に仕事ができると思ってたのに……」

262 :始まりの部屋:2001/06/24(日) 02:08
 有島にも、Megaの気持ちはよくわかった。
 会社の上司である前に、人生の先輩としていろいろ教えてくれた人達。
 何よりも、自分達が憧れ、尊敬していた人達。
 だから彼らが会社を辞めたと聞いた時は、本当にショックだった。
 永遠に続くと思われた時間は、ほんの一瞬の輝きにすぎなかったのだ。

「そりゃ悔しいよ。でもこれは、しょうがないことなんだ」
 有島は、半ば自分に言い聞かせるように語った。
「YETさんも言ってたじゃないか。彼らが自分で決めた道だ、って。
 俺達には、麻枝さん達の進む道を邪魔する権利は無い。だからもう、諦めよう。
 そして、俺達は俺達の道を行こう。あの人達と過ごした時間を無駄にしないためにも」
「……」
 Megaは俯いたまま、黙って有島の話を聞いていた。

「あの人達は、永遠の世界へ行ってしまったんだ」
 有島のその言葉に、Megaは顔を上げた。
「なんてね。ちょっと言ってみただけ」
 有島は照れくさそうに笑った。
「元気出そうぜ。俺達がしっかりしないと。麻枝さんと久弥さんの弟子として、さ」

263 :始まりの部屋:2001/06/24(日) 02:08
 ――その日の夜。
 ベッドで横になっていたMegaの頭の中に、有島の言葉が再び思い起こされる。
「永遠の世界へ行ってしまった……」

「そんなのゲームの中だけだよ、有島くん。現実じゃ、いくら待ってもあの人達は帰ってこない。
 永遠の世界なんて、無いんだ。全部、嘘なんだ……」
 うつぶせになって、枕に顔を埋めるMega。

 あらためて口に出さなくても、わかりきったこと。
 でも、彼女は諦められなかった。大切な人達を忘れることは、できなかった。

「待ってみよう」
 Megaは呟いた。
「そう、せめて3年ぐらい。私がもっと力をつけて、一人前のシナリオライターになるまで」

「それでも、あの人達が帰ってこなかったら……」
 Megaは、枕をぎゅっと握りしめた。
「私が、壊してやる。永遠の世界なんて。そんな嘘っぱちの世界なんて!」

264 :始まりの部屋:2001/06/24(日) 02:09
 それからすぐに、有島はRaSeNへ、MegaはPL+USへ、
 それぞれネクストン系列の別ブランドへ移ることになり、
 お互いが顔を合わせることは、ほとんど無くなった。
 初めのうちはメールの交換等で近況を報告したりしてたのだが、
 仕事が忙しくなるにつれ、いつしかそれも行わなくなっていった。

 そして、3年後。

 有島は再び、懐かしい元同僚の名を目にすることになる。
 ”ONE2、発売決定!”の宣伝文とともに。

265 :名無しさんだよもん:2001/06/24(日) 02:22
新作age

ゆーやちんいい男だ。
燃え。
そして漏れはMegaたんを初めて許そうと思いました(笑)。

266 :悪役を引き受けた理由:2001/06/25(月) 15:52
折戸がリーフを抜けたその後。

折戸がリーフに辞表を提出した時、下川はどのような心境だったのだろうか?
そんな事を考えながら一一(にのまえはじめ)はユンケルを飲みながら、パソコンに黙々とプログラミング
言語を打ちながら頭の片隅で考える。
(何故ワシはあの時部屋に入って弁解出来なった?直哉は…そんなことをする奴じゃ
ないと…何故言って折戸を引き留めることが出来なかったんだ」
その後悔の念が常につきまとう。
「俺が俺が……」
一がそうブツブツと言っていたとき、近くに人影が現れる。
「お〜やびん!」
「!!」
後ろから両手を一の首に回して抱きつく男
ら〜YOUことカワタヒサシであった。

267 :悪役を引き受けた理由:2001/06/25(月) 15:53
「お前か…何の用じゃ一体」
気にせずひたすらキーボードを叩く
「専務が、俺に「おやびん呼んできてくれ」って言ってきたんで」
一のキーボードを叩く音が止まり
「ワシに?一体何の用事かのう?」
「さぁ、詳しい話は聞いてないけど、専務とおやびんが話すことと言ったら作品の
話しじゃないの?」
カワタはそう推測すると一は
「そうか…」
「でもあれですね。専務、最近なにかおかしいですね。」
「どう言うことじゃ?」
一は折戸の事が尾を引いていると感じていた。が、カワタにはそんなことが解る筈も
なく
「ホラ、折戸が一身上の都合でウチを辞めたじゃないですか。」
「ああ。」
折戸の話が持ち上がるが一は平静を装いカワタの話に耳を傾ける。
「折戸がまだ居た頃ってのは、専務って何か仕事が終わることにみんな集めて飲みに
いったじゃないですか」
「そうじゃな」
「でも、ここん所、専務も急激に飲み会誘ってこなくなりましたね」
「仕事が忙しいじゃよ。」
一はそうカワタに言い聞かせる。
「お陰で専務が誘ってこないから飲み代が自腹ですよ。ここのところ。」
「お前はただ酒の事しか考えておらんのか?」
「ヘヘッ。」
「笑ってごまかさんでもよい。で、専務は何処に?」
「専務室にいます。」
「そうか、すぐに行く。」
「あっ、おやびん。」
「ん?」
カワタは一を引き留めると

268 :悪役を引き受けた理由:2001/06/25(月) 15:55
「今日、中上(兄)とDOZAと生波夢で伊丹の居酒屋行きますけど、おやびんは
どうします?今日はそれといって仕事無い筈ですから」
カワタは一に聞くと
「悪いなワシはそういう気分ではないのじゃ」
「そうですか、わかりました。」
「あっ」
思い出したかのように一は声をあげ
「どうしました?」
「カワタ、後ユンケルは何本ある?」
「えっと、もう10本くらいしかなかったと思いますが…」
「丁度いいからあと20本追加しててくれ」
「それって俺にパシれって事ですよね?」
「嫌か?」
「そんなとんでもない。おやびんの言うことは素直に聞いてるじゃないですか。俺」
「頼むぞ。アレがないと、ワシは仕事に身が入らんのじゃからな。この老体には。」
(別に老体って言うほど年じゃないでしょ)
カワタはそう思うものの一には口に出せなかった。
一はカワタに事を言うと、小走りで専務室へ向かっていくのであった。

269 :悪役を引き受けた理由:2001/06/25(月) 15:59
専務室

コンコン
「誰だ?」
「ワシじゃ」
「おやびんか…入って来てくれ」
ガチャ
ドアを開けると椅子にドッシリと座っている下川がいた。
「何の用じゃ。当分打ち合わせするような事はないと思ったのじゃが」
「ああ、別にうち合わせなんて何もない。ただな、気になることがあったからな。」
「ほほう。何じゃ?」
「おやびん、もしかして俺と折戸とのやり取り見てなかったか?」
(ギクッ)
一はわかりやすい反応を示し下川と目線を反らす。
「おやびんは解りやすい反応するからな。そんなんじゃ隠し事なんでできんで。」
「ワシはそんな隠し事するような人間になるつもりはないんでな。」
「そうか…じゃ、どの辺まで知っている?」
「途中からじゃが、お前さんが女とやり取りをしていた所ぐらいからじゃ」
「だいたいやな…それは」
下川はハァとため息をつき
「なぁ、直哉」
「ん?」
「何故、折戸に本当の事を言わなかったんじゃ?」
「言うたがな。でもあん時のあいつは頭に血が上ったんもあって俺の話なんぞ耳も
傾けんかったからな。」
「違う!その後じゃ」
「後?」
下川は首を傾げる

270 :悪役を引き受けた理由:2001/06/25(月) 16:01
「お前さんはどうしてその後に折戸に話をしなかった?あれじゃ誤解のまま
ここを辞めるのは明白じゃった。何故あのままにしておいたんじゃ?折戸はそんな
馬鹿じゃない。ましてやお前さんに折戸は少なからずの尊敬の念を抱いていた。
冷静になったときを見計らって話せば誤解は解けるはずだったのに何故そのままに
しておいたんじゃ!」
一は熱くなったせいか机をドンと叩く。
「いつものおやびんらしくもないな。おやびんはもっと冷静な人間やと思っててん
けどな〜」
「直哉!」
一が一喝する。
「本当の事を教えてくれ。一体何を考え折戸の辞表をそのまま受け取った。何故じゃ?」
下川はスッと椅子から立ち上がり窓の外を眺める。
そして一に言う。
「言えば確かに折戸は残ってくれたかもしれん。けどな、おやびん」
「ん?」
「俺の元でずっといたらあいつの音楽性はもうこの世界じゃ通用しないねんや。」
「……………………」
一はその時の下川の哀愁漂う目を一生忘れることが出来なかった。
そして下川の口からは驚くべき事がにのまえの耳に届く。

271 :悪役を引き受けた理由:2001/06/25(月) 16:02
「あのな、前に折戸と飲みに行ったんよ。二人で」
「二人とは珍しいな。いっつも何かあればワシやカワタとかDOZA連れて行って、
大人数で飲むのが好きなお前がな」
「たまには二人で音楽の話もしたくなるときがあるねん。そんときや、折戸がな、俺に
言うたんよ。「俺は周囲の歩調に合わせて曲を作る」って」
「それが何かいかんのか?」
一はそう下川に尋ねると
「おやびんはプログラマーやから解らんかもしらんけど、作曲する人間が歩調合わせて
ずっとやってたらな、オリジナリティーなんか出てこんのよ。その時は俺もそれなりに
頷いて理解は示してたんやけどな、でも俺は思ったんよ。」
「何をじゃ?」
「折戸は俺の元でずっとおったら潰れるってな。」
「………………」
一は押し黙って下川の言葉に耳を傾ける。
「この先ずっとやれシナリオだの、やれ歩調だの責任だのって言ってみい!結局回り
だけ気にして自分の作りたい音楽なんてできへん。俺がそうやからな。TGLに居た頃
がそうやった。だからな、俺は思ったんよ。【折戸はリーフにおったら才能を潰す】と。
だからな、正直折戸が女連れ来たときな、何かあったらな〜って思ってたんよ。
そしたらあのアマ、折戸の才能に寄生する害虫やった。俺はそれを退治しようとしたら
あいつ…あのアマに洗脳されとった。多分あんだけ色っぽい奴やったらそれ色気で、
やられるわ。そんでアマ殴ったら丁度都合がエエ事に折戸がその場面みてもうたからな
もう言い訳もできんよ。だからと思った。俺を憎んで俺の元から去って…どこでもええ
どっかリーフとは違う会社入ってあいつの個性が伸びる場所に行けばと思ったんよ。」
下川が一気にその心情を一に言うと
「そのために信頼まで崩したというか?お前さんは折戸の音楽性の為だけにそんな事を
したというのか?」

「そうや」

一言できっぱりと下川は言い切った。その口調には自分のやったことは正しいと信念
に満ちた顔つきであった。

272 :悪役を引き受けた理由:2001/06/25(月) 16:09
「まあ、どちみち俺と折戸が一緒におったらあいつは俺に遠慮する。そうなったらおしまいや。才能と言う芽は一生花開かん。閉じたままや。折戸がそんなんになるくらい
やったら、俺が悪役引き受けて憎しみなんなりで感情ぶつけた音楽作ってそんで俺を
越えたらええねん。」
「…………」
「俺は、不器用やからな。こんな事ぐらいでしか自分表現できへん。だからどれだけ
悪モンにされてもその爆発した感情が後にええ作品に繋がったら悪人冥利に尽きるって
もんや」
下川がそう言うと一は涙声で
「馬鹿じゃ、お前さんは大馬鹿野郎じゃ……」
「おやびん…この事は絶対誰にもいうなよ。こんなことはおやびんにしか言えんねん
からな。」
「ああ。解ってる。」
一はこの時思った。これから先、下川は悪人として周囲に知れ渡るだろう。だが
たとえどんな事があろうともワシは下川に着いていくと。折戸の事を思うように
一も下川の事を思っているのであった。
そして一は決意する。
(いつか…この事は折戸に伝えなくてはならない。でなければ下川の心はずっと晴れ
ない。どんよりした曇りのままであるということを…それまでは)

こうしてにのまえはじめはずっと影でリーフを
いや、下川を支えることとなるのであった。

273 ::2001/06/25(月) 16:15
217さんへ>
情報提供に感謝致します。
もう、前と違ってネットできる時間がいろいろと限られているので参考になります。
あんまり今は自分で調べてってのはしないものですから・・・
リーフのことはそれなりにでしたが、アクアプラスのことは知らなかったので感謝致します。

しかしnntさんが登場したので俺は当分マニア路線でいこうかなと思う今日この頃です。
(やっぱりnntさんはすごいです。)
では、今日はこれにて失礼いたします。
暑い季節ですので健康に留意してくださいね。

274 :名無しさんだよもん:2001/06/25(月) 17:47
性能差でナイチンゲールだった、だが勝利した後隕石がナイチンゲールに

275 :名無しさんだよもん:2001/06/27(水) 01:26
誰かリニューアル後の過去ログ倉庫をつくってけれage

276 :名無しさんだよもん:2001/06/28(木) 11:30
nntさん新作祈願揚げ

277 :名無しさんだよもん:2001/06/29(金) 23:28
うお!? 初めて下川に萌えたかも。
まさかあのときの飲み会がここへの伏線だったとは……。

そして、初めて(?)長時間登場したおやびんも萌え!!
奇妙な口調だけど、それもまた個性を感じさせて、イイ!!

278 :ロムラー:2001/06/30(土) 03:18
R氏の表現する下川は熱い。(またその周囲もな)
初期の頃と違い少しづつうまくなっている。(判りやすい)
話しに関してはROMっている人間にゃ考えがつかない展開をだしているので
これからも期待度は抜群ですな。

nnt氏はいつものことながら巧みな表現で素晴らしいと思う。
このスレの一番ですな。

いまのところ目だってこのお二方しか載せていないようなので
ガンバ
ってことでアゲだ。
楽しませてくれ(俺にゃ文才ねーけど)

279 :名無しさんだよもん:2001/06/30(土) 03:30
キサマら時間を持て余しているなら自治スレへ来い!
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=993581620

280 :名無しさんだよもん:2001/07/01(日) 19:05
>>279
別に持て余してないからいかないよ。ウザ。

281 :名無しさんだよもん:2001/07/02(月) 02:27
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi?bbs=erog&key=984605397&ls=50
まぁ、あっちはあっちだが、なんか出てきたから。

282 : :2001/07/03(火) 20:22


283 :かちゅーしゃ用にリンクはこうしてくれ:2001/07/04(水) 20:15
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi?bbs=erog&key=984605397

284 :名無しさんだよもん:2001/07/06(金) 16:35
やはり仮想戦記メイン作家のnnt氏が来ないと進まないなあ。
nntさん、新作期待あげ!

285 :n.n.t.:2001/07/06(金) 21:35
>>284
ネタがマジでありません……ゴメンナサイ。現実に何らかの動きでもあれば、書ける
気がするんですが、ここまで何もないと苦しいです。

286 :とおりすがりの仮想ファン:2001/07/07(土) 04:22
ネタが無いって事はR氏やその他の書き手さんが頑張るべきであるぞ。
特にR氏にゃほのかに期待してんだよ。オイラは

287 :名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 12:03
うむ。R氏他がnnt氏をサポートしないとな。
下川が熱くてよいぞ

288 :名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 19:58
元ネタになる出来事が無いってのが苦しいよな。
前スレでは、中尾ちんが例のテキストで熱い想いを語ってくれたからこそ
盛り上がったわけだし。
葉か鍵が早く新作発表してくれればいいんだろうけど。

289 :名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 19:58
→ http://kyoto1.ceo-jp.com/musume/musume/
→ http://kyoto1.ceo-jp.com/musume/fukakyon/

290 :名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 20:36
AIR通常全年齢DC攻勢とか。こみぱDCで東京組とか。
ネタ、あるでないですか。

てか、ネタは待つものじゃない、作るものよ…
現実に動きがないなら日常ネタで攻めるのよ…

291 :就職交渉:2001/07/07(土) 22:27
大阪・梅田近くにあるハンバーガー屋。
平日の夕方に一人ポツンと座り、外を眺めながらチーズバーガーを頬張る男。
折戸伸治
食べながら折戸は思う。
(下川……)
心で呟く。
下川が折戸の彼女(折戸は少なくともそう思っている。)に手を出しそして怒りのまま
にリーフを飛び出して月日が経つ。
折戸は今でも思う。
(下川が、そんな事をする奴だっただろうか?そんな人が普通ただの社員に居酒屋に
連れていって、熱く音楽性について語り合うか?)
オレンジジュースを喉に流し込む。
そして静かに昔を思い出し、考える。
(いや、あれでよかったのだ。)
と…

292 :就職交渉:2001/07/07(土) 22:27
折戸は思い出す。
数年前
それは、下川と喧嘩別れし、辞表を叩きつけた後だった。
結局あれが尾を引いて陽子(仮名)とも仲違いをして、そして気が付けば仕事を理由
に二人は別れた。(それが陽子の陰謀とは折戸は知らない)
その場の勢いでリーフをやめたものの、行く当てもなくさまよっていたあの頃。
ちょっとずつ貯めていた貯金も無くなりかけていた時…
アパートにあいつが現れた。
「やあ、君が折戸君か、うんうん。」
折戸の目の前にスーツ姿で中年の脂ぎった男が見つめて自分勝手に頷く
「なかなか、ギラギラとした目つきをしとんなぁ〜。それやそれ、憎悪・怒り
悲しみ・哀愁・戸惑い…しかしまだその眼に生気がある…男の目ぇや」
雄弁に折戸の前が語る中年男性。
「どちら様で?」
折戸がやっとの思いで男に尋ねる。
「おお、紹介すんの忘れてたな。わしゃこういうモンじゃ」
折戸は名刺を差し出され、その名前を見る。
「!!」
折戸は名刺を拝見してグッと目を見開く。

馬場隆博
Keyの母体、ビジュアルアーツ社長その人であった。

293 :就職交渉:2001/07/07(土) 22:28
馬場は言う
「君がリーフを辞めたのは知っている。」
「情報が早いんですね。」
「まあな、俺は優秀な人間がどういう経緯であの名高きリーフを去った男、しかも飛
ぶ鳥を落とす勢いの会社を辞めるとなると…相当な理由があるのが人間の相場や」
(喋り口調が商人だな)
折戸はそう思うも馬場の話に耳を傾ける。
「まあ、そんな事情なんぞどうでもええんや。わしゃな、今日は重要な話を君に持
ってきたんや」
「重要な話?」
「そやで、特に君の『生活』という面ではな」
「なるほど」
折戸は納得する。
すると馬場はアタッシュケースから紙を出し、そして言い放つ
「折戸君、君がこのまま在野でおるんは、はっきし言って勿体ない。」
「はい」
相づちを打つ。
そして馬場は続ける
「わしゃーな、あんま手の内を隠すような狸芝居はできんから正直にいうけどな」
「はい」
「わしゃ金を儲けたいんや、18禁ゲームでな。」
「はぁ」
「折戸伸治君」
馬場は改めて折戸のフルネームで呼び、そしてこう言った。
「君を『Key』の音楽を担当してもらいたい」
折戸が手にした紙はまぎれもない契約書、つまり就職依頼であった。

294 :就職交渉:2001/07/07(土) 22:31
馬場はさらに言う。
「今、ウチにはタクティクスから離脱した久弥・麻枝・樋上を『Key』に呼んでいる。
勿論そこに君の名前も入れてある。」
「…………」
契約書を握りしめながら馬場を見つめる。
「ちょっとは話しに興味もってくれたようやな。」
「それなりに」
そっけなく言う折戸
「んじゃ続けるぞ。わしゃ『Key』という盤上にはな【脚本・原画・企画】と駒を集めてる。でもなー、まだ【音楽】と言う駒が足りんねや。そこでわしゃ折戸君がな、
リーフを退社したというのを聞きつけてわざわざ足はこんでここまで来たんや。」
「ご丁寧にどうも」
折戸は気乗りのしない返事をする。
「まあ、ぶっちゃけた話、君にKeyに来てほしいんよ」
「………」
折戸は何もいわずただ馬場と目線を会わせる。
「まあ、はっきしいってゲームのことなんぞは詳しくはしらん。でもなー、ゲームで
儲けたいという気持ちは人一倍強いねんや。こんな事ばっか言ってたら商業主義とか
いわれるかもしれん。けどな、この世界で一番になって一番儲けたいんよ!わかるか!」
ガッ
馬場は急に折戸の肩をつかみ、更に熱弁する。

295 :就職交渉:2001/07/07(土) 22:31
「だからウチに来んか?辞めた理由なんぞは聞かん。聞くだけ野暮やしプライベートに
介入する気なんぞ更々ない。どうや、俺の金儲けの為と折戸君のその目の奥底にある、
鬱憤をウチで晴らさへんか?リーフに、いや業界に一撃食らわすような作品創り出
さへんか!!どや!!」
大阪弁で思いっきりまくし立てられる折戸
「……」
折戸は思った。
(金儲けというのにはさして興味はない。けど、もしKeyという盤上で下川を…下川
を……)
折戸は下川の憎悪でいっぱいだった。
(彼女には逃げられ、生活資金も底を突きかけていた所だ。こっちから出向く事なく
仕事にありつけるのなら文句なんてないしな…)
そして折戸は結論をだす
(下川、あんたがあんな事をするのなら俺はあんたを俺の音楽で潰す!そして俺は、
あんたを越えてみせる)
折戸は馬場に言った。
「やりましょう。趣旨は異なっても目指す所は一つのようですから…」
「そか!よっしゃ、歓迎すんで、折戸君。」
「こちらこそ、面倒かけます。」
二人は固く握手をする。

こうして折戸はKeyの社員となったのである。
これが折戸伸治がKeyに入った理由となったのである。

296 ::2001/07/07(土) 22:40
久しぶりです。
一応初(?)の鍵ネタです。
なにやら期待されているのはありがたいですが・・・
nnt氏の文章にくらべたらまだまだ精進のほどは足りないですが、
それでも楽しんでくれれば幸いです。

色々な方の叱咤激励、感謝いたします。
まだ未熟者ですが、頑張りたいと思いますので長い目で見てやってください。
後、もう社会人となってから鍵にしろ葉にしろ情報が来ませんので
自分の脳内でしか話が作れません。

290氏のいうように、日常っていうかあまりみなさんが担当しない部分で書きたいと
思っていますので(多分)よろしくお願いします。
では、今日はこれにて。

追伸:コナミでマイナージャンル使う話があるかもしれませんが、そのときはご勘弁願います。

297 :名無しさんだよもん:2001/07/07(土) 22:56
えっと、早速突っ込んでゴメソ。明らかに事実と食い違ってるので一応。

折戸氏はYET氏とパソ通かなんかでの知り合いだったらしいのよ。
で、同棲の曲を外注で頼まれて受けて、MOONからタクティクスに正式入社、
その後麻枝氏らとKeyにって感じなのでいきなり鍵には行かないはずです。

とか要らないツッコミしてしまいましたが、応援してます。頑張ってくれ。

298 :新作あげ!:2001/07/08(日) 11:41
>>297
仮想戦記だからいいんだよ。
んなこといったら前に誰ぞが書いてた青紫キチガイネタだとかヤバすぎんじゃん(w

事実を元に書きたいっていうのはnnt氏個人の意向なわけだし。
マターリ逝こうよ、マターリ

299 :七月の静穏:2001/07/08(日) 21:05
「あ、あぁ〜体がア・ツ・イ〜、って男が悶えても気色悪いだけじゃーっ!」
 いつものように自分で自分にツッコミを入れながら、麻枝准は仮眠室のベッドから飛び起きた。
確かに部屋は酷く暑かった。大阪の夏は非常に蒸し、熱帯夜が途切れることなく続く。ビルが
林立し、アスファルトで完全に舗装されつくした大阪の街並みは暑気を放散することもできずに、
暑さに喘いでいた。

 麻枝がkeyの仮眠室で寝泊りするようになってからかなりの月日が経つ。家に帰る間も惜しい
とばかりに『AIR』の製作に没頭していた時期から逆算すると、既に一年以上になっていた。最早
仮眠室は麻枝の第二の生活空間だった。

「やけに暑いと思ったら、もう太陽が昇ってるぞ……」
 窓越しに見た東の空に、太陽が丁度目線の高さまで昇っていた。雲のない青空の中、太陽は
じりじりと街を歩く人々の身を焦がしている。今日も暑くなりそうだった。
「うぅむ、こう暑くっては眠ることもできんな。仕方がない。朝食食って、歯磨いて、髭剃って、
ビッグ済ませて会社に行くかぁ……まぁ、通勤時間三十秒なんだがな。八時四十五分に開発室に
間に合えばいいんだから楽なもんだ」
 そう言いながら、仮眠室の壁に立て掛けられた時計の針に目をやる。
「えぇと、今は九時十分かぁ……出社時間まで後マイナス三十五分あるから、朝食にモーニング
ティー付けて、日経読んで最新の経済情勢に目を通して、朝シャンして体から男の爽やかなフェロモン
を放たせながら会社に出られるな。世界を股に掛けるヤングエグゼクティブもびっくりのナイスガイ
だよな、俺って」
 ベッドから立ち上がり、大きく背伸びをした。余裕のある朝の一時は、一日の充実を約束するかの
ような心地好さに溢れている。だがそれは、あくまで時間に余裕がある時に限定される。
「あれ?」
 麻枝は強烈な違和感を抱いた。今の状況はおかしい。自分の知らない間に何か不穏な事象が展開
されている。違和感の正体を探る。すぐ目の前にその実体は存在していた。
「マイナス? マイナスですと?」
 愕然と時計の針を見詰め直す。
 無情にも短針は九時の方向を過ぎ、麻枝が見事に寝過ごした事実を告げていた。

300 :七月の静穏:2001/07/08(日) 21:05
「遅れてすいませんっ!」
 叫びながら、ドアを開ける。既に開発室ではスタッフ達が日常の業務に取り掛かっており、部屋に
飛び込んできた麻枝に視線を向ける者は一人もいなかった。皆の集中を妨げる事はない。そう考えた
麻枝はできるだけ物音を立てないように自分の机へと向かった。私語の交わされる事のない開発室の
緊張感が心地好い。
「何だ。俺が遅刻した事、誰も気付いてないのかな?」
 スタッフ達の反応の無さに、思わず呟いた。
「なわけないでしょ」
「やはりそうか、しのり〜」
 ディスプレイから目を離さずに、しのり〜は麻枝に言う。
「あんたが遅刻するのなんて日常茶飯事だから、何も言わないだけよ」
「酷い言い草だな……」
「でもあんた、そんなに遅刻してたら減給されるんじゃないの? 査定悪くされてない?」
「あぁ……これ以上遅刻したら、俺が会社に金を払わなきゃいけなくなるな」
「はぁ……」
 ため息をつきながら、しのり〜は椅子を回して麻枝のいる方へ向き直る。
「あんた、会社に寝泊りしてるんでしょ。どうやってそんなに遅刻できるのよ」
「う〜む、何故か寝坊してしまうんだよな。目覚ましも役に立たないし」
「目覚ましを三十個くらい用意してから寝ればいいんじゃない?」
「それが朝になると一斉に鳴り始めるのか……一個一個止めている内に遅刻しそうだぞ」
「それなら体に電極差し込んで、朝になったら自動的に高圧電流を流すってのはどう?」
「二度と目覚める事ができないような気がするな」
「ダメか……誰かに起こしてもらうってのが無難な線かしらね、やっぱり」 

301 :七月の静穏:2001/07/08(日) 21:06
「そうだな、誰か毎朝俺を起こしに来てくれればいい。と言う訳で、しのり〜、お前に任せる。毎朝の
さわやかな目覚めを演出してくれ。制服はみきぽんにメイド服を作ってもらうから安心だ」
「何であたしがあんたのメイドにならなあかんのじゃっ!」
 だげしっ!
 しのり〜の踵が鋭く麻枝の足を踏みつけた。
「ぐわっ、足を踏む事はないだろ。踏む事は」
「あんたが変な事を言うからでしょっ。大体あたしには無理よ。あんたを毎朝起こすなんて」
「そうか? 毎日三十分前には会社に来てるじゃないか。そのついでに起こしてくれよ」
「嫌よ、あんたの裸の寝姿なんて見たくないもの」
「普段から女の子の裸に色塗って仕事しているくせに、今更清純派ぶることもないだろ。なぁ頼むよ。
パンツはちゃんとはいて寝るからさ」
「そういう問題じゃないのよ。いたるにでも頼みなさいよ、そういう事は」
 そう言って、しのり〜は樋上いたるの机の方角を顎で指した。麻枝もその方角へ視線を向ける。
いたるは原画の作業に集中しており、麻枝達の会話は耳に届いていない様子だった。
「う〜む、いたるに頼むのはちょっと嫌だな。何だか悪い気がする」
「いたるには遠慮するけど、あたしだったら構わないの?」
「いや、そういう事じゃないんだが、何だかな。まぁいいや、自分で何とか起きるように努力するよ」
 そう言いながら、麻枝はしのり〜の元を離れ自分の机へと向かう。
「はぁ……」
 その麻枝の背中を見ながらしのり〜は机の上で頬杖をつき、ため息を洩らした。

302 :七月の静穏:2001/07/08(日) 21:09
 エアー・コンディショナーの稼動音をバックに、キーボードを叩く音がリズム良く開発室に響く。
『AIR』のコンシューマー機への移植作業も無事終了し、ようやく『AIR』絡みの作業から解放された
keyスタッフ達は停滞していた新作の開発にようやく本格的に取り掛かっていた。
『KANON』、『AIR』を経てkeyのブランド名は既に確立されていた。業界屈指の購買層を持つkeyの次回作
の商業的成功は初めから保証されていると言っても過言ではない。勝つ事の決まっている戦いである。
 対抗できるブランドの存在しない現状では。

 麻枝は自分の机に向かい、次回作に使用する音楽の製作に勤しんでいた。シナリオ・ライターとして
キャリアを積んで来た麻枝であったが、音楽担当としての経験も着実に重ねていた。自分専用のPCの
ディスプレイに映し出された音の波形と睨みあいながら、己の中にイメージされた音色を現実の音波
として具体化させる。テキストの形でイメージを焼き付けるシナリオ執筆とは異なる能力を必要とする作業
だった。
 麻枝はディスプレイから目を離し、椅子の背もたれに体重を掛けた。目をつぶり、まぶたを指で押さえる。
「なかなかいい音が出ないなぁ」
 コンピュータを用いて音楽を製作する際には、音源そのものを作らなければならない場合もある。
自分のイメージする通りの音色を作り出すとなれば尚更である。今、麻枝は自分の意に適った音の
データを作る事が出来ずに困惑していた。
「折戸さんにデータを貸してもらうかぁ」
 椅子から立ち上がり、周囲を見回す。相変わらず静かな開発室内で、黙々とスタッフは作業を進めて
いた。
「あれ? 折戸さん今日来てないのかな?」
 折戸伸治の机は無人だった。麻枝は折戸の机に近づき、様子を調べる。綺麗に整理整頓された机に折戸
の人となりがよく表れているように思えた。

303 :七月の静穏:2001/07/08(日) 21:09
「麻枝さん、どうしました?」
 折戸の机の前で立ちすくむ麻枝の背中で声がした。
「データを貸してもらおうと思ったんだけど、今日は折戸さん来てないのかな?」
 麻枝は振り向いて声の主に応える。そこには涼元悠一が大量の資料を両手に抱えて立っていた。
「確かに先日出張されましたが、今日はもう大阪に戻って来られているはずですけど」
「そうか……変だな。何の連絡も無しに」
「麻枝さんにも何も伝えられていないんですか?」
「あぁ、俺に連絡せずに休むような人でもないし、涼元さんも知らないのか?」
 涼元は僅かに眉をひそめて考え込む。
「えぇ……私は何も知らされていません。申し訳ありません」
 頭を下げる涼元に、麻枝は慌てた。
「いや、別に涼元さんが謝る事じゃない」
「ですが……確かに妙ですね。折戸さんが理由も無しに休むとは考えにくいです。もしかしたら、何か
あったのではないでしょうか?」
 不安に顔を曇らせる涼元に、麻枝は罪悪感を抱いた。『AIR』の移植作業において外部との折衝を行なった
のは主に涼元だった。麻枝はそういった駆け引きに関しては全く無能である。涼元がいなければ移植作業
でkey側の意向は殆んど通る事はなかっただろう。様々な業界で叩き上げられてきた涼元だからこそ、巧み
な交渉術でkey側の意向を移植会社に認めさせる事ができたのである。
 だが、そんな事をさせるために涼元はkeyに来たのではなかったはずだ。シナリオ・ライターとして物語
を創るために涼元はkeyにいるのだ。その涼元に自分の不得手な交渉を押し付けてしまった事に、麻枝は
負い目を持っていた。

304 :七月の静穏:2001/07/08(日) 21:10
(こんな事をさせるために、俺はこの人にkeyに入ってもらった訳じゃない)
 心中を押し隠し、麻枝は努めて明るい口調で涼元に言った。
「まぁ、風邪でも引いたんだろう。余り心配しなくっても大丈夫ですよ」
「えぇ……そうですね」
 涼元は穏やかに応えた。ほっとした様子で表情を緩めた麻枝に、涼元は言葉を続ける。
「ところで麻枝さん、音楽データが無いんでしたら戸越さんに頼めばいいのではないでしょうか。あの方は
確か折戸さんとデータを共有しておられるはずですよ」
「そうだな。戸越君に頼む事にするよ」
 そう言って麻枝は開発室を見回し、戸越まごめの姿を探した。戸越は自分の机に向かって作業に没頭して
いる様子だった。

「おーい、戸越君。ちょっとデータ見せて欲しいんだけど……」
 そう呼びかけようとした麻枝の前で、戸越は叫び声を上げた。
「ぐわーっ! 『AIR』の掲示板に『高校生です、よろしくお願いします』とか書き込むなーっ!
オフィシャルの掲示板でコピーの話すんなーっ! お前ら、うちの掲示板を潰そうとしてるだろ?
ファンのふりして嫌がらせしてるだろ? こんな掲示板管理、もうやってられるかーっ! ムキーッ!」

「……」
「どうでした? 戸越さんがデータを持っておられましたか?」
「いや……それどころじゃないみたいだった」
「ウキーッ!」
 開発室に戸越の悲痛な叫びが響き渡る。その様子を見て、涼元もため息まじりに麻枝に応えた。
「……確かに、そうみたいですね」
 空の頂点に登りつめた太陽にできる事は、沈み行く事だけだ。かって目指した空は、届いてしまえば
もう上には進めない。今、その絶頂期を謳歌するkeyの進む道は果たしてどこに向かっているのだろうか。
 答えられる者など誰もいなかった。 

305 :n.n.t.-G:2001/07/08(日) 21:11
>>290さんの意見を受けて、日常ネタを書いてみました。
こんなのしか書けないんですけど、いいんですか?

306 :名無しさんだよもん:2001/07/08(日) 22:38
良く考えたら名前欄にタイトルを入れるのは良い方法だな…
名前で作品を見ることがなくなる。

307 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 01:22
日常ネタ(・∀・)イイ!
ギャグが(・∀・)イイ!

これ、すげえらしいよ…まんまルポしてますって言われても信じるよ…
n.n.t氏、R氏、これからも地道に頑張ってください…応援。age。

308 :涙の雫:2001/07/09(月) 02:57
下川は帰り支度を整え、散らかった社長室を後にした。
廊下へのドアを開けると、熱気がムッと押し寄せる。
7月を迎えたばかりというのに、大阪は既に真夏にも引けを取らない蒸し暑い夜だった。
エレベーターに差し掛かるが、通り過ぎる。
クーラーが利いているのは分かっているが、なんとなく密閉された空間に身を置きたくない気分だった。

既に暗くなった開発室の前を通ると、ぽおっとした淡い明かりが目に止まった。
誰かがディスプレイの電源を落とさずに帰ったのだろうかと開発室に入ると、そこには見慣れた男が何処か遠い目をしながらデ

ィスプレイを見つめていた。
「青紫。何で一人で残って居るんだ? 残業しても手当てなんかでないぞ」
「いえ、ぼーっとしてただけです。社長もあがりですか? お疲れさまでした」
ディスプレイには、削除された筈の掲示板のログ。
「何てもの残してるんだ…。さっさと帰って寝ろ。そんなログ削除してからな」
「そうですね…。お疲れさまです社長」
だが、青紫は動こうとしない。ディスプレイの明かりだけが二人の顔を照らし、ゆっくりと時間は過ぎていった。

「社長…。僕ね、昨日笹を買ってきて飾ったんですよ」
ポツリ、と青紫が呟いた。
「七夕の笹か。そういえば、毎年お前が買ってくれていたな。しかし、それなら会社に持ってくれば良かったものを…」
「そう思ったんですけどね。でも、見て貰う人が居ないと笹も寂しいだろうと思って、家の近所の公園に立ててきましたよ。
 社長も、お帰りになっちゃってましたしね。
 …昔は、みんなして飾り付けたものなんですけどね。近頃みんな終業するとすぐ帰っちゃって…
 こういう行事に興味なくなっちゃったんですかね? みんな、風流じゃないなぁ」
そう言うと、青紫は寂しそうに顔を俯け笑った。
「それで、見に来た子供たちに混じって僕も短冊に願い事も書いたんです。ホント真剣に。1時間ぐらい掛かっちゃいました。
 何か気に入らなくて、書いては捨てて書いては捨てて…って。いい年して馬鹿みたいに」

309 :涙の雫:2001/07/09(月) 02:57
「そうか? 凄くお前らしい気がするが」
穏やかな眼差しで青紫を見つめながら、下川はそう返す。
「…そうですか? そんな言葉が返ってくるとは想像してなかったです…
 『そんな下らない時間を過ごすくらいならシナリオ書けっ!』だと思ったんですけどね。明日は雨ですかね?」
笑いながら顔を上げた。涙と鼻水まみれになった顔。
「でね、なんて書いたと思います? 1時間も考えたのに凄く下らない願いなんですよ。
 『みんなで一緒に、凄いゲームを作れますように』
 あはは、笑っちゃいません? 昔から自分でみんなの足引っ張っておいて。みんなで一緒にだって…
 馬鹿みたいだ。いや、馬鹿ですよね。ははは…、はは…。…ひぐっ」
再び俯く。
そんな青紫の俯いた背中を見つめながら、静かに下川は語りかけた。
「…気にしすぎなんだよ。お前はいつも。
 いつも気にし過ぎて、悩んで、心に傷を付けて、その傷を治せないままにそのまま次の作品に取り掛かる。
 そんな状態で、良い作品が出来る筈が無いんだ」
下川は、ふと昔の事を思い出す。
高橋が青紫を連れて来た当初、こんな冴えない男に頼んで何が出来るのだろうと疑ったものだった。
しかし、そんな考えはすぐ覆された。痕における的確なシナリオ補佐、多数のバグ発見など功績は多大だった。
もう一度の発売延期を踏み止まれた一因は確実に青紫にあった。
だから、欲が出てしまったのだ。下川はシナリオ締め切り直前に、高橋を通じてシナリオを一本発注した。
困惑していた青紫を無理矢理説得して。

無事発売した後、社長室に憔悴しきった顔の青紫が頭を下げに来た時は本当に驚いた。
思えば、この時既に心には直らない深い傷が一本走っていたのかもしれない。

しゃくり上げることも少なくなり、少し落ち着いたと考えた下川はハンカチを差し出しながら声を掛けた。
「少しは落ち着いたか? これ使え」
「…はい。ありがとうございます。みっともない所見せてすいません」
小さな声で青紫が答える。
「そうか。なら行こか」
青紫の右手を引っ張りつつ、開発室の出口に向かう下川。
「ちょっ…、何処へ行くんですか?」
下川は答えない。

310 :涙の雫:2001/07/09(月) 02:58
目的地はすぐ近くだった。

「社長室…、ですか?」
鍵を開け、扉を開く下川。
そこには。
「…笹じゃないですか。どうしてこんな所に…」
よく見ると、しっかり飾り付けされていた。そして床には色とりどりの紙屑。
青紫には、ちっとも状況が飲み込めなかった。
「丁度すれ違ったんだよ。笹買った帰りにお前を見かけた。お前は気づかなかったみたいだけど似たような事してたんだな」
下川は無邪気に笑う。
「…これ、一人でやったんですか…?」
「ああ。でも、やっぱりお前が一番器用やな。俺が作るとわっかとかギザギザやしな」
「…………」
そして、下川は自分の引き出しを開けると、短冊を取り出し青紫に渡した。
なんの事か分からずキョトンとする青紫。
「あの…、なんですか?」
「アホ。短冊の願い事はな人に言ったら叶わないとか言うやろ。もう一度書けや。
 こんなゴージャスな飾りなんやから、一日くらいまけてくれるやろ」

青紫の顔を、つぅっと一筋の涙の雫が伝っていた。
「はぁ? 何で泣くんや?」
「すいません。なんか良く分からないんですけど…」
「そうか。しかし、よう枯れへんの。顔の方は腫れぼったい目になってなかなかの間抜け顔やで。そろそろ泣くの止めとけ。
「はい。すいません…」
「…っと、そうや。後で片付け手伝ってくれな。明日客来るのすっかり忘れてて、かなりやばいんやわ」
「…はい、喜んで」

その日社長室から明かりが消える事はなく、何時までも途切れず笑い声だけ響いていた。

311 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 04:40
うおおおおおおおおおおお(;;

男だ。新作age。

312 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 04:46
これはこれでええのう。ageさせていただこう。

313 :涙を堪えて:2001/07/09(月) 06:48
 日曜日。平日の疲れを癒し、新たな鋭気を養う日。
 本来なら中上は、家でじっくり休養をとるはずだった。
 OHP掲示板管理人というのは、とりわけ心身に負担がかかる仕事であるため、
 こういった休みは非常に貴重なのだ。
 しかしその日は……。

「ふあ〜あ」
 布団から起き、大欠伸をする中上。
 仕事の癖が身体に染みついてしまい、どうしても早朝に目が覚めてしまう。
「俺も年をとったかな……。若い頃は平気で朝寝坊していられたんだが」
 中上は昔を思い出して苦笑した。そういえば、それでよく下川に怒られていたっけ。
 あの人は見かけによらず時間には厳しいからな。
 そう思いながら、中上はもう一度床についた。
 ――ちょうど同時刻、Leafの掲示板で何が行われていたか。
 その時の中上には、知るよしもなかった。

 正午近くになって、再び目が覚めた中上は、何気なくパソコンのスイッチを入れた。
 ブラウザを起動し、Leafの掲示板へ。
 これもまた、若い頃より続けている中上の癖だった。
 最近めっきり書き込みが少なくなってしまったが、
 それでも、自分達を応援してくれるファンの声は、とても嬉しい。
 疲れた時や嫌な事があった時、ここの書き込みを見て、何度勇気づけられたことか。

 ……数秒後、中上の眠気が飛んだ。

 中上は急いで、Leaf本社へ向かった。
 自分の責務を全うする為に。
「何故……、何故、あんなことをするんだっ……」
 中上の声は震えていた。

 OHPの掲示板は、2ch葉鍵板の心ない住人によって、荒らされていたのだ。

314 :涙を堪えて:2001/07/09(月) 06:48
「さっさと削除する。書いた奴のIDもな。それで終わりだ」
 会社に着いた中上は、わき目もふらず、足早にマシンルームへ向かった。
 怒りにまかせて、乱暴に扉を蹴り飛ばす。
 それは、普段の温和な彼からは、想像もつかないような行動だった。

 マシンルームに入った中上は、一人の人物の後ろ姿に目をとめた。
「青紫……?」
 名前を呼ばれた男は、ゆっくりと後ろを振り返った。
「……やあ。中上か」
 中上は慌てて青紫の元へ駆け寄った。
「どうしたんだ、こんな休日に」
 そこまで言って、ふと、脇のパソコンに視線を移す。
「……」
 OHPの掲示板。
 中上が今朝見たものより、はるかに悪質な書き込みが増えていた。
 その書き込みのほとんどが、青紫に対する中傷だった。

「お前、ずっと一人で、これを見ていたのか……」
 青紫は黙って、頷いた。
「待ってろ。今俺が消してやる!」
 中上は慣れた手つきで管理者コマンドを入力し、悪質な書き込みを削除する。

「……終わったぜ」
 中上は、横で見ていた青紫にそう言った。
「……ああ」
 そう答えた青紫の声は、憔悴しきっていた。
 そんな青紫の表情を見て、中上はまた怒りがわいてきた。

315 :涙を堪えて:2001/07/09(月) 06:49
 再びキーボードを打ち始める中上。
 叩く指に力がこもり、ひっそりとしたマシンルームにキーボードの硬い音が冷たく響く。
「今後は、誹謗書込投稿者のメールアドレスを公開します、と、これでどうだ!」
 そこまで打ち込んで、送信。
 もうこれ以上、仲間に悲しい思いをさせたくない。
 そう考えた中上の、とっさの行動だった。

「これで今後、あんなふざけた書き込みは無くなるだろう」
 中上はニヤリと笑って、青紫の顔を見た。
 しかし青紫は、悲しい表情をしたまま、
「……これは駄目だ、中上」
 そう言った。

「俺、ずっとここで掲示板を見ていたから知っているんだけど、
 このアドレス、あの書き込みをした本人のものじゃない。
 2ちゃんねるで勝手にアドレスを公開した奴がいる。おそらく本人の知らぬ間に。
 それを使った、不特定多数の人間による書き込みだよ」
「何だって!」
 中上は信じられないといった顔をした。それが本当なら、立派な犯罪ではないか。
 2ちゃんねるの人間は、そこまで良識を知らない者ばかりなのか。
 怒りを通り越して、もはや呆れる他はなかった。

「とりあえず、今のお前の書き込み、消したほうがいい」
「……ああ」
 中上は黙って、自分の発言を削除した。
「……」
 その後、しばらくの沈黙。
 二人は何もしゃべらず、ただ、パソコンの画面を眺めていた。

316 :涙を堪えて:2001/07/09(月) 06:51
 やがて、中上が口を開いた。
「2ちゃんねるか……。正直、失望したな。
 昔はユーザーの正直な感想が聞ける貴重な場として、俺達もよく利用してたんだが……」

「こんな奴らが俺達の悪口を書き殴っているんだから笑わせる。なあ、青紫」
「……」
 青紫は黙って首を振り、否定した。
「彼らの行動は、今のLeafに対する不満からきているものだろう。
 責められるべきなのは、俺達……いや、誰彼のシナリオを担当した、俺個人さ」

「おいおい」
 中上は慌てて、青紫の言葉を否定した。
「あれはしょうがないじゃないか。チップアニメという表現を前面に出すために、
 シナリオはあえて必要最低限の描写にとどめる、って決まりだっただろ?
 それに、わざと伏線を書かないことによりユーザーの想像力に任せる、って方針だったはずだ。
 お前の責任じゃない。それに……」
 中上は拳を握りしめた。

「2ちゃんねるの奴らは、面白がってお前を叩いているだけだ。
 誰彼の文章は、どう考えたって、あんなに叩かれるべきものじゃない。
 単にあいつらのネタとして使われてるだけなんだよ、お前は。
 ……なあ青紫。悔しくないのか? お前、原田のプロットを活かすために
 あれだけたくさんの資料を見て、勉強してたじゃないか。
 他人が考えた企画の後を継ぐのが、どれだけ難しいか。
 それを、お前はやりとげたんだ。それなのに、あんなに叩かれて……っ……」
 中上の目には、うっすらと涙がたまっていた。
「なあ、悔しくないのかよ、青紫っ……」

317 :涙を堪えて:2001/07/09(月) 06:52
「……中上」
 青紫はすこし笑って、言った。
「つまらないゲームを買わされた人達のほうが、よっぽど悔しいと思うよ。
 だから俺に、悔しがる資格は無いんだ」
「青紫……」
「俺なんかの事で泣いてくれるなよ、中上。お前の優しさは嬉しいが、
 俺達が流す涙は、ユーザーに自分達の気持ちが届いたときの、嬉し涙だけでいいはずだ。
 だから……」
 青紫は立ち上がり、中上に背を向けた。
「俺は堪える。これからも、ずっと」

「青紫!」
 中上は叫んだ。
「俺も、下川社長も、いや、スタッフ全員が、お前を信じているからな。
 今までのお前は、他人の企画に無理に合わせてたせいで、本来の力が出し切れなかっただけだ。
 お前なら、必ず、人を感動させるシナリオが書ける!
 その時は、お前を馬鹿にしていた2ちゃんねらーの奴らを、思いっきり笑ってやろうぜ!」

「……ありがとう、中上。だけど、笑えるかどうかは自信がないな。……その時はきっと」
 青紫は、中上に背を向けたまま言った。
「俺は、嬉し涙で、それどころじゃないだろうからね」

318 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 06:56
>>313-317は、>>308-310より前の話、です。

しかし考えることはみんな一緒なんだな。(w

319 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 07:57
いい話だ…上げようか

>>299-304(鍵ほのぼの)
>>313-317(葉シリアス)
>>308-310(葉シリアス)

何故か一気に更新、三本まとめてどうぞ

320 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 16:30
っちくしょう、マジ泣きしちまった…

321 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 17:42
ごめん……叩いてごめん、青紫……(;´д`)

322 :書き込んだ奴:2001/07/09(月) 19:36
早紀ちゃんごめんよ・・・。さすがに軽率だったかもしれん。

#どうでも良いが、漏れは自分のメアドで書いたぞ。

323 :名無しさんだよもん:2001/07/09(月) 20:17
新作age

324 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 01:18
さすがnntさん!!!(感動
一気に新作が並んだね。この勢いでガンガン頼みますよ!

325 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 01:46
>>313-317
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=988384735&ls=100
ここでの出来事ですか。今回の荒らしはずいぶん非道かったらしいですね。
2ちゃんねるには負の部分もありますが、
それを生かした作品があるのも2ちゃんねるならではでしょうか。
nntさん、いつもいい作品ありがとうございます。

これを中上さんや、青紫さんにも見せてあげたい(w

326 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 03:38
このスレ最高。続きが楽しみ。
期待sage

327 :名無し三文:2001/07/10(火) 03:45
青紫って2chじゃたたかれているけど
業界ではそんなに悪いようにいわれていないからねー
でも、ここの出てくるやつはどれも暑いね。

ちなみに期待のキャラは一一、好きなんは久弥。
みんな誰がお気に入り?

328 :名無しさん駄余門:2001/07/10(火) 03:53
漏れ的にはしぇんむーが(・∀・)イイ!!
青紫も、、、なんか叩いちゃいけないような気になった、、、、

329 :通りすがりの読み手:2001/07/10(火) 05:37
R氏の描く下川とnnt氏の描く麻枝としのり〜

R氏の下川には男気が感じられ、nnt氏の書く二人は情愛が感じられる。
と、思っているのは漏れだけ?
ちなみに葉鍵以外のキャラでは浦 和雄
男気に関しては下川にも劣らず、しかもこれが現実にそんな人だから
また熱い!

そういや最近だーはら・陣内・閂でないねー

330 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 06:05
3本とも非常に楽しゅうございました。
そーいえば、昔中上氏がシェンムーに射殺された話も熱かったなあ(w

>>329
まあ、うだるちん達は舞台から降りてしまったからね・・・。

331 :名無しさんだよも:2001/07/10(火) 07:05
>327
熱いキャラ:下川

萌えるキャラ:麻枝

今後に期待するキャラ:CHARM
てなとこかな。
当面は動きなさそうだし、マターリ行く方向で。
ちなみに性的描写はこのスレにゃ必要ないかね?
いや、一応18禁に携わっているとこだし、なんとなくそんな展開があって
も別にいいかな・・・と、まあ官能小説じゃないから無理か・・・
とりあえず、生半可なゲームよりこっちの方が面白いのは確か。

332 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 07:21
そーいえばドリキャスこみパの発売も近くなってきたけど
このへんの話も読みたいな。ちゃん様も最近出番がないし。
「初回版で売るなんて寒い!」と言っていたシェンムーが
あえて初回版を出した苦渋の決断への経緯…なんて渋い話きぼーん。

333 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 07:22
nnt氏、マジで上手いよ。

334 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 08:51
オタクは様や氏をつけたがるな……

335 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 09:54
>>331
初代スレのちゃん様リンカーン事件みたくなるとアレだから、あんまり18禁
描写はしないほうがいいと思う。仮にも実在の人物をモデルに(しかも本
人たちの許可を得ずに)書いてるものだから・・・

336 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 11:49
R氏が下川を書き始めてからいわゆる「悪役」がいなくなったよね。いいことか。

ただ、原田や陣内、閂、高橋水無月がしぇんむ〜のやり方に反発したのも
事実なわけで。そのへんの横暴(?)は事情があった故の彼らの悲しい誤解だ、
と片付けてしまうにはちょっと勿体無いかな。どうだろ?
過去の業を背負った男がそれをどう清算していくのか、楽しみにしてます。

337 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 14:45
>>334
様は知らんが氏って付けるのは悪くないんじゃ。

338 :西と東と 1:2001/07/10(火) 15:15
時は少し遡る。
5月某日、新大阪。

「まったく……なんでこう何もかも上手くいかんのや…」
社長、下川直哉は今日も不機嫌だった。
「一体何があかんかったのか……」
何もかも駄目、という現実から目をそむけるように、下川は思索の海に潜ろうとする。

Trrrrrrr...
そんな下川の思考を遮るかのごとく、社長室に電話の音が鳴り響く。
億劫そうに、下川は電話機に手を伸ばす。

「はい。アクアプラスの下川ですが−−」
『社長。お久しぶりです』
「……鷲見か」
『はい。社長もお変わりなく……』
「前口上はいらん。どないしたんや?」
『ええ、DC版こみパの仕上がりは上々です。前作に比べ操作性はアップ、既存シナリオの強化は目ざましく、追加シナリオも必ずやファンを魅了する……』
「御託はええ。売れるんか?」
『必ず』
「そか……で、それ言うだけのために電話かけて来たわけやないやろ」
『ええ……DC版を売上抜群のゲームに仕上げる自信はありますが、時間がいかんせん……』

339 :西と東と 2:2001/07/10(火) 15:16
ぴくり。
顔を引きつらせる下川。
「……足らん言うんか?」
『足りません』
鷲見はきっぱりと言い切る。
「いっぺん延長してるやないか! これでも足らん言うんか!」
『開発には予期せぬ事項がつきもので……』
「それは前回も聞いたで」
『この作品を完成させるためには、まだ時間が必要なのです。どうかご理解を』
「だいたいなあ、わしは経営的観点から締切を設定して……」
『分かります分かります』
「だーっ! あの忌々しい東大野郎の真似してんやない!」
『似てると思ったんですがね』
「そういう問題やないやろ! で、今の締切ででけへんのか?」
『クオリティを上げるには仕方ありません。PCと違ってバグは出せませんから、デバッグ期間を十分に取るとなるとどうしても……』
「しかし、発売再延期ちゅうことになったらどれぐらい損するか分かってるやろ。なんとかならへんのか?」
『社長、目先の損失にとらわれていては駄目です。我らがリーフ、王者たるリーフにふさわしい作品にするためです。一時の損失など、大作の前では大したことはないのです』
「軽軽しく言うけどなあ……」
『作品以外のことを心配せず開発にあたれる環境。我々がリーフに参加したのはそのためでしたが……まさか作品より目先の利を取るとでも?』
長い沈黙。
「……発売日、7月26日な」
『ありがとうございます』
「それ以上は1日もまからへんからな! 雑誌や販促の描き下ろしも今以上に頼むで!」
『了解しております』

340 :西と東と 3:2001/07/10(火) 15:17
苦々しい。
大阪のラインは壊滅している。今はこいつらに頼るしかない。それゆえ、譲歩せなばならない。
その窮状が、下川には苦々しかった。王者たるリーフが、今や外様にすら頭を下げねばならないとは。
つい、悪態が口をついて出る。
「……プライドあったら、コミケには出られんよなあ……」
言って、はっと気付く。
彼らにとって、これは禁句だったことを。
『……社長。今の言葉、ウチの女王さまが聞いたらなんて言いますかねえ……』
鷲見は、静かな口調で喋る。
内面の苛立ちを押し隠すように。
「……」
『今の言葉は忘れることにしましょう』
「そうか…」
ほっ、と胸をなでおろす下川。
『ただ、あの人も必死だってことは知っておいてください。証拠に……次のコミケは、出ませんので』
「……分かった」
下川は何とも居心地の悪さを感じ、がちゃん、と電話を下ろす。

341 :西と東と 4(西):2001/07/10(火) 15:17
「はあ、延期か……雑誌社への告知、ショップへの告知、流通との打ち合わせ、運転資金の金策……気い滅入るのお……」
下川はふと、窓の外を見る。
視線は遠く、伊丹の方へ。
「……あのころは、ゲームのことばかり考えておったらよかったのに。いつから、こんな風になってしまったんやろな……」
呟く声は小さく、弱く。

342 :西と東と 4(東):2001/07/10(火) 15:18
同じころ、池袋。
「ふう、やれやれ……」
「あ、Charmさん折衝おつかれさんです」
電話を終えた鷲見に、甘露が声をかける。
「ああ」
「上手く行きました?」
「そりゃあな。あいつらには俺たち以外に切り札が無いからな。こっちは駄目なら独立するも良し、東天満かどっかに買ってもらうも良し」
「違いないですね」
「『外野』には口を出させんよ……こみパは『俺たち』の作品だからな」
そう言って、鷲見はニヤリと笑う。

「ふみゅ〜ん。またバグ〜〜〜。ちょ〜むかつく〜」
遠くから、テストプレイ中のみつみの声。
「そろそろ、戻りますか」
「ええ」
向かい合って、微笑する鷲見と甘露。
「俺たちのクイーンと作品のために!」

343 :名無しさんだよもん@そうだ有明行こう:2001/07/10(火) 15:18
>>338-342
東京vs大阪。こみパ再延期をネタに。ちょっと新鮮度の落ちたネタですが。

数日前に書いたのですが、ちょうど投稿が重なったので遅らせて発表。
ここ数日良作の投稿が多くて嬉しい限りです。

344 :名無しさんだよもん:2001/07/10(火) 16:54
またまたいい感じの新作age。

>>331氏の希望が叶ってヨカタね。
charm(・∀・)イイ!

345 :331:2001/07/10(火) 22:43
>343さん
言った側からの早速のお話、ありがたいです。
話の展開も楽しく読ませていただきました。
感謝です。
ただ、CHARM氏の本名は鷲見(わしみ)って読むのですか?
本名は知らないので・・・

一応東京開発の話も再び出てきたのでこれからの展開が楽しみです。
書き手のみなさんこれからも上質なものを期待しています。

335さん>
そうでした。もう昔の話なので忘れていましたがそんなこともありましたね。
でも、それは乱暴な表現であってマターリなやつでもだめなんでしょうか?
まあ、自分は書かないのであれですが・・・
少し疑問に思ったので・・・
以上です。

346 :名無しさんだよもん@そうだ有明行こう:2001/07/10(火) 23:39
早速の感想ありがとうございます。
>>331
>CHARM氏の本名は鷲見(わしみ)って読むのですか
CHARMさんの東京開発室ボス・企画屋・シナリオライターとしての名前が「鷲見努」(わしみつとむ)です。
本名かどうかは分かりませんが…
絵描きとしては「CHARM」を使いつづけるんだと思います(同人では使いつづけてますし)。

結構登場人物多いし、どういう人物か知らないと分かりにくい話もありますんで、何処かで人物紹介しないといけないかも…
確かナナツさんだよもんさんが資料集の製作予定しておられるみたいですが。

347 :イメージって奴は・・:2001/07/11(水) 03:29
336>
>R氏が下川を書き始めてからいわゆる「悪役」がいなくなったよね。いいことか
そういえば確かに悪役という悪役がいなくなったね。
552文書では『悪』そのものだったのにR氏が下川をかき出してから好感が持てるようになった。
(nnt氏の書く久弥やいたるもだが・・・)

っていうよりエゴの山本和枝とラブロマンスは笑った(現実知っているから)
今や鍵の久弥・麻枝と葉の下川が主役級だな。なんか最初のころよりも高橋が影薄いね。

でも、悪役っていうからにはやっぱコナミか?
妥当な線としては。
長い感想と意見スマソ。
これからも期待しているということでage。

ちなみに18禁表現に関しては反対。(軽いのは可)
あんまりそこにこだわらなくても楽しめるからね。

348 :名無しさんだよもん:2001/07/11(水) 03:34
悪役というのも必要かどうか微妙だなぁ。
ガンダムみたいに、それぞれ何かしら主義主張があって争ってるんだろうし。
それにしてもしぇんむ〜はかなりいい感じの性格になってきたなぁ…

349 :時限爆弾。:2001/07/11(水) 13:15
「雨なんか、ふらない。」

降りやしない。
今日も明日も。
世間様では未だ梅雨だと云うことにされてはいても、誰もが夏の訪れを知っている。
夕陽も、風も、空気の匂いも、こぞって夏を告げている。
けれどまだ、梅雨は明けない。『梅雨』という名前だけが残っているのだ。
明けたと誰かが告げるまで、正式に終わったことにはならない。
些細な、しかしながら奇妙な理不尽。
この場合は、沈黙という事実そのものが公然の嘘になるわけだ。
ことばの呪は期限付きで有効だ。誤魔化しきれなくなるぎりぎりの水際まで、夏は梅雨のままなのである。
人々は夏を知りながら、沈黙に「だまされた」フリをしてくれている。
無意識のうちに受け容れるのであろうと、意識的であろうと。

日本全土でここまで晴天続きなのは首都東京だけであるという。
この街には、なんらかの護りが、あるいは雨さえも避けて通る歪みが、存在しているのかも知れない。

――閑話休題。

ともかく、俺たちはそのやさしい錯覚に甘えながら、笑顔で無言の嘘をつく。
夏が遅蒔きの名前を定義されるその日まで。

――――もう雨なんか降らないと、知っているけれど。

350 :時限爆弾。:2001/07/11(水) 13:57

と、本日付けの雑記を書き終えて、冷えたビールに口をつける。旨かった。
真昼間からビールというのも優雅な身分だ。良き哉。

まだ蝉は鳴かないながらも、記した雑記の内容に違わず、風情はすっかりと夏だった。
雲がわずかに残るばかりの晴天。
窓からさしこむ陽射しは中天を過ぎて西に傾き始めている。これからまだもう少しの時間、暑さは増していくだろう。
空の水色が心持ち薄く感じるのは、やはり東京ならではだろうか。
見違えるほどに濃い、純度の高い青を見てしまった今では、いささか物足りなく感じてしまわなくもない。
北の大地の果てで見た、2月の朝の青は、フィルムのように脳裏の情景に刻み込まれている。
多分生涯、忘れることは出来ないのだろうと思う。

――アボガドパワーズに居残っていたリーフ組は、『とびでばいん』発売と同時に各地へと散った。
いや、正確には同時ではないか。人手が必要な、開かない箱の発送を終えた、その直後だ。
男気あふれる浦氏にも、クールながら情に厚い小池嬢にも、俺たちに気兼ねなく話しかけてくれた大槻氏をはじめ、
あそこの方々には本当に世話になった。……なったからこそ、いつまでもぬるま湯に浸かることは出来なかったのだけど。

351 :時限爆弾。:2001/07/11(水) 13:57

まあともかく激動の数ヶ月は終わって、それぞれがそれぞれの道を歩みだしているというわけだ。
高橋さん水無月さんは大阪へ。俺と原田は東京へ。閂は――サークルメンバーの所に転がり込んだとか聞いた。
今はどうしているのだろう。まあ彼のことだ、鬱だろうが躁だろうがなんとか元気にやっているか。
小さくも地道な最初の一歩を、踏み出したことにまず価値があるのだから。

そしてみゃくささんと松岡さんはあえてリーフに戻っている。
誰彼を迎え、100円で商品が投げ売られ、AAまでもが貼られたあの会社がどうなっていくのかに興味はあるが、
それを間近に見届けるのは彼らの役目だろう。

俺の選んだ選択肢は違う。
あくまで事実の外に位置することを選んだ俺は、完全中立(とも行かないか、あれを公開された以上は)の立場にある。
事態の傍観者。狂言回し。見えたことのみを語る、ミステリで云う一人称の語り手。とでも例えるのからしいかもしれない。
俺の更に外側から逃げだとか裏切りだとか勝手に称することは簡単だが、まあものの見方は人それぞれということだ。

俺は気の向くまま、夏の温い風の向くままに飄々と生きる、それを通してやろうじゃないかと思うのだ。
そんな風に日々を過ごす奴が独りぐらいいてもいいだろう。
だからこそ、悠々自適な部外者だからこそ、できることというのもあるのだ。

そう――例えばそれは、あのときから消えたあの男に、おお帰ってきたかこの野郎と云ってやることだったり。
おそらく居場所を無くした行方知れずの彼と、また酒を飲んでやる相手になることだったり。

「だから早く戻ってきやがれ中尾」

早口で呟いて、俺はまた窓の外を見上げる。
建物の隙間から見える切り取られた青は、薄いながらに良い色だった。

352 :時限爆弾。:2001/07/11(水) 14:01
明日にも梅雨明けしそうなのでこりゃネタが腐るとばかりに
陣内氏編を勝手にアプしてみました。
予想以上に長い。

……そして鍵編の後編(予定)が書きながら脳内にできてしまっていたり。
次回(あるのか)へ続け。スイマセン。

353 :名無しさんだよもん:2001/07/11(水) 14:30
新作ラッシュだねage

354 :名無しさんだよもん:2001/07/11(水) 19:56
つうかこみパ再延期だぞ。

355 :名無しさんだよもん:2001/07/11(水) 20:05
8月9日、こみパvsAirのDC決戦か

356 :名無しさんだよもん:2001/07/11(水) 20:20
最初は こみパvsKanonで対決再来、とか言ってたのにねえ(笑)

357 :名無しさんだよもん:2001/07/11(水) 20:50
独白で綴る書き方ってのも、新鮮で面白いね。

358 :おのれ荒らしめ(^^:2001/07/11(水) 21:14
ぐぁっ!!
状況は不利だ!!
加勢してくれ!!

359 :頂点 1:2001/07/11(水) 23:08
7月初旬某日、池袋。

Trrrrrr…
開発室に、電話が鳴り響く。

「はい、リーフ東京開発室……」
鷲見が電話をとる。
「俺や。鷲見か?」
「はい、鷲見です……社長、いかがしました? 御自ら電話とは珍しい」
「ああ……開発の方、どうなっとる?」
「え、ええ。順調ですが……まあ、もう少し時間をいただければ嬉しいですがね」
鷲見は、冗談めかして言う。
もちろん、これ以上時間が延びないことは承知しているし、それを前提で開発を進めているわけだが。
しかし、下川の返した返事は、予想外のものだった。
「じゃあ……2週延ばすわ」
「え、社長。ご冗談を」
「いや、延ばす」
下川の口調は本気そのものだった。
鷲見も、一度姿勢を正し、厳かな声で聞き返す。
「では……発売日も2週後に?」
「そや」
カレンダーに目をむける。
8月9日。
搬入日だな、とふと思ってしまうのは同人屋の悲しい性か。
「承知しました」
「そか……延ばしたんや、万全にせえよ」
鷲見は、ふと気がつく。
今日の下川の口調が、どことなく穏やかなことを。
これまでの折衝ではほとんど見せたことのないほどに−
「しかし社長、何故今になって?」
「そうやな……俺は、頂点を見ときたかったんや」
「頂点?」
「まあ、しっかり頼むで」
それだけ告げて、電話は切れた。

360 :頂点 2:2001/07/11(水) 23:08
「延期!?」
「ホント?」
「本当ですか?」
「Charmさん、冗談きついんだから」
電話の後、鷲見は東京開発室メンバーを集めて延期を伝える。
反応は、ほぼ予期した通り。
「社長は真剣だ。2週延期、間違いない」
「しかし、何故?」
「『頂点を見たい』のだそうだ」
「「?」」
開発室全員の頭の上に「?」マークがつく。
そんな中、鷲見が口を開く。
「まあ、あの男の考えも分からんではない」
全員、鷲見をほうを向く。
目が続きを催促している。
「8月9日、もともと何があるか知ってるよな」
「は〜い。コミケの前日〜!」
答えたのはみつみ。
「……典型的同人屋の答えですね」
「ふみゅ〜ん」
「まあ、俺も最初はそう考えましたから」
鷲見はそう言って笑う。
「もう一つある」
「……DC版AIR、発売日」
「あたり」

361 :頂点 3:2001/07/11(水) 23:09
「しかし、何故そんな日に発売日を?」
「そんな日だから、だ」
鷲見はそう言って続ける。
「ここにいる何人かは特に良く分かると思うのだが……人間ってのは、どんなジャンルにせよ頂点を極めてみたいと思っている」
みつみや甘露が特にうなづく。
「しかも、極めたなら極めたで、極めたというその証拠が欲しい。頂上にいることができる時間なんてごくわずか、後は滑り落ちるのみ−−」
「ということは、下川さんは……」
「その衰える時を知って、最後、まだ頂上からは落ちきらないうちに、頂点にいた思い出を残そうということだろうな。AIRに……いやKeyに勝つことでな」
それだけ言うと、鷲見は口をつぐむ。
誰ももう語らない。

長い沈黙の後、鷲見はまた口を開く。
「だがな。今のはあの男の思惑だ。俺たちには関係ない。この作品を最高の作品にすること−−それだけが俺たちの仕事だ。そうだろう?」
「「はい!」」
答える声は、リーフ東京開発室に力強く響いた。

362 :名無しさんだよもん@そうだ有明行こう:2001/07/11(水) 23:10
>>359-361
前回(>>338-342)の続きです。今回は新鮮なうちに、再々延期ネタ。
しかし、まさか再々延期とは……びっくりです。
(再々延期前に前回の話投稿しといてよかったなあ、などと、邪な感想も抱いてしまいましたが)

363 :名無しさんだよもん:2001/07/11(水) 23:29
ここで初めて再々延期知りました(笑)
数週後のファミ通が楽しみですわ。

良作ageしたいとこですが、ちと長いのでsage。

364 :331:2001/07/12(木) 00:49
野心持っているCHARM(鷲見)氏に乾杯。
なんか急にCHARMの出番が多くなってうれしい限りです。

これからの展開に期待です。
で、上げ

365 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 00:53
最近全然原画を描いてないのになんでだろ。

366 :ジャヴァス:2001/07/12(木) 00:59
365>
社長の仕事が忙しいんじゃないの?

327>
俺は松岡

367 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:29
 空に君臨し、人々を押し潰さんばかりに圧迫する暴慢な太陽も夕刻にはようやくその圧力を緩め、
地平線上に活動の残滓を残すばかりとなる。暴君の圧政から解放された人々は自由な一時を謳歌
するように街へ繰り出し始めていた。だが、太陽が姿を消しても解放されず、職場に囚われたまま
の虜囚達に外に出る権利は、ない。

「お先に失礼しま〜す」
「でしゅでしゅ」
 keyの開発室に明るい声が響く。しのり〜とみらくる☆みきぽんは自分のタイム・カードを機械に
挿入し、退社時間を記録した。
「じゃぁ麻枝君、ちゃんと遅刻した分だけ残業するのよ」
「するんでしゅよ」
 机に張り付き、ディスプレイを眺めながらキーボードを叩きつづける麻枝准に、二人はそう呼びか
けた。麻枝は椅子に座ったまま、腹立たしそうに二人を見遣り、吐き捨てるように応える。
「はいはい、分かってますよ。お仕事サボったツケはちゃんと支払いますよ。二人ともお疲れさん。
また明日な」
「明日は遅刻しないようにね」
「したらダメでしゅよ」
 そんな言葉を残して、二人は退出した。これで麻枝を除いて皆、今日の職務を終えたことになる。
 紅色の夕陽が窓から差し込み、開発室を染め上げる。所狭しと置かれたPCとそれらを連結する
ネットワーク・ケーブルが織り成す無機質な開発室だが、夕陽の紅とのコントラストが奇妙に
叙情的な景観を成していた。麻枝は黙々と独りディスプレイに向かい、作業を進めている。
「結局最後まで残ってるのはいつも俺かよ……まぁ来るのが一番遅かったから文句言えないか」
 キーボードを叩きながら、独り呟いた。企画・脚本・音楽の三足のわらじをはく麻枝の抱える仕事
は必然的に大量なものになる。余暇を楽しむことに興味の無い麻枝にとっては取り立てて過酷な
環境でもなかったが、それが楽しいばかりの仕事でもないことは確かだった。

368 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:29
 未練がましく地平線に張り付いていた太陽も既に姿を消し、空には右半身を切り取られた月が
輝いていた。自然の光を失えば、視界を保証するのは蛍光灯の光だけだ。
 麻枝はようやく作業に一区切りを付け、PCの電源を落とした。椅子から立ち上がり、大きく背伸び
をする。夕食には丁度いい時間だった。
 扉を開け、廊下へと出る。ジーンズのポケットから鍵入れを取り出し、その一つを鍵穴に挿入し、
施錠した。

「麻枝君、仕事終わった?」
「おわっ」
 背後から突然呼びかけられ、麻枝は反射的に叫んでいた。瞬間的に激しくなった動悸を抑えながら、
振り返る。
「なんだ、いたるか……どうしたんだ? 忘れ物でもしたのか?」
 樋上いたるは首を振り、麻枝の言葉を否定する。
「そうじゃないんだけど。ところで、麻枝君は今日も家に帰らないの?」
「あぁ、面倒くさいしな。今から夕飯を買いに行くところだ」
「またコンビニのお弁当?」
「まだ全てのメニューを食い尽くしていないからな。新しいのが発売されてるかもしれないし」
「ねぇ麻枝君。そんな食事ばっかりだと体壊すよ。もうちょっと食べ物にも気を遣わないと」
 心配そうに言ういたるを見て、麻枝は頭をぼりぼりと掻く。
「でもいいもん食う金もないしなぁ……自炊するのも何だかなぁ」
「だったら、私が作るよ。それならいいでしょ?」
「はい?」
 突然の提案に驚きを隠せない麻枝の目の前で、いたるは笑顔で両手をぽんと合わせる。
「私もお金あんまり持ってないし、ご馳走はできないけど、コンビニのお弁当よりは体にいいと思うよ」
「う〜む、でもわざわざお前にそんなことをしてもらうのは申し訳が立たないな」
「そんな遠慮しなくってもいいから。こんな食生活ばっかりしてると、いつか倒れちゃうよ」
「確かにそれもそうだな。よし、お願いするか」
「うん、じゃあ私の家に行こう」
 そう言って、いたるは麻枝の手を引いて歩き出した。

369 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:30
「……で、結局作るのは俺なのかっ!」
「ごめんなさい……」
 いたるの自宅の台所で、麻枝はボールの中の卵をかき混ぜていた。目の前のガスコンロの上には無惨に
も焦げ付いた鍋が煙を立てている。まな板にはでたらめな形状をした人参の切れ端が転がっていた。
さっきまでいたるが着ていたエプロンを代わりに身に付けた麻枝は愚痴っぽく呟く。
「ったく、料理できないんだったら最初っからそう言えよな」
「でも、それだと麻枝君が……」
 卵をかき混ぜ終えた麻枝は次に野菜を切り刻んでいる。手際よく包丁を動かしながら、いたるに言った。
「俺に料理作って欲しいんだったら、まわりくどいことせずにはっきり言えばいいんだよ」
「それだと意味無いよ……」
「訳の分からんことを言う奴だな、お前も。料理なんてもんは、作れる奴が作ればいいんだよ。下手に
料理なんかして、手に怪我でもしたら大変だろうが」
 火を掛けて油をなじませた鍋に下ごしらえを済ませた野菜を放り込む。
「お前、卵焼きは甘いのと辛いの、どっちがいい?」
 居場所がないように立ちつくしているいたるに背を向けたまま、麻枝は質問する。
「え? 甘い方がいいかな」
「そうか」
 計量カップを取り、しょう油とだし汁の分量を調整する。
「甘口にしたいからって、砂糖をドカドカ入れるのは良くないんだ。くどくなりすぎるからな。
しょう油とだし汁とのバランスで味を整える。卵そのものの甘さを引き出すのが大事だ」
「そうなんだ」
「卵とだし汁の比率は一対一がベストと言われているが、それだと焼くのが難しくなるから初めの
うちはだし汁は少なめにした方がいいぞ」
 話しながらも、淀みなく手は動いていた。卵焼き器に卵液を流し込み、焼けた頃合いを見計らって
くるくると巻いていく。
「すごい……」
 手際よく料理を作る麻枝の背中を、いたるは殆んど放心して眺めていた。

370 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:30
 テーブルの上には麻枝が作った料理が所狭しと並んでいた。和食を基調としたその取り合わせは
地味ではあるが決して彩りに欠けている訳ではない。むしろ派手に過ぎない色彩で統一された食卓
は見る者の心を落ち着かせた。
「ほら、さっさと座って冷めない内に食え」
 焼き上げた卵焼きを皿に盛り付けながら、麻枝はいたるに言う。それを聞いたいたるは椅子に座
って麻枝を待った。麻枝も食卓につき、料理の前で手を合わせる。
「それじゃ、いただきます」
「……いただきます」
 いたるは遠慮がちに卵焼きを箸で取り、口に運ぶ。テストの結果を待つ子供のように、麻枝はじっと
その様子を見詰めていた。卵焼きを口に含んだいたるは左手を口元に置き、黙り込んでいる。
「……どうした?」
 麻枝の心が不安で揺れる。卵焼きを飲み込んだいたるは唖然としたように麻枝を見た。
「すごくおいしい……どうやったらこんなの作れるの?」
「わはは、そうだろう。何せこの俺が作ったものだからな」
 安堵に肩の力の抜けた麻枝は、それを悟られないように努めて胸を張り応える。
「でも、こんなに麻枝君が料理が上手だなんて知らなかったな。すごいよね」
 感心しきった口調のいたるから麻枝は目線を反らす。天井を向きながら、答えた。
「料理はガキの頃から毎日作っていたからな。自然に上手くもなるさ」
「自分でご飯作ってたの?」
「あぁ、親が仕事忙しくって家に余りいなかったから、家事全般は俺の担当だった。
掃除、洗濯もお手のものだ。裁縫もかなりのものだぞ。手編みのセーターくらいなら縫える」

371 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:31
「本当?」
「流石に最近はそんな事しないけどな。でも専業主夫コンテストが主催されれば、上位に
入賞できる自信はあるぞ。マイホーム准と呼んでくれ」
「……でも、それだったら自炊したらいいじゃない? どうしていつも外食なの?」
 不思議に思い、いたるは聞いた。確かにおかしな話だった。自炊する方が遥かに効率がいい
のは誰にでも分かる事だ。麻枝は一瞬考え込んだが、さっきと同じ口調ですぐに答えた。
「自分で自分の食べる分だけの食事を作るのって、気が滅入るんだよ。いくら手間と暇を掛けて
美味しい料理を作っても、それを食べるのは俺だから、嬉しくも何ともない」
「そんなものなのかな?」
「人それぞれだと思うけどな。俺の場合は必要に迫られて身に付けたものだったから、料理
が楽しい訳じゃない。金が掛かって、不味くって、体に悪いのは分かってるんだけどな。
でも他人が俺のために作ってくれる料理の方が何となく嬉しい」
 その言葉を聞いたいたるは俯いて、黙り込んでしまった。唐突な沈黙が空間を支配する。
「どうした?」
 怪訝に思った麻枝は下を向いたままのいたるに声を掛ける。目線をテーブルに落としたまま、
いたるは応えた。
「変なこと聞いちゃったかな? 私」
「ん? 別にどうってこともないぞ。単なる事実だしな。それに、料理できないよりは、できる
方がいいに決まっている」
「確かにそうだけど……」

372 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:31
 申し訳なさそうに俯くいたるを麻枝は不思議に思った。機嫌を悪くしているように見える。
 理由が分からない事が、麻枝の疑念に拍車を掛けた。
「うーん、でもこの料理の腕を活かさないのは重大な損失かもしれないな。そうだいたる。
お前の昼飯を俺に作らせてくれないか?」
 フォローのつもりで、そう言う。
「え?」
 驚いた表情で、ようやく顔を上げた。
「どうせいつも外食なんだろ。俺が代わりに弁当を作ってきてやる。値段も特別優待価格だ」
「でも、それだと麻枝君が大変でしょう?」
「いや、全然構わないんだ。実は最近寝過ごすことが多くってな。弁当作るためには早起きしなきゃ
いけないから、自然と寝坊しなくなるだろ? それに寝坊して困るのが俺だけじゃなくなるから、
緊張感を持続できる」
「でもさっき、麻枝君料理するの好きじゃないって……」
「人の食べる分を作るのは好きだぞ。何と言うか、張り合いが出る。頑張って美味しい物を作ろう、
って気になるんだ」
 麻枝は実際嬉しそうに、そう言う。いたるはしばらくの間考え込んでいたが、やがて遠慮がち
に答えた。
「じゃあ、お願いしようかな」
「よし、契約成立だ。明日は無理だけど、あさってからは作ってくるぞ。食べたい物があったら、
遠慮なくリクエストしてくれ」
「……うん」
「あ、そうだ。これだけは守って欲しい事がある」
「え、何?」
 麻枝の表情が急に真剣なものに変わる。
「弁当を俺が作った、ってことを誰にも言わないでくれ。特にしのり〜とみきぽんには何があっても
絶対に他言無用だ」
「どうして?」
 何故そんな事を言うのか、いたるにはその意味が分からなかった。

373 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:32
「メタクソに馬鹿にされるからだ。特にしのり〜はやばい。危険すぎる。さらに、確実に二人の分も
作らされることになるだろう。そうなってしまったら折戸さん達男スタッフにも作らないと不公平にな
ってしまう。嫌だぞ、keyの給食当番になるのは」
 もしそんなことになってしまったら悲惨である。

 次回作のスタッフ・ロールは企画・脚本ではなく『ご飯係:麻枝准』とクレジットされたり、
 他社の人に名刺を渡す時に「keyの飯炊き兄さんをやっている麻枝と申します。よろしければ
そちらでも一度お試しになりませんか?」と自己紹介したり、
 『今明かされる幻のメニュー! keyの食卓へようこそ』などというタイトルのレシピ集を
執筆し、コミック・マーケットでいたるのサークルに委託販売してもらったりするのだろう。

 それはいくらなんでも悲しすぎた。
 給食当番になるのはシナリオ・ライターをクビになってからでいい。
「だから、絶対にばらさないでくれ。もし、しのり〜達に聞かれたら『自分で作った』と答えて
おけ」
「うん、分かった」
「頼んだぞ」

374 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:32
 夕食を終えた麻枝はいたるの部屋の座布団に腰を下ろして、天井をぼうっと眺めていた。備え付け
られた蛍光灯から発せられる白い光が網膜を刺激する。目を閉じると台所から水洗いの音が聞こえて
きた。いたるが食器を洗っている音だ。後片付けをしようとしたのだが、そこまでさせるのは悪い、
といたるが制したために麻枝は無為を持て余していた。
(……落ち着かない、そうだ家捜しでもしよう)
 カーペットに這いつくばり、ベッドの下に手を差し入れる。隙間が狭いため、肘までしか入らなか
った。肘を軸にして腕を動かして手探りで探索する。
「ちょっと麻枝君、何やってるの!」
 頭上から怒鳴り声が響いた。這いつくばり、腕を差し入れた体勢のまま麻枝は言葉を返す。
「いや、食べ残しのお菓子とか謎の木の実とか入ってないかな、って思って」
「私はリスじゃないよっ! 早くほら、出て!」
 いたるに肩を掴まれ、強引に引っ張り出された。呆れ果てた様子でいたるはため息をつく。
「どうして、私の家に来る人は部屋を漁りたがるのかなぁ……」
 麻枝は悪びれた様子もなく、胸についた糸くずを手で払っている。
「ほら、コーヒー煎れたから、テーブルに戻ろうよ」
 そう言いながら手を引っ張って、麻枝をテーブルに連れて行った。

375 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:33
 綺麗に後片付けされたテーブルの上に置かれたコーヒー・カップから湯気が立ち昇っている。
カップを口元に運び、麻枝は黒色の液体を口につけた。コーヒー特有の苦味が味蕾を刺激する。
飲んだばかりのコーヒーの温かさが胃の辺りでぼんやりと漂っていた。
「こういう風にのんびりするのも、たまにはいいもんだな」
 呟くような麻枝の言葉に、いたるも同意する。
「ずっと働き詰めだったもんね。急に移植の話も出たし」
「あれで結構スケジュールが狂ったな。まぁ元々うちのスケジュールなんて、あってないような
ものだけどな」
「これからはちゃんと管理の面も考えていかないと駄目だよね。もう昔とは違うんだから」
「あぁ、急に大きくなりすぎた所があるからな。今までと同じやり方では無理だろう」
「色々考えていかないといけないよね……」
 そこで言葉を区切ったいたるに、麻枝も言葉は返さなかった。台所の蛇口から滴り落ちる水滴と
規則正しい時計の針の音だけが部屋に響く。二人は静かにこれからのことを考えていた。

376 :七月の静穏 2:2001/07/12(木) 01:33
 コーヒーはもう冷め始めていて、湯気も立ってはいない。麻枝は残りのコーヒーを一気に飲み干
し、空っぽになったコーヒー・カップをソーサーの上に置いた。
「なぁ、いたる」
 ぽつりと語り掛けられた麻枝の言葉が、いたるを何故か不安にさせた。
「何?」
「お前は、俺のところからいなくなったりしないよな」
(……って、一体何を言ってるんだ、俺はっ!)
 とんでもなく不適切な発言をしてしまったように思え、麻枝は顔を真っ赤にした。
「わ、悪い。変なこと言っちまった。忘れてくれ」
 いたたまれなくなり、椅子から立ち上がった。助けを求めるかのように、時計を見る。
「も、もう遅いから帰るよ。明日も早いしな」
 そのまま逃げるように玄関へと向かう。靴を履き、扉を開けようとした麻枝の背中から声がした。
「麻枝君、おかしなこと言ってるよ」
 その言葉にむっとした麻枝は振り返って言い返そうとする。
「だからさっき言っただろっ。変な事言っちまった、って……」
 言い返そうとして、途中で言葉に詰まった。振り返ったそこには、真剣な面持ちで麻枝を見詰め、
いたるが立っていた。
「あの時約束したのは麻枝君の方だよ。ずっと一緒にいるって、そう約束したのは」
 そう言って、いたるは微笑んだ。それを聞いた麻枝も笑顔で言い返す。
「あぁ、そうだ。そうだったな」
「うん、そうだよ」
 麻枝は再びいたるに背中を向け、扉を開け直す。蒸し暑い外気が玄関口に流れ込んだ。
 べたついた空気が肌にへばりつく。外気に身を晒し、麻枝はドアノブを握ったまま、言う。
「じゃ、また明日。おやすみ」
「おやすみなさい」
 それを聞き終えると、麻枝は静かに扉を閉じた。

377 :n.n.t.-G:2001/07/12(木) 01:37
日常ネタ第二弾です。趣味に走りすぎて、長くなってしまいました。ゴメンナサイ。
つぅか、さっさと海に行った男の話の続きを書け、俺。

378 :名無しさんだよもん@そうだ有明行こう:2001/07/12(木) 01:50
>>377
今回も楽しく読まさせてもらいました。
二人のやり取り、なんか浩平と瑞佳みたいでほほえましいですね。
続きも楽しみにしてます。

379 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 02:05
自分的にはこの二人はあくまでプラトニックな友情なのが(・∀・)イイ! 気がする。

380 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 02:22
(・∀・)イイ!!

381 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 07:37
>>377
『ご飯係:麻枝准』で
口に含んだコンビニ弁当をモニターに噴射させてしまったではないか(W
楽しすぎるぞコレ。

382 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 07:52
良作だage!

383 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 17:11
良いな……浩平×瑞佳的で……
脳内でいたるちんの顔グラが7年後の瑞佳になってしまったよ(w

384 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 19:40
いたるちんの顔が7年後の瑞佳のグラフィックに!?(w

385 :名無しさんだよもん:2001/07/12(木) 20:39
DCAir延期だって。8/30に。

386 :名無しさんだよもん:2001/07/14(土) 02:28
>>385
また延期になったらしい。
今度は9月13日。

387 :名無しさんだよもん:2001/07/14(土) 02:48
age

388 :名無しさんだよもん:2001/07/14(土) 02:49
sage

389 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:12
(空が近いな、ここは)
 吸い込まれそうな夜空を天の川が流れる。澄んだ空気の下では星空はこれほどにまで綺麗
なものであることを、折戸はここに来て初めて知った。久弥を追ってこの海辺の田舎町へ
やってきてから、もう一週間になる。久弥を連れ戻すために連日説得を試みていたが、久弥
は首を縦に振らなかった。その態度は頑なで、まるで復帰することを恐れているかのよう
だった。

「もう、終わったことです」
 淡々と呟かれた久弥の言葉を、折戸は信じていなかった。折戸と久弥の付き合いはかなり
古い。Tacticsに就職し、麻枝達と出会うより前から二人には交流があった。昔の久弥を知る
者にとって、今の状況は明らかに不自然だった。久弥は本質的には非常に勝気である。
他人の下風に立つことを嫌い、自分の信念を徹底して貫く強固な自我の持ち主だ。
 今、麻枝にkeyを任せ自らは消えようとするなど考えられない行為だった。成功する可能性が
ある限りそれを追い続け、シナリオ・ライターとして作品を創り続けるはずである。
例えkeyにいられなくなっても、筆を折ることはないだろう。どん底から這い上がろうとする男だ、
折戸はそう信じている。

 夜の砂浜は静かで、繰り返し打ち寄せる波の音だけが折戸の耳に届く。折戸も、折戸の目の前
に立つ久弥も言葉を発することなく波の音に耳をそばだてていた。
(これが、最後のチャンスだ。今日久弥を説得できなければ、もう諦めよう)
 そう、折戸は決意を固めた。

390 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:13
「明日帰るつもりだ。流石にこれ以上仕事を放っておく訳にもいかないしな」
「そうですよ、一週間もこんなところでぶらぶらして。皆、絶対心配してますよ」
(お前のことは心配じゃないのかよ)
 折戸は内心毒づいた。だがそれは自分に対して向けた罵りの言葉でもある。一度は自分も久弥を
切り捨てようとしたからだ。今こうして久弥を連れ戻そうとしているのは、その罪悪感から逃れ
たいがためではない、とは決して言い切れないからだ。
「明日には俺は大阪に戻る。お前にもう会うこともない。お前がいなくなってしばらくの間は
色々騒ぐ奴らがいるかもしれないが、浮き沈みの激しい世界だ。すぐにお前の名前も出てこなく
なるだろうよ」
「……そうでしょうね」
 俯いて応える久弥に、折戸は叩き付けるように言葉をぶつける。
「俺はな、お前と一緒に仕事ができて本当に良かったと思ってるよ。確かにムチャクチャな発注も
してくれたがな。それでもお前の書くシナリオに俺の音楽を乗せられたことを誇りに思っている」
「僕も、折戸さんには感謝しています」
 打ち寄せる波の音がひときわ大きくなったような気がした。
「俺は音楽屋だから、シナリオも企画も分からない。だがな、お前のシナリオの凄さくらいは理解
できるつもりだ。お前がいなかったら、keyなんてとっくに潰れていたはずだ。麻枝だってそれは
絶対に分かっている。『AIR』は初めて麻枝がお前抜きで作った作品だったが、お前の力が要らなく
なった訳じゃない。あいつはな、怖かったんだよ。お前がいなければ何もできない、と思われるの
がな」
 そこまで一気に言うと、折戸は天を仰いだ。左半身だけの月が温もりの無い光を夜空に放つ。
宝石のような星をちりばめた空の中で、月は音も無く寂しそうに輝いていた。

391 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:19
「麻枝は立派にやり遂げたじゃないですか。僕がいなくっても、もう大丈夫ですよ」
 何度も聞かされた言葉だ。その言葉に秘められた思いは痛切なまでに理解できる。理解できる
からこそ、折戸は憤りを抱かずにはいられなかった。
「お前はそうやって自分を卑下しているつもりなんだろうがな、本当は逃げてるんだよ」
「僕が……逃げてるって言うんですか」
 久弥は顔をわずかにしかめ、折戸を鋭い視線で見据えた。折戸はそれを真正面で受け止め、
逆に強く睨み返す。
「そうだよ、お前は逃げ出したんだ。麻枝からな」
 久弥の視線がさらに鋭くなる。折戸はひるむことなく言葉を続けた。
「もっとはっきり言ってやろうか。お前は麻枝に嫉妬していたんだ。そして麻枝から離れれば嫉妬
で自己嫌悪に陥ることもない、って思ったんだよ」
「……僕は麻枝達の助けになりたかっただけだったんだ。本当にただ、それだけだったんだ」
「そうやって献身的に尽くしていれば、いつかいたるが振り向いてくれるとでも思っていたのか?」
「彼女は関係ない!」
 久弥の叫びが夏の生ぬるい空気を切り裂いた。折戸はそれを聞くと嘲るような笑みを浮かべる。
「ずっと不思議に思っていたんだよ。お前がいつも優等生面しているのをな。あの女に牙抜かれた
のか? 『麻枝君の助けになってあげてね』とでもお願いされたのか?」

392 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:19
「違うっ!」
「麻枝もおかしな奴だよ。何だってあの女にいつまでも拘るんだ? お前ら二人揃って、いたる
にたらし込まれたのか? 虫も殺せないような顔して、大した女だよな。稀代のシナリオ・ライ
ター二人をくわえ込んじまったんだからな」
「黙れ!」
「お前はそうやっていたるをかばうがな、無駄だよ。前にも言っただろ? 麻枝といたるは今じゃ
元の鞘だってな。お前の思いなんて、絶対に届きはしないんだよ。あいつらはお前のことなんか、
すっかり忘れちまってるんだからな。世界は二人のために、ってやつだ。想像してみろよ、俺達が
こうしている時に、あいつらが一体何やってるかを。麻枝の上に乗っかって、自分から腰振ってる
かもな。『うぐぅ』って泣き声上げながらな!」
「黙れと言ってるだろうが!!」
 久弥の両腕が伸び、折戸の胸倉を掴んだ。そのまま乱暴に引き寄せ、吊り上げる。腕を交差させ、
服の生地で喉を締め上げた。折戸の首に血管が苦しそうに浮かび上がり、血の気が引いていく。

393 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:20
「どうした? 何をためらっているんだ?」
 締め上げられ、気道を半ば塞がれた苦しい息の中、折戸は口を動かす。怒りに震える久弥の両腕
から力が抜けていくのが次第に容易になっていく呼吸で分かった。折戸は胸倉を掴んでいる久弥
の手を強引に引き剥がす。抵抗せず、引き剥がされた両腕を力無く下げた久弥を苛立たしげに睨んだ。
「お前がその気になれば、二分で俺を半殺しにできるだろうが。惚れた女を侮辱されて、お前は
黙っているような男だったのか?」
 頭を垂れたまま、久弥は言い返さない。その有様に折戸は激昂した。
「この、腑抜け野郎がっ!」
 拳を握り締め、思い切り久弥の頬げたを殴り飛ばす。久弥はそれをかわそうともせず、真正面から
折戸の拳を受けた。大きく体勢を崩し、砂浜に仰向けに倒れこんだ久弥を折戸は見下ろす。口元から
流れる血を拭いもせずに、久弥は上半身だけを起こした。
「折戸さん……彼女はそんな人じゃないです。それだけは、本当です」
 切れた唇から途切れ途切れに言葉を洩らす。海から吹く生暖かい風が潮の匂いを乗せ、久弥の顔を
撫でた。
「……分かってるよ。あいつが本当に俺の言うような女だったら、お前がここまでするはずないからな」
 潮風を背中で感じながら、折戸は言った。腰を下ろし、久弥と視線を同じくする。
「なぁ、久弥。お前はもっと自分勝手になっていい。もっと無茶苦茶やってみろ。いい加減優等生の
皮被るのは止めろ。もう麻枝に遠慮することも、いたるに気を遣う必要もないんだからな」
「そんなことができると思いますか? 僕は麻枝とは違うんだ」
「できるさ。お前は自分で気がついていないだけだ。麻枝やいたるがいなくっても、お前の才能は
通用する。お前は月じゃない。自分で輝けるんだよ」

394 :名無しさんだよもん:2001/07/16(月) 17:20
久しぶりの続きだぁ。有難うございます。
速く続きが読みたいんだよもん。頑張って下さい応援してます。>書き手の方々

395 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:23
「それにな、久弥。お前が復帰することは麻枝にとっても必要なことなんだ」
「え?」
 理解できない様子で久弥は顔を上げる。今の自分が復帰しても、麻枝達の助けになることはもう
絶対にない、と思っていたからだ。
「今keyに対抗できるブランドはどこにもない。麻枝は業界の頂点に立っているんだ。今の麻枝には
追いつくべき目標も、追い越さなければならない相手もいない。追われる立場なんだ、あいつは」
「確かに、そうでしょうね」
「その世界のトップに立つ人間に掛かるプレッシャーは並大抵のものじゃない。成功して当たり前、
失敗したら今まで築き上げてきたものを全て否定される。どうしても守りに入ってしまうんだ。
麻枝が守りに入って、力を出し切れると思うか?」
「絶対無理です。向いてません」
 久弥は即座に答えた。折戸も頷き、言葉を続ける。
「麻枝は乗り越える目標があってこそ、力を発揮できるタイプだ。だがもう今はその目標がない。
だから麻枝と拮抗した存在が必要なんだ。keyに対抗できる人間がいれば、麻枝はそれに打ち勝つ、
という目標が持てる」
「僕にその目標になれ、と言うんですか?」
 久弥は立ち上がり、尻についた砂を払いながら言う。力強く頷く折戸の姿を雲の隙間から姿を見せた
月の光が照らした。口元にこびりついた血を拭い取りながら、久弥は折戸に言う。
「できると……思いますか? この、僕に」
「あぁ、できるさ。昔を思い出せ。あの頃に戻ったと思えばいいんだ」
「……しばらく考えさせて下さい。今はまだ、どうすればいいのか分からない」
 久弥の言葉に、折戸は微笑んで応えた。
「あぁ、慌てて結論を出すことはないさ。自分のことは自分で決めるもんだからな。ゆっくり考えろ」

396 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:23
 折戸にはもう何も言うことはなかった。伝えたいことは全て伝えたつもりだ。例え久弥が戻らなく
とも、最早悔いはなかった。だが、一つだけやらなければならないことが残っていた。
「おい久弥。俺を殴れ」
 久弥のいる方向へ振り向き、言う。久弥は折戸が何を言っているのか分からない様子で立ち尽くして
いた。
「さっきのお返しだ。俺の方から喧嘩売っておいて、俺だけ殴りっぱなしってのは不公平だ。だから
一発、俺を殴れ」
「いいですよ、そんな」
「俺の気が済まない。だからほら、さっさとやれ」
 そう言って、折戸は久弥の目の前に自分の顔を突き出す。久弥は困惑した表情を隠し切れなかった。
躊躇する久弥に、折戸は苛立って声を荒げる。
「さっさとしてくれよ。俺は明日早いんだよ」
「え、えぇ……」
 恐る恐る左の拳を握り、折戸の頬げたへと拳を向ける。
「待ったぁっ!」
 折戸の鋭い叫びが空気を震わせた。久弥の左拳がぴたりと折戸の目の前で止まる。
「手加減無しだ。手を抜いたらもう一回やってもらうぞ。思いっきりやれ」
 折戸の言葉に久弥は呆れたようにため息をついた。久弥は大きく息を吐いて、今度は右の拳を堅く
握り締める。折戸はそれを見ると満足げに頷き、腰を入れて体勢を固めた。久弥の体がわずかに沈んだ
かと思うや否や、右腕がすさまじい疾さで折戸の顎めがめて突き上げられる。殆んど地面すれすれの
低位置から右拳が砂を巻いて振り上げられた。地面から突風が吹き上がってくるような錯覚を折戸が
覚えたその瞬間、久弥の右拳が折戸の顎を捕らえ、そのまま打ち抜く。骨と骨の激突する乾いた
音が砂浜に響いた。
 ありったけの打ち上げ花火を頭の中で爆発させたらこんな風になるのだろうか、そんなことを思い
ながら、折戸は自分の体が宙を舞っているのを感じた。
(お前……それ、やりすぎ……)
 火花の飛び散る頭の中で、それが折戸の覚えている最後の思考となった。

397 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:24
 青空の中心で太陽が貫くような光を放っている。刺々しいまでの陽光の圧力を頭上に感じながら、
折戸は駅前の商店街に立っていた。青黒いあざを浮かべた顎を手の平でさする。昨日殴られた顎の
腫れは未だに引かず、ずきずきと痛みが走った。
「ったく……手加減無しだと言っても程度があるだろう。まぁ、まだ本気じゃぁないんだろうが」
 独り呟くと、腕時計の盤面を見た。駅舎の壁に取り付けられた時刻表に記された時刻と腕時計
のそれとを見比べる。一日に数本しか出ない電車の発車時刻にまではあと数十分を残していた。

 潮風が吹いて、足元の砂埃が舞い上がる。夏の太陽から身を隠しもせずに折戸は立ち尽くした。
目の前の景色が蜃気楼のようにゆらめいて見える。自動車の排気音も人々の話し声もない真昼の
商店街にセミの鳴き声だけが絶え間なく響いていた。

398 :再起の夏:2001/07/16(月) 17:26
 もう一度腕時計の盤面を見る。さっき見た時よりも長針が半周ほど進んでいた。もうすぐ電車が
ホームに滑り込んでくるだろう。その電車に乗らなければ、大阪に戻ることはできない。
 折戸は周囲を見回した。商店街の風景は何ら変わるところのない閑散さを保ち続けている。人
の姿はどこにも見えなかった。
 小さくため息をついて、目を閉じた。そのまましばらく動こうとはしなかったが、やがて顔を
上げる。
「よし、行くか」
 自分に言い聞かせるようにそう言うと、折戸は改札口の方へと振り向いた。無人の改札を越え、
ホームで電車の到着を待とうとする。

 声が聞こえた気がした。折戸はばっと振り返り、その先を見る。
 人の姿などどこにも見えない商店街の風景は、夏の暑さでゆらゆらとゆらめき、はっきりと
した描像を結ばない。動くものの何も無い、時間の止まった風景の中、駆け寄ってくる人の姿
が逃げ水で歪められた視界の先に浮かぶ。捉えた映像は次第に大きくなり、やがてその詳細を
明確にする。表情が分かる程にまで折戸に近づいたその男の顔には、揺らぐ事の無い決意が
あった。今一度過酷の中にその身を投じ、己の全てを燃やし尽くすことを選んだ決意だった。
 その決意に向けて、再起を誓う久弥のその決意に向けて、折戸は短く激励の言葉を送る。
「行くぞ。長い間待たせやがって」
 暑い夏が始まった。

399 :n.n.t.-B:2001/07/16(月) 17:32
>>244-251,>>299-304,>>367-376,>>389-398は一応連続しています。
まとめて読むと趣があるかもしれません。しかし、よく繋がったなぁ。
日常ネタで勝負しろって言ってくれた方に感謝。

400 : :2001/07/16(月) 20:10
新作、あ、あ、あげえええええええええええっっっ!!!!
今度のは凄いぞ。

401 :名無しさんだよもん:2001/07/16(月) 20:17
nntさん最高っす。

402 :名無しさんだよもん:2001/07/16(月) 20:53
格好いい!!久弥&折戸のやり取りが渋い!
この後、折戸さんは久弥陣営に付いていっちゃうのか!?
現実の動きもないと続きは書きにくいだろうけど気になるな〜。

403 :名無しさんだよもん:2001/07/16(月) 22:40
現実の動きがないなら現状維持…じゃないかな。
nnt氏はリアルワールドの流れ重視のようだ。

しかし、ネタは待つ物じゃなくて作る物ってほんとだな。
最近は(・∀・)イイ!

404 :名無しさんだよもん:2001/07/17(火) 19:48
……n.n.t氏と結婚したい(;´д`)マジで。
なんて素敵な文章を書く人だ……

405 :名無しさんだよもん:2001/07/18(水) 11:35
>>404
待て、結婚するのは俺だ。
したい・・けっこん・・

406 :名無しさんだよもん:2001/07/18(水) 15:19
>>405
ならR氏は貰った!

407 :名無しさんだよもん:2001/07/18(水) 18:24
>>406
甘いな、一夫多妻(?)だ。 全ての優秀な職人は我が元へ!
やば・・・

408 :名無しさんだよもん:2001/07/19(木) 03:48

2000年5月にF&Cから Natural2 〜DUO〜 が出されました。
メインヒロイン二人の、それぞれ少女時代に
窓から落ちたときに主人公が助けた際、ついた「傷跡」が胸に
残っているのですが、それに対して「痕」という字を当てているんですよね。

当然ながら、あのリーフの佳作、「痕〜きずあと〜」の当て字から来ているわけですね。
(人によっては名作/傑作ですが)

わざわざ読み仮名の副題をつけているとおり、正規の日本語の読み方じゃないわけです。

音読みは コン、ゴン 訓読みは あと

であり、断じて「きずあと」とは読みません。

シナリオライター(宮村優氏か?)がその字を書き、
F&Cの多数のデバッガの目を潜り抜けて、
製品の中に紛れ込んでいるわけです。
(ちなみに、1箇所でなく数カ所ありますので、偶然ではありません)

Leafのチカラがこんなところにも現れているんだな、と思いました。

409 :名無しさんだよもん:2001/07/19(木) 04:45
スレ違いか?
それともネタにしろってことなのかな。よくわからん。

410 :とおりすがり:2001/07/19(木) 10:21
一通り見た

nnt氏 鍵サイド

R氏 葉サイド・北海道関連

その他 いろいろ

って感じですか?

411 :うぐぅ対応:2001/07/19(木) 16:56
sone

412 :名無しさんだよもん:2001/07/19(木) 17:36
>>408は千鶴スレへ書き込むつもりだったんじゃないのかな。

413 :トビア:2001/07/19(木) 19:30
葉の話がよみてー

414 :>408:2001/07/19(木) 20:51
すんません、ほんとは「小ネタですが…」などと
題をつけていたのですが、cgiにcookieで蹴られてしまいました。
その過程で名無しになったようです。

出典が古いし、葉鍵には遠い、F&Cのことですが、
使ってくれれば幸いです。

415 :名無しさんだよもん:2001/07/19(木) 21:21
うぐぅ

416 :とり:2001/07/21(土) 22:55
葉と鍵がなかなかリンクしねーなー。
やっぱ難しいか。nnt氏とR氏の合作チックなやつは

期待してんだけどね〜。
まあ、気長にってことであげ。

417 :アルマハダ:2001/07/23(月) 03:54
廃れた?

418 :名無しさんだよもん:2001/07/23(月) 04:31
ここはマターリ進行なので一週間新作無しとかよくあります。

419 :名無しさんだよもん:2001/07/25(水) 22:49
エロゲ板住人の俺は1ヶ月に1回ココを覗いてる。
そんなとき新作がアップされてると嬉しいもんだ。
もうそんな事をつづけて何ヶ月経ったものやら。

420 :名無しさんだよもん:2001/07/28(土) 06:07
 

421 :名無しさんだよもん:2001/07/30(月) 19:55
>>420
ありがとう420

422 :名無しさんだよもん:2001/07/30(月) 21:51
あぶなくdat逝きだったね…

423 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 00:06
復活した?
朝、見たらdatだったから焦ったよ・・・

424 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 00:07
スマソ
datだったから→datに逝く寸前で助かってたから

425 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 01:58
新作期待あげ。
なんかネタないかな。

426 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 02:16
うーん、鍵音楽プロジェクト始動とかどうよ?

あとはマクドネタで一本とか…かなりネタはある。
しかし夏コミの原稿が終わらないのだ。無念。

427 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 02:37
とりあえず発売待ちですかねえ…

428 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 02:58
Liaを登場させてもいいかもね。
麻枝とユニットを組んだみたいだし、いたるとの三角関係も面白いかも。
しかし彼女はKEY所属の歌い手なのか?ほかで見たこと無いし・・・

429 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 07:55
仮想戦記のしのり〜ってだーまえが好きなのか?
描写があった記憶はないが、だとしたら萌える。

430 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 08:38
>>428
いたるのもうひとつの名前がLia。

431 :名無しさんだよもん:2001/07/31(火) 13:41
>>430
その設定いいですね。
歌う原画家というと323ちゃん様みたいですが。

432 :名無しさんだよもん:2001/08/02(木) 05:36
(;´Д`)ハァハァ

433 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:20
リーフ本社
「ふぅ」
一一(にのまえはじめ)はいつものように仕事が来るときを待って自分のプログラムの
向上に勤しむ。
(最近は仕事が来ないのぅ)
そんな事を思っていた矢先

BRRRRRRRR
BRRRRRRRR
ビクッ

胸のポケットに入れていた携帯が震える。
そして相手の名前を見る…
その相手は

水無月 徹
070―×××―××××
と記されていた。

434 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:20
(徹から?一体何故)
一瞬取るかどうか迷ったが通話ボタンを押す。
「もしもし」
『おやびん?久しぶりです。水無月です』
「徹か、珍しいな。お前さんから電話とは…」
『まあ、会社に居た頃は電話するよりもずっと顔あわせてたし、なによりする理由が
なかったからな』
水無月はそう言うと一は
「で、何の用じゃ?まさか世間話するために掛けたのでもあるまい」
『まあ、そうですけど』
「で、何なんだ?」
一がそういうと水無月は
『コナミの件です』
「!!」
「……………………」
『……………………』
二人の通話に暫しの無言が時を占めた。

435 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:20
数秒が何分にも感じた空間を裂くように一は振り絞って言葉は出す。
「【蜂】の件か?」
一が言葉にした【蜂】、ハドソンの事である。
『そうです、【蜂】です。コナミの奴、ついに北海道にまで手を出してきました』
「……版権という領土では飽きたらず、北をも手に入れようとする気か?」
『情報では資本提携と言う形をとっていますが、裏では多分……』
「そうじゃな、あの会社の事じゃ、絶対に裏がある。」
『コナミが【蜂】を取り込みにかかったってことは、ゲーム業界の覇権を手にし、
ゆくゆくはウチの領域にもという事でしょう。』
静かな口調で水無月は言う。
「そうじゃろうな。ビジュアルノベルに関する版権はウチに対する…いや、こっちの
業界に対する宣戦布告みたいな意味合いじゃったんだろう。」
一も淡々とした口調で言う。
『しかし、これで一つ危惧する事があるんですが』
「何だ?」
『北のゲーム会社…アボパ・エゴ・クラウドについてです。』

また無言が二人の空間を占めた。

436 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:21
無言の空間を破るために一が言葉を放つ
「………【北海道三国同盟】か」
『そうです。特に俺らはアボパに関しては多大な恩義があります。もし【蜂】が
コナミの先兵としてあの3つを狙わんとしたら、俺らも傍観はできません』
「じゃが、ワシらの位置では北は遠い…それに行くにも、もう年じゃ…」
(いや、あんた年って…そんな変わらないじゃねーか)
そうは思っても口にはできない水無月。
『はあ、そうですな』
話に合わせて同調する
「なあ、徹」
『はい』
「ワシらは…いつからこうバラバラになってしまったんじゃろう?」
『…………………』
「会社が成長するということは、こういうことなのじゃろうか?」
ため息混じりに一が言うと
『そうですね。あと、みんな大人になってきたと言うことでしょう。』
水無月はそう付け加えた

437 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:22
「ふむ。」
頷く一
『俺も今は妻がいますし、高橋にしろ折戸にしろ、みんな進むべき道が見つかった
んですよ。』
「そうだな」
『【雫】の時みたいにがむしゃらにゲームを作っていたあの時に戻るには…みんなもう
十分な大人になったということですよ。』
「それは、しがらみが増えた、と言う意味での大人か?」
皮肉っぽく言う一に水無月は諭すように
『そういう意味じゃありませんよ、成長したってことです。』
「ふぅむ……」
一は一呼吸おいて
「徹よ」
『はい』
「老いらくのぼやきにしか聞こえないかも知れないが…」
『はい』
更に一呼吸置いて一は言う
「皆がまた手を携えて行ける日々は戻ってこないのじゃろうか?」
『…………………』
水無月は一の言葉に返すことが出来ず
「昔のままとはワシもいわん。だが、同じ場所で時を過ごすことぐらいはできない
ものかのぅ?」
一がそういうと水無月は
『一つだけ、方法があります。』
「何じゃ?」
『聞きます?』
「もったいぶらんと早く言え!」
『わかりました。』
今度は水無月が一呼吸置いて、そして静かに言葉を放つ
『KeyとLeafが手を結ぶのです。』
「なっ!!」
水無月は突拍子もない台詞を一の耳に響かせた。

438 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:22
「そ、それはありえん。断じてあり得ん」
必死に否定する一
『おやびん、ならどうしてありないのです。今やコナミがこの業界を狙っていることは
事実なのです。だからこそ、いままで敵対していた者達が呉越同舟してこの危機に立
ち向かわなくてはならないはずだと、おやびんも知っているはずです。』
水無月は熱っぽく言うものの
「それは無理じゃ」
『どうして?理由はなんなのです?』
「直哉がそれを聞き入れると思っているのか?」
『!』
水無月はハっとした。
確かに下川がKeyと手を結ぶなどとは到底思えない。しかしコナミという巨大な
敵を前に現状のリーフでは戦力不足は明らかであった。
「それにな……直哉は絶対にKeyと組めない理由がある。」
『それは何なのです?』
水無月は説明を求める。
「(それは折戸がいるからじゃよ)」
しかし一はそれを口にすることは出来なかった。

439 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:23
下川に折戸との決別の件は二人の間だけの内密となっている。
下川が折戸のいるKeyと組むなどとは一には到底思えなかった。
一はとりあえず水無月に
「直哉は…すこしプライドが高いからな」
妥当な説明をした。
『プライドって…そんな事いっている場合じゃないのは理解しているはずです。』
「わかっているが、これは理屈ではないのじゃよ」
『そんなこといっていたらリーフが潰れるんですよ。』
「ワシだってそれくらいはわかる。ならワシにどうしろというのだ!お前さんは?」
怒張して声を張り上げる一
『現状で、下川に直訴できるのはおやびんしかいないと思っています。まあ、これは
高橋が言ったことなのですが……』
「ふっ、龍也め、相変わらず先を読むのが上手い男じゃ」
一は高橋の考えなら納得がいった。
『雫依頼の古参でも、青紫や中上、それにら〜YOU(カワタヒサシ)では下川に
言っても一蹴されるはずです。しかし、おやびんの場合は話が別です。おやびんは
リーフ建立依頼、決して表に出ることなく、ひたすら裏で支え続けました。
そのおやびんの言葉を下川が無視するとは思えません。』
「……」
一は黙って水無月の言葉に耳を傾ける

440 :古き情は今もなお…:2001/08/04(土) 00:23
『おやびん、リーフが…いや、この業界が一体となるのは今の機会をおいて他はないん
です。だから……』
一は水無月の言葉を聞くと
「わかった。ワシも言うだけは言ってみよう。」
『ほ、ホントに?』
「ワシが今まで嘘を言ったことがあったかね?」
『いえ』
「その変わり報酬は高いぞ」
『何を望むのです?』
水無月はそう聞くと
「そうじゃな、ユンケル1年分は固いな…」
『KeyとLeafが手を取り合うんならそれぐらいはしますよ。』
「よし、話は決まりじゃ。いつ話を切り出すかはワシに任せてくれ。」
『了解です。でも出来るだけ早期に』
「慌てるな徹。何事の積み重ねじゃ、プログラミングのように事を成すにはな、
フラグを立てなければならん。KeyとLeafが手を取り合うフラグをな」
『おやびんらしい言い方です。では吉報を待ってますよ。』
「ああ、お前さんも元気でな」
『会える日までは元気にしてますよ。じゃ失礼します。』
「ああ、またな」
プッ
一は携帯を切ると…椅子に背もたれ、ため息を付く。
「まさかああいう考えがあるとは思わなんだ。しかし…もはや猶予がそう長い訳でも
ない。事態は刻一刻をあらそうのじゃからな」
そう言うと一は机を一枚お紙を取り出し、そしてこう記した。

【Laef&Key共闘フローチャート】

こうして、一の長い戦いが始まったのである。

441 ::2001/08/04(土) 00:26
一言
スランプ気味ですが、感想聞かせてください。
暴走した感がありますので
多くは言いません。

場合によれば無かったことでもかまいませんので。
では、仕事中なのでこれにて失礼いたします。
いつもの事ですが楽しんでくれれば幸いです。

442 :名無しさんだよもん:2001/08/04(土) 02:13
新作あげ!

>>441
確かに暴走気味なネタだと思うけど、テンポのいい会話は楽しめました。
最近作品が無かったんで、書いてくれただけでも嬉しいです。

443 :名無しさんだよもん:2001/08/04(土) 03:13
いや、これで展開が大体決まったんじゃないかな
最近ネタも何も無かったし

444 :名無しさんだよもん:2001/08/04(土) 05:27
にのまえちゃんの誤字に萌え。

445 :名無しさんだよもん:2001/08/04(土) 22:14
おお、新作が!
でも今回は誤字が少々多いのですこし見直しをしたほうが良い点が多数あり
がんばれRちん。

nnt氏もいまはいずこへ・・・
んじゃあげね。

446 :名無しさんだよもん:2001/08/05(日) 02:01
新作萌え。

ハアハア…
もっと、もっと、新作を!

俺的にはキャラロワがつまらなくなった今、ここに大期待!

447 :名無しさんだよもん:2001/08/05(日) 02:20
>>444
>【Laef&Key共闘フローチャート】

カコイイけど(゚д゚)ヤバー

448 :名無しさんだよもん:2001/08/06(月) 00:41
あげ

449 :名無しさんだよもん:2001/08/08(水) 07:21
保持さげ

450 :名無しさんだよもん:2001/08/08(水) 17:12
>>449
ナイス保持

451 :名無しさんだよもん:2001/08/08(水) 19:53
age

452 :名無しさんだよもん:2001/08/08(水) 20:01
このスレは>>449のおかげで救われたな。

453 :名無しさんだよもん:2001/08/08(水) 23:37
回避

454 :名無しさんだよもん:2001/08/09(木) 14:47
またやばいかも…

455 :名無しさんだよもん:2001/08/09(木) 19:43
危険水域によりあげ。

さいきんはR氏だけだな・・・
ほかはいないのかね?

456 :名無しさんだよもん:2001/08/10(金) 17:57
メンテ

457 :名無しさんだよもん:2001/08/11(土) 00:29
メンテ




458 :名無しさんだよもん:2001/08/11(土) 04:07
メンテ

459 :名無しさんだよもん:2001/08/11(土) 14:18
メンテ。

ネタは現実が持ってきてくれる、だから書こうよみんな。

460 :名無しさんだよもん:2001/08/11(土) 16:55
現実…DCこみパの惨状っすか?(藁

461 :名無しさんだよもん:2001/08/11(土) 17:34
鍵の新作発表があればなー

462 :名無しさんだよもん:2001/08/11(土) 21:25
ってか、DCコミパ散々やね…

463 :名無しさんだよもん:2001/08/12(日) 13:42
age
http://key.visualarts.gr.jp/q_a.htm
鍵のスタッフ募集はシナリオ?

464 :名無しさんだよもん:2001/08/13(月) 17:40
対上げ荒らし保全

465 :sidestory或る静かな夜前編1:2001/08/14(火) 06:35
その日緑と白のチェックのトレーナーを着た男は日本橋を歩いていた。
「今日の巡回もあと2件か」
男はそうひとりごちた。
年は20代中頃、やや軽そうな顔が特徴的だった。
朝の9時から行き着きの店を回り始めもう6時間が経とうとしている。
慣れているとはいえ足はもうくたくただ。
しかしその瞳には疲労に反して揺ぎ無い炎が宿っていた。
「さて、次回作はどういう構成でいくかな。どの道テーマは決まっているのだし早くプロットを練らねば…」
男は頭の中でそんな事を思いながら、ふと立ち止まった。
視界の端には立て看板が建っていた。
PCゲーム中古専門店。
「こんなところに新しい店か。客も少ないだろうに」
その店を見てみたが、いかにも客の入りが悪そうで店内も薄暗い。
店員もやる気が無さそうだ。
「でも以外にこういうところが穴場だったりするんだよなぁ」
男は新しい店を発見したせいかやや嬉しそうに声をあげた。
店の前にあるちょっとした段差を乗り越え足を踏み入れた。
まず右手からチェックを入れていく。
「ふんふん、品揃えは悪くないな。おっ、KANONの初回じゃん……一万四千か、高ェ」
旧作コーナーから新作コーナーへと移動していく。
ここ等辺はまだ高いゲームが続く。
ざらっと見回していくうちに一つのゲームの前で足が止まった。
男はそのゲームを手に取った。
心なしか寂しそうに見える。
「お前、もうご主人様に売られちゃったのか…」
意気消沈してそのゲームのパッケージを見つめた。
innocent Eye’s―――その男が先日出した新作ゲームにして一番の自信作だった。
「ごめんな。俺がもう少しシナリオが上手かったらこんなに早く売られやしないだろうに。今度は親切なご主人様に拾ってもらうんだぞ」
そう言ってそっとパッケージを棚に戻した。
暫く名残惜しそうにした後、また品揃えのチェックを再開していく。

466 :sidestory或る静かな夜前編2:2001/08/14(火) 06:36
そのうちにPC98―――往年の名作のコーナーに来た。
懐かしさが手伝ってか一つ一つ手にとっては眺めていく。
同級生2・あゆみちゃん物語・下級生…かつて高橋をこの業界へ走らせたゲーム達である。
しかしその中でも特に思い入れの強いゲームがある。
男はその内の一本を手にとった。
「お前達は羨ましいなぁ、いい父さんを持って。俺の子供なんかすぐに売られちゃうんだぞ。なんで同じ苗字なのにこうも違うのかねぇ」
感慨深そうな表情を作り彼はそのパッケージをピンッとはねた。

痕。
今となってはその名を知らぬものはいまい。
まさしく歴史を変えた伝説のゲームである。
発売後5年以上たった今でも最高のゲームとする人も多く、また、彼にとっても思い出のゲームの筆頭であった。
そしてそのゲームを創った人こそ高橋龍也―――To Heart発売以後沈黙を続けるゲーム業界の巨人である。

467 :sidestory或る静かな夜前編3:2001/08/14(火) 06:36
「ただいまっ…って誰もいないんだけどな」
その同姓の男―――高橋は戦利品の入ったビニール袋を玄関に上げるとそのままパソコンを起動した。
その間に旧型のPC98を引っ張り出す。
狭い部屋で収納にも一苦労だが彼の安月給ではアパートで精一杯だ。
おまけに今日の様な手痛い出費が重なると食費もままならなくなる事も多い。
ビニール袋からつい買ってしまったPC98版の雫と痕を取り出した。
もちろん高橋はこの2本を持っている。
だが、やり込み過ぎてディスクを壊してしまったのだ。
「ふふっ、あの頃は若かったなぁ」
高橋は手馴れた手つきでケーブルを接続していった。
パソコンが組み上がっていくごとにかつての興奮が蘇ってくるようだ。
その時不意にパソコンが鳴った。
振り返ってモニターを見てみると偽春奈がメールの着信を告げているようだ。
「んっ?なんだぁ?」
高橋は気勢を削がれつつもメールのチェックを開始する。
仕事に関する事だった場合早いにこしたことはない。
こういったマメさが会社に信頼される秘訣だと彼は信じていた。
「おっ、猫猫からか。ふんふん…次回作を製作中なのか」
概略をするとこうだ。
次作にも高橋が作ったNScripterというノベルゲーム作成ツールを使いたいという事らしい。ちなみにこの依頼をした猫猫―――ねこねこソフトは前作・前々作と同ツールを使用している。
「最近収入低いんで助かったよ。『もちろんOK』っと。それにしてもお前―――NScripter―――はずいぶんと優秀だなぁ。俺本当はシナリオライター希望なんだけどな」
ちなみにこのツール、企業が使うと一律40万円であるが商業ベース以外ならただである。
同人で言えば月姫を作成したTYPEMOONが使用したことで有名であろう。
「おっと、こうしちゃいられない。せっかく高い金出して買ったんだ、たっぷり可愛がってやらないとな」
古い方のパソコンにフロッピーディスクが入り、カタカタと駆動音をたてる。
そして例の音楽を奏で、モニターにはこう表示された。

――――――LEAF――――――

高橋直樹…。
彼もまたLEAF黄金時代が産み落とした卵の一つである。

468 :名無しさんだよもん:2001/08/14(火) 06:41
むちゃくちゃきっつい批評キボンぬ
具体的であればなお嬉しい
感想もどうぞ
つーかお願いしますぅ
最初2.5次元で出そうかと思ったんですけどね

469 :名無しさんだよもん:2001/08/14(火) 11:18
新作age

470 :名無しさんだよもん:2001/08/14(火) 17:50
>>465-467
この人出してきたかぁ……
Dinn、久弥と組み合わせられる上にネクストンの有島とも繋がりあったよなー

471 :名無しさんだよもん:2001/08/14(火) 19:55
>>470
どんな繋がりがあんの?
2chねらなのは知ってるけど

472 :名無しさんだよもん:2001/08/14(火) 23:37
>>465-468
スラスラ読めてしまう。素直に面白い。
人物や生活感の表現が巧いと思った。
特に店内で主人公がひとり言をつぶやいてしまう事によって彼の孤独感を巧みに
表現している。

>>465
>朝の9時から行き着きの店を回り始めもう6時間が経とうとしている。
いきつけ…か? ちょっと引っかかったので。

これも私の読み方、感じ方が悪いのだとは思うし、変えるとくどくなるとは思うのですが…
>>467
>だが、やり込み過ぎてディスクを壊してしまったのだ。
壊してしまっていたのだ…の方が、良いような…
何故ならその次の文で、
>「ふふっ、あの頃は若かったなぁ」
と、プレーしていたのは、かなり過去である事に触れているため。

473 :名無しさんだよもん:2001/08/15(水) 16:23
>>472

>>朝の9時から行き着きの店を回り始めもう6時間が経とうとしている。
>いきつけ…か? ちょっと引っかかったので。

いきつけでもそれぐらいたくさん回ったんだろ。
オタならよくある話しだ(w

474 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:30
「……問題ないな」
 診察を終えた医者はそう言った。
「頭部の傷が後遺症を残さないか心配だったが、もう大丈夫だろう。
 君の快復力には恐れ入ったよ」
「ありがとうございます」
 久弥は立ち上がり、礼を述べた。

 ここは都心よりだいぶ離れた所にある、寂れた診療所。
 大阪で負った傷を癒すため、少し前に久弥が通院していた場所である。
 漁村から帰ってきた久弥は、折戸と別れた後、まずここへ足を向けた。
 自分の身体が心配だったというのもあるが、
 何よりも、東京で世話になった二人の人間に挨拶をしておきたかったからだ。

「漁師をやっていたんだって? まったく、君は無茶をするな。
 激しい運動は控えるようにと忠告したはずだが」
「少し身体を動かしたかったんです。無理はしていないつもりですよ」

 その時、診療所のドアが開き、サングラスをかけた男が入ってきた。
「……何だ、帰ってきたのか」
 その男は久弥の顔を見て、軽く驚いたようだった。
「ただいま」
 久弥は冗談めかして答えた。

「これからお前の家へ向かおうと思ってたんだ。ちょっと相談したいことがあるんでね」
「ふうん。ま、俺にできることなら力になるぜ。あんたには貸しがあるからな」
「あの時の事か? それはもう忘れたよ。ここの診療所を紹介してくれて、
 さらに治療費をそっちで払ってくれたんだからね。充分だ」
「はん、いい人だねえあんたは」
 そう言い残すと、その男は診察室へ入っていった。
 久弥は苦笑して、その男――中尾佳祐を目で送った。

475 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:30
 久弥と中尾の出会いは、数ヶ月前に遡る。
 大阪から東京へ出てきた久弥は、特にやることもなく退屈な毎日を過ごしていた。
 そんな久弥に声をかけてきた者がいた。
「うちでシナリオを書いてみないか?」
 アージュ代表、吉田博彦――東京においてその勢力を謳われる『千代田連合』の筆頭であった。

 久弥としても、自分を買ってくれる人物の申し出を無下に断るつもりはない。
 数日後、久弥は千代田のビルへ足を運び、面接を受けた。
 しかしその時に、吉田の口から最初に出た言葉は、「あの話は無かったことにしてくれ」だった。

 久弥の作風は、アージュの現シナリオライター達に受け入れられなかったのだ。
 反対した者達の意見は、こうであった。

『彼の作る萌えキャラは理解できない。あんな人間がいてたまるか』
『ご都合主義な展開で安易にハッピーエンドを演出するのは、幼稚な作品だ』
『人の愛とは、もっと理性と欲望が混ざり合った泥臭いものだ。
 それから目を背け、オタクに媚びた文章を書く彼を、我々は認めない』

476 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:31
「私一人が先走ってしまったために迷惑をかけてしまった。申し訳ない」
 面接室で深々と頭を下げる吉田。
「貴方が謝る必要はありませんよ。たまたま目指すものが違っただけでしょう」
「しかし……」
「私は気にしていませんから」
 実際、久弥はさほど気にしていなかった。そのような意見は何度も耳にしてきたし、
 麻枝から似たような事を言われた覚えもある。
「それでは、私はこれで」
 そう言って久弥は席を立ち、面接室のドアを開けた。

 アージュ、ニトロプラス、オーバーフローの三社は、同じビルに居を構える、同盟状態にある。
 ゆえに、三社の人間が集まって打ち合わせをする事も多い。
 そしてこの時も、他の二社の幹部がアージュ社内に訪問していた。
 それが、一つの出会いを生むことになった。

 面接室を出た久弥がそこで見たのは、ニトロプラスのシナリオライター虚淵玄と、
 アージュ新作『君が望む永遠』の演出処理について助言を依頼されていた、
 元リーフプログラマー、中尾の姿だった。

477 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:32
 ――診療所を発って数刻。フロントガラスに都会の喧噪が近づいてくる。
 久弥は中尾の自宅へと、車で向かっていた。
「漁師生活は楽しかったかい」
 中尾は車を運転しながら、助手席の久弥へ声をかけた。
「ああ、最高だったよ」
「その割にはあっさり帰ってきたじゃねえか」
「折戸と会ってね。いろいろ話を聞いてるうちに、心が動いたのさ」
「はん。何て言われたんだよ。お前はKeyにとって必要な人間だから戻ってこい、か?」
「……いや、そうじゃない。単に僕が、自分の力をもう一度試したいってだけだ」
 久弥は少し考えて、そう言った。

「へえ、通用するかね、あんたのシナリオが、今の業界に」
「わからない」
「何だ、ずいぶん自信がねえんだな」
「……」
 正直、久弥は不安だった。
 自分の書くシナリオは、飽きられているのではないか。
 一見頭が悪そうに見える萌えキャラは、もはや時代遅れなのではないか。
 すなわち、自分はもう不要なのではないか。
 あの漁村で新しい自分を探そうとしたのも、その不安からくるものだった。

「着いたぜ」
 車を止め、二人は表へ出た。外はもう夜の帳が降りていた。

478 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:33
「ビールでも飲むか?」
「アルコールは嫌いなんだ」
「煙草は?」
「吸わない」
「はん、健康的なこって」

 ここは中尾の借りているアパートである。
 六畳一間の狭い部屋だが、一人で暮らすぶんには不自由しなかった。

「で、話ってのは何だ」
 中尾は畳の上にあぐらをかき一服すると、話を切りだした。

「……なあ、僕が業界に復帰したら、成功すると思うか?」
 久弥はまず、自分が漠然と抱えていた不安をうち明けた。
 この男なら、歯に衣を着せず正直に答えてくれるだろう。そう思ったからだ。

「どうだろうな……」
 中尾は煙草を灰皿に押しつけて、あらためて久弥と向き合った。
「難しいと思うぜ。たいして需要があるとは思えねえ。
 あんたのシナリオを待ち望んでる奴といえば、一部の鍵っ子だけだろうよ」
「やっぱりそう思うか」
「まあな。よっぽど凄えシナリオを書くか、業界が騒然とするほどの話題性がねえとな。
 ま、そこそこ食ってくことはできるだろうが」

479 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:34
 ……久弥には、ずっと前から考えていた策があった。
 それを実行すれば、話題性としては充分すぎるだろうと思っている。
 だが、失敗したときのリスク、自分が笑い者になる可能性を考えると、
 行動に移そうという気にはなれなかった。

 しかし、あの漁村での折戸の説得で、久弥は覚悟を決めていた。
 もともと、彼はわかっていたのだ。
 Oneの時はToHeart、Airの時はKanonがあったように、
 麻枝は、目標となる存在、倒すべき相手がいてこそ、力を発揮する。

(今の僕に、業界の頂点を極めた麻枝と張り合えるだろうか。正直、自信がない。
 しかし、やらなくては。
 一度はクリエイターであることを捨てた身だ。今さら何を恐れることがある。
 Keyの新作を待ち望むファンはたくさんいるんだ。
 麻枝の力になれるなら、たとえ自分の名が貶められようと、本望じゃないか、久弥!)

「おい、どうした?」
 下を向いたまま拳を握りしめる久弥を見て、中尾は怪訝そうな顔をした。

「……中尾、頼みがある」
 久弥はそう言って顔を上げた。迷いが吹っ切れた、そんな表情をしていた。

「僕は、Leafに入社しようと思う。力を貸してくれ」

480 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:34
「……はあ、またずいぶんと突飛もないことを考えたもんだな。
 なんでまた、あんな落ち目のメーカーへ行こうとするんだか」
 久弥の言葉に、中尾は呆気にとられた。
「Keyを捨ててLeafへ向かうなんざ、俺なら絶対考えられねえな。
 他のメーカーじゃ駄目なのか?」

「Leafはかつて、僕や麻枝の目標だった。その後も、ずっとKeyのライバルだった。
 だから、効果的なのさ……」
 久弥は一瞬、寂しげな顔をしたが、すぐに元の表情へ戻った。
「それに、今は確かにユーザーの信頼を失ってはいるが、あそこのスタッフの能力は
 まだ業界のトップレベルを維持していると思う」

「で、どうだ? お前ならLeafに知り合いも多いだろう」
「あのな久弥。俺は内部暴露のログばらまいてKeyに入社したんだぜ。
 今更のこのこLeafに顔を出してみろ。下川にコンクリート詰めにされて、
 次の日には大阪湾の底で魚のエサになってるだろうよ」
(……ギャグだよな?)
 久弥は一瞬驚いたが、気を取り直して、再び質問をした。
「なら、Leafの詳しい情報を教えてくれ。社内の雰囲気とか、信頼できる人とか」
「自分で調べろ。そんなことまでしてやる義理はねえ。つーか勘弁してくれ」
 そう言って中尾は、めんどくさそうに顔を背けた。

(まいったな。Leafはシナリオライターを募集してないから、
 こいつの知恵を借りてなんとかしたかったんだけど。
 ……くそ、最後の手段だ。僕にとっても大事なものだが、この際仕方ない)

481 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:35
「中尾、協力してくれたらこれをやるよ」
 そう言って久弥は、財布から一枚の写真を取り出した。
「去年の夏祭りの時に撮った、いたるの浴衣姿だ」
 その言葉を聞いた中尾は一瞬で振り返り、音速を超えたかと思わせるような勢いで
 久弥に向かって手をのばした。
「見せろっ」
「情報が先だっ」
 久弥はとっさに写真を持つ手を背中の後ろへやり、ギリギリで中尾の手から逃れた。
(あ、危ないところだった……)
「く……、わかったよ。俺から聞いたとは誰にも言うんじゃねえぞ」

「俺の昔の上司で、にのまえはじめっていうプログラマーがいる。
 普段は『ワシは争い事は嫌いじゃ』とか言ってふんぞり返っている食えないオッサンだが、
 高橋がいない今、下川と対等に話せる唯一の社員だろう。
 他の奴らからはおやびんと呼ばれていて、社内でも人望は厚い。
 まず彼に会って相談してみろ。うまくいくかはわからねえがな。
 他には……」

 中尾は、久弥の役に立ちそうな情報を一通り教えた。
「……こんなとこか」
「なるほど、充分だ。ありがとう」
 久弥は素直に礼を言い、中尾に写真を渡した。
 渡す直前、すっと手を引いてみようかという考えが一瞬頭をよぎったが、やめておいた。
「はあ……いたるちん……」
 中尾は幸せそうに、写真を眺めていた。

482 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:36
「なあ中尾、お前、このままずっとニトロプラスにいるつもりなのか」
 久弥がそう言うと、中尾は写真をポケットにしまい、表情を引き締めた。
「そうだな……」
 中尾も、自らの境遇については常に考えを巡らせている。
 自分はコナミに追われている身であること。それが原因で、周りに迷惑をかけてしまう可能性。
 しかしニトロプラスのメンバーは、全員が一騎当千の強者揃いである。
 たとえ自分がここにいることがばれたとしても、コナミは迂闊に手出しできないだろう。
 それに、自分のプログラマーとしての知識を、千代田連合の人達は歓迎してくれている。
 ならばこのまま彼らの下で働くのも悪くない――。彼はそう考えていた。
「今のところ、それでいいかな……」
 やや曖昧な口調で、中尾は返事をした。

「陣内さんや原田さん、あと閂さんもいたな、あの文書には。
 彼らと再び会うつもりはないのか?」
 久弥の言葉に、中尾は表情をこわばらせた。
「……今更あいつらに会う資格はねえさ、俺は。
 あんな文書をばらまいちまった後じゃな。あいつらを裏切ったも同然だからな」

「そんなことはないだろう」
 久弥は微笑を浮かべた。
「彼らは今でも待っているんじゃないかな。お前が帰ってくる事を。
 また昔のような関係に戻りたいと、そう考えてるはずだ」
「あんたに何がわかるってんだよ。勝手なことを言うんじゃねえ」
「嘘だと思うなら、ためしに陣内さん達と会ってみれば……」
「うるせえ!」
 中尾は声を震わせ、久弥を怒鳴りつけた。

483 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:37
 少しの間、部屋は気まずい沈黙に包まれた。
「ごめん。僕が気を使うことじゃないよな」
 先に久弥が、静寂を破った。
「……いや、すまねえ。こっちも感情的になっちまった。忘れてくれ」

「そろそろ出ようと思う」
 久弥は立ち上がり、そう言った。
「今まで、いろいろと世話になったな」
「なに、気にするこたねえさ。俺にしてみりゃ、あんたへの罪滅ぼしのつもりなんだから。
 またなんかあったら、訪ねてきな」
「ああ。それじゃ、またな」
「写真、大事にするぜ」
 中尾がニヤッと笑ってそう送ると、久弥も苦笑して返した。
 そして、久弥は中尾のアパートを後にした。

「頑張れよ、久弥。せめてお前は……」
 足音が遠ざかるのを耳にしながら、中尾は小さな声で呟いた。

484 :二人が選んだ道:2001/08/15(水) 20:39
 すっかり日も暮れ、辺りは暗闇に包まれていた。
 薄暗い夜道を歩きながら、久弥は、先程の中尾とのやりとりを思い出していた。

(あの時、もし逆の立場なら……。
 もし僕が「麻枝やいたるが待ってるぜ、Keyに戻れよ」とか言われていたなら)

 彼はそう思うと、いたたまれない気持ちになった。
 そして理解した。
 中尾も自分と同じだったのだろう。

「すまない、中尾……」
 久弥は奥歯をぎゅっと噛みしめ、自分の軽はずみな発言をいたく後悔した。


(これから自分は何をしようとしているのか。
 麻枝達の厚意を踏みにじり、こともあろうに仇敵Leafの一員になろうとしている。
 まったく馬鹿げた行動だ。はたから見れば、仲間に対する裏切り行為としか思えない)

 ひっそりと静まりかえった暗い道を、久弥は一人、歩いてゆく。
 道脇の街灯と夜空の月がかろうじて視界を照らしてくれる、寂しい闇の中を。

(僕が、いや、僕たちが進む道は、決して、陽が当たることは無いんだろう……)

485 :名無しさんだよもん:2001/08/15(水) 21:22
新作age

486 :名無しさんだよもん:2001/08/15(水) 21:34
中尾かわいい(w
こうして見ると、結構好感の持てるキャラだったのかも。

487 :名無しさんだよもん:2001/08/15(水) 21:46
ていうかひさやんは中尾に殴られて重傷を負ったのではないのでショッカー。
なんで談笑してんねーん!

というツッコミはあるものの俺的には燃えました。
ちくしょーなんだよ今書いてた構想変わっちゃったよ!
とくやしがりつつも中尾萌え。良作ですね。

今回の中尾ちんはまともですね。とても気になる。伏線?

488 :名無しさんだよもん:2001/08/15(水) 22:47
掲示板閉鎖新作希望age

489 :名無しさんだよもん:2001/08/16(木) 01:22
281 名前:名無しさんだよもん 投稿日:2001/08/13(月) 15:31
とらのあなに行ったら、スタッフスレにちょっと出ていた
新雑誌「Aria」のチラシが置いてあった。
取ってきたのでその内容をコピペすると、

>ゲーム業界の異端"ケロQ"の秘密に迫る!
>"SCA-自"氏、超ロングインタビュー&
>『二重影』外伝「どっとはらい」を一挙掲載!!

>人気シナリオライター"久弥直樹"氏はいま何を?
>「誰も知らなかった驚きの発言が満載」の
>極秘インタビュー敢行!!!!

>Keyのシナリオライター"涼元悠一"氏への
>ロングインタビュー。あれから一年、今だからこそ
>『AIR』に至るまでの道を再び語ろう・・・。
>脅威のボリューム、一挙20ページ掲載!!

フォックス出版から9月4日発売らしい。


これでなんとかできないかな?

490 :俺の会員期限は3年更新の2003年まで:2001/08/16(木) 18:33
一般のオタよりもネットを利用してる私達ヘビーなオタ向け記事満載ですな(w

491 :悲惨な1:2001/08/17(金) 03:41
sidestory書いた者です。
概ね好評だったみたいですのでコテハン晒すことにしました。
時期を外したこともありレスが長すぎたこともあり返事は以下のアドレスでしました。
ヒマな人でも来てくれると嬉しいですね。
2.5次元のスキマの一スレッドをお借りしました。
管理者さん、どうも。
http://green.jbbs.net/movie/bbs/read.cgi?BBS=568&KEY=997986708

492 :名無しさんだよもん:2001/08/17(金) 18:27
悲惨な1告知age

493 :名無しさんだよもん:2001/08/18(土) 04:03
メンテ、だよ。

494 :名無しさんだよもん:2001/08/18(土) 05:40
メンテナンス略してメンス、だよ。

495 :弔い酒:2001/08/18(土) 23:35
「閉鎖……?」

8月15日、晩。
何の気なしに開いたLeafオフィシャルホームページのLeaf掲示板。
そこには、webmaster名義で、掲示板の終了が宣言されていた。
利用者間のトラブル、悪質な書き込み、対策すればするほど損なわれるコミュニケーション、そしてついには楽しめるコミュニティの維持の行き詰まり……閉鎖の理由はそのようなものであった。
4年近くLeaf系ネット界で良かれ悪しかれ重要な地位を占めてきた掲示板の、あっけない幕切れ。

戸越まごめは一瞥して、ふう、と息をつく。
「諸行無常、か」
以前、リーフの画策により起こされた「大阪デジフェスの乱」。Keyオフィシャル掲示板はあの後利用者達によって大混乱に陥った。
そのリーフの掲示板が、利用者に牙を向かれ管理不能に陥って崩壊したのだ。
いかにも皮肉である。

だが。
戸越にはそれを笑う気になれない。
管理しきれるはずのない利用者を管理する苦労。それは変わることはなかろう。
自分がコミュニティの維持のため書き込みに目を光らせ、必要ならば即座に注意し、削除する。同じ苦労をリーフの管理人が――中上和英がしていたのは明かだから。

まだ耐えている自分。
耐えられなくなった中上。

彼我の差は、それこそ紙一枚くらいの差しかないのかもしれない。
「明日はわが身かもしれないな……」
ぶるんぶるん
そんな嫌な考えを、頭を振って打ち払う。

ふとして、グラスに酒を注ぐ。
「弔い酒にしちゃ安くて悪いがな……」
杯を片手で持ち、こつんと画面に当てる。
「おつかれ、中上さん。あんたは先にリタイアしたようだけど……俺はもう少し、こっちで頑張ってみせるよ」

496 :名無しさんだよもん@そうだ有明行こう:2001/08/18(土) 23:36
>>495
時事ネタは新鮮なうちにということで。ちょっと遅かったかもしれませんが。
デジフェスの乱については仮想戦記の過去ログ参照。最初のスレッドなんで、今でも見れるかな……?

497 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:36
水無月の電話から数日が経過し
一一(にのまえはじめ)は自分の机に向かって黙々とありとあらゆる考えを紙に
書き込んでいった。

【Laef&Key共闘フローチャート】

ここ数日、一は満足に食事も摂らず、ひたすら考えを出してはそれを紙に書き、
整理してはフローチャートにして進行を考えていた。
(こりゃプログラムのフローチャートよりも骨が折れるわい)
そういう一の顔には心なしか楽しいと思えた。
一にも何故それが楽しいのかはわからなかった。
ただこれだけは確信していた。
(これで直哉と折戸がまた昔のように仲良くなってくれるのなら)
と…
LeafとKey
むしろ一にとっては【下川と折戸】に置き換えても間違いのない事であった。

498 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:37
一はひたすら頭に浮かぶことを紙に記す。
何が有効なのか?自分の考えが満足のいくまでひたすら試行錯誤する。
何かを掴んでは紙にかきその後の展開を予測しできうる行動を書き記す。
たしかに案はいっぱい出てくるし、楽しいのだが、今ひとつ決定的な具体策は
思い浮かばなかった。
これだというような考えが浮かばず、一は苦悩する。
(やっぱり、ワシには無理なのじゃろうか?)
そんな弱音が頭によぎった時
「お〜やびん!」
「!?」
一はずっと考え事をして人の気配に気が付かず後ろに立つ人影をみる。
その人影は
カワタヒサシ(ら〜YOU)であった。

499 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:38
カワタは一をみるなり心配そうに声をかける
「おやびんなんか疲れた顔してますけど…」
それもその筈であった。
一はここ数日ユンケル以外を口にする事はなかった。
机の周りにはぐしゃぐしゃになった無数の紙とユンケルの瓶が散らばっている。
しかし一は心配するカワタに対して毅然とした口調で
「大丈夫じゃ。ここ数日、ちと考え事をしていてな…」
「でも、おやびんここん所ずっと机から離れていないじゃないですか。ずっと集中
するのは良いことですけど、少しは休まないと…」
優しく身体をいたわってくれているカワタに一は
「お前さんにいたわってもらうほど、まだ年はとっちゃいないわい。」
「そういう問題じゃなくて……」
「なーに、心配せんでも良い。今新しいプログラムのフローチャートを作っててな。
これが結構楽しいんじゃよ」
ニヤッと笑みを浮かべる一
「おやびんの職人根性には頭が下がります。でも、ユンケルだけじゃ絶対にお腹壊し
ますよ。」
一の健康状態を気遣うカワタ
「お前さんがそう言ってくれるのはありがたい、しかし、それなら…」
「それなら?」
一は唐突にカワタに向かって…
「青紫と仲良うしてやってくれ。」
カワタに向けられた一の視線は真剣であった。

500 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:39
「そ そんなのはおやびんの健康状態と何も関係ないじゃないですか?」
戸惑うカワタ、しかし一は話を続ける
「直接的にはな。じゃがな、お前も知っておろう、Leafの現状を…」
「ええ」
「ならば私怨を捨てろ。お前さんと青紫に何があったのかはしらん。それと聞く必要
はないじゃろう。じゃがな、もう昔からの人間はワシとお前さん、あとは青紫に中上
ぐらいしかいないのじゃ。この会社の屋台骨から支え続けてきた人間達がいざこざを
起こしてどうするというのじゃ!そんなことをしていれば他の会社が喜ぶだけじゃ!」
カワタはいつもの一とは違うと感じ始める。
「何があったんです?おやびん。急にそんなことを」
「そうじゃな……今こそLeafが一枚岩となって、再び昔のような雰囲気になって
くれればと、思っただけじゃ」
「…………………」
一の哀愁漂う口調にカワタは無言となり
「なぁカワタよ」
「…はい」
「ワシらは…いつからこんな歯車が狂ったのじゃろうかのぅ?」
一の質問にカワタは即答できず、ただ一の真剣な表情を見つめていた。

501 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:39
カワタは思う。
(雫・痕・ToHeartまでは)
と…
しかしそれを口にはしなかった。
確かにToHeartでLeafは一躍業界のトップに躍り出た。
名声・地位・金
この業界ではある種思うままであった。
いまでもこの3部作は愛されている事にカワタは誇りに思う。
だがその後が続かなかった。
ホワイトアルバムからだろうか……
会社も売れ線筋の上司が顔を利かし、下川が経営の方面に手をだすようになった。
高橋・水無月コンビの他にも有力な人材育成の為に原田達を新たに押し出した。
しかし、うまくはいかなかった。
そこからだろう…Leafの歯車が軋みだしたのは

折戸が去り、生波夢が去り・鳥のが去り…陣内・原田・閂・中尾も去った。
東京開発室に急F&Cの面々も引き抜いたが、コミックパーティ以外にはもっぱら
同人活動にいそしみ本業を疎かにする。

そんなもろもろの事情があってか会社全体としても士気が落ちた。モチベーションの
低下…
他にも色々と理由はあるだろう。
しかしカワタは考えるのがいやになった。

502 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:40
カワタはふと青紫との事を思う。
決して青紫は人間的に嫌いな類ではない。むしろ好きであった。
だが、仕事となるとどうしてもウマが合わなかった。
青紫のシナリオに目を通しても、どうしても納得がいかない部分が多々あった。
高橋のシナリオに慣れたしまった影響もあるかもしれない。
青紫の作り上げるキャラには『萌え』が足りなかった。
カワタはそれを肌で感じていた。
普段がいい人故に…仕事できつく青紫に言葉が吐けなかった。
そう思うと、青紫とは組みたくないと思い始めた。
段々距離を置くようになっていった。
気が付けば、言葉を交わすことがなくなっていた。
そして、今はもう顔すら会わせていない…

503 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:42
カワタはふと一にこう洩らす。
「おやびん…」
「なんじゃ?」
「俺、青紫の事は嫌いじゃないんだよ…ただ、あいつとずっといると、あいつに合わ
せて仕事いる自分がいやだったんだ。だから仕事では極力組みたくなかったんだ…」
「ふむ」
相づちを打つ一
「でも、俺は青紫が嫌いじゃないんだ、ただ青紫に合わせて自分が腐ると思ったから
俺は……」
カワタはそれ以上の言葉が吐けず詰まる。
一はそれを聞くと…
「そうじゃったのか……」
(不器用な奴らのたまり場じゃな…ここは)
ふと思う。
多分、これがLeaf瓦解の決定的な理由。個人個人は確かに素晴らしい能力を開花
している。しかし一人一人の【我】が強すぎて協調性に欠ける。
そして他人に歩調を合わせようとすると個人としての力が発揮出来ないのである。

504 :陰舞台:2001/08/18(土) 23:42
一は語りかけるように言う。
「なあ、カワタ」
「ん?」
「無理にとはいわん。もしお前さんがまだ青紫に少しでも情があるのなら、まだ
あたたかい目でみてやって欲しい」
「お、おやびん…」
「今、Leafは一枚岩にならねばならん時じゃとワシは思うておる。だから…」
「もういいよ」
一の言葉を遮りカワタは
「わかったよおやびん。青紫という人間事態が嫌いな訳じゃないから、そう深く考え
ないでくれ。ただ、仕事がちょっと合わないだけだったからさ…」
「カワタ」
「さてと、俺はそろそろ帰るよ。特に仕事は今の所ないからね。HPの更新にでも
勤しむよ。」
「ああ」
「んじゃ、おやびんまた明日〜」
陽気に振る舞い部屋から出るカワタ
ドアを閉めた瞬間真剣な表情になり、そして思う
(青紫……俺達は貧乏くじを引いているだけだよな。売れないのは他人の企画を途中
から受け継いだり、本来したいことができていなかったりするからだよな…
俺達だって高橋・水無月の二人には負けちゃいないはずだそう思わないと、俺達は一生
あの人達を抜けない。)

「まだ、負けたわけじゃないんだ…」

カワタはそう呟くと会社を去り自宅へ帰って行った。
希望を信じて…Leafは動き出す。

505 ::2001/08/18(土) 23:47
どうもです。

深くは問いません。
例によって、だめなら無視の方向でお願いします。
では。

追伸:コミケで生いたると東京開発室メンバーを見てきました。
   ま、そんな感想はどうでもいいですね。じゃ

506 :名無しさんだよもん@そうだ有明行こう:2001/08/19(日) 00:08
ちょうど投稿が同時期になっちゃいました。
>>505
拝見しました。おやびんの願いは叶うのか、先が気になります。

あと
>>465-467
高橋氏を出してくるとは、渋いですね。続き希望です。

507 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 01:36
>>496
初期スレッドのssはこちらで
http://nanasei7.tripod.co.jp/
できれば初期スレッド事態は忘れたいのよ
忌まわしい過去故に
だが教訓はこれからに生かさなければならないのも事実だが

508 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 05:02
って言うか初期のは初期で完結してるし(Key解散とか)、
今更昔のことを掘り出すのも…いや、参考にするだけなら良いんだけどな。

509 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 06:25
>>508
あれってバッドエンドだよな!
どこでフラグ立て忘れたんだろ

510 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 08:27
ここは地道に良いのが上がってくるから好きだよ。
ところで、河田退社ってマジ?
それだと今回の話がどうそこへつながるのかがとても気になる。

511 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 09:29
書いて来ます。
今日の夜にできれば・・・
失礼

512 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 11:18
今気になったんだけど本当に鍵スタッフの製作所って東天満にあるのかな?

513 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 12:53
このネタでヴィジュアルノベル作って欲しいのは俺だけか。
作る人間によってはかなりいいのが出来ると思うのだが。

514 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 12:57
>>513
誰にメインライターやって欲しいんだ?

515 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 13:06
大先生しかおるまい!

516 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 13:07
nntはかなり技量あると思うんだがなあ。

萌えは苦手、とか云ってるけど日常描写巧いし、
むしろ燃え系の展開で勝負してくるところとか。

517 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 13:10
”ヴィジュアル”の部分はどうするよ

518 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 13:12
誰かに萌えで燃えな立ち絵を描いて貰おう。
登場人物が男ばっかりだからマグナムはじめの同人女にやらせた方がいい絵があがるかもしらん。

実際のビジュアルとは大きく異なっている場合がありますがご了承くださいとか(w

519 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 14:11
じゃあ同人板から引っ張ってくるか?
音楽板からも引っ張ってプログラム板からも引っ張って大々的にやるのも面白いが

520 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 14:19
>>519
ひっぱるにも、葉鍵事情に詳しく、かつ思い入れがあり、このジャンルを愛してる奴でないとダメだろうけどな。
ここでの業界ネタをある程度理解してくれないと辛いと思われ。
とりあえずゲンガーがここの半オリキャラどもにキャラ燃えしてくれればいい絵はあがると思うんだが。
資料提供はするぞ。

……まあ、無理にがんばらなくても、今のペースで新作があがってくれればオレはしあわせだけどね。
ビジュノベは性急に行かず今はアイデア出し程度でまったりいきてえかなあと。

521 :sage:2001/08/19(日) 14:53
同人板をからませるのは反対だな。
あそこの住人はキチガイばっかりだ。
せっかくの作品が滅茶苦茶にされるに決まってる。

522 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 15:33
>>521
さげたいのならメール欄に半角でsageと入れようね
お兄さんとの約束だzo!

523 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 17:28
OHPBBS閉鎖スレに、竹林退社との情報が。

524 :名無しさんだよもん:2001/08/19(日) 20:58
緊急避難警報を発令致します。

<引用>
   ■■■■「このスレッド大きすぎます」■■■■
スレッドの容量が256kbもしくは128kb(鯖に寄ります)をこすと、
このエラーが出ます。諦めて新スレッドを立てましょう。
今のところはnatto・kaba・salad・yasai・curryで確認されています。

コピペ荒らしなどでいっぱいになった場合には、
削除してもらえれば使えます。各板のレス削除依頼へ。
</引用>
http://teri.2ch.net/test/read.cgi?bbs=accuse&key=997804717&st=233&to=233

葉鍵板のある cheese サーバはまだこの処置がとられていないが、
早晩 256kb 制限になるかもしれない。
>>248 であげたスレは 256kb 制限になると*IEやNNなどのブラウザ*からは見れなくなる。
かちゅ〜しゃなどの read.cgi を通さない2ch専用ブラウザでは制限がかかっても閲覧可能だ。

http://hakagi.net/check.html にスレッドのサイズを表示するようにしたのでチェックしてほしい。

この件の経緯はこのスレで確認してくれ。
【ebi&curry鯖重過ぎます Part3】
http://teri.2ch.net/test/read.cgi?bbs=accuse&key=997804717

一時避難場所の指定をしてください

525 :名無しさんだよもん:2001/08/20(月) 06:22
移動するん?

526 :名無しさんだよもん:2001/08/20(月) 10:54
>>525
したほうがいいようですね。
ここはどうしても1レスが長くなりますから、5〜600くらいで移っておいたほうが無難なのかも。

527 :名無しさんだよもん:2001/08/20(月) 11:16
高橋直樹氏(>>465=467参照)、自サイトにてこのスレに触れてはるね。
意外に好意的(?)で良かったんじゃないでしょうか

528 :修正:2001/08/20(月) 11:18
>高橋直樹氏(>>465-467参照)
スマソ

529 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 00:49
とりあえず次スレのタイトル考えようぜ。

530 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 01:19
>>524
マヂでそんな制度あるの?
荒らしの一部とかじゃなくて???

531 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 01:43
>>530
マジだよ。
んー、タイトル…「沈黙の○○編」とか…?

532 :テンプレートの一部:2001/08/21(火) 02:59
Leaf&Key仮想戦記第一部 (2ちゃんねる葉鍵板リレー小説置き場)
http://nanasei7.tripod.co.jp/

Leaf&Key仮想戦記第ニ部 〜誰彼の葉鍵編〜
http://cheese.2ch.net/leaf/kako/974/974402008.html

Leaf&Key仮想戦記第三部 〜永遠の遁走曲篇〜
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989927173&ls=50

非公式バックアップサイト(2.5次元のスキマ)
http://green.jbbs.net/movie/568/jigen.html

注)
初めての方は第2部より読むことをお勧めいたします。
職人さんには節度ある内容での投稿を願います。
最後に。
本スレッド於いて全てのペンネーム・商標・ブランド名等は実在の物とは一切関係ありません。

533 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 03:05
訂正
初めての方は第2部より      → 初めての方は第ニ部より
一切関係ありません。       → 一切関係ございません

534 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 03:57
沈黙の兆候編

535 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 04:32
編と篇で違う漢字つかってるね
どっちに統一する?

536 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 06:25
羊達の聖戦篇

537 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 08:06
>>532
注意書きの4行は無いほうがすっきりしてていいと思う。
つーか余計なお世話。

538 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 08:38
いや、やっぱり要るでしょう>注意書き
葉鍵板はかんちがい厨房の巣窟だからバカが紛れ込んでくる可能性が高い。

539 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 08:55
俺も絶対必要だとおもうヨ
事件再発は予防すべきだよ

540 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 16:04
>>1っぽくカコイイあらすじつくと(・∀・)イイ!な。

注意書きは俺も賛成。
「なんで死んだキャラ生き返ってるの?」とか疑問もたれそうだし。

541 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 19:55
藤田の事件も鍵サイドの視点から書かれるのかのう

542 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 20:16
PIECE Project に期待を込めて。
〜希望の欠片編〜

543 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 21:22
mennte

544 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 21:53
新スレ立ててみた。
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=998398272

というわけで悲惨な1氏、後編よろしく〜。

545 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 22:07
>>544の立てたスレ削除して新しいの建てた方が良くないか?
あれはまずいと思うぞ

546 :新スレ1:2001/08/21(火) 22:14
>>545
理由を教えてくれ。

547 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 22:17
昔のスレでやりすぎた表現があった事知らないのか?
それとその為の注なんだぞ
ついでに言えばそれがあったあとスレに勢いがなくなったしな
自粛を促す注意書きは必要なんだよ

548 :新スレ1:2001/08/21(火) 22:19
>>547
実際にあったことを隠しても、いいこと無いぞ。
リーフOHPが良い例だ。
むしろあれを見て、それぞれが胸に留めておいたほうが、事件再発防止になると思うが。
みんな21歳以上の大人だろう?

549 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 22:22
だからって大々的に晒すなよ
再発防止は(注)があるだろう
雰囲気が悪くなるよ

550 :新スレ1:2001/08/21(火) 22:25
あと、注意書きを書くことに意味があるとは思えない。
「このスレの物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません」
とか書いても、2chではかえって白々しい。むしろ堂々としていたいよ。

「職人さんには節度ある投稿をお願いします」
これも「職人さん」に対して失礼だと思うし、ルール無視する人は無視するからなあ。
例えば、児童メbルノ防止法を施行して、幼女犯罪がなくなると思う?

551 :名無しさんだよもん:2001/08/21(火) 22:38
>このスレの物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません
これは逃げ道なんだよ
名誉毀損で2ch自体に迷惑がかかったとき、どれほど有効かはしらないが少しでも言い訳できたほうがいいだろう?

>職人さんには節度ある投稿をお願いします
これって失礼か?
そんな事で気を悪くする職人さんはいないと思うが

>ルール無視する人は無視するからなあ
そりゃそうだ
でもそれならわざわざ前のアド晒すこともなかろう

新スレ立てる人はある程度強引である必要があるがここまで住民の民意を汲み取っていないと反発を招くぞ
よってやり直しを要求する

552 :悲惨な1:2001/08/21(火) 22:42
僕も横からいいですか?

やはり注はあった方がいいように思います。
ご本人が見ていらっしゃるこ事がありますので、最低限の礼儀は弁えたいです。
さすがに堂々なんてしていられませんって。

553 :新スレ1:2001/08/21(火) 23:01
正直、考えすぎのような気がするけどなあ。
礼儀なんて言ってたら、このスレの存在自体誉められたものじゃないし。
今までだって注意書き無しでうまくやってきたわけだし、
その辺の事は胸のうちに秘めて、暗黙の了解のまま進めたかったんだけど。

でもま、このスレの人達を敵に回したくはないので、削除するならしてくれ。

554 :R(スランプ中):2001/08/22(水) 00:34
横槍で失礼ですが、
書き手としては、現在どっちのスレッドに載せればよろしいのでしょうか?

555 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 00:54
藤田の件で世も騒がしいから
言い訳としての(注)もあった方がよろし

要は保険だほ・け・ん

556 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 00:55
>>554
新作は新スレの方がよいかと思います。
こちらですと、256K制限に変更されたりした場合拝見できなくなるおそれがありますので…

557 :新スレ提案:2001/08/22(水) 01:26
題名:Leaf&Key仮想戦記第四部〜羊達の聖戦篇〜

Leaf掲示板が閉鎖!?
激震に揺れるOHP管理者たち。
そんなことはお構いなしとコンシューマー界からの猛追は続く。
影で静かに動き出す高橋。
自分の生き方を必死に模索する久弥。
お互いを気遣うあまり、その距離の縮まらない麻枝といたる。
一方Leafの一一は共存への一縷の望みを託し【Leaf&Key共闘フローチャート】を編纂する。
そして『あの男』が語る真の敵とは!?
今、英雄たちは災厄の中心へと歩き出した!

『Leaf&Key仮想戦記』第四部

 〜羊達の聖戦篇〜 開幕

Leaf&Key仮想戦記第一部 (2ちゃんねる葉鍵板リレー小説置き場)
http://nanasei7.tripod.co.jp/

Leaf&Key仮想戦記第ニ部 〜誰彼の葉鍵編〜
http://cheese.2ch.net/leaf/kako/974/974402008.html

Leaf&Key仮想戦記第三部 〜永遠の遁走曲篇〜
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989927173&ls=50

非公式バックアップサイト(2.5次元のスキマ)
http://green.jbbs.net/movie/568/jigen.html

注)
初めての方は第ニ部より読むことをお勧めいたします。
職人さんには節度ある内容での投稿を願います。
最後に。
本スレッド於いて全てのペンネーム・商標・ブランド名等は実在の物とは一切関係ございません。

558 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 01:49
関連スレは>>2に回した方がいいかもん。読みやすさ重視で。

559 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 02:13
例の事件の後でやった方がいいかもな

560 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 02:16
一人逮捕されたしな…

561 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 04:26
いよいよ書くことが何も浮かばなくなってきたけどメソテ

562 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 05:41
音楽CDと合わせて「夏影の欠片編」とかどうか??
これで葉鍵揃うし。

563 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 06:49
557さんの案で新スレ立てておきました。
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=998430534

564 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 13:34
めんてmb

565 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 17:01
一応メンテ

566 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 18:53
めんて

567 :553:2001/08/22(水) 19:49
なんか混乱してる人がいるみたいなので、>>544は削除依頼出しておきました。
http://teri.2ch.net/test/read.cgi?bbs=saku&key=995399904&st=152&to=152&nofirst=true

568 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 19:52


569 :名無しさんだよもん:2001/08/22(水) 22:43
結局どうなったの?

570 :名無しさんだよもん:2001/08/23(木) 01:17
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=998430534

こっちになったんじゃ?

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